2ちゃんねる ★スマホ版★ ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50  

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第13話

1 :名無しさん@初回限定:2007/04/14(土) 14:04:57 ID:BAFVRlCO0
ここは「処女はお姉さまに恋してる」のSSスレです。
優雅に礼節をもって進行していきましょう。
sage進行で。

「処女はお姉さまに恋してる」まとめサイト−「おとボク」SS作品リスト
ttp://takayan.s41.xrea.com/otoboku/ss_index.shtml

SS投稿掲示板@おとボクまとめ
ttp://takayan.otbk.root-node.net/ss/bbs_view.cgi?

おとボクSS投稿掲示板
ttp://cute.to/~hokuto/caramelkeijiban/story_bbs.php

処女(おとめ)はお姉さま(ぼく)に恋してる SSの書庫
(処女はお姉さまに恋してるSS保管庫(仮)の跡です)
ttp://th2ss.hp.infoseek.co.jp/otoboku/


メーカー公式
ttp://www.caramel-box.com/


Q&Aテンプレは>>3-4

2 :名無しさん@初回限定:2007/04/14(土) 14:06:04 ID:BAFVRlCO0
・前スレ
処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第12話http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1171703000/

・過去スレ
【女装】処女はお姉さまに恋してる【百合】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1108774069/
【女装】処女はお姉さまに恋してる 第2話【百合】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1110222716/
【女装】処女はお姉さまに恋してる 第3話【百合】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1110659167/
【女装】処女はお姉さまに恋してる 第4話【百合】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1111234071/
【女装】処女はお姉さまに恋してる 第5話【百合】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1111757700/
【女装】処女はお姉さまに恋してる 第6話【百合】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1112791250/
【女装】処女はお姉さまに恋してる 第7話【百合】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1115118638/
処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第8話
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1117971026/
処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第9話
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1143304515/
処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第10話
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1156178671/
処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第11話
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1164204810/

3 :名無しさん@初回限定:2007/04/14(土) 14:06:50 ID:BAFVRlCO0
Q&A その1

(;´Д`)<オリキャラ出したいんだけど……
(・∀・)<オリジナルキャラが原作キャラよりも目立つ物、また、同程度の立場である場合、受け入れられない
     事の方が多いようです。そんな作品の場合は投稿所の方が無難ですが、最終的な判断は作者さんに
     委ねられます。
     もし、これは大丈夫だ、と思ってスレに投下して、投稿した作品にケチをつけられたとしても、
     それはそれで一つの事実ですので素直に受け止めましょう。
     次の投稿時にその経験を活かしてください。

(;´Д`)<そんな固い事言ってたらオリキャラ使えないじゃん
(・∀・)<そんなことはありません。原作に登場してはいないものの、その世界に間違いなく存在しているキャラ
     (一般生徒・店員・通行人)等のいわゆるMobは、登場させても問題ありません。
     但し、それでもし投稿した作品にケチをつけられてとしても、それはそれで一つの事実ですので素直に
     受け止めましょう。次の投稿の時に(ry

(;´Д`)<原作キャラの性格を弄りたいんだけど、どの程度なら大丈夫なの?
(・∀・)<極端に変わっていなければ大丈夫です。が、だからといってスレに投稿してケチをつけられてとしても、
     それはそれで(ry
     例外的に、笑いを取りに行った場合には受け入れられる事もあるようです。


4 :名無しさん@初回限定:2007/04/14(土) 14:07:24 ID:BAFVRlCO0
Q&A その2

(;´Д`)<瑞穂ちゃんがあまりにも可愛いので、おかま掘りたいんだけど……
(・∀・)<どうぞ掘ってください。但し、作品が出来上がったときはスレの方ではなく、投稿所へお願いします。
     逆に瑞穂ちゃんが掘っちゃった場合も投稿所を利用してください。

(;´Д`)<マリみてとか、極上生徒会なんかとクロスオーバーさせたいんだけど……
(・∀・)<クロスオーバー物は、混合物の元ネタを知らない人もいますので、投稿所の方へお願いします。

(;´Д`)<瑞穂ちゃんを襲った○○が許せません! お仕置きしてもいいですか?
(・∀・)<構いませんが、必要以上の暴力・陵辱・強姦・輪姦・監禁・調教・SM・スカトロ・グロ・強制妊娠・
     達磨プレイ・死姦・人体改造・触手・食人等、読み手を限定してしまうような表現がある場合は、
     投稿所の方へお願いします。
     また、直接的な表現が無くても鬱な展開になった時は受け入れられない場合もあります。

(;´Д`)<携帯だから投稿所使えないyo!使えるけど投稿所ヤダ!
(・∀・)<仕方ないので事前に1レス使って傾向報告、あぼーんできるようにコテ、ケチつけられても
     文句言うのはやめましょう。でも可能な限り投稿所利用してください。



(・∀・)<おとぼくの雰囲気に合わないと思われる作品は投稿所へ、どうすればいいか分からないときは
     皆に聞いてみて下さい。


5 :名無しさん@初回限定:2007/04/14(土) 14:24:25 ID:BAFVRlCO0
・関連スレ
処女はお姉さまに恋してる 第58話
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1174632893/
キャラメルBOX Part32
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1173183000/
キャラメルBOX やるきばこ
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1139827676/

6 :名無しさん@初回限定:2007/04/14(土) 22:34:21 ID:+BUJVRxG0
6なら木村あやかとセックスできる

7 :名無しさん@初回限定:2007/04/15(日) 08:00:21 ID:zSt+Vkts0



★過去スレのミラーです★(処女はお姉さまに恋してるSSスレ)

第1話 http://2ch.pop.tc/log/05/06/20/0923/1108774069.html
第2話 http://2ch.pop.tc/log/05/06/20/0923/1110222716.html
第3話 http://2ch.pop.tc/log/05/06/20/0923/1110659167.html
第4話 http://2ch.pop.tc/log/05/06/20/0923/1111234071.html
第5話 http://2ch.pop.tc/log/05/06/20/0923/1111757700.html
第6話 http://2ch.pop.tc/log/05/06/20/0923/1112791250.html
第7話 http://2ch.pop.tc/log/05/06/20/0923/1115118638.html
第8話 http://2ch.pop.tc/log/06/03/26/1755/1117971026.html
第9話 http://2ch.pop.tc/log/06/08/21/2319/1143304515.html
第10話 http://2ch.pop.tc/log/06/11/23/1758/1156178671.html
第11話 http://p2.chbox.jp/read.php?host=pie.bbspink.com&bbs=erog&key=1164204810&ls=all
第12話 http://p2.chbox.jp/read.php?host=pie.bbspink.com&bbs=erog&key=1171703000&ls=all




8 :名無しさん@初回限定:2007/04/16(月) 23:27:31 ID:7L9CjpMh0
>>1 乙です

9 :なんて素敵にお姉さま(ボク)ネスク 前編:2007/04/17(火) 21:05:29 ID:WaBfZT3E0
以前、「まりやとかがみてた」を書き込んだものです。

どこかのスレに書き込んだ「ゲーム版 3巻」平安時代版おとボクを考えてみましたw
あれ、ネタでした。すんません。
脳内で妄想してください。




今は秋の長月。都は刈り穂をのせた車が行き交い、世はなべてこともなく、
民はみな帝のご威光に平伏している。

都人の関心事と言えばもっぱら姫の噂である。
曰く、御年十七、本朝三美人の一人に数えられ、琴の箏も右に出る者はいないと言われる紫苑姫。
左大臣家の一人娘で東宮(将来帝になられるお方)とは幼い頃から将来を誓い合った筒井筒の仲。
梧桐(あおぎり)の君と呼ばれる。梧桐は鳳凰のとまる木であり、鳳凰とは東宮を示している。
将来の皇后候補として名高い。

右大臣家の貴子姫は歌の才も良く容姿端麗であるが、気が強いとのこと。
右大臣家の男は父親も兄も歌の才もなしに、不節操な漁色家であり、そのために男性不信である。

御門中納言家はどうだ?
姉の茉莉姫(cvまりや)と妹の縁姫(cv由佳里)はまだ幼さを見せるものの、御姿はいと可愛らしく
都の公達から文を毎日届けられるそうだ。
茉莉姫は茉莉花の君とも呼ばれるが、理由は色=香りが強いと、暗に性格が激しいことを表している。
縁姫は琥珀の君、こちらは御髪(おぐし)の色が琥珀に見えるため。内気であるようだ。

10 :なんて素敵にお姉さま(ボク)ネスク 前編:2007/04/17(火) 21:06:34 ID:WaBfZT3E0
本朝三美人はもう一人いらっしゃる。
先の皇后を出した宮小路家の瑞穂姫。どこぞの名家からの養女であるらしい。
歌の才に秀で、その歌は宮中でもそらんじられるようである。
公達からの文や宴の誘いはひっきりなしであるが、どうも姫は恋ごとに興味をお持ちでない様子。

畏れ多くも宮中にいらっしゃる奏子内親王(cv奏)は御年十二。裳着(成人)を迎えたばかりである。
見目幼く、可愛らしい様子から白菊の君とも呼ばれる。
今の皇后、楓の宮様の一人娘である。帝に可愛がられながら大事に育てられている。

それに比べて・・・今の東宮様ときたらお隠れあそばされた前の皇后、幸穂の宮様の病弱を受け継いだのか、
いつも御簾に隠れて臥しがちで、お天道様の下に出たことはないとか。

都の噂はこうして東宮のふがいなさに締めくくられるのである。

11 :なんて素敵にお姉さま(ボク)ネスク 前編:2007/04/17(火) 21:08:20 ID:WaBfZT3E0
ここは右大臣家。
「どうして歌会で東宮様とお会いしないのだ!?」
「父上、東宮様は臥しがちと聞いております。やはり男性は凛とした気迫がなければ・・・」
いつものやりとりが交わされる。
「貴子に何を言っても無駄ですよ。父上。貴子の目に叶うものは都中探してもいない。くっくっく」
そう声をかけるのは、朝帰りしてきた息子である。貴子の兄である。
「何を言うか! おまえこそ、他の女に通う暇があれば、奏子内親王に文をださんか!」
「これはやぶ蛇だ。退散退散」
逃げる息子を追う右大臣。貴子姫は溜息をついていつもの朝の情景を見守った。
父上が帝と縁を結びたいのも分かるというものである。
貴子と東宮が結婚すれば父上は左大臣に召し上げられるだろう。
しかし、東宮にはすでに梧桐の君という方がいらっしゃる。どうしようもないのだ。

右大臣の耳にも、東宮と左大臣家紫苑姫のうわさ話が届いている。
このままでは出世のチャンスがない。
どうしたものか・・・

と、唐突にもうすぐ、紫宸殿で「菊見の宴」があることを思い出した。
こうなれば東宮にはお隠れいただき、息子を奏子内親王の婿とする。

「深緋(こきあけ)、深緋はおらぬか!」
「ここにおります」
古参の女房、深緋はそばに控えていた。
「ひそかに唐渡りの毒を手に入れよ」
「いよいよですね」
深緋は前々から知っていた口ぶりである。実質、右大臣家を取り仕切っているのは深緋である。
右大臣との仲も睦まじく、北の方(正妻)様は悲しみのうちに亡くなられたそうな。
いよいよ、我が世の春が来るのだ。
右大臣は知らず、高笑いしていた。

12 :なんて素敵にお姉さま(ボク)ネスク 前編:2007/04/17(火) 21:11:15 ID:fjnh9hW00
左大臣家では、紫苑姫と瑞穂姫が貝合わせを楽しんでいた。当時の女人の娯楽である。
「そういえば右大臣家のご子息がしきりに文をよこすのですわ。いったい何人の相手がいるのでしょう」
と紫苑姫が愚痴をこぼすのも仲の良い瑞穂姫の前でこそ。
「私にも来ているようですね。女房に始末してもらっているのですが」
「本朝三美人という肩書きも面倒なものですわ」
「まったくです」
瑞穂姫は深い溜息をついた。

「姫様、中納言家の茉莉姫と縁姫がお越しです」
「ここへ通して」
左大臣と中納言家では格が全然違うのだが、紫苑姫のご厚誼でよく茉莉姫、縁姫が遊びに呼ばれる。
「紫苑さまこんにちは。瑞穂ちゃん、やっほー」
茉莉姫が格上の大納言家瑞穂姫とタメ口なのは幼なじみだからである。
宮小路家と御門家が親戚筋と言うこともある。
「し、紫苑さま、瑞穂さま、こんにちは、です。」
妹の縁姫はいまだ二人の美人に慣れていない。

13 :なんて素敵にお姉さま(ボク)ネスク 前編:2007/04/17(火) 21:11:55 ID:fjnh9hW00
「今日は紫苑さまにお願いがありまして・・・縁、出しなさい」
「はい、お姉さま。これです」
縁姫は一通の文を懐から出した。

「右大臣家の貴子姫から頂きました。私が懇意にして頂いている白菊の君に伝えて欲しいと」
「なにを?」
「右大臣家の男はなべて節操無しだから、求婚されてもお断りしてくださいとのことです」
「こう言うのもなんですけど、貴子様は父上と兄上のせいで男性不信ですからね」
瑞穂姫は同情したくなった。
父と兄は都中に聞こえた節操無しの親子。かわいそうに世間に顔向けもしづらいだろう。
「白菊の君はまだ13才。裳着(成人すること)したてで、こういうことに疎くていらっしゃいますからね」
紫苑姫も相づちを打つ。
「貴子姫から文が届いたと言うことはもう文を多く届けているはずです。一刻も早く白菊の君に
 お伝えしたいとは思うのですが、なにぶん中納言家の姫ではみだりに宮中に上がることもままならず・・・」
茉莉姫がくやしそうに拳を握る。親父の中納言が属する衛門府は禁中を守る近衛府の役人と仲が悪い。
早い話が、親の都合で門を通してくれないのだ。

14 :なんて素敵にお姉さま(ボク)ネスク 前編:2007/04/17(火) 21:13:48 ID:fjnh9hW00
「・・・よろしいですわ。次の吉日、我が屋敷の庭にて歌会を開きましょう。もちろん白菊の君もお呼びして」
「お手数をおかけします。紫苑姫さま」
縁姫がうれしそうに頭を下げる。ひさしぶりに白菊の君に会えるのでテンションが上がっている。
「ではみんなで双六でもしましょうか?」
姫たちはいつも通り仲良く遊んだ。

夕刻になって、文が届いた。
茉莉姫あてである。『お邪魔になってはいかん。早く帰って参れ』
「親父、いえ父上からですわ。早く帰ってきなさいと・・・
 検非違使別当(犯罪を取り締まる検非違使庁長官を兼任すること)ですからうるさくて」
「そうね。もうこんな時間。私も帰ります」
と瑞穂姫。
「それでは皆さん、のちほど歌会の招待の文を出しますのでよろしくお願いしますわ。
 とくに瑞穂姫の箏の琴はお上手でいらっしゃるから必ずいらしてね」
にっこりと笑う紫苑姫に瑞穂姫は渇いた笑顔で返した。

15 :なんて素敵にお姉さま(ボク)ネスク 前編:2007/04/17(火) 21:14:41 ID:+EJQ73vp0
すぐに歌会が催された。吉日にふさわしく秋晴れである。
左大臣、十条家の屋敷は広く、池があり、島があり、竹林や紅葉の通りもしつらえてある。
そこに居並ぶ群臣たちの真ん中に一際目立つ十二単が一対、向かい合って箏を鳴らしている。
紫苑姫と瑞穂姫である。
「あれが梧桐の君とよばれる左大臣家の姫か落ち着いていながら色っぽいな」
「いや、大納言家の瑞穂姫も若々しい鮎の如き腰つきにあってなお仕草に慈しみが感じられ」と囃したてる公達方。
そのなかに右大臣家の貴子姫の姿もあった。
人の集まる場所は好きでなかったが、うつくしい箏の音色に引かれて覗きに来たのだった。

しっとりとした黒髪で艶やかに爪弾いているのが紫苑姫、とするともう一人の方が瑞穂姫か。
まじまじと眺めていると、弦を弾く合間に瑞穂姫が面を上げ目が合った。
芯の通った凛とした目におなじ女性ながら見惚れてしまう。
顔が紅くなるのを感じた貴子姫はすぐにその場を離れた。

寝殿を見やると御簾に向かって琥珀色の髪の姫が楽しそうに喋っている。
お会いしたことはないが、おそらく琥珀の君と呼ばれる縁姫だろう。
とするとお相手は白菊の君。したためた文の内容も伝わっているはず。
ほっと安堵して、貴子姫は早々に帰るべく牛車のある車宿りに向かった。

16 :なんて素敵にお姉さま(ボク)ネスク 前編:2007/04/17(火) 21:16:06 ID:+EJQ73vp0
左大臣邸での宴から日も経ち、宮中紫宸殿での菊見の宴まであと数日となったある日のこと。

貴子姫が、先日お会いした瑞穂姫のまっすぐなまなざしが忘れられず、
何事も手に付かず用事もないのに右大臣の屋敷をうろうろしていると
廊下の向こうから古参の女房、深緋がやってきた。
紫で染められた布に包まれた箱を大事そうに持っている。

興味に駆られた貴子姫はいつもの姫らしくなく深緋の後を尾けていった。
どうやら父親、右大臣のいる母屋に向かっているようだ。
右大臣がいつもいる部屋の前で座り、障子に向かって声を掛ける。
中から入れという呼び声があって、深緋は滑り込むように音もなく入っていった。

人払いをしてあるのか、行き交う女房たちが一人としていない。
これ幸いと、貴子姫は二人のいる部屋のそばで聞き耳を立てた。

「これが唐渡りの酒か」
「はい。飲まれましてもすぐには効きませぬ。
 一昼夜をおいて毒が回り、苦しむこともなく頓死するとのことでございます」
「頓死か、それはよい。日頃、御簾に隠れてわしも顔すら知らぬ東宮のこと。
 病弱がたたって急に死してもだれも不思議に思うまい。ふっふっふ」
「菊見の宴にて私めが女房になりすまして、酒を注ぎますゆえ」

17 :なんて素敵にお姉さま(ボク)ネスク 前編:2007/04/17(火) 21:16:39 ID:+EJQ73vp0
これはまずいことになった。
父上は本気で東宮殿下を弑逆するおつもりだ。
もう縁姫に文を託す暇もなく、父上も考えを改める気がないのは確かだ。
臣下としては家を取りつぶす覚悟で東宮殿下を守らねばならない。

お会いしたこともない東宮殿下だけど、あまりタイプじゃない貧弱な東宮殿下だけど
これを見過ごしては先日お会いした、瑞穂姫に合わせる顔がないではありませんか。
あの誠実にして優しそうなまなざしを思い出して、顔を赤らめながら貴子姫はふらふらと自分の対の屋に戻った。

「それでは、私はこれにて」
「うむ。頼んだぞ」
廊下に出る深緋は、上品な苦みのある香りをかいだ。
これは貴子姫が焚きしめる伽羅(きゃら)の香だ。
深緋の目が鈍く光った。

18 :名無しさん@初回限定 ◆0XucCTxAGU :2007/04/17(火) 21:20:27 ID:+EJQ73vp0
とりあえず、前編はここまでです。
いかがでしたでしょうか。
少々話が長すぎたので縮めたのですが、詰め込みすぎたかもしれません。
よろしければご感想など賜れましたら幸いでございます。

後編は今週中に書き込む予定です。
あしたは雨の中、タケノコ掘りに行くのでw

19 :名無しさん@初回限定:2007/04/17(火) 22:38:25 ID:Qr43ESlT0
>>12
紫苑姫と瑞穂姫が貝合わせ…とは、当節の女人は奔放ですなぁ…

20 :名無しさん@初回限定:2007/04/17(火) 23:48:12 ID:5kqq28lIO
つか、ギャルゲ板での冗談が本当に実現するとは…

21 :名無しさん@初回限定:2007/04/18(水) 01:46:08 ID:vko8W/bV0
>>18
GJ、後編期待して待ってます

22 :名無しさん@初回限定 ◆0XucCTxAGU :2007/04/18(水) 23:06:02 ID:kLOPDKT60
>>19
ぬぅ。はやくもネタが1つ見破られたかw

だれか、超レアの2巻、頼む。

23 :名無しさん@初回限定:2007/04/19(木) 06:20:30 ID:9Ga9OzrB0
>>18
GJですが、実は現時点で前スレがまだ500KBに達していないのですが……(苦笑)
どなたか、先にそちらを埋めていただけるとありがたいのですが……。

24 :名無しさん@初回限定:2007/04/19(木) 06:55:56 ID:ROWQhNjU0
>>22
「女房に始末」もネタ?

GJでwktkだが、東宮誰?

1.演劇部部長
2.エロ教師
3.幽霊
4.弁護士

25 :名無しさん@初回限定:2007/04/19(木) 13:26:02 ID:70CZtT6U0
東宮=瑞穂姫じゃね?
「病弱」を理由に人前には出ず、右大臣(貴子パパ)も顔を知らないという設定から
普段は影武者(代役)を立てていると考えられる。

でも、そうだとしたら、その影武者は誰なんだろうな?
やっぱり、一子ちゃんあたりかな?

26 :名無しさん@初回限定:2007/04/19(木) 22:28:40 ID:F9L675Gl0
>>18
で、つぎは「瑞穂ボーイ」か「まりやガール」、「紫苑マドンナ」か?

27 :名無しさん@初回限定:2007/04/19(木) 23:33:45 ID:gDjqyjeF0
「まりやとかがみてた」の続編書いてくんないかな?
投下されりゃ絶対読むぜ。

28 :名無しさん@初回限定 ◆0XucCTxAGU :2007/04/20(金) 07:54:34 ID:vrJnl5DS0
ウワアアァァァン!
禁中のことなんかわかんねぇよ! もう2日間ググりまくり。
そのうえ、原作ジャパネスクの三級贋作になりさがっとる。

そうとも俺は贋作者(フェイカー)だからな。
My whole life was UnlimitedErosWorks.
いくぞ、スレの住人! 妄想の貯蔵は十分か?

>>24
>「女房に始末」もネタ?
なんていかがわしい! は、恥を知りなさいっ!w

>>26
ほかの作品は読んでござらん。というか、ジャパネスクも花とゆめのコミックで読んでただけ。
今必死でコバルト文庫版を読んでござる。

>>27
構想はあるが、いまは後編に集中。今週中に書けるのか?他の職人さん、書き込み邪魔してごめんなさい。

〜女神のいずみ〜
「あなたが泉に落とした貴子は、仲睦まじい様子の続編ですか? それとも体の火照りをもてあました貴子ですか?」

29 :なんて素敵にお姉さま(ボク)ネスク 後編:2007/04/20(金) 11:15:00 ID:vrJnl5DS0
紫宸殿に公卿が集まっている。今日は重陽の節句、菊見の宴が催されるのだ。
菊が殿上に持ち込まれ、公達があれやこれやと見定めている。

貴子姫は周りを見渡した。
帝、東宮はいまだお越しでない様子。
また瑞穂姫の姿も見あたらない。宮中の宴に姿を見せたことはないとの噂だ。
とても残念に思いながらも、姫は我が親の謀反をいかに東宮に知らせようか思案した。

半刻も過ぎた頃、宴が始まった。雅楽が奏でられ、歌会が始まる。
杯に菊花を浮かべた菊見酒が振る舞われ、姫たちが舞い踊る。

帝や東宮がいらっしゃったようだ。
左大臣、我が父右大臣、内大臣などつぎつぎと挨拶をしている。

注意深く眺めていると、幾人かの女房が御簾の前に料理をのせた三方を運んできた。
深緋(こきあけ)ではない。もとから宮中にいる女房だろう。
「東宮様、献饌に参りました。今日は殿下のご長寿を願い、薬酒とのことです」
東宮は左の御簾の中にいらっしゃるようだ。
脇に控えていた女房がするすると御簾を上げるが、殿下のご尊顔は拝せない。
ささと三方を御簾の中に運び入れてすぐに下がる。

あわただしく、女房たちが酒を注ぎに回る中、貴子姫はその中に女房、深緋(こきあけ)を見つけた。
御簾に向かって口の端に薄く笑いを浮かべると、追いかける間もなく姿を消した。
すでに毒が仕込まれている! そう直感した貴子姫は東宮の御簾の前に進んだ。
東宮は御簾の向こう側で「薄荷の匂いがするお酒だなぁ」などと悠長なことをおっしゃっている。
杯に口を付ける前に止めなければならない。

30 :なんて素敵にお姉さま(ボク)ネスク 後編:2007/04/20(金) 11:15:31 ID:vrJnl5DS0
こほん。右大臣の娘が東宮に歌を献ずると見て、公達方が振り向く。

春待ちて 酔ひて見ゆらん 今はただ 急きて知らせよ けふの春風
(春を待って酔ってご覧なのでしょう。 今はただ急いで知らせてください。春風よ)

貴子姫は「春」を歌に込めて詠んだ。今は秋である。不自然な歌だ。
群臣がどういうことかと、ざわめきだした。
ことりと杯を置く音がした。とりあえず東宮の注意は引けたようだ。

親がため 花折る人は 東風(こち)過ぎて 白菊を摘む 誰ぞ知るらん
(親のために花を折る人が、東風が吹き抜けた後で白菊を摘むことを誰が知るでしょうか)

ざわめきの中、続けてひそやかに詠んだ。周りの公達には聞こえなかっただろう。
簡単な謎かけだ。
「東風が吹き抜けた=東宮が殺された後で白菊の君が奪われるのですよ」という意味だ。
さきの「酔ひて見ゆらん」の意味にも気づいて頂ければ・・・
御簾の中からじっと見られているようだ。
「姫」
「御前、失礼いたします」
真剣な声音の問いかけに真意が通じたと感じた貴子姫はすぐに下がった。
どこからか強い視線を感じる。深緋に違いない。
さりげなく周りを見渡すと、父の右大臣が顔色を失って早々に下がってゆく。
主の命を奪わんと謀をする逆臣は浮き世の宴から去るのがふさわしいのだ。

そのころ貴子姫はもう心を決めていた。わが厳島の右大臣家も今日の宴とともにもう終わりだ。
おとなしく帰って父上と運命をともにしよう。
父親の後を追うように貴子姫も早々に宴を辞した。

31 :なんて素敵にお姉さま(ボク)ネスク 後編:2007/04/20(金) 11:17:07 ID:vrJnl5DS0
「気がすぐれぬ。寝所へ戻る」
東宮は体の不調を訴えて、奥へ戻られるようだ。
女房たちが来て撤饌(食事を下げること)する。
しかし不思議なことに、三方の上の瓶子が1本無かった。


ひそかに東宮の寝所に典薬頭(てんやくのかみ)の娘、圭と美智が呼ばれた。
二人の前に一本の瓶子が高坏にのせられて置かれている。
「毒かもしれません。わかりますか」
東宮が御簾の向こうから問うた。脇に控えた帯刀(たちはき=警備役)が驚いている。

典薬頭の娘、圭は禁中随一の薬毒のエキスパートである。
酒に指を浸して舐める圭。舌で良く吟味した後、懐紙で口を拭う。
「天竺・・・高くて手に入らない」
「天竺(今のインド)の毒とのことです。高級品で都でもまず手に入れにくいものかと」
美智がわかりやすく説明する。
「毒味役に・・・薬」
「飲んだ毒味役には毒を解く薬を作ると申しております」

「わかりました。下がって結構です」
下がる二人と入れ替わりに茉莉姫が来た。
「東宮様、帰られた貴子姫が心配ですわ。様子を見て参ります」
「お願いします。なにかあれば紫苑姫に。」
茉莉姫は御簾に向かって頷くや、裾を翻して車宿りに向かった。

32 :なんて素敵にお姉さま(ボク)ネスク 後編:2007/04/20(金) 11:19:29 ID:ei6a9hLz0
茉莉姫は妹の縁姫とともに目立たない牛車に乗り込んだ。貴子姫の牛車を尾行するためである。
右大臣邸は御所からすぐである。まもなく門の中に貴子姫の牛車が入っていく。
茉莉姫は牛車を離れたところに止めさせて門の中を覗いた。
侍所(侍の詰め所)の向こうに車宿りが見える。
貴子姫が牛車を降りるやいなや一人の女房が近づいて何事か告げている。
女房の合図で侍たちが貴子姫を取り囲み、奥へ連れて行かれていった。

事態は思ったよりも早く動いている。
「縁、紫苑姫にこのことを伝えなさい。できるだけ早くして!」
貴子姫の身の危険を感じた茉莉姫は、妹の縁姫に言いつける。
「わっかりました〜。お姉さま。走って参ります」
言うなり、牛車のなかで素早く裳を払い唐衣を脱ぎ捨て小袿(こうちぎ)に着替えて自らの脚で走っていく。
「頼んだわよ。縁」

茉莉姫も小袿に着替えて警備の薄い南庭から右大臣の屋敷に忍び込んだ。
東の対の屋に近づき、女房たちに見つからないように上がり込む。
右大臣に呼びつけられたとしたら、貴子姫がいるのは北の母屋か。
茉莉姫は縁の下を気づかれないように母屋へ向かった。

33 :なんて素敵にお姉さま(ボク)ネスク 後編:2007/04/20(金) 11:20:08 ID:ei6a9hLz0
「おまえたちはもう良い、下がれ」
貴子姫を座らせた右大臣は、連れてきた侍たちを人払いした。
腹心の女房、深緋(こきあけ)だけが障子脇に残る。
「何故だ?」
「何故とは?」
知らない振りをする貴子姫。
「ふん。まあよい。そう固くなるな。そうだな・・・まずは酒でも飲め」
深緋があらかじめ用意してあったさかづきを高坏にのせて持ってくる。
「こ、これは・・・父上・・・」
顔色を失って断る貴子姫。

「やはり、知っておるのだな」
右大臣は娘の裏切りを確信した。
「もう一歩のところで東宮を亡き者にできたものをこの馬鹿者めが!
 我が娘とはいえ、許せぬ。じきに西へ使はそう」
母屋の渡り殿の縁の下で聞いていた茉莉姫が拳を握る。
「誰ぞ! 姫を雑舎に閉じこめておけ」
呼び声に侍たちが入ってきて、貴子姫を連れて行った。

34 :なんて素敵にお姉さま(ボク)ネスク 後編:2007/04/20(金) 11:20:41 ID:ei6a9hLz0
縁の下から這いだした茉莉姫は、貴子姫を助け出すべく雑舎に向かった。
おそらく雑舎は北にある。
屋敷の壁に隠れて辺りをうかがうと数人の侍が雑舎とおぼしき建物から出てきた。
あれに違いない。
侍たちが見えなくなるまで立ち去るのを待って、ゆっくりと雑舎へ近づく。

侍が一人、雑舎の番をしている。雑舎の鍵を持っていると思われる。
しかし、どうやって近づくか・・・
茉莉姫が悩んでいると、真っ白な猫が侍の前をとことこと歩いている。
門番の前で寝ころび、甘えるように身をよじる。
猫好きであろう門番は身をかがめて猫をいじり始めた。
ガスっ!
その隙をついて、茉莉姫が手近にあった棒で侍の頭を殴り倒した。
侍のふところを探るとやはり鍵が出てきた。すぐさま雑舎の鍵を開ける。
座り込んだ貴子姫が振り向く。
「父上の女房? 父上も気が早いものですね。夜までは命有るものと・・・」
「違うわよ。貴子姫。あたしは御門の中納言のむすめ。あんたを助けに来たのよ。感謝してよね」
茉莉姫は貴子の手を掴んで立ち上がらせて雑舎を出た。

にゃ〜
倒れた侍の横で、白猫が貴子を見て鳴いた。
「この子に助けられたんだ。あんたの飼い猫?」
「ええ」
白猫を大事そうに抱く貴子姫。
「さ、こっちへ」
二人は走り出した。

35 :なんて素敵にお姉さま(ボク)ネスク 後編:2007/04/20(金) 11:22:09 ID:4denwQug0
「やっぱり門の前に侍がいるか・・・」
車宿りの影から門を伺う。
ここから南に向かうには侍所の前を通らなければならない。
入ってきた南庭には辿り着けそうにない。
引き返そうとしたところに後ろから侍が数人やってきた。
「ややっ! 姫だ。貴子姫が逃げ出したぞ!」
侍が声を上げるやいなや、あっという間に侍所から出てきた侍たちに取り囲まれた。
門の脇の塀ぎわに追いつめられる二人。

その騒ぎに右大臣も駆けつけてきた。
「ぬぬ。そやつは中納言の娘。生かしては帰さぬぞ、我が娘ともども覚悟致せ」
侍たちが太刀を抜いて近寄ってきた。
突然、白猫が貴子の胸の中から抜け出して塀に飛び上がった。
「ふふふ。散々可愛がった飼い猫にも見限られたか。おとなしくせい」
低く笑う右大臣。
ところが塀の上の白猫は右大臣に振り返り、不敵ににやりと目を細めた。

突如、ひょうっと空を裂きたるものあり。鏑矢が侍所の屋根に突き立った。
「何事じゃ!?」
慌てる右大臣の耳に、馬の駆ける音がどんどん近づいてくる。
しかし、門は閉じている。なんとしても今のうちに・・・

「瑞穂ちゃん、助けてー!」
茉莉姫が塀の向こうに向かって、叫び声を上げる。
近づいてきた馬の足音は塀のすぐ向こうで途切れ・・・とたん栗毛の馬が塀を乗り越えてきた。
いななく馬。いきなりの闖入に後ずさる侍たち。

馬上には一人の公達がのっていた。弓を手に靫(うつぼ=矢筒)を背負う。
烏帽子がないが、立派な狩衣を着た美丈夫。
胸の前を通り、腰まで届く菜種色の長髪をくくってある。

36 :なんて素敵にお姉さま(ボク)ネスク 後編:2007/04/20(金) 11:22:44 ID:4denwQug0
「な、なにやつ!?」
「来るのが遅い〜。謀反の証しはつかんだよ」
その公達は茉莉姫にうなずいたあと右大臣に向き直った。

「悪事露見! 右大臣控えよ!」
威厳を持った声が響く。
「・・・こ、この声はま・・まさかっ!」
右大臣の狼狽に呼応するかのように、門を突き破ってなだれ込んでくる太刀を帯びた狩衣の群れ。
一目で検非違使(犯罪を取り締まる役人)たちと分かる。

「検非違使別当、この者らを捕縛せよ」
馬上の公達が躊躇なく命じた。右大臣に対して一分たりとて怯まない。
「御意にござります。・・・東宮殿下」
「な、な、なんとっ! 東宮とは痩せっぽっちで病弱で御簾の奥にヒキコモリの半死人ではなかったのか」
「ぶ、無礼であるぞ!」
検非違使別当である御門の中納言が、格上の右大臣に怒号を放つ。
これによりまことに東宮であると理解して、力なくくずおれる右大臣。
周りの侍たちもすぐさま検非違使たちに取り押さえられた。


「親父!いえ、父上」
「茉莉や、でかした!・・・これで近衛府の奴らの鼻をあかせる。ふははは。褒美に新しい十二単を・・・」
「え〜!また〜? いらない」
父上の中納言、しょぼーん。がっくりと肩を落とした。


37 :なんて素敵にお姉さま(ボク)ネスク 後編:2007/04/20(金) 11:23:38 ID:4denwQug0
「東宮殿下・・・でいらっしゃいましたか。なんとお礼申し上げたらよいか・・・」
絶命の縁で助けられた貴子姫は、馬上の青年に臣下の礼を取ってひざまずいた。
「こちらこそ、命を助けて頂きましたからおあいこですよ。ふふ」
東宮は馬上から下り、貴子姫の手を取った。
貴子姫はその青年に瑞穂姫の面影を見る。
『瑞穂姫の宮小路家は東宮殿下の生家。お二人にはゆかりが有られるのかもしれませんわ』
まじまじと東宮の顔を見る貴子をポンと肩を叩いて横から茉莉姫が告げた。
「右大臣家は取りつぶしでしょうね・・・
 でも大丈夫、東宮殿下は貴子姫を見捨てたりはしないわ。ね。じゃあね〜」

東宮にウィンクして笑って去っていく茉莉姫を見送っていると、
「姫、すみません」
急に横抱きに抱え上げられ、馬に乗せられる。
「えっ! な、なにをなさいますっ」
戸惑いつつもなすがままにされる貴子姫。
馬は東宮の操るまま、門を抜けて大路を駆けていった。
目の前に東宮の凛々しい横顔がある。
その衣をギュッと掴んで、腕の中で貴子は頬を染めた。

38 :なんて素敵にお姉さま(ボク)ネスク 後編:2007/04/20(金) 11:24:23 ID:ULlV3hj/0
馬の駆けゆき、着いた先は十条の左大臣家。
東宮がいらっしゃったと邸中が大騒ぎになっている。
場違いな気がして気後れするも、東宮が優しく手を握ってくれた。
「ようこそいらっしゃいました、殿下。どうぞこちらへ」
見たことのある左大臣自ら迎えに出てこられた。
わが父と違って好々爺の顔立ちだ。
西中門を抜けて北の寝殿へ案内された。

部屋へ上がり畳の上へ座る。東宮は上座の色とりどりに縁取られた畳の上だ。
「殿下、失礼ながらこちらは右大臣家の貴子姫でいらっしゃいますな。
 これはどうしたことでしょうか」
歌会の時に顔を覚えていたのか、左大臣がゆるやかに扇で貴子姫を指した。
左大臣ともなると仕草一つとっても典雅である。
「左大臣、じつは・・・こちらの姫を養女に迎えてはくれませんか」
「御意。我が娘の妹といたしましょう。可愛らしい娘が増えてこれからが楽しみでございます」
どうしたことでしょうと聞きながら、じつはもう東宮の心中を察していた様子である。

「きょうはいろいろとつもる話もございましょうから、どうぞわが破れ屋敷にお泊まりくださいませ」
いきなりの縁組み話に驚く貴子姫。
謀反は重罪である。家が取りつぶしなら尼になるか遠くに流されるかは覚悟していた。
あと、東宮と左大臣が談笑していたが、全然耳に入らなかった。

39 :なんて素敵にお姉さま(ボク)ネスク 後編:2007/04/20(金) 11:24:53 ID:ULlV3hj/0
東の対の屋。つまり紫苑姫の部屋である。
紫苑姫が御簾を上げて、部屋の中に置いてある畳に上がってくる。
東宮を間にして同じ畳の上に座る。
「東宮様。ようこそお帰りなさいまし。ふふ」
「殿下は良くこちらにいらっしゃるのですか。もしや寝所に戻られたというのも・・・」
貴子姫としては噂を聞いてはいるものの、やはり気になる女心である。
「そうですよ」
こともなげに交わす梧桐の君。東宮と筒井筒の仲となれば、余裕である。
「ですが、通いに来られたわけではございませんわ。貴子姫のことをご相談にいらっしゃいましたの」
「そ、そうですか」
赤くなってうつむいてしまう。
「ですから、貴子姫が一大事と琥珀の君が駆け込んでこられたときは、ひどく驚かれて・・・
 そのとき着ていらしたお召し物も、ほら、すぐそこの衣桁(いこう)に掛けてありますわ」
「あ」
東宮が変な声を出したので、うつむいていた面を上げた。
衣桁にかかっていたのは、唐衣と裳。十二単である。
「え? これは・・・」
「琥珀の君の前でお召し物を脱がれて、狩衣に着替えられたのですわ」
「ひ、姫!」
「良いではありませぬか。貴子姫は私の妹となる身。東宮のことも存じて頂かないと」
今度は東宮がうつむいた。横から見ると頬が染まっている。

40 :なんて素敵にお姉さま(ボク)ネスク 後編:2007/04/20(金) 11:25:36 ID:ULlV3hj/0
「じつは私と瑞穂姫は筒井筒の仲ですの」
瑞穂姫? この方は東宮であらせられるのでは・・・
「わかりませんか? 瑞穂姫とは東宮の世を憚る姿。
 この方は瑞穂姫に化けて浮き世を楽しんでいらっしゃるのですわ」
「べ、べつに楽しんでるわけじゃ・・・宮小路にいたときから茉莉花の君に遊ばれただけで・・・」
「その割には箏の琴もお上手でいらっしゃいますし、都人から本朝三美人との声も名高いですわよ」
今日は驚くことばかりである。あまりのことに気が遠くなりそうだ。
「でも今日は本当に嬉しいですわ。こんな可愛い妹ができるなんて・・・
 むかし、妹のように可愛がっていた瑞穂姫は東宮になられましたし」
そう言って貴子姫を抱きしめる紫苑姫。

ひとしきり抱きしめて満足したのか、紫苑姫は貴子姫から離れ、つつと東宮に寄り添った。
扇を口元に当てて歌を詠む。

あら嬉し 身籠もる前に 来られし我が妹(いも) 夫(つま)とともに 飽きず見ゆらん
(うれしいことに子供ができる前に妹ができてしまいました。
 夫と一緒に飽きもせずにずっと眺めていることでしょう)

であるが、(これから夫とあれやこれやするので)と言う意味も込めてある。

飽きもせずに眺めていることでしょうと言いながら、裏では邪魔という紫苑姫に貴子姫は・・・

「ふにゅぅぅぅ………」
くいっ、くいっ。東宮の袖を掴んで
「う―――…」(涙目)
子供返りをおこしてしまった。

41 :なんて素敵にお姉さま(ボク)ネスク 後編:2007/04/20(金) 11:26:56 ID:i6b+E01N0
それを見て微笑む紫苑姫、ふたたび扇の向こうで微笑みながら歌を詠む。

いかがせん 今宵の東風は 野辺の花 こころざしあらば 散らせしものを
(どうしたのでしょう、今宵の東宮は。
 ここまでは簡単だ。しかし・・・

 野辺の花=貴子姫なんかその気になれば、部屋に帰せるでしょうに
 野辺の花=自分なんかその気になればどうとでもできますのに
 野辺の花=私たちなんかその気になれば二人とも・・・)

真意を図りかねて、紫苑姫に見つめられてようやく詠む返歌は、

重陽の 夕べに浮かぶ 菊のみぞ知る 東風は知らずの その吹き行く末を


ボクは月を見て困り果てるのだった。

42 :名無しさん@初回限定 ◆0XucCTxAGU :2007/04/20(金) 11:38:31 ID:i6b+E01N0
ふう。なんとか終わりました。

今回の主人公は貴子さんです。

十二単の瑞穂姫良いなぁ・・・
いやいや、巫女服も似合うかも。んん?めもめも。


今回、緋紗子先生には悪役を演じて頂きました。深緋(こきあけ)。
奏ちゃんは御簾の向こうで隠れてるし、出番ナッシング。

ちなみに瑞穂ちゃんの着替え姿を見た由佳里姫は、そそくさと屋敷に戻って人払いをし、寝所に籠もったそうな。

43 :名無しさん@初回限定:2007/04/20(金) 11:40:13 ID:DCf8ewBz0
GJ
気の効いた事はいえないのですが
全員違和感無いなぁ、むしろこの時代のほうが良かったんじゃないかと・・・

44 :名無しさん@初回限定:2007/04/20(金) 18:42:15 ID:jpP9WQvb0
紫苑姫が女御入内した後、貴子姫を尚侍(ないしのかみ)として出仕するんかいなwwww

45 :名無しさん@初回限定 ◆0XucCTxAGU :2007/04/20(金) 19:39:07 ID:i6b+E01N0
>>44

>早い話、女御とは週に2度、更衣とは2週間に1度、尚侍とは月1度とかいう風に、
>夜の回数が決まっていたのです。
だそうです。
尚侍だと貴子姫が

「ふにゅぅぅぅ………」
くいっ、くいっ。


ですよw

46 :名無しさん@初回限定:2007/04/20(金) 23:29:46 ID:N9UrM/g20
>>45
GJ

それどころかヤる度に

「きゅうぅぅぅぅぅ〜」&鼻血

になりかねないw

47 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/04/21(土) 08:24:31 ID:4Fs9qxGw0
>>29-41
とてもGJです!
この時代の公家は何人もの女性に恋するのが普通でしたし、これなら瑞穂くん、世間公認でハーレムエンドを迎えられますよね。

話は変わりますが、おとボクにはおじゃる系の苗字が多いですよね。

それと、宣伝になりますが、12話の方にも、SSを投下させていただきました。
おひまでしたら、見てやってください。
場所は、最初と最後のコメントも含めてここです。
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1171703000/n552-559


48 :名無しさん@初回限定 ◆0XucCTxAGU :2007/04/21(土) 12:36:44 ID:JnJxIEap0
前スレが書き込めないのでこちらにて。

>東の扉さん

骨女は髪を結い上げた紫苑さんあたりかな?
「おいで、骨女・・・」
「あいよ、お嬢」

きっと楽しそうに演じるに違いないのですよぅ。
紫苑さんはルートでの設定があれなので、変身願望強そう。


>L鍋さん

実家へ連れて行かれるところを、マンションの管理人さんに気に入られて公認の番犬になるとか
もっと犬と貴子さんのふれあう続編が読みたいです。


・・・いっておくが獣姦ものではないぞよ。

49 :サヴ ◆KrLRciv9M6 :2007/04/22(日) 00:13:12 ID:GrXVgBzy0
>>42
GJです。素晴しかったです。
和歌に連歌使えるとはなかなかのものです。

前スレですがタイミング外してばっかりで感想申し上げられませんでした。
この場を借りて感想をば。

>東の扉さん
最初読んだときびっくりしました。
でも、すぐに納得です。
GJです。
>L鍋さん
良作GJです。
ぐっと来ました。

50 :名無しさん@初回限定:2007/04/23(月) 20:07:37 ID:9q8xUiyIO
テレビ見てたら瑞穂ちゃんの黄門様を思いうかべてしまった俺はもはや廃人

51 :名無しさん@初回限定:2007/04/23(月) 20:21:03 ID:v7igQVWc0
>50
貴方のレスを読んで、まりやに後ろから嬲られ、貫かれるお姉さまを想像した俺は
もう窓から飛び降りるのが適切であるような気がしてきました…

52 :名無しさん@初回限定:2007/04/24(火) 00:24:46 ID:k7VDehe70
>>50
瑞穂ちゃんはお銀でしょ?

黄門さまが紫苑さまで、
格さんと助さんがまりやと貴子。

53 :名無しさん@初回限定:2007/04/24(火) 01:10:18 ID:ij+5RaMhO
琥珀の八兵衛と白百合の印籠か……

54 :名無しさん@初回限定:2007/04/24(火) 01:23:24 ID:s014+RRw0
>>52
入浴(お色気)担当?

55 :名無しさん@初回限定:2007/04/24(火) 10:57:56 ID:k7VDehe70
>>50-54
八兵衛は一子ちゃんの気も
弥七は圭さんか?

56 :名無しさん@初回限定:2007/04/24(火) 20:33:42 ID:sX6kDwG50
肛門様ならわかる。

57 :名無しさん@初回限定:2007/04/25(水) 13:02:59 ID:MLaTfuRZ0
ルパン3世=まりや、次元大介=圭さん、石川五右衛門=紫苑さん、銭形警部=貴子さん、峰不二子=瑞穂くん
というのも面白いかも。

58 :名無しさん@初回限定:2007/04/25(水) 14:15:45 ID:v4iXfcKQP
不二子というより、クラリスだな

59 :名無しさん@初回限定:2007/04/25(水) 18:45:31 ID:SajgZk310
ということは終盤、会長が瑞穂っちにあのセリフを!?

60 :名無しさん@初回限定:2007/04/25(水) 18:56:11 ID:jAeXvh7w0
>>59
>会長が瑞穂っちにあのセリフを!?

こんなのがあったが・・・
つ ttp://chu.s3.x-beat.com/cgi-bin/kick/img_box/img20070425185508.jpg

61 :名無しさん@初回限定:2007/04/28(土) 21:43:19 ID:u41ZhdmQ0
このスレは、貴子さんのアナル責め、OK?

62 :名無しさん@初回限定:2007/04/28(土) 21:45:50 ID:miWh2r0P0
どんなんでもいいよ
まずは投げてみぃ

63 :名無しさん@初回限定 ◆0XucCTxAGU :2007/04/28(土) 23:01:59 ID:u41ZhdmQ0
>>62
わかりました。
まりやとかがみてたの続編の構想、考えてみます。

64 :名無しさん@初回限定:2007/04/28(土) 23:51:50 ID:Ppf6js8P0
>50
「ひかえいひかえーい!
 このパ「あん♪」ンチラが目に入らぬかー!」
「きゅう〜〜〜〜〜〜」
「ちょ、貴子!」

65 :名無しさん@初回限定:2007/05/01(火) 22:42:48 ID:mFNBYvUP0
「ミストルティンの腕輪」前後、
寮内で瑞穂ちゃんと紫苑さまが『いたす』というお話ってありますか?

66 ::2007/05/02(水) 01:00:01 ID:XxL+9w7+0
誰か覚えてる人いるかなぁ
だいぶ間が空いたけど覚えてる人が居たら続き投下する


67 :名無しさん@初回限定:2007/05/02(水) 01:26:15 ID:7rKfTqzW0
>>66
お待ちしておりました。
よろしくお願いします。

68 :名無しさん@初回限定 ◆0XucCTxAGU :2007/05/02(水) 06:27:58 ID:/Rg2GK+k0
>>66
よろしくどうぞ、おねがいします。m(_ _)m

69 :名無しさん@初回限定:2007/05/02(水) 17:43:49 ID:QGQXYsdq0
>>65
原作にそういうシーンがあったかって事を聞いているのか?無かったね。
それに、そういうSSが今まで投下された事も無かったと思う。
ん?書いてくれるのか?ならば歓迎するよ。

70 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/02(水) 18:28:08 ID:Y/tctamh0
>>66

私も覚えていますよ。続編、ぜひお願いします。
ただ、私も前にここで偽者の被害に遭いましたので、そうなる前にトリップはつけたほうがいいと思います。

71 ::2007/05/03(木) 01:45:41 ID:t0bAGzdL0
どもです
もうちょっと書き溜めたら投下するので気長にお待ちください

72 :名無しさん@初回限定:2007/05/04(金) 15:40:11 ID:FihJIOfr0
保守

73 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/06(日) 10:43:14 ID:pihDcfNc0
東の扉です。

新しいSSが完成しましたので、投下させていただきます。
設定は貴子ルート、「翼を継ぐ者たち」とエピローグの間です。
では、よろしくお願いします。

74 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/06(日) 10:48:50 ID:pihDcfNc0
「貴子さん、お互い無事に第一志望の大学に合格できてよかったですね」
「ええ、4月からも、また瑞穂さんと一緒にいられるのですわね」
「貴子さん……」
 受験勉強も終え、無事に最愛の恋人である瑞穂さんと一緒の大学に合格した私、厳島貴子は、
残る学院生活を、瑞穂さんとどう過ごそうか、そのことばかり考えていました。

〜傷だらけのジュリエット〜

「そういえば瑞穂さん」
「……どうかしました?」
「いえ、瑞穂さん、最近紫苑さまの影響で、文学作品をよく読んでいらっしゃるそうですわね?」
「……ええ、それが?」
「あの、よろしければ私にも1つお貸しいただけませんでしょうか?」
 紫苑さまから瑞穂さんのことを聞いた私は、同じ作品の感想を言い合うことで瑞穂さんとの時間を作れたら、と思い、
お願いしてみました。
「いいですよ。もうすぐ『二十四の瞳』が返ってくるはずですから、次は貴子さんにお貸ししますね」
「ええ。ありがとうございます」

 そして、その夜……。
「ふう……すっかり遅くなりましたわね」
「そうですね、会長」
「ふふふ……君枝さん、もうすぐあなたが会長になるのですから、いつまでもその呼び方では……」
 君枝さんたちと生徒会の備品などの買い物につきあっていたら、すっかり遅くなってしまいました。
「あら? あれはお姉さまでは……」
「葉子さん? どこにお姉さまが……」
「あそこです」
 ふと、葉子さんが指差した方を見ると、そこはホテル街です。そして、そこから聖央の制服を着た2人組が出てきました。
そのうちの1人は、瑞穂さんのようです。

75 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/06(日) 10:55:00 ID:pihDcfNc0
「………!!」
 私が視線を向けると、向こうも気づいたようです。
「た、貴子……さん……」
 確かに瑞穂さん本人……そしてもう1人は、確かまりやさんの後輩の……由佳里さんです。
「あ、あの、これは……違っ……」
 とっさに言い訳をしようとする瑞穂さん。
 ……そうですわよね。私みたいな冷血で堅物な女とつきあっていても、面白いはずありませんもの。
由佳里さんのように、無邪気に純粋に瑞穂さんを慕ってくれる方とつきあった方が、楽しいはずですから。
「失礼します!!」
「あっ! か、会長!!」
 私は、君枝さんたちの制止も聞かず、その場から逃げるように去っていきました。

「あ、あの、おはようございます……貴子さん……」
 次の日の朝、あれから泣きじゃくっていた私に、瑞穂さんが声をかけてきました。
「あ……瑞穂さん……おはようございます……」
「あ、あの……これ……」
 そう言って、瑞穂さんは1冊の本を手渡してきます。
「これは……二十四の瞳……」
「ええ……確かにお渡ししましたから……では……」
 逃げるように、その場を去る瑞穂さん……。
「瑞穂さん……昨日のこと……どうして何もおっしゃってはくださいませんの?」
 私は、瑞穂さんの態度に、ますます不安が大きくなりました。

76 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/06(日) 11:00:01 ID:pihDcfNc0
「とりあえず、この本を読んで、瑞穂さんと話をするきっかけを作りましょう」
あの時のラブホテルのことは、その時にでも瑞穂さんに聞けばいい。そう思って、瑞穂さんが貸してくださった本を読むことにしてみました。
「あら、折り目が……」
ふと、その本についている折り目に気づき、私は瑞穂さんのお気に入りの場面だと思い、どうしてもそこから知りたくなり、そのページを開けてみました。ところが……。
「………!!」
 そのページを開けて、私は全身が凍りつきました。
 そのページに書かれていた内容はというと……。

「ふふっ、本当にかわいいわね、ゆかりは」
「はあはあ……みずほお姉さま……とっても優しくて、感じすぎちゃいます……」
 みずほは、ゆかりの胸と秘所をもみしだきながら、首筋に息を吹きかけ、そこをなめ回していった。
「あっあっあ……」
「うふふ……私、もっともっとゆかりにしちゃいたいな。エッチなこと」
「わ、私も、みずほお姉さまにしてほしいです……壊れるまでみずほお姉さまにイかせてもらいたいです……」
「じゃあ、ゆかりのお願いをかなえてあ・げ・る♪」
 みずほはそう言うと、ゆかりの胸に、秘所に、全身にどんどんキスをつけていく。

「………!!」
 私がその内容を読み進めるたび、どんどん目から悲しみの雫があふれてきました。
今頃瑞穂さん、由佳里さんとこのように抱き合っているのでしょうか……あるいは、ホテル街の入り口で見かけたとき、すでに……。

「みずほお姉さま……イく……私、もう、イっちゃいます……!!」
「いいわよ、ゆかり。もっと快感に悶える顔をイく時の顔をお姉さんに見せて」
「は……はい……あ……ああ……ああああああああっ……!!」
 みずほのとても優しい愛撫にこらえきれなくなったゆかりは、みずほに快楽に歪む顔を見せながら、彼女の腕の中で絶頂に達した。
「はあ……あはあ……みずほお姉さま、大好きですう……」
「ふふっ、私も大好きよ、ゆかり……」
 みずほの腕の中で、ゆかりは恍惚の表情でそうつぶやいた。

77 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/06(日) 11:05:10 ID:pihDcfNc0
「うっ……ううっ……」
 私はもう、目から零れ落ちる雫を止めることはできませんでした。
 瑞穂さんは、おそらくあてつけのつもりでこんな本を……もう私には興味ないと言わんばかりに……。
 いったい、何がいけなかったんでしょうか?
 瑞穂さんのエルダー就任に反対したこと?
 水泳を休んだことについて濡れ衣を着せてしまったこと?
 嫉妬心から、奏さんのリボンを取り上げようとしてしまったこと?
 確かに、私も色々と瑞穂さんにひどいことはしてしまいましたけど……
「でも、だからと言って……こんなの、こんなやり方、あんまりです……うわあああああん!!」
 家に相談できる相手が誰一人いない私は、ベッドの上で、1人泣き崩れていました。

 それから2日後、私は生徒会の手伝いに来ていました。そうしていれば、余計なことは何も考えずにすみますから……。
 コンコン……。
 ふと、生徒会室のドアを叩く音がしました。開けてみると……。
「……由佳里さん」
 そこにいたのは、今一番見たくない人でした。
「あの、会長さん、お話があるんですが、ちょっといいですか?」
「………」
 どういう形にしろ、逃げていては戻ることも進むこともできないでしょう。私は、彼女に言われて、話を聞いてみることにしました。

78 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/06(日) 11:10:02 ID:pihDcfNc0
「……それで、お話とは?」
由佳里さんに言われて、私は屋上に来ていました。
とうとう私は、引導を渡されてしまうんだろうか……そう思い、私は由佳里さんを見ながら言いました。
「あの……会長さん、私の顔は見たくもないと思いますけど、このことは、絶対話しておかなければならないですから」
「わ、私はそんなことは……」
「いいですよ。隠さなくても……でも、会長さん、あの夜のことと本のことで、絶対誤解していると思いましたから」
「誤解?」
 由佳里さんの予想外の言葉に、私は目を丸くしました。
「ええ。あの夜、まりやお姉さまとケンカした勢いで夜の街に出てしまって、そしたらガラの悪い男の人たちに捕まって、
ホテル街に連れて行かれたんです。
 それでやられそうになったところで、たまたま近くにいた瑞穂さんが助けてくださったんです。
そして、危険だから寮まで送ってくださるとおっしゃって、それで、ホテル街を出たところで、会長さんたちとバッタリ……」
 ……なるほど。そういうことだったのですか。
「あ、あの、ですから、私と瑞穂さんの間には、何もありませんから」
 由佳里さんの言葉を聞いて、私は少し気分が軽くなりました。
「わかりましたわ。それで、もう1つ、本のこと……とは?」
「ええ、会長さん、瑞穂さんから渡された官能小説のことです……」
「ああ……あれはいったい……」
 聞き返すと、由佳里さんは頬を赤らめながら答えます。
「あ、あれ……実は、私のなんです……」
 由佳里さんのって、なぜそれを瑞穂さんが?
「私、何度かあれの折り目をつけてあるとこを読みながら、1人で……あの……その……」
 由佳里さんはますます頬を赤く染めながら続けます。これ以上言わせるのもかわいそうですわね。
「もういいですわ。だいたいの事情はわかりました」
「は、はい……」
「でも、それでしたら、なぜそれを瑞穂さんが?」

79 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/06(日) 11:15:24 ID:pihDcfNc0
「あ、あの、私、それがバレないように、普通の文学作品のカバーをかぶせてたんですけど、
結局まりやお姉さまにバレてしまって、面白半分にとりあげられたんです……」
 由佳里さんは話を続けます。
「それで、まりやお姉さまが瑞穂さんに返す小説を預かってきて、
それがたまたま私がカバーに使っていたのと同じのだったらしくて、それで……」
 そこまで聞いた私は、すべてを悟りました。
「それで、まりやさんがわざと瑞穂さんにあなたの官能小説のほうを返し、瑞穂さんがそれを知らずに私に貸した……というわけですわね」
「はい……そのとおりです」
 由佳里さんは、両手をバタバタさせます。
「あ、あの、ですから、会長さんが心配するようなことは、何もありませんから!」
「わかりましたわ。それにしても……」
「それにしても?」
「愚かですわね、あなたは……」
 私は感嘆の気持ちをこめてそう言います。無論、由佳里さんを侮蔑する感情はまったくありません。
「え……?」
「そのまま黙っていれば、おそらく私たちはすれ違ったまま破局……そうなれば、あなたにもチャンスはあったでしょうに……」
 由佳里さんが、1人でするのにあの部分を読んでいる理由。それぐらいは、いくら恋愛ごとにうとい私でもわかります。
「そうですね……でも、私、思うんです。たとえ偶然になったことでも、そんなことにつけこんで
自分にだけ都合がいいようにしようとするような卑怯な人に、瑞穂さんの恋人になる資格はないって」
「由佳里さん……」
「ですから、後悔はしていません。瑞穂さんに振り向いてもらうにしても、新しい相手を見つけるにしても、正々堂々とやりたいですから」
「そうですか……」

80 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/06(日) 11:20:14 ID:pihDcfNc0
 私は、かばんの中から本を取り出し、由佳里さんに渡します。
「これ、由佳里さんにお返しいたしますわ」
「会長さん……」
「あなたも、それを久しぶりに見たいのではありませんか?」
 私が少しおどけて言うと、由佳里さんは頬を染めながら聞き返します。
「でも……いいんですか? おとがめ……とかは?」
「そうですわね。本来なら、この官能小説は押収して、あなたにもしかるべき処分を下さなければならないところですが、
それを覚悟の上で、恋敵の私に真実を伝えてくださった、あなたの気高い心意気に免じて、不問にいたします」
 それを聞いた由佳里さんは、鳩が豆鉄砲を食らったような顔になりました。
「……なんか、らしくないですね。まりやお姉さまから聞いた話だと、話が別だからって、絶対おとがめがあると思ってましたけど」
 確かに、以前の私ならそうしていたでしょう。ですけど……。
「私も瑞穂さんのおかげで、変わりましたから」
 私は、ふと思ったことを言ってみることにしました。
「由佳里さん……よろしければ、生徒会に加わりませんか?」
「生徒会……ですか? でも、私頭悪いですから……」
「そのようなこと問題ではありません。あなたのような公正な方こそ、人の上に立つ人間に必要なのです。
あなたなら、きっと君枝さんに続いて、立派な生徒会長になれると思いますわ」
「………」
「入る入らないはあなたにお任せしますわ。ただ、自分を磨くいい機会になると思いますし、少しは恩を返せると思いますから」
 そう言われて、由佳里さんは少し考えていましたが、決意に満ちた表情で答えました。
「わかりました。よろしくお願いします」
「こちらこそ……あと」
「………?」
「まりやさんのあしらい方も、教えてさしあげますわね」
「あはは……はい、そちらもよろしくお願いしますね」
 由佳里さんは、冷や汗混じりに笑いながら答えました。

81 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/06(日) 11:25:40 ID:pihDcfNc0
「……そうですか、由佳里ちゃんに」
「ええ。私の誤解を解いてくださいました。後で瑞穂さんもお礼を言っておいてください」
「はい」
「……それにしても、奏さんといい、由佳里さんといい、瑞穂さんの妹さんは、いい娘ばかりですわね。瑞穂さんの影響でしょうね」
「……そんな、買いかぶりですよ、貴子さん」
 あの後、私は瑞穂さんに由佳里さんから聞いたことを伝えました。由佳里さんが官能小説を持っていることは、伏せておきましたが。
「はい、貴子さん。今度こそ頼まれていた本です。ちゃんと中身も確認しましたから」
「ふふっ、ありがとうございます。あとで感想、お聞かせしますわね」
「ええ。楽しみに待っています」
 瑞穂さんなら、これから何があっても大丈夫。何があっても、瑞穂さんについていこう。改めてそう決心しました。

おまけ

「くそーっ! 由佳里のヤツーっ! いつの間にか口達者になっちゃってえ!!」
「ふふっ、由佳里ちゃんもまりやにいじられ続けているから、耐性ついちゃったんじゃないの?」
「瑞穂ちゃん! もっといじらせろーっ!! 由佳里をあんまりいじれなくて、あたしは禁断症状出かかっとるんじゃあ!!」
「わーっ!!」
 貴子の指導の影響で、由佳里にうまく切り返されるようになったまりやは、
いたずらする機会が少なくなって、すっかり荒れてしまいましたとさ。

Fin

82 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/06(日) 11:34:15 ID:pihDcfNc0
以上です。
もっと瑞穂くんと貴子さんのラブストーリーが書きたかったのですが、なぜかこうなってしまいました(涙)
由佳里ちゃんが生徒会に入るきっかけのケースの1つ、です。
彼女は由佳里ルート以外では生徒会長&陸上部部長になると思いますし。

由佳里ちゃんびいきな自分があちこちに出ている……まだまだ修行不足だなあ……トホホ。

それでは、これで失礼します。

83 :名無しさん@初回限定:2007/05/06(日) 14:26:35 ID:R0GKkFmb0
>>82
gj(o^-')bb
どういう展開になるかと思いましたがゆかりん( ゚Д゚)ウマー

84 :名無しさん@初回限定 ◆0XucCTxAGU :2007/05/06(日) 18:21:32 ID:B20O+4uy0
由佳里ちゃんびいきなら、その道を突っ走るンだっ!
GJ。

85 :名無しさん@初回限定:2007/05/06(日) 22:42:11 ID:sS0T4gS80
まりやを手玉に取る由佳里ちゃんか…
なんか想像出来んぞ。そんな俺はどうすれば良いんだ…orz

86 :名無しさん@初回限定:2007/05/07(月) 00:14:34 ID:xE8C+kBC0
鬱かと思いきやGJ!

ただ、欲を言えば、箱入り娘の貴子さんらしいエピソードがほしいかも。

「ご休憩?こんな時間に?変わったホテルですこと」
「いえ、会長、それは……」
(中略)
「瑞穂さん、寮の門限は過ぎているはずですっ!いくらお疲れとはいえ、このようなところで休憩など…」
「た、貴子さんっ!」「か、会長っ!」

>>80
とりあえず久しぶりに見たいです書いてください>>77

87 :sage:2007/05/07(月) 19:58:37 ID:e0k+2+yU0
>>86
何気にGJ!!
そのまま流されて入ってしまう3人キボ
「ですが、お姉さまがどうしてもとおっしゃるなら、お茶の一杯位でしたらお付き合いいたしますわ。
 さあ、さっさと入りますわよ」
「た、貴子さんっ!!」「か、会長っ!!」

ご休憩の出来る変わったホテルってルームサービス出来たっけか


88 :名無しさん@初回限定:2007/05/07(月) 23:23:40 ID:MnNHJ5Xb0
>87 ホテルによる。

89 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/08(火) 05:36:46 ID:IJX5XVVB0
>>83-86

ご感想ありがとうございます。

>>85
きっと由佳里ちゃん、セリフを言うときは心臓バクバクで、まりやが去った後は腰ぬかしてぐったり、でしょうね。

>>86
貴子さんは、父と兄の影響でそのホテルのことを知っててもおかしくないと思いましたが……
そういうのもありかもしれませんね。
あと、レス番号からは何が見たいのかわかりませんでした。すみません。

管理人さんへ
「史上最狂のせんとう」のときも思いましたが、官能小説のシーンはエロには含まれないんですか?
エロ有無の基準がよくわからないんですが……。
あと、作者別作品リストに「傷だらけのジュリエット」が入っていないのと、「甘すぎる自説」のリンクが
昔のままになっているようですが……。
お忙しい中色々言って申し訳ありませんが、次回作業時、修正お願いします。

90 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/11(金) 17:18:15 ID:jyr4Srcl0
東の扉です。

管理人さん、修正ありがとうございます。

瑞穂くんの聖誕祭記念SSが完成したのですが、明日はパソコンが触れないと思うので、
フライングさせていただきます。
よろしければ、見てやってください。

91 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/11(金) 17:25:52 ID:jyr4Srcl0
 とある晴れた日、大学のキャンパスで……。
「そういえば、もうすぐ瑞穂さんのお誕生日ですわね」
 僕と紫苑の2人と昼食をとっていた貴子さんが、思い出したように言う。
「ええ。よくご存知ですわね、貴子先輩」
「……紫苑さま、その呼び方はやめてくださいとあれほど申し上げたではありませんか!」
 貴子さんは年上の紫苑と同い年の僕にそう呼ばれるのは抵抗があるらしく、
プライベートの時は以前同様貴子さんと呼んでほしいと言ってきているんだ。
「まあまあ2人とも……そうです。その日、晴れて僕は20歳、成人になるんです」
「これで瑞穂さんも、ご立派な1人前の貴婦人ですわね」
 ガーン!!
「き……貴婦人……」
「あら? また落ち込ませてしまいましたかしら?」
「まあ、これもああ、瑞穂さんだなと思える魅力の1つですわね」

〜貴婦人への架け橋〜

「それで、誕生パーティーはどこで行いますの?」
「ええ。昼間は会社関係のパーティーを開く予定ですけど、夜になったら、松島の別荘で、内輪のパーティーを開くつもりです」
「そうですか。では、私が皆さんにお知らせしておきますわね」
「貴子さん……ええ、じゃあお願いします」

 それから、数日後……。
「お姉さま、お誕生会の催し物を、色々考えて来ましたのですよ」
「ありがとう奏ちゃん」
「由佳里ちゃんは生徒会のお仕事が忙しくて来れないようなのですが、由佳里ちゃんの案を書いた書類を預かってきたのですよ」
「今の生徒会って、そんなに忙しいの?」
「はいなのです。当日も、由佳里ちゃんは奏より遅れて出発することになっているのですよ」
「そう。大変なのね。由佳里ちゃんにも、よろしく伝えておいてね」
「承知いたしましたのですよ!」
 聖央のみんなは、僕の誕生日のために、誕生会の催し物を何にするのか、一生懸命考えてくれている。

92 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/11(金) 17:30:45 ID:jyr4Srcl0
 そして今日、デザイナーの修行のために留学から一時帰国しているまりやも含め、仲間内のほとんどが
僕のために集まってくれていた。
 聖央に来る前は、こんなこと一生懸命やるという考え自体なかったから、とても嬉しく思っている。
みんなの誕生日には、僕もちゃんとお返ししないとね。
「あの……瑞穂さん」
「どうしたの、紫苑?」
 ふと、紫苑が僕に話しかけてきた。
「瑞穂さんの誕生会のことですけど……場所、軽井沢にできませんか?」
「いいですけど……どうしてですか?」
「私、昔からあそこへ行きたいと憧れていた場所なんです。ですから……」
 そうだったのか。じゃあ、紫苑に喜んでもらうためにも、そっちの方にしよう。
「わかりました。パーティーの場所は、軽井沢にしましょう」
「ありがとうございます、瑞穂さん」
 よし、そうと決まったら早く伝えた方がいいよな。
「みなさん! パーティーの会場について伝えたいことがあるんだけど……」
 僕は、みんなを集めてパーティー会場の場所の変更を伝えた。

93 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/11(金) 17:35:22 ID:jyr4Srcl0
 そして、5月12日、鏑木家の軽井沢の別荘……。
 パーティー会場らしい内装に、様々なごちそうがテーブルに並ぶ中、内輪のパーティーが始まろうとしていた。
「瑞穂さん、お誕生日と成人、おめでとうございます」
「貴子さん……ありがとうございます」
「やっ、瑞穂ちゃん、おめでとう!」
「まりや、ありがとう」
「これで瑞穂ちゃんも一人前のレディーか……あと1ヶ月であたしもなるんだけど、なんか先越された気分……」
 まりや、だから僕は男だって……。
「お姉さま、おめでとうございますなのですよ」
「奏ちゃん……ふふっ、ありがとう」
「まあ、奏ちゃん!」
 紫苑はいつものごとく奏ちゃんに歩み寄ると、抱きしめ攻撃にかかる。
「瑞穂さん、おめでとうございます」
「虹の橋を越えて……」
「美智子さん、圭さん、ありがとうございます」
 聖央のとき一緒だったメンバーが僕にお祝いの言葉を述べてくれる。

 お姉さま、お誕生日、おめでとうございます!
 ふと、脳裏にそんな言葉が響いた気がした。
「一子ちゃん……?」
 ひょっとして、天国からわざわざ声をかけてくれたのかな? 案外、僕の守護霊になってたりして。
「一子ちゃんなら、ありえるかもね。ふふっ、ありがとう」
 そして、僕が喜びに満たされている中、パーティーは始まった。
「えー、みなさん、お忙しい中、私のためにお集まりいただき、ありがとうございます。
私は皆さんより一足先に、一人前の貴婦人となり……ましたが? これからも聖央の卒業生の名に恥じぬよう、
よき妻、よき母、よき女と……して? ますます精進していこうと思います。これをもちまして、挨拶の言葉とさせていただきます」
 なんか変だ。あらかじめ用意してあった挨拶の文章だけど、男性としての部分が、なぜか女性になっている。
 拍手喝采が起こる中、見ると、紫苑とまりやが吹き出すのを必死でこらえていた。やっぱりあなたたちの仕業ですか。

94 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/11(金) 17:40:13 ID:jyr4Srcl0
「んじゃ、瑞穂ちゃんの成人記念パーティー、はじまりはじまりー」
 まりやが言うと、周りから拍手が起こった。

 みんながある程度ごちそうを食べ終えた後、いよいよ僕の成人を記念しての出し物を催してくれることになった。
「奏、準備はできてるわね?」
「部長さん、はいなのですよ!」
「ふふっ、奏さん、今はあなたが部長なのですから、そんな呼び方していては……」
 トップバッターとして、奏ちゃんと圭さんが2人で劇を見せてくれることになった。
奏ちゃんが呼ばれて返事をすると、美智子さんからツッコミが入る。

「感動しました。よかったですね、紫苑」
「ええ。瑞穂さんも、悩みや迷いが晴れたのではなくて?」
「ええ……」
 奏ちゃんたちが見せてくれたのは、もう少しで成人を迎えるカップルの話だった。
 大人になることへの不安、社会人としての未来への迷いに悩む2人を、お互いが支えになり、
決意を持ってこれからの人生をともに歩もうとする……僕の心の中を見抜き、導いてくれようとしているかのような話だった。
「あたしもデザイナーの修行してるけど、やっぱ不安になるときもあんのよね。でも今の劇見て、すっとしたみたいだわ」
「まりや……」
「んじゃ、次はあたしからね。紫苑さま、準備はいい?」
「はい!」
 え? 何をするの? 僕はとっておきのイベントとしか聞いてないけど……。
「わっ、紫苑……」
 突然、紫苑が僕をつかんだ。なんかイヤな予感が……。
「さあ、瑞穂ちゃん、晴れて大人になったことだし、久しぶりの女装ファッションショー、始めるわよ!」
 あああ、やっぱり……。

95 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/11(金) 17:45:11 ID:jyr4Srcl0
「さあ、衣装の準備は万端よ! ほら見て!」
 まりやの指差した方を見ると、チャイナドレス、ナース服、婦警服、コンパニオンっぽいのやら、
他にも、時代劇でよくお目にかかる、芸者やら遊女やらの服も……。
「ね、ねえまりや、なんなの、あのムチャクチャ派手な服は?」
「あれ? あれはボンテージよ。SMとかで着るのよ」
 え、SMって何? 知らないよ、そんなの!
「じゃ、紫苑さま、手伝い、お願いしますね!」
「はい!」
「ちょ、ちょっと待って!」
「ダーメ♪ 待ったなーい♪」
「わーっ!!」
 こうして僕は、すべての女装服を着せられ、当然その姿は、多くのカメラに撮影された。

「ううう……」
「いつまで落ち込んでんのよ、瑞穂ちゃん」
「せっかくの誕生日なのに、やりたくもない女装をさせられて……しかも撮影までされるなんて……」
「いいじゃないの、それぐらい。あたしも瑞穂ちゃんを女装させるの久しぶりなんだから、やりたくもなるじゃない。
みんなだって、瑞穂ちゃんの魅力的なとこ見られてハッピーになってるんだし」
「……まりやには、口で言ってもわからないみたいだね……こうなったら、貴子さん!」
「はい!」
 僕は貴子さんを呼び、このことを想定して、あらかじめ準備してあったイベントを実現させるべく動いた。
「ちょっと貴子、何あたしを掴んで……」
 そして、僕は貴子さんと一緒に、まりやにフリフリのメイド服やら、ビラビラのお嬢さん着、プリンセスドレスなんかを着せ、
その様子を撮影した。

96 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/11(金) 17:50:17 ID:jyr4Srcl0
「ううう……なんであたしが、あんな服……」
「どう? 着たくもない服を無理やり着せられた感想は?」
「瑞穂ちゃん、あんた、あたしがああいう服嫌がってるの知ってるくせに!」
「それを言うなら、まりやだって僕が女装するの嫌がってるのは知ってるよね?」
「それは……でも瑞穂ちゃんの場合はあたしと違って、メチャクチャ似合ってて、しかもみんな見たがってるんだから……」
 僕の反撃にまりやはためらいながらもそう切り返す。でも、僕はそれで納得する気はなかった。
「とにかく、それが、僕がまりやに女装させられたときの気持ち。わかった?」
「ううっ……よくわかりましたわ、お姉さま……」
 まりやも、ようやく納得してくれたか……。
「わかったら、これから僕に女装させようなんて思ったら、僕がそんな気持ちになるんだってこと、思い出してよね」
「わかったわよ。これからはもうちょっと考えることにするよ」
「うん。わかればよろしい」
 ちなみに僕は、後に『やめる』ではなく、『もうちょっと考えることにする』と言ったことの意味を
よく思い知らされることになるんだけど、それはまた別のお話……。

97 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/11(金) 17:55:33 ID:jyr4Srcl0
「瑞穂さん……久しぶりに会いたくない?」
「えっ……?」
 ふと、圭さんがやぶから棒に聞いてきた。と思ったら、何やら呪詛をつぶやいている。
「来たれ、幸いなすもの、我のもとに、ビーム・ケオアセー・イチコ・タカシマ!」
 ボム!
 突如、僕の後ろで煙が上がったかと思うと……。
「あわわっ!」
 そこに出てきたのは、2年前に僕が永遠のお別れをしたはずの……。
「一子ちゃん!」
「お、お姉さま、お久しぶりです……というべきだとは思うのですが、大人の階段をおのぼりになり、
無邪気な笑顔の下の日付がはるか昔になってしまうまでの第一歩を踏み出したお姉さまの晴れ姿を一言でもお褒めいたしたいと
半人前の守護霊の不肖高島一子は願うのでありますが……」
 相変わらずだな、一子ちゃん。
「ストップ、一子ちゃん。気持ちはよく伝わったから、ね」
「は、はい」
「よかったわね、一子」
「圭さん……もしかして、圭さんのおかげですか? ありがとうございます」
 一子ちゃんは、圭さんに気づき、彼女がやったこととわかったようだ。
「一子さん、お久しぶりなのですよ」
「奏ちゃん……お久しぶりです」
 その後、みんなも2年ぶりに会った明るくおっちょこちょいな幽霊との再会に嬉しさを隠せなかったようだ。
「では、高島一子、お姉さまの成人を記念いたしまして、とっておきの一発芸の数々をお見せいたします!」
 一子ちゃんはそう言うと、空中遊泳、蝶の舞いなど、幽霊ならではの曲芸を次々に見せてくれた。
僕を愛する気持ちが伝わってきて、そのどれもが美しい。
「……きれい……これは、幽霊にしか出来ないことですわね」
「ええ、幽霊ならではですね」

98 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/11(金) 18:00:18 ID:jyr4Srcl0
「さーて、お次はこれの出番よ!」
 まりやはそう言うなり、1つのポードゲームを取り出した。
「ま、まさか……」
 まりやが出してきたのは、僕たちが寮や卒業旅行でやった「波乱万丈人生劇場RX」だった。
「やっぱり……」
「今回はこれだけじゃつまらないからね。ビリになった人には罰ゲームを用意することにしました」
「ば、罰ゲーム? それってどんな?」
「んー……まだ決まってない」
 決まってないって……そう思っていると、まりやが出席者たちに1枚ずつ紙を配っていった。
「罰ゲームの内容は、みんなに決めてもらおうと思って。ビリになった人は、こん中からくじを引いて、それに従うの」
 こん中って、ティッシュの空き箱?

「みんな書いたわね。じゃ、紙を折りたたんで、この中に入れる!」
 みんなが罰ゲームの内容を書き終えた後で、まりやがティッシュの箱の中に、それを回収して回った。
「それじゃ、はじめー!」
 こうして、3度目のポードゲームは開始した。そして……。

「結局、僕とまりやが最後か……」
 すでに僕たち以外のみんながゴールした中、僕とまりやは持ち金もなく、熾烈な最下位争いの中にいた。
「どの道賭けをしてもしなくても大して変わらないから、こうなったら一か八かの可能性にチャレンジしてみよう……」
 僕は、ゴール前の最後の賭けにチャレンジすることにした。
「7……7に止まれ!」
 カラカラカラ……ルーレットが回る中、止まった先は……。
「8……」
「惜しかったわねー瑞穂ちゃん。あと5mm向こうに止まってれば、トップになれたのに……んじゃ、あたしもチャレンジしてみますか!」
 もしまりやが負ければ、まりやが最下位確定だ。

99 :支援:2007/05/11(金) 18:08:14 ID:kTpRrGod0
支援?

100 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/11(金) 18:20:02 ID:jyr4Srcl0
 カラカラカラ……そしてルーレットが止まった先は……。
「4……」
「やったー! 今度はあたしがトップよ!」
 今度は僕が最下位ですか……寮の時と逆の結果になるなんて……。
「さあ瑞穂ちゃん、くじ引いて」
「はい……」
 どんな罰ゲームが待っているのか……僕は気が重くなりながらも、くじを引いた。そして紙を広げると……。
「ぜ、全員のはいてる下着の匂いをかいで……な、なめ回す!?」
 僕は、顔が一気にゆでだこのようになった。
「あー、あたしの書いたの引いたみたいね」
 まりやさん、やっぱりあなたのですか。
「まりや、もし貴子さんがそれ引いてまりやの下着を、とか、まりやが引いて貴子さんのを……って可能性は考えなかったの?」
「考えなかった……っていうか、瑞穂ちゃんが引いたんだから、万々歳じゃない」
 全然万々歳じゃないんだけど……僕がすがるように紫苑を見ると……。
「まあ、ゲームですから、多少のことは多めに見て差し上げますわ。水をさすのも、野暮と言うものでしょう?」
 ダメだ……紫苑もまりや側だ。
「じゃ……じゃあ、まずは貴子さんから……すみません、お願いします」
 僕は真っ赤になりながらそう言って、貴子さんに下着を脱いで渡してくれるようお願いした。
「み、瑞穂さんが私の下着を……」
 貴子さんはそう言うとふらふら……。
「きゅううう……」
 鼻血を出してばったりと倒れてしまった。
「……お嬢さまには刺激が強すぎたか……仕方ない、貴子のはパスしていいわ。この調子じゃ、いつまでたっても終わらないもの」

101 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/11(金) 18:25:30 ID:jyr4Srcl0
「じゃ、じゃあ次は奏ちゃんのを……」
「は、はいなのです……お姉さま、どうぞなのですよ」
 奏ちゃんが、真っ赤に染まった顔でつけていた下着を渡してくれた。こっちもメチャクチャ恥ずかしい……。
「………」
 早く終わってほしいとだけ考えながら、下着の匂いをかいでなめた。正直、どんな感じだったか後になっても思い出せない。
まるで操り人形になっていたかのような感覚だ。
「はい、ありがとう奏ちゃん。ごめんなさいね、後でよく洗っておいて」
「不思議なのですよ……奏、お姉さまの行動に、すごくドキドキしているのですよ……」
「ま、瑞穂ちゃんにそんなことされれば、普通そうなるよね。じゃ、次はあたしね」
 そう言いながら、まりやは自分の下着を渡す。
「さ、瑞穂ちゃん、どうぞ」
「………」
 まりやさん、あなた本当に女なんですか? と思ったけど、口に出すと僕が一番気にしていることで返されそうな気がするので
言わずにおいた。
「う、じゃ、じゃあ……」
 恥ずかしさを必死でこらえながら、何も考えずに機械的に罰ゲームをこなす。
「はい、終わったよ、まりや」
「瑞穂ちゃん、どうだった? 感じちゃった?」
「あ、あのねまりや、恥ずかしすぎて、そんなのわからないよ」
「にゃはは。瑞穂ちゃんもウブねえ……ていうか、愛する紫苑さまの前でそんなこと言えないか……」
「じゃ、じゃあ次は圭さ……」
 うわ、僕がそう言った途端に、美智子さんの後ろに怒りのブラックホールが……。
「……んの番なんですけど、僕、緊張しすぎでトイレに行きたくなってきたので、
よかったら美智子さん、代わりにやっておいてもらえませんか?」
「ええ、承知しましたわ、瑞穂さん」
「それと、終わっても帰ってこなかったら、美智子さんの分も圭さんがやっておいてください」
「………」
「ほら圭さん、瑞穂さんがお願いしていますよ」
「……承知」
 圭さんは渋っていたけど、美智子さんの一言で引き受けてくれたようだ。

102 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/11(金) 18:30:11 ID:jyr4Srcl0
「はあ……し、心臓爆発するかと思ったあ……」
 僕はトイレの中で、腰を抜かしてそうつぶやいていた。まりやたちにずっとネタにされそうで、そう考えると本当に怖い。
 後は紫苑のだけか。こういうのは、どう対処すればいいか本当に悩む。
「お待たせしました、みなさん」
「おかえりなさい瑞穂さん。私と圭さんの分は、終わらせておきましたよ」
 僕が会場に戻ると、美智子さんが満面の笑顔で迎えてくれた。
「あ、ありがとうございます……」
「では、いよいよ私の番ですわね」
 そう言って、紫苑が脱いだ下着を渡してくれる。
「いよいよ真打ち登場ってヤツよね瑞穂ちゃん。今までよりずーっとドッキドキじゃない?」
「……ゴクッ」
 僕は不意につばを飲んだ。最愛の人にそんなマネをするんだから、今までのようにはいかない。
「じゃ、じゃあ……」
 そう言って下着の匂いをかぐ。もう心臓はバクバク言っててパンパンに膨らんだ風船のようだ。
「じゃあ、次は、なめる……」
 そう言って、下着をなめようとした……ら……。
「きゅううううう……」
 そこで、僕の意識は途切れた。
「あらあら、気絶しちゃいましたわね」
「よっぽど紫苑さまのがよかったんですね。瑞穂ちゃん、今ごろ桃源郷をさまよってますよ」

「う……ん」
 僕が目を覚ますと、まりやと紫苑さんが状況を説明してくれた。
「瑞穂ちゃん、紫苑さまの下着の匂いをかいでなめ回してる途中に倒れちゃったのよ」
「私の下着を真っ赤になって感じる瑞穂さん……とっても可愛らしかったですわ」
 し、紫苑……お願いだから、もうそのことは言わないで……。

103 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/11(金) 18:35:31 ID:jyr4Srcl0
 それから僕は、再びパーティーに戻って楽しんだ。
「ねえ、まりや」
「ん? どったの、瑞穂ちゃん?」
「このパーティーなんだけど……」
「何よ。明日の日曜は紫苑さまと軽井沢でデートだってのに、不満でもあるの?」
「いや、そうじゃなくて、何かなくてはならない重要なものが欠けてる気がするんだけど、それがなんなのかわからなくて……
ここまで出かかってるんだけど……」
「もう、心配性だな瑞穂ちゃんは。せっかくのパーティーなんだからさ、気にしたら負けよ。
こういう時は、そんなこと忘れて、パーッと楽しまなきゃ」
「まりや……うん、そうだね」

 一方その頃……松島の鏑木家の別荘……。
「なんで誰もいないんですかあ!? みんな、どこ行っちゃったんですかあ!?」
 由佳里ちゃんは、無人の別荘で、理解不能な状況を前に、1人叫んでいました。

to be continued……

104 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/11(金) 18:42:46 ID:jyr4Srcl0
とりあえず以上でひとくぎりです。

由佳里ちゃんが好きなはずなのに、なぜかこうなっちゃいました。
あと、連投規制にひっかかりかけて、途中少し間が空いてしまいました。
まだまだ勉強不足だな……。
それでは、明日、楽しみにしております。みなさん、頑張ってください!

105 :名無しさん@初回限定 ◆0XucCTxAGU :2007/05/11(金) 21:36:07 ID:WR5fWlqT0
次は由佳里ちゃん、ちゃんとパーティーに参加させてあげて(涙)
ひとりぼっちは可愛そう。


・・・枯れ木も山のにぎわいと言うし(殴)

106 :451 ◆GtN0Plfghk :2007/05/12(土) 10:07:44 ID:8aOJ/8kQ0
お姉さまの聖誕祭ということで…ちょっと書いてみました。
ショタ臭い表現が若干有りなので、苦手な方はスルー推奨です。

107 :451 ◆GtN0Plfghk :2007/05/12(土) 10:10:16 ID:8aOJ/8kQ0
『 三つ子の魂 その1 』

爽やかに晴れ上がった5月の鏑木邸です。
「瑞穂ちゃーん、誕生日おめでとさ〜ん!」
「あ、まりや…わざわざお祝いに来てくれたの?」
「うん。誕生パーティーやってるかなーって思ったんだけど」
「パーティーかぁ…小さい頃ならともかく、もうそんな歳でもないよ」
「そっか、ちょっと残念。でも…小さい頃っていえば…」
「え…?」
「んふふ〜。覚えてる?あたしが先生役でさ…」

時は遡り、幼い頃――御門邸

「はい、鏑木瑞穂さんどうぞー」
ブカブカの白い上着を着て、椅子に座るまりや。
「まりやせんせい、おなかの具合が悪いんです」
お腹をさすりながら、瑞穂ちゃんが部屋に入ってきます。
「おー、それはいけませんねー。じゃベッドに横になってください」
「は…はい」
「ん!これはいけません。すぐに手術しないと!服を脱いでください!!」
横になった瑞穂ちゃんを一目見ただけでまりやが叫びます。
「…え?まりやちゃん!まだ診察してないよ!?お熱も測ってないし!」
「まりやちゃんじゃなくてせんせいです!言うことを聞きなさい!」
「ちょ、ちょっと待ってよぉ〜〜〜!」
上着とシャツを剥ぎ取られ、上半身はすでに裸です。
「おや…ズボンも邪魔ですね」
「えええ〜〜っ!ズ、ズボンは関係ないってば〜〜〜っ!!」
「ダメです!このままだと手術できませんよ!」
まりやの手が、瑞穂ちゃんのベルトに伸びてきます!
「や〜め〜て〜よ〜〜〜っ!!」

―続く―

108 :451 ◆GtN0Plfghk :2007/05/12(土) 10:12:23 ID:8aOJ/8kQ0
『 三つ子の魂 その2 』

「ほら!手をよけてっ!ここは病院なんだから!!」
「だめだよー!まりやちゃんっ!!」
ついにベルトが外れ、ズボンも脱がされてパンツ一枚の瑞穂ちゃん。
「うう〜っ…こんなのひどいよ〜」
涙目で抗議しますが…
「にひひ〜、今日の瑞穂ちゃんは白でヒーロー物のプリント付きっと…」
「ま…まりやちゃんの…えっち…」
「なに言ってるの?お医者さんが患者さんを調べるのはあたりまえじゃない」
じっくりと、上から下まで嘗め回すように観察するまりや。
「ねぇ…ホントにもうやめようよ…服着てもいいよね?」
「まだまだ!これから手術なんだから…さ、パンツも脱いで」
「えええーっ!!やめてよぉぉぉーーーっ!!!」
慌ててベッドから飛び降りて逃げ出す瑞穂ちゃん。
「逃がさないよっ!駆けっこなら負けないんだからっ!!」
まりやのタックルを食らって轟沈します。
「こんなに暴れる患者さんはお仕置きしなくちゃね」
「いやだぁぁぁーーーっ!!」
マウントポジションを取ったまりやが、瑞穂ちゃんのパンツに手を掛けます…。

「あは♪瑞穂ちゃんのお●ん●んだー!なんかとんがらしみたい」
「うううっ…まりやちゃんの…ばかぁ」
「ちょっとさわらせて?」
「わわわっ!ひ、引っ張らないでよー!」
「わーぷにぷにしてるー!ね、ね、この袋になにが入ってるの?」
「し…知らないってば…」
興味津々で瑞穂ちゃん自身を弄り倒すまりや、半ベソ状態の瑞穂ちゃん。
「「あ…あれ?」」
その時、信じられないことが起きます…。

―続く―

109 :451 ◆GtN0Plfghk :2007/05/12(土) 10:27:05 ID:8aOJ/8kQ0
『 三つ子の魂 その3 』

「うわ…なんなの、これ?」
まりやの手の中で、幼い瑞穂ちゃん自身が健気に自己主張しています。
「み、瑞穂ちゃん…もしかして本当に病気?」
「ち、違うよぉ…おしっこ我慢してる時にこうなるけど…」
「じゃあ、今も我慢してるの?」
「ううん、今はなんともない…けど、ちょっと…」
「ちょっと…なに?」
「まりやちゃんがさわってた時…くすぐったくて…なんだかムズムズして…」
「よくわかんないけど…あたしがさわったからこうなったの?」
「たぶん…そうだと思うよ…」
顔を見合わせたまま、気まずい沈黙の時が流れます…。

「もーやめたやめた!瑞穂ちゃんが変になるから、お医者さんはやめ!!」
「僕のせいじゃないよぉ…」
脱ぎ散らかした服を瑞穂ちゃんが集めようとすると…
「あ、ストップ!お医者さんがダメなら別のことしよう?」
「…え?今度はなに?」
まりやが自分のタンスをあさり始めます。
「よーし、こんな感じかな…瑞穂ちゃん、これ着てみて?」
「え…えええ〜〜〜っ!?これスカートじゃない!」
「そ。瑞穂ちゃんなら似合うと思うよ」
瑞穂ちゃんの前に、きれいに畳まれたまりやの服が差し出されます。
「い…いやだよ!なんで僕がスカートなんかはかなくちゃいけないの!?」
「いーからいーから。ほら、パンツもあたしのお気に入りの花模様♪」
「やだやだーっ!僕は男の子だよっ!!」
「お医者さんできなかったのに…ぐすっ…瑞穂ちゃんのいぢわる…」
「…わ、わかったから…泣かないでよ…まりやちゃん」
まりやのウソ泣きを見抜けない、純粋な瑞穂ちゃんです。

―続く―

110 :451 ◆GtN0Plfghk :2007/05/12(土) 10:30:09 ID:8aOJ/8kQ0
『 三つ子の魂 その4 』

「どう?スカートも気持ちいいでしょ?」
「…なんだかスースーして変だよ…すぐパンツ見えそうでいやだなぁ」
まりやの服を着てみると、身長差のせいでスカートは超ミニ状態です。
「う〜ん、思ってたよりかわいいねー。女の子って言ってもバレないかも」
「ねぇ…いつまでこのカッコしてなくちゃいけないの?もういいでしょ?」
「よーし!このまま外で遊ぼ!石蹴りとかゴム跳びがいいかな?」
「そ、そんなぁーっ!それに石蹴りとかゴム跳びって…見えちゃうよぉ…」
「あ?さては瑞穂ちゃん、いつも女の子のパンツ覗いてた?やーらしー!」
「そそそんなことしてないよっ!」
「あやしいな〜。罰として今日は瑞穂ちゃんが見せる役だよ。さぁ、外に行こっ♪」
「あっ!ちょっと!まりやちゃ〜〜〜ん!!」

――そして、現在。
「…幼い日の淡い思い出、懐かしいな〜」
「ちっとも淡くないよ…まりやは昔からイタズラばっかりしてるんだから」
「ん〜あのとんがらしが…今じゃすっかり立派になっちゃって」
「ちょっ…ど、どこを見てるのかな〜?」
「気にしない気にしない。それにしても、持って生まれた素質ってすごいね〜」
「え?素質って…何?」
「まーたまたとぼけちゃって。女装だよ、じょ・そ・う」
「うっ…全然嬉しくない」
「ほらほら、そこで落ち込まない。はいこれ、誕生日のプレゼント。開けてみてよ?」
「うわーありがとうまりや!」
手渡された箱を瑞穂ちゃんが開けていくと…
「………?何これ」
「初夏の新作ドレス♪捜すの大変だったんだから…って、どしたの?」
「まりやと付き合ってると、一生こんな生活が続くのかな…とほほぉ〜」
武者人形や鯉のぼり、柏餅には縁が無い瑞穂ちゃんでした…。

―完―

111 :451 ◆GtN0Plfghk :2007/05/12(土) 10:33:16 ID:8aOJ/8kQ0
以上です。連投規制が以前より厳しいような…気のせいでしょうか?

112 :名無しさん@初回限定:2007/05/12(土) 18:37:57 ID:dHZdvBjU0
>111
お疲れGJ(o^-')bb

113 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/05/13(日) 20:58:31 ID:ByRVuAfp0
それでは、誕生日祝いに私も投下させていただきます。
久しぶりのお姉さまモテ話です。

114 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/05/13(日) 20:59:11 ID:ByRVuAfp0
『恵泉の秘宝争奪戦』

寮内のトイレの配管取替え工事が終わり、まりやが瑞穂の部屋へやって来た。
「工事が終わったわよ」
「やっとトイレが使えるね」
昨日からの工事中の丸一日、寮生は用を足すとき学院校舎まで足を運んでいた。
「云ってなかったけど、トイレがパワーアップしてるわよ」
「?」
「便座がウォシュレットになったから」
「へ〜。よくそんなお金が出たよね」
校舎内のトイレも一部、ウォシュレットになってはいるが、基本的にはほとんどがノーマルタイプのままである。
建築が古い所為もあるが、現在たった4人しか寮生がいない学院寮にウォシュレット設置はかなり意外な感じがした。
「だってタダだもん」
「タダ!?」
「鏑木グループの会社で作った試作品で、モニターも兼ねてってことでタダでつけてもらったの」
「そ、そうなの」
「ってことで…まずは瑞穂ちゃんが試してきて頂戴」
「ええっ!僕が!?」
「そりゃそうよ。瑞穂ちゃんのとこの会社の製品でしょ」
「……」
何故だろうか、なんだか乗り気になれない。
「なに怖がってんの?たかがトイレで。ウォシュレット初めてって訳でもあるまいし」
そう云われて、瑞穂は初めてのウォシュレット体験を思い出した。
あれは驚愕の体験だった。
「そうだよね。たかがトイレだもんね」
自分に言い聞かせるようにつぶやく瑞穂。
「そ〜そ〜」
瑞穂は立ち上がると、ドアに向かった。
「じゃ、ちょっと試してくる」
「ちゃんと感想を聞かせてね。モニタリングなんだから」
瑞穂が部屋から出て行くと、まりやの顔にニンマリと笑みが浮かんだ。

115 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/05/13(日) 21:04:13 ID:ByRVuAfp0
まりやが瑞穂に云っていなかった事がある。
寮に取り付けた試作品のウォシュレット、基本設計にまりやの思想が取り入れられていた。
そのコンセプトは『強力』である。主な予定設置場所は、全国のラブホテルや風俗関係のトイレ。

真新しい洋式便座に腰掛けた瑞穂は、横の壁に設置されたスイッチを眺めた。
とりあえず、今は用もないので便座の使い心地だけを試すことにする。
製品の名前が書いてある。
『洗浄便座 横綱』
「…すごい名前…」
ボタンのスイッチが強になっている。これを普通に設定する。
洗浄時間も長いに設定されているのを普通に直す。
「これでいいのかな。じゃあ、スイッチオン」
ボタンを押す。
「!!!!!!」
超強力な水流が吹き上がってきた。
それは、通常のウォシュレットの比ではない。しかも極細の水流が、一本ではなく三本、別の位置からお尻に吹き上がってくる。
「ひゃあぁぁぁ」
思わず、声を出す瑞穂。
慌てて、唇をかみ締めて我慢するが、こんなの初めての体験である。
「…ふぅぅぅ」
なんとか堪えようとしても、自然と声が出てしまう。
幸い、トイレのドアは頑丈で分厚いので、声は廊下には聞こえないと思われる。
「な、なに?コレ…。こんなの…」
慌ててスイッチを切ろうとするが、どこにも止めのボタンが見当たらない。
壁のデジタル表示に、30の数字が浮かび1秒ごとにカウントダウンがされている。
「さ30秒!?はう…こ、こんなのを30秒…あぁぁぁ」
無意識の声を漏らし続けて、耐える瑞穂。
立ち上がろうと考えたが、水流が止まるかどうか判らない。止まらない場合、ビショビショに濡れてしまう。

116 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/05/13(日) 21:07:56 ID:ByRVuAfp0
・・・とにかく耐える!
拳をきつく握り締め、顔を赤くしながら、強力な初体験30秒を耐え続ける瑞穂。
30秒が終わった後、便座にがっくりと腰を下ろしたまま、直ぐに立ち上がれずにうな垂れたまま。
「こ、こんなのダメ。とても製品じゃない。いったい、何を考えて…」
はあ〜と大きく息を吐き出してから、ようやく瑞穂はもそもそと腰をあげた。

トイレのドアの外では、まりやがニンマリと笑いながら、ドアに貼り付けた盗聴用の吸盤をひっぺがし、その先に
接続してあったICレコーダーのスイッチを切った。
「30秒にわたる瑞穂ちゃんの嬌声か…。くくく、凄いものが手に入ったわ」
さらに、そのまりやの様子を廊下の角から隠れて窺う2人の姿。
由佳里と奏である。
「ゆ、由佳里ちゃん…」
「そ、そうね。とにかく、あんなのをまりやお姉さまの手に委ねていたら、お姉さまの名誉が。
あれをまりやお姉さまから取り上げましょ」
こっくり頷き合う由佳里と奏だった。

トイレから出てきた瑞穂の意見により、水圧は弱、洗浄時間も短いに設定し、出来るだけウォシュレットは使わないように
することを寮の規則で決めた。

翌日の学校、昼休みにまりやがカバンの中を調べていたが、目的の物が見当たらず青い顔で慌てていた。
「無い…無い!どこかに忘れてきた?それとも…」
レコーダーに入っている瑞穂の声は、この学院の生徒が聞けば一発で気がつく。
あんなものが広まってはいけない。
「そうよ。あれはあたしが持ってこそ価値がでるものよ」
瑞穂に対しての切り札としても、紫苑や貴子たちとの交渉の道具としても、そしてまりや自身のコレクションとしても!
早速、お宝捜索のため教室を出て行くまりや。
その頃、校舎屋上にて。由佳里がレコーダーを持って顔を赤くしていた。
朝、寮で朝食時にまりやが席を立った隙にまりやのカバンから抜き取ってきたのだった。
「すご…さすがはまりやお姉さま」

117 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/05/13(日) 21:11:17 ID:ByRVuAfp0
録音されている内容を聞いてみて、激しく動揺する由佳里。
高度な技術で録音されたクリアな音声は、由佳里の予想を遥かに上回るものだった。
まさに今、自分がその場にいるような臨場感。
「…これはまさに…」
宝物といえる一品。
「由佳里ちゃん!」
「ひっ!」
奏がいつの間にやら、近くにやってきていた。
「上手くいったのですよ〜」
朝、まりやのカバンからレコーダーを取り出すときに、奏もまりやや瑞穂の気をそらすために協力していた。
「か、奏ちゃん」
「内容を奏にも聞かせて欲しいのですよ〜」
興味津々な表情で云う奏。
「あ…うう…」
タラリと一筋の冷や汗をたらす由佳里。
雑音やトイレの水音で音声がぼやけていると思っていたが、これほどの音声が撮られているとは予想外のこと。
「ご、ゴメンね!奏ちゃん!」
そう云うや、ダッシュで屋上から逃げ出す由佳里。さすがは陸上部員、あっという間に見えなくなってしまった。
「ゆ、由佳里ちゃ〜ん」
奏の呼び声だけが、その場に残っていた。
由佳里はレコーダーの内容を聞いて、これは絶対に他人に聞かせてはならないと思った。
瑞穂の名誉のために。
由佳里は心底、瑞穂を尊敬している。好意を抱いている。愛している。
瑞穂の威厳を傷つける恐れのあるこの『宝』を例え、親友であっても手に触れさせる訳にはいかないと思った。
(これは永久に封印してしまわなくては!あたしの手元に!)
瑞穂に渡してしまおうと考えずに、自分で持っていようと考えるところが全く由佳里らしかった。
屋上からの階段を駆け下りてきたところ、踊り場で下から上ってきた生徒とぶつかった。
「きゃ!」
「す、すいません」

118 :名無しさん@初回限定:2007/05/13(日) 21:13:13 ID:+GGilOVy0






119 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/05/13(日) 21:16:19 ID:ByRVuAfp0
幸い、転んだりはしなかったが二人は結構、激しくぶつかってしまった。
「いたた、あら上岡さん。何を急いでいるのですか?」
「あっ、会長さん」
ぶつかった相手は、生徒会長の厳島貴子だった。
「廊下を走ってはいけませんよ。一体何をそんなに慌てているのです?」
「いえっ、あの、ちょっとトイレに行きたかったもので…」
「そうですか。それでも、走ってはいけません。せめて早歩きでお行きなさい」
「は、はい。申し訳ありません」
由佳里はペコリと頭を下げると、後ろを振り返ることも無く一目散に早歩きでその場を立ち去っていった。
「なんだか様子が変でしたわね…あら」
貴子は足元に転がっているICレコーダーに気がついた。
「何でしょうか、これは。上岡さんが落としたのでしょうか」
まあ、後から教室に届けてあげれば良いかとそれを拾って歩き始めた貴子。
生徒会室に向かう途中で、キョロキョロと廊下を見回しながらこちらにやってくるまりやと出くわした。
「おや、まりやさん。何か探し物でもなさっているのですか」
「んっ、貴子か」
「ずいぶんなご挨拶ですわね。何をキョロキョロとなさっておられるんですの?」
「いやあ、ちょっと落し物をね。朝から移動したところをこうやって歩き回ってるんだけど…」
「落し物なら生徒会室か職員室に届けられているかも知れませんよ」
「うん、そうなんだけどね」
物が物だけに簡単に確かめにいけないのよ…と心の中で返事を返すまりや。
その時、まりやは貴子が手に持っているICレコーダーに気がついた。
「ああっ!それっ!」
「ん?これがどうかしましたか?」
「いや、そのICレコーダーは貴子の?」
焦ったようなまりやの声に、なにやらピッと反応する貴子。
「ええ。そうですよ。それがどうしましたか?」
「え、ええと、あれよ、それに何が入っているのかなあって」
「生徒会の会議で使用しようと思いまして。…まりやさん、探し物はもしかしてICレコーダーなのですか?」

120 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/05/13(日) 21:20:09 ID:ByRVuAfp0
「えっ、いや、そうじゃないんだけどね…」
歯切れの悪いまりやの返事。コレは絶対に何かある!と考えた貴子は、さっさとこの場を立ち去ることにした。
「それでは、また。まりやさん」
「う、うん…」
なんだかもぞもぞしているまりやをその場に残し、さっさと歩き始めた貴子。
廊下の角を曲がるとき、ちらりと後ろを振り返ると、まりやがこちらをまだ、じっと見つめているのが見えた。
「絶対に何かありますわね、これ」
生徒会室に入ると、一番奥の机、会長席に腰掛ける。
早速、再生して中を確認しようとして、ちょっと手を止めて考え込む。
(まりやさんが必死になって探している…同じ寮生の上岡さんが大慌てで落としていった…きっと大事な何かが…
しかもおおっぴらには出来ない何か)
貴子は君枝の席の上に置かれているヘッドホンを持ってくると、それをレコーダーにつないで再生ボタンを押した。
最初の数秒、それが誰の声なのか、判断が出来なかった。聞こえてきた喘ぎ声のようなものに、気をとられて、
一瞬、不快感が沸いたくらいだった。しかし……
「こ、これはもしかして…お姉さま?!」
間違いない、瑞穂の声。しかも喘ぎ声…のように聞こえる。
「一体、これは…」
何も考えず、ただひたすらに聞き入っている貴子。
30秒が過ぎ、音声が終わっても貴子の体は硬直したまま。身動きひとつしない。
その時、生徒会室のドアを開けて君枝とまりやが入ってきた。
「あの、会長。御門先輩が…」
そこでふたりは、会長机の上でヘッドホンをつけて、大量の鼻血で机を汚しながら彫像のように硬直している貴子の姿を発見した。
「きゃああ、会長おおお!!」
悲鳴をあげる君枝。
まりやはその姿をみて、やっぱり!と貴子の前に駆け寄る。
貴子の顔の前に、手をかざしてひらひらと振ってみるが無反応。完全にショートしているようだ。
「すぐに濡れタオルを持ってきて!それと大量のティッシュも!」
おろおろしている君枝に指示を与えると、君枝はダッシュで生徒会室から飛び出していった。
邪魔者はこれでいなくなった。

121 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/05/13(日) 21:24:20 ID:ByRVuAfp0
まりやは、ヘッドホンをレコーダーから抜き取るとレコーダーを掴んで立ち去ろうと回れ右をした。
と、レコーダを掴んでいるまりやの右腕が掴まれた。
「それをどこに持っていくのですか、まりやさん」
「ちっ、もう復活した」
鼻血をたらしながらも、目に光が戻っている貴子。
「一体、それは何なのですか」
「あんたには関係ないものよ」
「関係ないではありません。その声の主はお姉さまではないのですか?お姉さまはこの事を知っているのですか?」
ショートしている間にも、頭の奥底は動き続けていたらしい。するどい問いかけに、まりやが顔をしかめる。
「やっぱりお姉さまはご存知ないのですね。こんなものを捏造するなんて!」
「ちっちっち!捏造って訳でもないんだなあ。実際にこんな声を出していたのは瑞穂さんだし」
「まさか!お姉さまがそんなこと」
再び顔が真っ赤になる貴子。
「ま、ちょっと特殊な状況下だけど、100%瑞穂さんの声よ」
「………」
「どお、話しによっちゃ、この声、コピーしてあげてもいいわよ」
ぶほっ!!
再び、激しく鼻血を噴出して机に突っ伏した貴子。
まりやは素早く、生徒会室から逃げ出した。入れ違いに部屋に戻ってきた君枝。
貴子の顔を拭い、鼻にティッシュを詰め、額に濡れタオルを乗せてソファーの上に横たえさせる。
程なく、ガバッと起き上がり復活した貴子は、目に激しい炎を宿して叫んだ。
「いけません。あんなものをまりやさんの手に委ねさせていては!お姉さまの名誉に関わります!」
貴子は瑞穂に好意を寄せている。その感情はおそらく愛に近いものだろう。しかし貴子は、瑞穂のことを女だと思っているし、
自分でもその感情が何なのか理解してはいない。
しかし、あのレコーダーの内容を他人に聞かせてはならないと思った。瑞穂のために!
(あれは封印してしまわなくては。お姉さまも知らないのでしたら、知らせないままひっそりと!)
その封印場所が人目につかない場所であったら、例えそれが貴子の部屋であってもいいことであろう。
貴子は勢いよく立ち上がると、呆気にとられている君枝を残して、まりやを追いかけるべく生徒会室を飛び出していった。
奏は、あの後、教室で半泣きになっている由佳里を捕まえて事情を聞きだしていた。

122 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/05/13(日) 21:28:10 ID:ByRVuAfp0
「うええ〜ん。ごめんなさ〜い。奏ちゃ〜ん」
「もういいのですよ、由佳里ちゃん」
机に突っ伏して泣いている由佳里の頭を撫でる奏。
「うっうっ、きっと罰があたったんだ。奏ちゃんを置き去りにして持ち去ろうとしたから」
「そんなことはないのですよ〜。由佳里ちゃんもお姉さまのことを思ってのことなのですし」
それにしても、内心、困ったと奏は考えていた。
由佳里の話の通りなら、拾った人間は絶対にお姉さまの声だと気付くだろう。
そして、あの声が録音された状況も、トイレだとは思わないだろう。それこそお姉さまの名誉にキズがつきかねない。
自分に色々なことをしてくれたお姉さまの名誉。それは何としても守らなければ!
「ちょっと、私も探してくるのですよ〜」
教室をでた奏は、もう一度最初から探しなおそうと、屋上に向かった。
屋上に出ると、そこには紫苑と瑞穂がいた。
「あら、奏ちゃん」
「し紫苑お姉さま!ごきげんようなのです」
「はい、ごきげんよう。どうしたの?ひとりで屋上にくるなんて」
「い、いえ。何でもないのですよ〜」
あたふたと取り乱しながら屋上から出て行く奏。
その後姿を不思議そうに見つめる紫苑と瑞穂。
「瑞穂さん、すいませんが用事を思い出しましたので、一足先に戻っていますね」
「はあ」
瑞穂に一声かけると、紫苑は屋上を出て早足で階段を下っていった。
そして3階の廊下で奏を捕まえた。
「奏ちゃん」
後ろからふわりと抱きしめられ焦る奏。
「紫苑お姉さま!」
「奏ちゃん、一体どうしたのかしら?」
「えっ、なんのことでしょうか〜」
「ふふ、とぼけても判るわよ。何か悩んでるのね」
「はやや、何でもないのですよ〜」

123 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/05/13(日) 21:32:05 ID:ByRVuAfp0
「奏ちゃん」
紫苑は奏を振り向かせると、今度は自分の胸元にぎゅっと抱きしめた。
「私は、奏ちゃんの姉はそんなに頼りにならないのかしら。話をすることさえも躊躇うほどに…」
ぐいぐいと強い力で抱きしめられる奏。体に髪の毛が巻きつかれるような感覚がする。
(はやや!に、逃げられないのですよ〜)
観念する奏なのだった。
「見つけましたわよ。まりやさん」
「げ、貴子」
下駄箱の前でまりやを見つけ、詰問する貴子。
「さあ、お出しなさい。あのレコーダーを」
「なんのことかしら」
「しらばっくれてもダメです。貴女が持ち去ったあのレコーダーです」
「人聞きが悪いことを云わないで!アタシのものをアタシが持って何が悪いの?」
「その内容が問題なのです。とにかくお出しなさい」
校舎玄関で言い争いを始めた二人に、周囲の視線が集まり始める。
何事かと生徒が集まり始めるが、熱くヒートアップしたまりやと貴子は一向に治まる様子は無い。
「そんなものを学院に持ってくるなんて!」
「だから、これから寮に帰って置いてくるところだったのよ!」
「この敷地内にそんなものを保管していること事態、許しません」
「あら、許さなかったらどうしようというの」
「没収です」
「ふふん、見え透いてるわね。貴子さん、あなた、コレが欲しいだけなんじゃないの」
ポケットからレコーダーを出してヒラヒラと見せるまりや。
「なっ!」
顔を真っ赤にして絶句する貴子。
「やっぱり図星ね。ま、こんなお宝目の前にしてわからない訳じゃないけどね。どう?素直に頼めばコピーしてあげてもいいわよ」
「・・・・・・そ、そんなこと。ダメです許しません。お姉さまの名誉のために!」
「あっそう。じゃあ、や〜めた」
ポケットに再びしまおうとするまりやの腕にとっさにしがみつく貴子。

124 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/05/13(日) 21:36:15 ID:ByRVuAfp0
「ちょ、何をするのよ」
「いいから渡しなさい!」
とうとう、二人の奪い合いに発展。周りの生徒たちは何事が起こっているのか判らないながらも、まりやの持っているICレコーダーを
取り合っているものだと薄々感づいている。
まりやが云っていた『お宝』という言葉、それに過敏に反応した貴子が云った『お姉さま』と云う言葉。
そこから想像できるのは、我らがエルダーに関する何かがあのレコーダーにあるということ。
皆、興味津々でことの成り行きを見守っている。
貴子に獲られまいとレコーダーを持った右腕を必死に伸ばすまりや。まりやにしがみつき、レコーダーに手を伸ばす貴子。
そこに由佳里が現れた。
「由佳里!ちょうど良かった!ちょっと来なさい」
まりやが由佳里を呼ぶ。
「このレコーダーを持って、すぐに寮に行きなさい。そしてアタシの机の中に入れてきて」
貴子の手を避けて、由佳里にレコーダーを渡そうとする。
由佳里にしてみれば、千載一遇、棚からぼた餅。捜し求めているものが向こうからやって来た。
喜色満面でまりやの手からレコーダーを受け取ろうとする。
「上岡さん!貴女、グルでしたの!?さっきICレコーダーを落としていったので、まさかと思ってましたが!」
貴子の言葉に、顔を青くする由佳里。
「由佳里!まさか!アンタ…」
まりやは渡そうとしていたレコーダーを慌てて引っ込めた。
こうなったらもう、破れかぶれ!
「まりやお姉さま!御免なさい」
由佳里もまりやの腕に飛びついた。3人入り乱れて凄まじい修羅場!取っ組み合って、レコーダーの奪い合い!
周りには物凄い数のギャラリーがひしめき合っている。
まるで古代ギリシャのパンクラチオンを観戦している市民たちのよう!
「やめなさい、貴方達!」
瑞穂登場!このままでは教師たちの登場になることを心配した誰かが、瑞穂に知らせたらしい。
「何をしているのですか!あなたたちは!」
瑞穂の強い口調にピタリと止まるまりや達。
「お、お姉さま」

125 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/05/13(日) 21:39:45 ID:ByRVuAfp0
「貴子さんまでなんですか。生徒会長ともあろう方が」
「も、申し訳ありません」
「一体、原因は何ですか」
「・・・・・・・・・」
3人とも黙ったまま。
「どうしたのです。答えられないのですか?」
「…原因は瑞穂ちゃんよ」
「えっ?」
「瑞穂さん。あなたが原因なのです」
「えっえっ!どういうこと…」
「どうもこうも無いわ。おとなしく引っ込んでて頂戴!」
「そうです。これもお姉さまの名誉のためです!」
由佳里はそう叫ぶと、隙を突いてまりやの手からレコーダーを奪い取った。
「あっコラ」
そのまま、駆け出そうとする由佳里にタックルするまりや。そのまま二人はもつれ合いながら廊下に倒れこむ。
由佳里は奪われまいと、レコーダーを胸に抱え込むが、そこに飛び掛るまりやと貴子の二人。
今度は寝技でまたもや始まる取っ組み合い。
今度は瑞穂が何を云おうと、治まる気配は全くない。
このままだと、教師達が来てしまう。
さすがに瑞穂も頭を抱え込んだその時。
由佳里から奪い返したレコーダーを腕を伸ばして、ふたりの手から守っていたまりやに、どこからとも無く現れた奏が近づいていき、
ひょいと無造作にレコーダーを奪い取ってしまった。
「あっ!」
全員の目が奏に注がれる。
「奏ちゃん」
レコーダーを持って奏が立っている。
「奏ちゃん。そのレコーダーを返しなさい。いい子だから、ね!」
もつれ合っていた3人は体を離すと、じりじりと奏に近寄っていく。
「いいえ、周防院さん。それは生徒会長たる私が預かります」

126 :名無しさん@初回限定:2007/05/13(日) 21:41:04 ID:rd31Kp+Q0
紫煙

127 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/05/13(日) 21:44:02 ID:ByRVuAfp0
「ダメ!奏ちゃん。奏ちゃんじゃ守りきれない。あたしが守るから!」
近寄ってくる3人に奏は答えず、持っていたレコーダーをその背後から現れた人物にすんなりと渡してしまった。
「「「紫苑さま!」」」
紫苑は受け取ったレコーダーを、スッとスカートのポケットに入れてしまった。
「紫苑さま…それは…」
貴子が声を上げると、紫苑は優しく微笑みながら三人の顔を見た。
「事情はよく存じております。この辺にしておかないと、それこそ名誉も何もあったものではありませんよ」
「「「・・・・・・・・・」」」
「このまま、3人が争っていても、瑞穂さんからすれば恣意に任せて争っているようにしか見えません。貴子さん、上岡さん、
あなた方はそんな風に思われるのは、本位ではないでしょう」
「「はい」」
「まりやさん。貴女の目的は瑞穂さんを貶めることですか?」
「……イイエ」
「だったら、この辺りが引き際ではなくて?そもそも、こんなのは無かったものなんですから」
「・・・・・・・・・」
3人とも紫苑の言葉に何ら返しようも無い。
傍で聞いていた瑞穂は、言葉の節々に出てくる自分の名前に、ただただ戸惑うばかりであった。
「御免なさい、由佳里ちゃん。もう、こうなったからには紫苑お姉さまにお任せするしかないと思ったのですよ〜」
謝る奏に由佳里は首を振った。
「ううん。それが一番だとあたしも思う」
ただ、なんとなく胸の奥に沸いた残念な気持ちはなんだろう。
やっぱりあたしって邪心が多いのかな・・・そう考える由佳里。
一方、貴子はホッとした気持ちと残念に思う気持ちが半々くらい入り混じっている。
まりやは、悔しさを全身から滲ませて、わなわなと拳を握り締めている。
間違いなくまた、同じことをやりそうだ。
「これは一旦、私がお預かりしておきます。後日、お返しいたしますわ」
そう云って、立ち去る紫苑。
その場に居た全員が、その言葉に突っ込みたいことがあるが、それを言い出さぬうちに、紫苑の姿は早歩きで見えなくなってしまった。


128 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/05/13(日) 21:45:15 ID:ByRVuAfp0
〜エピローグ〜
その日の乱闘は生徒達の間で推測と憶測が入り乱れ、『ロマンシングストーン恵泉の秘宝』と呼ばれて後々まで語られていくことになった。

次の日の昼休み、瑞穂は紫苑に屋上に連れてこられて、イヤホンを耳につけられた。
そして、聞かされた内容にわなわなと顔を赤くして体を震わせた。
「昨日、奪い合っていたのはコレだったんですか」
「ええ♪」
「こ、こんなものをいつの間に…まりやってば…」
「これから寮で用を足すときは気をつけたほうが良いですわね」
「寮のウォシュレットは撤去しますよ。使わない器具なんてあっても無駄なだけです」
「あら、残念ですわね」
「えっ?」
「今後、瑞穂さんがあのような声を上げることが無いのだというのは少々、寂しい気がしますわ。この録音は本当に貴重なものですわね」
「こんなもの!」
瑞穂は、その場でレコーダーの消去ボタンを押し、登録内容を消してしまった。
そして、ふと気がついたように紫苑に尋ねる。
「紫苑さん、まさかと思いますがこれ、コピーしてないでしょうね?」
「ふふふ、さてどうでしょうか」
「…紫苑さ〜ん」

129 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/05/13(日) 21:48:06 ID:ByRVuAfp0

寮のウォシュレットは撤去された。
まりやは勿論だが、由佳里が物凄く残念そうな顔をしていた。
「由佳里ちゃん、そんなにウォシュレットがなくなるのが残念なの?」
「えっ、いいえ、あの…」
歯切れ悪く答える由佳里。
それを見ていたまりやは、きししと意地悪く笑いながら、
「最近、由佳里はトイレに行く回数が物凄く多かったものね」
「まりやお姉さまっ!」
「?」
首をかしげる瑞穂。
「由佳里ちゃん、ウォシュレットが必要なら、もっとちゃんとしたものをつけてあげるわよ、ねっ」
「…有難うございます。お姉さま」
瑞穂の言葉に、複雑な表情で答える由佳里だった。

Fin


130 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/05/13(日) 21:50:44 ID:ByRVuAfp0
お粗末さまでした。
支援入れてくださったかた、どうも有り難うございます。
久しぶりに書いたら、物凄く肩がこってしまった・・・。

131 :名無しさん@初回限定:2007/05/13(日) 22:10:11 ID:R+T42bIA0
L鍋さんのモテ話にはいつも大笑いさせてもらってます。
GJでした!!


132 :名無しさん@初回限定:2007/05/14(月) 07:21:23 ID:A5h7EMEI0
GJ!!!

133 :名無しさん@初回限定:2007/05/14(月) 18:33:39 ID:nqsegc+30
GJ!
水圧に30秒間耐えるお姉さまか〜
脳内で音声動画付で再生されました

134 :名無しさん@初回限定:2007/05/14(月) 19:34:29 ID:BBRqgfzC0
>>130 GJ!
定期的に作品投下キボン あんたはこのスレの筆頭職人だよ

135 :名無しさん@初回限定:2007/05/15(火) 11:50:19 ID:Xbr0nzHp0
「便座がウォシュレ…」
「わあ〜 温水洗浄便座、温水洗浄便座」

136 :名無しさん@初回限定:2007/05/15(火) 18:39:14 ID:nMXAf+2LO
>>135
ワロタw
結局それかよw

137 :名無しさん@初回限定:2007/05/15(火) 20:58:26 ID:UNUPpCH80
GJです。

138 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/05/15(火) 21:11:03 ID:cdLczJV+0
有難うございます。
出来るだけ書きたいのですが、最近体力無くて…orz
節目節目には投下したいと思います。

139 :名無しさん@初回限定:2007/05/16(水) 10:05:56 ID:u2M5lPiZ0
「このオレに 暖かいのは 便座だけ」

第一生命サラリーマン川柳・第20回第2位
ttp://event.dai-ichi-life.co.jp/senryu/200705_best10.html

140 :名無しさん@初回限定:2007/05/18(金) 17:31:23 ID:h1TKHTee0
どこかで読んだSSが見つからなくなってしまいました。
ここで聞くのが適切とは思えませんが、
ご存知の方がいたらサイト名などを教えていただけないでしょうか。

瑞穂そっくりの偽者(ドッペルゲンガー?)の目撃例が。
最初は学院内しか出没しなかったが、ついに街中でも目撃される。
何者なのか、目的は何か?
まりやを始めとしていつものメンバーが張り込みをする。
当の瑞穂がまりやの前に現れたが、まりやは言った。
「あんた誰?」

私が読んだのはここまでで続きが気になっています。

141 :名無しさん@初回限定:2007/05/18(金) 22:33:20 ID:NYPgSZnV0
>>140
作品への直リンは御遠慮願いたいという事らしい。
そのSSは俺も楽しみにしているんだよな。中編で凍結しているが
張り込み→偽瑞穂発見→尾行→目標見失い→偽瑞穂登場
・・・とこんな流れだよな?俺も続きが読みたい。

場所:おとボクSS投稿掲示板
題名:もう一人の自分<中編>
http://cute.to/~hokuto/caramelkeijiban/story_bbs.php?

142 :140:2007/05/19(土) 12:30:30 ID:S9l4+Zaz0
>>141
>場所:おとボクSS投稿掲示板
>題名:もう一人の自分<中編>

正にこれでした。ありがとうございます。<(_ _)>


143 :1-301 ◆HrgIn4uXEU :2007/05/20(日) 13:42:45 ID:79hMS0JH0
すっごい久々に投下します。ゆかりんSS。
整形めんどかったので、横95文字ぶった切りデス(携帯の人、ごめんなさい)。

題名:『想いのかけら、思い出の場所』

----------------------------------------------------

 春。

「サクラサク」

 なんてベタな電報がおばさんから届いてから半月。中学の卒業式もあっという間に過ぎ去って、すっか
り春めいてきた。今年の冬はとっても暖かくて雪も殆ど降らなかったのだけど、それでも春は待ち遠しか
った。だって春っていうだけでとてもわくわくするよね? ……なんて言ったら、お義姉さんに『子供っ
ぽい』って笑われちゃうかな。

 それに今年の春は特別なんだ。無い頭を使って使って使いまくって、ついでにとまどう両親をお義姉さ
ん共々なんとか説得して受験した、あの恵泉女学院になんとか合格できたんだもん。少しくらい浮かれ気
分でも仕方ないよね……って思う。

 今日は入学説明会。

 お母さんは「一人で大丈夫? 本当に大丈夫?」と何度も何度も私に念を押していたし、お父さんもお
母さんと一緒におろおろしっぱなしだったけど、私だってもう子供じゃない。涙目になっていたお母さん
とお父さんを何とか説得し、おばさんに「入学説明会は私一人で行くから、前の日に泊めてください」っ
て電話(お母さんに泣きつかれた事はバレバレだった)、新幹線のチケットも自分でとった。

 そして私は今……恵泉の門の前に立っている。


144 :1-301:2007/05/20(日) 13:44:47 ID:79hMS0JH0
 あこがれていた恵泉女学院。説明会自体はそれほど時間もかからず、いろんな手続きや物の受け渡し、校内の案内まで含め午前中におわってしまった。
渡されたのは真新しい制服と運動着、指定の上靴。真新しい鞄には沢山の教科書。今まで読んだこともない真っ黒な装丁の分厚い聖書と、
それなりの厚さの賛美歌集。

 わくわく。

 おろしたての制服を着て撮った写真は、入学式の日に渡される生徒手帳に張られるはずだ。袖や丈を直
してないからぶかぶかだったけど、写真に写っている部分は……それなりだったんじゃないかなぁ。写真
写り悪いから、どんな写真が出来てくるか少し不安だけど。

 どきどき。

 お義姉さんがそうだったように、やっと私も恵泉の生徒になれるんだ。そう思うと、自然と顔がにやけてしまう。

 入学式はまだちょっと先なのにね。なんて云ったらいいのかな。追いかけていたお義姉さんの背中が、
ようやく少しだけ見えた……そんな気がしてうれしいんだ。もちろん恵泉には入試の時に一度訪れていた
けど、恵泉の生徒になれることが決まった今だからこそ、いっそう強くそう思う。

 私は、グランドの前に生えている銀杏木の下でたたずんでいた。

 葉を落としたままでまだまだ寂しい銀杏木の枝をすかし、右手をひさしにして空を見上げる。まぶしい
太陽。碧い空。白い雲。視線の脇には、まだ堅いつぼみをつけた桜の木が見える。春真っ盛り……という
には少し早いけれども、とても暖かくて、穏やかな、春と呼ぶに相応しい。そんな日。

 僅かに吹くやさしい風に包まれながら、恵泉女学院でのこれからの生活を夢想してみる。きっと私は、
陸上部に入って、お義姉さんのように毎日トラックを走る事になるんだろう。お義姉さんのような、もっ
ともっと素敵な女の子になれるかな? いや、きっとなれる……といいな。

 私はこの恵泉で、どんな道を歩んでいくんだろう。

 ふと、トラックを見ると……私がさっき貰ったばかりの物と同じ体育服を着た誰かが、ただ一人で黙々
と走っていた。

145 :1-301:2007/05/20(日) 13:45:51 ID:79hMS0JH0
 彼女の綺麗に切りそろえられた髪が、まぶしい陽光を反射してきらきらと輝いている。

 たったったった

 彼女の走る音がリズムよく響いていく。

 たったったった

 息づかいまで聞こえてきそう。

 私は彼女が走り続ける姿をずっと眺めていた。私の横には小さめのスポーツバッグが置いてある。もし
かすると、彼女の物なのかも知れない。

 恵泉はお義姉さんの思い出の場所。そしてこのトラックにも、義姉さんの思い出がたくさん、きっとた
くさん残っている。お義姉さんの思い出を感じたい。お義姉さんの想いを感じたい。

 この場所で、お義姉さんはどんなことを想ったのだろう。このトラックを、お義姉さんはどんな気持ちで駆けたのだろう。

 いつの間にか、私は走っている彼女とお義姉さんとを重ねて見ていた。

 お義姉さんが元陸上部だったと聞いたのはいつだっただろう。それまでお義姉さんの、柔らかい仕草や
立ち居振る舞い、茶道に華道を嗜むという、いかにも女性らしい面しか知らなかった私には結構な衝撃だ
った。

「あら? これでもね、ちょっとしたものだったんですよ?」

 そんな事を、くすくすと上品に微笑みながら話してくれたのを思い出す。「もう少し頑張れば都の大会
くらいには出場出来たのかもしれないわね」と。

146 :1-301:2007/05/20(日) 13:50:35 ID:79hMS0JH0
 彼女は暖かな春風の中を滑るように走る。私が見始めてからきっかり三周。ペースは全く乱れない。

 それにしても、なんて綺麗で見事なフォームだろう。すっと伸びた手足が滑らかに動いていく。その動
きは素人の私が見ても無駄が無くて、ついつい見入ってしまった。ふわりと揺れる白い運動着がとてもま
ぶしい。

 お義姉さんは何でも器用にこなしてしまう人だったから、きっと彼女のように綺麗なフォームで走って
いたに違いない。そんなことをふと思う。

 それにしても、なぜ彼女は一人で走っているんだろう。部活動なら、他に走っている人がいてもいいん
じゃないのかな?


147 :1-301:2007/05/20(日) 13:57:47 ID:79hMS0JH0
 しばらく彼女を見ていると、走るペースがだんだんと落ちてきた。どうやらクールダウンに入ったよう
だ。そして、彼女は私の目の前を横切った直後、たんたんたんっと音を響かせて脚を止めた。

 彼女は「はぁ、はぁ、はぁ……」と荒く息をつきながら両膝に手を載せた。呼吸と合わせて胸がリズミ
カルに動く。

 私は思わず彼女の元へと駆け寄った。

「すみません、陸上部の方ですか?」

 彼女は、「え?」と驚いてこちらを向いた。その整った顔はほのかに色づき、汗でぬれた額には前髪が
何本かだけ張り付いていた。頬を透明な汗が幾筋か流れ落ちる。

「ええ、そうですけれども……あら? もしかして新入生の方かしら」

「えっと……そうです」

「今日は入学説明会の日ですからね……そうすると、外部から受験で?」

「は、はい。わかっちゃいますか?」

「うん。恵泉はね、幼等からずっと一貫でしょう? 外部から受験を経ていらっしゃる方はそう多くはな
いんです」

 あ、そうか。

「だから、入学説明会でも人がそれ程多くないんですね」

「殆どの生徒は春休みですし、エスカレーターで高等部へあがる方々も入学説明会に出る必要はありませ
んから。その方達にとっては、単に校舎と担当の先生方が替わるだけに過ぎないですし、新しい制服や運
動着も放課後に『はい』と手渡されるだけです」

148 :1-301:2007/05/20(日) 13:58:33 ID:79hMS0JH0
 そう云うと、彼女は私のすぐ近くにおいてあったスポーツバッグを開け、タオルを取り出した。やっぱ
り彼女の物だったんだ。

「なるほど……そうなんですか。それじゃ、お休みなのにどうして走っていらっしゃったんですか?」

 どうにも丁寧語はなれないな。少しお話しただけだけど、彼女の話し方はとても上品で、如何にもお嬢
様学校にふさわしく感じるし、逆に私の方はどうにもこうにもお嬢様にはほど遠い。

「私は入学説明会のお手伝いをしていたんですけど、思ったよりも早く終わってしまったんです。だから、
天気も良いし、せっかくだから走っちゃおうかなぁ……って。私は短距離走の選手ですから、こうやって
トラックを黙々と走っても、せいぜいウエイトコントロールになるくらいで、あまり練習にはならないん
ですけどね」

 そう言いながら彼女はタオルで汗ぬぐって、「ふぅ」と息を吐いた。そういう些細な仕草までもがなめ
らかで美しい。これがお嬢様っていうものなんだろうなぁ。

「それでも、こうやって走るのはとても気持ちが良いです」

「走るのがお好きなんですね」

「ええ、そうですね……さっきはあんな事を云ったけど、本当は走る気満々だったんです。スポーツバッ
グまで持って来たくらいですし。それに色々考え事をするにも良いんです」

「考え事ですか?」

「そう、考え事。行きつけのケーキ屋さんの期間限定、あまおうのイチゴショートはいつまでだったか
な? 誰と一緒に行こうかな……とか」

「あははは。そんなにおいしいんですか? そのお店」

「そうそう、とってもおいしいんです。それにその『あまおう』っていうイチゴが名に恥じず、凄く甘く
て大きいんです」

149 :1-301:2007/05/20(日) 14:00:47 ID:79hMS0JH0
 彼女が『そうですねぇ……このくらいでしょうか』と人差し指と親指で見せてくれたそのサイズは、確
かに結構な大きさだった。さらに凄く甘いイチゴだというのだから、思わず生唾が口の中にあふれてしま
う。

「うわぁ……素敵です」

 女の子は誰でも甘い物スキーなんだから仕方が無いよね?

「もちろん冗談ですよ?」

彼女は、にこりと悪戯っぽくほほえんだ。

「え……じゃあ、そのイチゴのショートも冗談ですか?」

「走っている間に色々と考え事をするのは本当。あまおうのショートケーキが期間限定なのも本当。ただ、
もっと別のことを考えていただけなの。だからね、そんなにがっかりしなくてもいいんです。うふふふ。
それでは私が悪者みたいね」

「い、いえ。そんなことはありません」

 私は慌てて首をぶんぶんとふった。なんか、面白い人だ。

「そうそう、自己紹介がまだだったね。私は桜井夏央。今度二年になる、陸上部の……下っ端です」

 夏央さんはぺろっと舌をだした。

「あ、わ、私は上岡由佳里です。新入生で、4月からは恵泉の生徒になります」

「よろしくね、由佳里ちゃん」

 そう云って差し出された手を握ろうとして右手を差し出してから、慌てて引っ込めた。右手を服の裾で
ごしごしとこする。

150 :1-301:2007/05/20(日) 14:02:46 ID:79hMS0JH0
「こちらこそ、よろしくお願いします。夏央さん」

 改めて差し出した私の右手を、夏央さんは優しく握り返してくれた。

「あのね、由佳里ちゃん。恵泉では、上級生を呼ぶときには上に名前をつけて、お姉さまと呼ぶんですよ」

「あ、そうなんですか。えっと……夏央お姉さま」

「はい、よくできました。でもね、由佳里ちゃんはまだ入学式を終えていないのだし、『なお おねえさ
ま』で『お』の音が二つ続いて呼びづらいでしょう? 今日はそのままの呼び方でかまいませんよ」

「それにしても、さすがは恵泉です。上級生をお姉さまと呼ぶなんて、小説や漫画にしか無い世界だと思
っていました」

 いや、お義姉さんからそう聞いてはいたけど、こうして実際に恵泉の生徒から聞いてみると実感がわい
てくる。

「あら? 来月からはあなたも恵泉の生徒なのよ? 言葉遣いにも慣れないと、ね。」

 夏央さんは、「私もお姉さま方に良く注意されるんですけどね」と云って苦笑した。

「それじゃあ……夏央さんでいいですか? どんな字を書くんですか?」

「暑い『夏』に中央の『央』で『なお』と読むの」

「素敵なお名前ですね」

 夏央。暑い最中に駆け抜ける涼やかな風と、木漏れ日。どこかそのような光景を連想させるこの人には、
とてもお似合いの名前だと、そう思った。

151 :1-301:2007/05/20(日) 14:04:02 ID:79hMS0JH0
「でもね『桜井』なのに『夏央』なのよ。真夏の桜ね。物心ついた頃には両親の命名センスを疑うように
なったわ。それを母親に云ったら『どうせお嫁にいけば名字変わっちゃうわよ』なんて返されちゃった」

「あはははは」

 校門から続く桜並木の蕾は、ようやくほころび始めたばかりだった。今年はいつもの年より早いと聞い
ていたし、今日はとても暖かいから、さらに見頃が早まるんだろう。

 それでも『夏に桜』というのはいくらなんでも想像の範囲外。夏央さんが親のセンスを疑うのも無理の
ない事かもしれない。

「だけど、最近はこの名前も嫌いじゃないんですよ」

 そう云って、夏央さんはにこりとほほえんだ。


152 :1-301:2007/05/20(日) 14:07:47 ID:79hMS0JH0
「なるほど……お義姉さまが恵泉の陸上部員だったのね」

「はい。とても素敵な義姉でした。慎ましやかで、怒っている姿を一度もみたことがありませんでした。
あこがれだったんです。だから私、入学したら陸上部に入ろうって、そう思っています」

「あら。そうなのね。歓迎ですよ」

「え、え?」

 夏央さんは私の体をあれこれとさわったりしながら調べ始めた。

「少しばかり背が小さいかなぁ……それでも背の割には脚長いわね。ウェストは……」

「え? ちょ、ちょっと何を……」

「うん、ほどよく引き締まった体に……手脚が長くて、筋肉もそれなりについていますね。なにか運動の
経験はありますか?」

「いや、特に経験はありませんけど」

「えっと、きっと陸上向きです。それも長距離ね」

 私は嬉しくなった。お義姉さんも恵泉で長距離の選手をやっていたと聞いていたからだ。

「うん、長距離。小柄な方が長距離を走るには向いているんです。でもね、長距離ではメンタルな要素も
重要になってくるし、長距離を走るのに適していない体質の人もいるの。だから、体格だけでは判断しき
れないですし、実際の適正はある程度走って貰ってから判断することになるわ」

「小柄……ですよね」

とほほ。

153 :1-301:2007/05/20(日) 14:12:57 ID:79hMS0JH0

「あ……余り気にしないでね。まだまだ成長期なのだから、これから背も伸びるかもしれないのだし、そ
れ程気にすることもないと思いますから」

 それでも、短距離じゃなくて、お義姉さんが走っていた長距離の方に適正があるというのであれば、自
分の背が小さいのも、それはそれで良いかなぁって、そんな気がした。

「ね、私と一緒に走ってみない?」

「よろしいのですか?」

「あこがれのお義姉さんが走っていたトラックに立っているのですもの。せっかくですし。体育着もある
のでしょう? それなら、遠慮しないで」

「あ、はい」

「さっきまでずっと走っていたから長距離は勘弁だけど、短距離なら良いですよ。せっかくだから本格的
にやりましょうか?」

「こちらにいらっしゃい」と云った夏央さんの後について一緒に行った先は、お嬢様学校にはちょっと似
つかわしくない、所々錆びたスチール製の物置だった。

154 :1-301:2007/05/20(日) 14:13:48 ID:79hMS0JH0
 スライド式の扉をがらがらと開けて、中に入る。薄暗くてちょっとかび臭い。そんな中を夏央さんはご
そごそと何やら取り出そうとしている。舞う埃が、扉から差し込む光を映し出してキラキラと光った。

「スタブロと……クギとハンマーっと……白線引きも持って行きましょうか」

「スタブロ……ってなんですか?」

「はい、これ。体育の授業で使ったこと無いかしら?」

「あ、スターティングブロックですね。」

 がちゃりと渡されたそれはアルミ製の青い立派なスターティングブロックだった。見た目よりずっと軽
い。夏央さんが言うとおり、中学の体育の授業で使ったことがある。

「おろしたてなの。まだ殆ど使っていないからぴかぴかでしょ? これを二組ね。レールと両足分のブロ
ックを忘れないで」

「はい」

「あと、着替えは……そうね、部室があるからそっちで、ね」


155 :1-301:2007/05/20(日) 14:17:22 ID:79hMS0JH0
 まだ折り目がきっちりついた運動着につけると、おろしたて故のにおいがちょっとだけ鼻につく。
ストレッチも終えて、スタートラインに二人で立った。

 こうしてみると百メートルとはいえ結構遠いなぁ。

「じゃ、練習してみましょうか。まずは、利き足を後ろのブロックに乗せるの」

「利き足って、どっちなんでしょう?」

「そこにちょっと立ってみて。そう。私が後ろから由佳里ちゃんを押すから、倒れそうになったら脚を前
に出してね」

ぽん。とっさに出たのは左足だった。

「うん。多分、左が利き足ね。じゃ、こっちが後ろ。腕は肩幅より少し開いて、指は……そうそう、そん
な感じ」

「合図があったら腰を上げて、そこで制止。ピストルの煙が見えたらスタート。今日はピストルありませ
んけどね」

「どうするんですか?」

「そうね。由佳里ちゃんが声をかけて」

「わかりました」

「それじゃ……いきましょうか」

 私は夏央さんと一緒にスタート位置についた。両手を地面につけ、両足をスターティングブロックに乗
せる。

 誰もいないグラウンドに、二人がブロックに足を乗せるガチャリという音が響く。

156 :1-301:2007/05/20(日) 14:18:21 ID:79hMS0JH0
 ふぅ…はぁ…。ゆっくりと呼吸を整え、前を見据えた。目標は百メートル先の石灰でひかれた白いゴー
ルライン。

「用意」

 腰を上げて制止。両腕に上半身の重みが伝わってくる。一瞬の緊張。引き絞られた射られる直前の弓の
ように、体中の筋肉を締め上げるイメージ。ひとつ、ふたつ、みっつ。スタートの合図をかける時をはか
り、束の間の静寂をこの場に与える。

「スタート!」

 利き足をブロックに叩きつけ、私はスタートした。一瞬で夏央さんの前に躍り出る。気力の限りのダッ
シュ。

 スタートの合図をかけたのは私だから、これは当然だ。

 力の限りに腕を振り、大地を蹴る。歯を思い切りくいしばる。視界が急速に狭まって、ゴールの一点し
か見えなくなった。

 夏央さんの足音はすぐ右後ろ。リードは広がりもしなければ、縮まりもしない。

 このままいける? まさか? 現役の陸上選手相手に?

 そんなことを思った瞬間、夏央さんの足音は私の横をすうっと、さもそれが当然と云わんばかりの勢い
で駆け抜けていった。速い。


157 :1-301:2007/05/20(日) 14:19:23 ID:79hMS0JH0
 私は必死になって追いかけようとしたけれども、もう脚は限界に近くて、動かそうとすればするほど、
もどかしいまでに云うことを聞いてくれない。差はどんどん広がっていく。

 それでも私は必死で夏央さんを追いかけた。追いつきたい……そう思ってもその背中はどんどん遠ざか
ってゆく。

 目の前がかすんできた。夏央さんは、私の遙か先を走っていて、もうちょっとでゴールの白線をを踏み
越えていきそうだった。

 届かない。私は思わず手を伸ばした。

 その時、夏央さんとお義姉さんの姿が一瞬重なって見えた。

 そして、夏央さんがゴールラインを超えた時、お義姉さんが振り向いて笑った。そんな気がしたんだ。

158 :1-301:2007/05/20(日) 14:21:22 ID:79hMS0JH0
「さ、どうぞ」

 薄い水色の御茶がとぽとぽと湯気をたてながら、水筒付属の白いカップに注がれる。暖かな春の日差し
にぴったりな、甘い花の香りが柔らかくふんわりと広がった。

「ジャスミンティですね」

「そう、茉莉花茶」

 結局、夏央さんには全然歯が立たなかった。それでも、お義姉さんの走った場所を全力で走る事が出来
たという満足感はある。

「まつりかちゃ? ですか?」

「ジャスミンティの事を、そうとも呼ぶのだそうです」

「へえ……そうなんですか」

 薄く透き通った綺麗な水色を楽しんでから一口含む。さわやかな渋みと甘さ、そしてジャスミンの香り
が鼻からすっとぬけていった。

「美味しいです」

「よかったわ。実は、そんなに良い御茶ではないんですけどね」

 そういって、夏央さんはにこりとほほえんだ。

「こんなのもあるわよ?」と夏央さんが差し出してくれた素っ気ない茶色の紙袋の中には、バタークッ
キーが入っていた。さくりとかじると、控えめの甘みとバターの香りが口の中に広がる。美味しい。そう
いえば昼ご飯がまだだったことに今頃気がついた。

159 :1-301:2007/05/20(日) 14:22:26 ID:79hMS0JH0
 木陰で二人、一緒に座ってグラウンドを見る。ゆるやかに吹く風が火照った体に心地よい。

 今は誰もいないグラウンドだけれども、学校が始まれば、放課後は部活をする生徒たちでとても賑やか
になるに違いない。その中に自分がとけ込んでいる姿を想像して、なんだかわくわくした。

「で、このトラックを走ってみて、どうだったかな……と云っても、砂と土で出来た、ごく普通のトラッ
クですけど」

「いえ、とても走りやすかったです。それに夏央さんって、本当に速いんですね。とても追いつけるとは
思えませんでした」

 走っているときに見た、夏央さんの綺麗なフォームが目に焼き付いて離れない。私も練習すれば、あん
な風に走れるようになるのだろうか。

「これでもね、部の中ではちょっとしたものなんですよ? 一生懸命練習しているんですから、新入生に
負けてしまうのではがっかりです」

「……え?」

 『ちょっとしたものなんですよ』という言葉に一瞬、思考が止まった。

160 :1-301:2007/05/20(日) 14:23:26 ID:79hMS0JH0
「どうしたの?」

「いいえ、なんでもありません」

 それは、何時か聞いた言葉だった。

「あら、そうなの。それにしてもびっくりしたわ。今まで陸上の経験が無かったのでしょう? それなの
にあれだけ走れるなんて、大したものですよ」

「あ、ありがとうございます」

 頭をぺこりと下げた。でも、あんなに離されてしまったのだから、少し持ち上げられているのかな……
という気もする。

「もしかすると長距離よりも短距離の方が向いているかもしれないわね」

「い、いえ! 私は長距離が走りたいんです」

「お義姉さんが走っていたから?」

「はい、そうです」

「そっか……由佳里ちゃんは本当にお義姉さんのことが大好きだったのね」

 そう言って、夏央さんは空を見上げた。私はその表情に一匙の憂いを見た……そんな気がした。

161 :1-301:2007/05/20(日) 14:26:18 ID:79hMS0JH0
「……あのね、由佳里ちゃん」

「なんでしょうか?」

 私は夏央さんの顔をまっすぐに見つめる。

「私もね、憧れている人がいるんです。もっともその人は、由佳里ちゃんのお義姉さんと違って、元気す
ぎるくらいに元気なんですけどね。そして、その人の背中をずっと……ずっとおいかけてきたんですよ」

「そうなのですか」

「そう、なのだけれど……。いつからかな。誰かの背中を追いかけるというのはとても大変なことだって
……気がついたの。一所懸命に追いかけようとすればするほどに、自分の願いも、喜びも、それどころか
苦しみさえも、その人への想いの陰に隠れてしまう。わかるかしら。そして、ようやくその人の背中が見
えた……と思った頃には、その人はもっと遠くに行ってしまっているの」

 夏央さんはそう言って、ジャスミンティに口をつけると「ふぅ……」と息をついた。

「難しいです」

「うん。とても難しい事。由佳里ちゃんはお義姉さんからどんな願いをうけとったのかな? どんな想い
を受け取ったのかな? それは由佳里ちゃんにとって、どんな意味を持つのかしらね?」

「それは……よく分からないです」

162 :1-301:2007/05/20(日) 14:28:07 ID:79hMS0JH0
 夏央さんの目を追って空を見上げると、雲がゆっくりと流れていた。お義姉さんは上品で、とても綺麗
で……そしてとても優しかった。そんなお義姉さんから、何を受け取っただろう。

「お義姉さんは、亡くなる前『由佳里には絶対に恵泉へ行って欲しいな』って云ったんです。だから私は
恵泉を受験して……こうして今この場所にいます。正直、どうしてお義姉さんがそこまで私が恵泉に入る
ことを望んでいたのかは分かりません」

 ただ、それだけの事だった。

「きっと、それを知るために由佳里ちゃんは恵泉にやってきたのね」

 夏央さんは、私に優しく微笑む。

「はい……きっとそうです。だから、私はそれが分かるまで、精一杯頑張ってみようと思うんです」

 私が知らなかったお義姉さんの想いを知るために、頑張ろう。お義姉さんとは違う、がさつで駄目な妹
だけど、精一杯頑張ろう。それはきっと、お義姉さんが最後に残してくれた謎かけなんだ。なら、私はそ
れを解かなくてはならないのだろう。

 たどり着けるかどうかは分からない。もしかしたら無理かも知れない。

163 :1-301:2007/05/20(日) 14:29:22 ID:79hMS0JH0


「そういえば、走っているときに、夏央さんがお義姉さんと重なって見えたんです」

「そう、お義姉さんが……」

「ゴールするときに振り向いて、『ようやくここまで来たのね。でもまだまだよ』って笑ったような気が
したんです」

「まあ、そうなの。そんなにも素敵なお義姉さんと私は、きっと似ても似つかないでしょうにね」

 夏央さんは「なら、頑張らないとね」と云って、私の頭を撫でてくれた。少しくすぐったい。

「夏央さんも頑張ってください。夏央さんなら、きっとその人に追いつけますから」

 私がそう言ったその時。「おーい、夏央!」という声が響いた方向をみて、夏央さんは

「だといいですね」

 と笑ったのだった。

164 :1-301:2007/05/20(日) 14:31:28 ID:79hMS0JH0
 あれから、もう二年半になる。色々な物が、色々なふうに変わっていく。私はこの恵泉で、どんな道を歩んで来ただろうか。

『こんこん』と、ノックの音が部屋の中に響いた。

 おそらく、妹の初音だろう。「どうぞ」と軽く返事すると、思った通り初音が小振りのお盆に二人分の
茶器を乗せ、ゆっくりと部屋に入ってきた。

「由佳里お姉さま、一休みして、御茶などいかがでしょうか?」

「そうね、勉強も一区切りついたところだし、一緒に頂きましょうか。そこに置いておいて……あら?」

 その香りは何処か懐かしく、暖かく私たち二人を包み込む。

「ジャスミンティですけど……お気に召しませんでしたでしょうか」

「ううん。そんなこと無いよ。ただね、昔の事を思い出していたんだ。それでね、その中にジャスミンテ
ィが出てきていたものだから」

「昔の事……ですか」

「そう。あたしが恵泉に来た時の事よ」

 『秋桜の君』夏央お姉さまは、ご両親の転勤の為にその年の体育祭の後に他校へと転校し、『茉莉花の
君』まりやお姉さまも卒業後に服飾デザインの道へ進むのだと、アメリカへと旅立ってしまった。気がつ
けば私も陸上部の部長と生徒会長を兼任している上に、『琥珀の君』なんていうありがたいんだかどうだ
かよく分からない二つ名で呼ばれるようになった。

 あれから夏央お姉さまは、まりやお姉さまに少しでも近づけたんだろうか。私はお義姉さんに近づくこ
とが出来ただろうか。お義姉さんは天国から私の事を『まだまだよ』と笑ってみているだろうか。

こんな風に、時々思い出すのだ。あの麗らかな春の日のことを。


165 :1-301:2007/05/20(日) 14:33:55 ID:79hMS0JH0

おしまいです。2年ぶりなのでちと緊張。
32行制限に文章を何処でぶった切るか迷い、連投制限に涙。

トリップは……1レス目書いた後でどれを使ったか忘れました(汗

それでは、また機会があれば

166 :名無しさん@初回限定:2007/05/20(日) 16:12:12 ID:QQsCZaj70
GJ!乙でした
ネタでもなくいじられてもいない由佳里ちゃんが
なんか新鮮でした

167 :名無しさん@初回限定:2007/05/20(日) 16:57:52 ID:iN3AebTa0
もう少し、書き方がこなれると読みやすくなるかな。

あと、あまおうは甘王ではなく

あかい
まあるい
おおきい
うまい

なので、「その名のとおり」は疑問。

あと、茉莉花茶をもちだすなら夏央がジャスミンティーを飲むようになった流れを書くとベストかな。

あこがれの先輩としてまりやのことを語らせて、その真似してるとか。

入寮して、話題にのぼった人のお世話係をすることになったあたりで、回想終わらせるとかすると話に深みが出るかな。

CD聞いているのが前提すぎるのはもったいないので、もう少し情報を盛り込もう。

168 :名無しさん@初回限定:2007/05/20(日) 19:26:36 ID:7BR6E96q0
>>165
GJです。初々しいゆかりんが良かったです。

ゲーム本体とドラマCDと同人誌をうまくつないでいますね。

あと、桜井夏央…言われてみれば名前のセンスないかもw

169 :福岡県民:2007/05/20(日) 22:46:08 ID:3qRb2oZm0
>>167
それに「甘王」をかけてるわけよ。知らなかったん?

170 :1-301:2007/05/20(日) 23:06:59 ID:79hMS0JH0
感想ありがとうございます。
未熟者ですので、文体については生暖かく見守ってくださいな。

『あまおう』については、ソースを

福岡県庁ホームページ:知事定例記者会見平成14年10月15日
ttp://www.pref.fukuoka.lg.jp/wbase.nsf/5DB2E0F2E12EF4C7492570A4000C6A30/FCE51F9421E0FCBC49256C5C000EFA8D?OpenDocument

(2)いちご新品種の名称を「あまおう(甘王)」に決定 (生産流通課)

> あと、茉莉花茶をもちだすなら夏央がジャスミンティーを飲むようになった流れを書くとベストかな。
> あこがれの先輩としてまりやのことを語らせて、その真似してるとか。
> 入寮して、話題にのぼった人のお世話係をすることになったあたりで、回想終わらせるとかすると話に深みが出るかな。

あくまで由佳里の話なので、この辺りはあえてカットしちゃいました。
CDドラマでも夏央がジャスミンティを飲んでいるという描写はありませんし、
オリジナルな設定は出来るだけ作らずに、ドラマCDを聞いた人向けにということです。
(話を出来るだけコンパクトに……という意図もあります)
ついでに初音は『櫻の園のエトワール』で出てきている人物ですが、こちらの説明もあえてしていません。

とはいえ、その辺も含めて未熟ですわ。精進精進です。

171 :名無しさん@初回限定:2007/05/21(月) 02:11:33 ID:8+7txpyD0
>170
本当にあえてカットしたのか、最初からそこまで気を配れなかったのかは本人の心の中の問題だから
特に問うことはしないが、できるだけコンパクトにというには現状多少冗長な所が見受けられる。
(雰囲気を作るためにはあまり削らない方が良いと思うのであるが掲示板と言う場所故致し方がないのであろう。)
まあ提案したアレンジは拒絶されたようなので、提案はやめた方が良いのかな?
CDと同人誌を聴いたり読んでない物にはオリジナルにしか見えないので、カノン以外は説明すべきだと思うのだが
自己満足な作品に陥らないように注意を払ってほしいと思う。

処女はお姉さまに恋してるは複数の話が緻密に絡み合うストーリーが良いと思うので、続きを楽しみにしている。



あまおうは、最近甘くなく酸味が多いだけの昔の女峰かと思うぐらいがっかりしたものを買ってしまい
JAふくおかのホームページからリンクしている当該製品の生産者に「あまおう」の名前にあわずがっかりした。と
メールをしたところ「あまおうは甘王ではない」という返事とともに、あかいまるいおおきいうまい」のアクロニムだと
返事を貰った。最初の役所の思惑と実際の運用が違うのだろうね。

あと、福岡県民みたいな他人を馬鹿にするような物言いをする人物も問題だな。ここのレベルが低く見られてしまう。
福岡の名を汚しているようにしか見えないよ?

172 :名無しさん@初回限定:2007/05/21(月) 04:25:02 ID:QOlNsvxcO
なんだかよくわからんがくらえ!ということですわね?

173 :名無しさん@初回限定:2007/05/21(月) 10:35:04 ID:XwmDbr3F0
なんだか、ひたすらに嵐が過ぎ去るのを身を縮めて待つ子羊のような気分になってきたぜ…ウッウッ

174 :名無しさん@初回限定:2007/05/21(月) 11:41:53 ID:Jhv74oUl0
ここには感想スレ、もしくはそれに類する外部ページってないんだね。
賞賛意見以外は書きにくい雰囲気あるよ。

>>171の人みたいなのも、そういうページがあるといいんじゃないかなと思ってみたり。
例え正論であっても、ここでやるとちょっと雰囲気悪くなる気がする。

175 :名無しさん@初回限定:2007/05/21(月) 12:12:36 ID:eBKJzDBqO
>>171氏のレスは最初の分だけで良かったのではないかと…
2レス目は明らかな蛇足だろう

176 :名無しさん@初回限定:2007/05/21(月) 12:19:49 ID:DF23X0Ig0
>>175
腐したり貶したりしてるわけじゃなくて、こうしたらという提案してるから
171もありだと思うけどね。
それとも賞賛意見以外はくそ食らえっ!っていう場所なのかな

福岡県民のあたりは要らないと思うけど、あのタイミングであの書き方もまずかろうて。

1−301の方がよほど前向きだと思うね。

建設的な批判が出るのは伸びるからだと思われてるんだよ。
めげずにがんばろうや。

177 :名無しさん@初回限定:2007/05/21(月) 14:42:49 ID:XwmDbr3F0
>176
ありかな?言ってることは正しいのかもしれないけど、無駄に上から目線というか
何でこの人はこんなに偉そうなんだ?って不思議でしょうがなかったよ。
スルーすればいい事をわざわざ挑発するのもいただけないしね。

まぁ、ひとつこれを思い出していきましょうって事で

つ[優雅に礼節をもって進行していきましょう。]


178 :1-301 ◆t9thRusHwU :2007/05/21(月) 22:33:58 ID:m9S7Mk9P0
↑トリップ付けなおしました。

すみません。なんか荒れ気味のようで……。
私としてはご意見頂くのは全然かまいません。というか、ください。
自分の頭の中だけで考えていると、どんどん視野が狭くなるのですよ。

あ、今回の続きはありません。単品です。
あと超遅筆なので、次の作品を投下するのは今度も2年後くらいになるんじゃないでしょうか(汗

というわけで、また機会があったらよろしくです。

179 :Qoo:2007/05/23(水) 01:17:40 ID:jzU6ogpf0

お久しぶりのQooです。
長らくSSを書いてなかったのでリハビリで書いてみました。
3月くらいの設定です。 どうぞ。


180 :Qoo:2007/05/23(水) 01:18:45 ID:jzU6ogpf0

 じっと、十条紫苑は窓の外を見ていた。
 空には真白な雲が我が物顔でいくつも流れている。
 快晴とは言いがたいが、合間に見える空は抜けるように青く、十分に天気だと言えるだろう。
 しかし、それは今の紫苑にとってさほど意味のあることではない。
 晴れなら窓の外が明るいし、雨なら暗くて、時折訪れる来客が濡れてくる…その程度の違いだ。

 聖應の卒業式から何日経っただろうか。
 卒業式に出席することもできず、紫苑は実感なく聖應女学院を卒業した。
 それから今、紫苑は何もない日々を過ごしている。
 晴れでも雨でも、楽しい予定などありはしない。 嬉しい予定などありはしない。
 ……いや、嬉しい予定はあるのか。 少なくとも家にとってみれば。
 ふと、そんな皮肉めいたことが脳裏をよぎった。
 刹那、酷く陰鬱な気分に襲われ、紫苑は起こしていた上体を倒して目を閉じた。
 涙が出そうだった。

181 :Qoo:2007/05/23(水) 01:20:00 ID:jzU6ogpf0

 私は、哀しいのだろうか。 何が哀しいのだろうか。
 しかし、しばらく待ってみても涙は目蓋から溢れ出すことはない。
 どうしてなのだろう。 こんなに哀しいのに。
 いつからか、紫苑の心の中は空虚なもやに覆われていた。
 卒業してからずっと…いや、入院してからずっと。
 …ううん、そうじゃない。 それは、きっと…。

 ふと、あの人の笑顔が目蓋の裏を掠めた。
 あの人の浮かない顔が、紫苑の琴線に触れる。
 駄目、あの人のことを考えては…。
 でも、もう遅かった。 目頭がかぁっと熱くなる。
 目を押さえるように覆った両手の隙間から、大粒の雫がぽろぽろと零れ落ちた。


  -----------------------



182 :Qoo:2007/05/23(水) 01:24:00 ID:jzU6ogpf0

 目の前の戸をコンコン、と叩く。
 少しして向こうからどうぞ、と反応が返ってきた。
 逸る鼓動を落ち着かせるように胸に手を当て、はぁー…と息を吐き出すと、
 厳島貴子は「失礼します」と声を掛けながらドアノブに手を伸ばした。
 戸を開けると、紫苑さまは本を片手にベッドに腰掛けていた。
「貴子さん…?」
 紫苑さまは貴子の姿を捉えると、その目を驚きに見開いた。
 貴子はできうる限りの笑顔を浮かべ、会釈する。
「ごきげんよう、紫苑さま。お加減はいかがですか?」
「ごきげんよう。お久しぶりです貴子さん。最近は体調がいいんです」
 そう言って胸に手を当てながら微笑する紫苑さま。
 確かに、紫苑さまと逢うのは久しかった。
 卒業を目前にして紫苑さまが倒れられ、入院してから半月近く、一度もお逢いしていない。
 しかし、パジャマ姿の紫苑さまは特にやつれている様子もなく、血色も良さそうに見える。
 浮かべている優しい微笑も、卒業を前に倒れられる以前と変わりない。
「そうですか……これをどうぞ」
 返事を曖昧にしながら、貴子は手に持っていたお見舞いの品の入った紙袋を紫苑さまに手渡した。

183 :Qoo:2007/05/23(水) 01:25:09 ID:jzU6ogpf0

「ありがとうございます、貴子さん」
 持っていた本をかたわらに置いて、嬉しそうにそれを受けとる紫苑さまを見つめながら、
 貴子の心境は複雑だった。
 笑顔で体調がいい喜ぶ紫苑さまの目を、直視することができなかった。
 良かったです、とは言えず、かといって気の利いた言葉も浮かばない。
 もちろん、紫苑さまの身体が悪くなればいいとは思っているわけではない。
 決してない…のだが、しかし体調が良くなれば、その先にはきっと幸せではない未来が待っているはずなのだ。
 そんな状況ですら、何ら霞むことのない紫苑さまの慈悲深い笑顔が心に痛い。

「中を見てもよろしいですか?」
「え、ええ、どうぞ」
 ぼっ、としていたところに話しかけられ、貴子は思わず我に返った。
 私はお見舞いに来たはずだろう。 暗くなってどうする。
 沈みそうになる心を鼓舞しながら、紙袋の中を探る紫苑さまを見守る。
「これは…本…と、ストールですか?」
「ええ。紫苑さまにお似合いになりそうな色を見つけてぜひと思いまして」
「ありがとうございます。嬉しいわ」
 にこっと笑顔を浮かべる紫苑さま。
 良かった、喜んでもらえたみたいだ。
「ごめんなさい貴子さん、お座りになって」
「あ、いえ、では失礼します」
 紫苑さまに促され、貴子は近くにあった丸椅子を少し動かして腰掛けた。

184 :Qoo:2007/05/23(水) 01:27:34 ID:jzU6ogpf0

「前々から伺おうと思っていたのですが、ずいぶんと遅れてしまいました」
「あら、とんでもないですわ。来ていただけただけでも十分嬉しいです」
 貴子の言葉に、紫苑さまは口元に手を当てて一瞬驚いたような仕草を見せると、くすくすと笑った。
「それは良かったです」
 紫苑さまに笑みを返すと、貴子はふと窓の外を何かが横切って行ったのを感じ、
 窓の向こうに視線を向ける。 鳥でも飛んでいたのだろう。
 ふと見据えた空は雲が多く快晴とは言いがたいが、合間に見える空は抜けるように青く、
 十分に天気だと言えるだろう。
「…寒さも段々と和らいできましたね」
 外はまだまだ気温は低いものの、それでも日に日に風の冷たさが優しくなっていくのを感じる。
「そうですね…時々庭を散歩しているときに、ふと暑さを感じることもあります」
「ええ。でもまだ3月ですから、寒さのぶり返しに注意しないといけませんわ」
「ふふっ、そうですね」
 紫苑さまが微笑する。 相も変わらず、綺麗で穏やかな笑顔だ。
 初めてこの目で見たときから、貴子はずっと紫苑さまに憧れていた。
 紫苑さまを目指していたとか、紫苑さまになりたかった、というわけではない。
 自分が自分でしかないことは、厳島の家に育って物心付くころから心に刷り込まれている。
 しかし貴子の理想の根底には、紫苑さまの姿が目映いまでの光を放っていた。

185 :Qoo:2007/05/23(水) 01:32:51 ID:jzU6ogpf0

「紫苑さま、先ほどはどのような本を読んでいらっしゃったのですか?」
 貴子はふと先ほど紫苑さまが持っていた本のことを思い出し聞いてみると、
 紫苑さまは「これですか?」と近くに置いた本を手に取った。
「これは推理小説です」
「推理小説…ですか。殺人事件などが起こったりする…」
「いえ、この本では殺人事件など物騒な事件は全く起こらなくて、
 ただ、日常に起こる小さな事件を主人公が解決していく物語なんです。
 この前奏ちゃんがお見舞いに来てくれたときに頂いたものなんですけれど、
 面白くて見返していたところだったんです」
「それでは、もしかしてお邪魔虫でしたか?」
「あら、とんでもありません。本はいつでも見られますから」
「なるほど…ということは、その本以上に紫苑さまを楽しませなければいけないのですね」
 貴子がそう言うと、ふっと笑う紫苑さま。
「まぁ、貴子さんったら…」

186 :Qoo:2007/05/23(水) 01:34:16 ID:jzU6ogpf0

「奏さんはよくここに来られるのですか?」
「ええ、よく来てくれていますわ」
 紫苑さまと奏さんの組み合わせを考えてみたところ、ある光景が脳裏に浮かんだ。
「それで…毎回毎回抱きしめていらっしゃるとか」
「ど、どうしてそれを…?」
 目を丸くして動揺する紫苑さま。 らしくなく慌てている。
「いえ、幾度か紫苑さまが奏さんを抱きしめていらっしゃるところを見たことがありましたから、もしや…と思いまして…」
「奏ちゃんが可愛すぎるのがいけないんです」
 困ったような表情でひどく脈絡のない言い訳をする紫苑さまに、貴子は思わず吹き出した。
「ふっ、ふふふふ…言い訳になっていませんわ紫苑さま」
「わ、笑わなくてもいいじゃありませんか…」
 笑いをこらえきれない貴子に、唇を尖らせて膨れる紫苑さまだったが、
 そういう紫苑さまの表情も、あの奏さんに負けず劣らず可愛らしかった。

187 :Qoo:2007/05/23(水) 01:36:02 ID:jzU6ogpf0

「ふふふっ…そうですか…奏さんが…。
 お姉さまたちが卒業されて寮生も少なくなりましたし、寮に入る新入生が多いといいですね」
「そうですね…」
 そうささやきながら、本を優しく撫でる紫苑さま。
「あのうるさいのがいなくなりましたから、余計に静かに感じられるでしょう」
「うるさいのというのは、もしかして…?」
 紫苑さまが、首をかしげながら言葉後を濁す。 まぁ、「もしかして」も何もなく…。
「もしかしなくても、まりやさんのことですわ。先日、海の向こうへと旅立ちましたわ」
「ええ。発つ前にまりやさんがお見舞いにいらしてくれました。デザインの修行をするとかいう話でしたね」
「ええ。あのまりやさんのことですから、いつまでもつか見ものですけれど…」
「…まりやさんはきっと大丈夫ですわ」
 穏やかな表情で言う紫苑さま。
 実のところ貴子もそう思っているのだが、今更まりやさんを素直に褒められるはずもない。
「真面目にやればそこそこのところまで上り詰めることもできそうですけれど…。
 如何せんあのまりやさんですから」
「ふふふ…相変わらず仲良しなのですね」

188 :Qoo:2007/05/23(水) 01:39:51 ID:jzU6ogpf0

「そんな、誤解ですわ。どうしてあのまりやさんなんかと」
 慌てて否定する貴子の様子に、更にふふふふ…と吹き出す紫苑さま。
「だって、貴子さんの言葉一つ取っても…ふふふ…端から見れば仲良しにしか見えません」
「も、もう紫苑さま、そんなに笑わないでください」
 顔を赤らめ少しいじけながら紫苑さまに懇願する貴子だったが、それが更に紫苑さまのツボにはまるらしく、
「ごめんなさい…でも、ふふふふ…」
 と謝りながらも、先ほどのお返しとばかりにしばらくの間笑われてしまう羽目となってしまった。
「う───……」
 仏頂面で唸りながら、目の前で笑い転げる紫苑を見つめる貴子だったが、
 しかしそんな紫苑さまを見つめながら、貴子は内心安堵していた。
 紫苑さまからしてみれば、貴子は政略結婚させられる相手の妹であり、
 貴子の面会を嫌がったところで何ら無理はなかった。
 それなのに、実際紫苑さまはそんなことをおくびにも出さず、
 貴子を目の前にして明るい表情を見せてくれているのだ。
 兄との結婚を望んでいる…ううん、そんなはずはない。
 血は繋がっているものの決して人に誇れる兄ではなく、性格はお世辞にも良いとは言えない。
 漁色振りも有名であり、それを紫苑さまが知らぬ訳もないだろう。
 それでも家のために好きでもない男の下へと嫁ぐ運命を押し切る覚悟を、紫苑さまは秘めているのだろうか。
 もし自分がそのような状況下に置かれたら、いくら家のためとはいえ…きっと、一も二もなく逃げ出している。

189 :Qoo:2007/05/23(水) 01:41:33 ID:jzU6ogpf0

 はっ、と思慮の海から意識が戻った。
 いつの間にか紫苑さまの笑い声はやみ、室内を静寂が支配している。
 ただ、紫苑さまの優しい光を湛えた瞳が、貴子の目をじっと見つめていた。
 貴子が二の句を失していると、静けさを切り裂いて紫苑さまが口を開く。
「貴子さん」
「あ、はい…何でしょうか」
「お兄様は…お元気ですか?」
「……!」
 たおやかな口調で何気なく発せられた紫苑さまの言葉に、貴子の身体にびくっと震えが走る。
 よもや紫苑さまからその話題に触れられるとは思いもしなかった。
 ああ、普通の関係であれば私たちは義理の姉妹になるのだから、こういう話題になってもおかしくはないのか。
 しかし、残念ながら自分たちはそうではない。
 紫苑さまは貴子の動揺を知ってか知らずか、真摯な目で貴子の返事を待っている。
「ええ…元気…ですわ」
 残念ながら、という言葉が頭に浮かぶが、それをこちらから言うわけにもいかない。
「そう。それは良かったわ」
 そう言って微笑する紫苑さま。
 紫苑さまは全てを知り、その上で運命を受け入れようとしているのだろうか。
 もしそうであるならば、今まで私たちがやってきたことは紫苑さまの決意を踏み躙る、
 ただのエゴに過ぎないのかもしれない。
 しかし、相変わらず優しげな笑顔を浮かべている紫苑さまの瞳の色が、
 今は心なしか浅いようにも見えるのは、気のせいだろうか?
 …今日は、それを確かめに来たのだ。

190 :Qoo:2007/05/23(水) 01:43:17 ID:jzU6ogpf0

「…紫苑さま。お聞きしたいことがあります」
「何でしょう」
 貴子の機微を感じとったのか、紫苑さまは姿勢を正すと真っ直ぐに貴子の目を見つめた。
「紫苑さまは…このまま……」
 ふと、今自分がやっていることは紫苑さまをいたずらに苦しめるだけの行為なのではないだろうかと考え、
 貴子は思わず口ごもり、躊躇する。
「…このまま?」
 しかし先を促す紫苑さまの目の光に押されるように、貴子は言葉をつむいだ。
「紫苑さまは、このままでよろしいのですか?」
「…それは、どういうことですか?」
 紫苑さまは僅かに眉をひそめながら貴子に問い返す。
「このままであれば、紫苑…さまは……!」
 心にどうしようもない感情が吹き上がり、思わず言葉に詰まる貴子だったが、
 それでも言わんとしていることは伝わったはずだ。
「貴子さん…もういいのですよ」
 少し困った風に眼を細めながら、静かな声で、まるで全てを諦めるような言葉を吐く紫苑さま。
 しかしその暗く静かな雰囲気が、さらに貴子を昂ぶらせていく。
「よくなどありません!紫苑さまは、瑞穂さんのことを…!」
「…駄目…です」

191 :Qoo:2007/05/23(水) 01:45:34 ID:jzU6ogpf0

 瑞穂さんの名前を聞いた途端、ぴくり…と僅かに身体を震わせ、
 穏やかな声ながらもはっきりと拒絶の意を示す紫苑さま。
「紫苑さま…」
「あの人のことは…。もう…」
 今、紫苑さまの顔には主だった表情は浮かんでいない。
 しかしその瞳の奥に、どこか未練のような感情が見え隠れしているのは、決して気のせいではないはずだ。
「…紫苑さまは、瑞穂さんのことを好きだったのではありませんか!?」
 先ほど途中で止められた言葉を、心の勢いにまかせはっきりと繰り返す。
「貴子さん…!」
 張り詰めたような声で貴子を制すると、複雑な面持ちで貴子の目を見つめる紫苑さま。
「…それを言ったからといって、どうなるというのですか?」
 まるで感情を無理矢理抑え込むかのように無表情を繕いながら、そう貴子に問いかける。

「それは……」
 思いつめた瞳に見つめられ、貴子は言葉を飲み込んだ。
「もういいんです。私はもう……十分に幸せでしたから…」
「………………」
「ごめんなさい…今日は、帰って…ください、貴子さん…」
 貴子から顔を逸らしながら、紫苑さまが囁く。
「…申し訳ありません」
 言われた通り素直に席を立つと、椅子を元の位置に戻して紫苑さまの部屋を後にする。
「失礼します」
 頭を深く下げ、静かに戸を閉めると、貴子は出入り口に向かって歩き始めた。
 真白い廊下を歩きながら、握り拳をこつんと額に押し当てる。
 収穫は、あったのだ。

192 :名無しさん@初回限定:2007/05/23(水) 01:48:22 ID:GEGhN4nc0
紫苑、もとい支援

193 :Qoo:2007/05/23(水) 01:53:38 ID:jzU6ogpf0

「私は……もう十分に幸せでしたから…」
 紫苑さまの震えながら口にした言葉が頭の中で繰り返される。
 今にもくずおれそうに切ない声が、心が、胸に刺さるようだ。
 あんな表情の言葉が、信じられるわけがない。
 紫苑さまは、瑞穂さんのことを必死に諦めようとしている。
 しかし、未だに忘れられずにいるのだ。

 ……いや、そんなことは、前々から分かっていた。
 瑞穂さんに対して想いを同じくする者として、そして紫苑さまを遠目ながら常に見続けてきた者として、
 紫苑さまにとって瑞穂さんがどれほど大きな存在か、分からないはずがなかったのだ。
 ならどうして、私はここに来たのだろう。
 自分はただ、諦めたかったのかもしれない。
 ……ううん、もしかしてもっと後ろ暗い理由が、本当は貴子の心の隅に棲んでいたのかもしれない。
 だから、貴子は紫苑さまに波紋を投じた。
 紫苑さまのナイトになると決めた自分が、よもや紫苑さまと同じ相手に惹かれてしまった事実を、穿ち、砕くために。

194 :Qoo:2007/05/23(水) 01:54:52 ID:jzU6ogpf0

 病院の出入り口の自動ドアを抜けると、貴子は未練がましい自分を嘲るかのような笑みを唇に浮かべながら、
 スカートのポケットから携帯電話を取り出した。
 電源を入れ、おもむろに操作すると、一通の新規のメールを作成する。
 題はなく、内容はただ一行。
「こんな気持ちになるのも…全て貴方のせいです…」
 貴子は太陽が隠れ、少し陰りの表情を見せる空を見上げながら、
 溜め息と共に怨嗟がましい言葉を呟くと、決定ボタンを押す。
 しばらくして視線を戻すと、画面の中のダイアログボックスが無機質にメールの送信完了を伝えていた。
 目に見えない何かが、今見ぬ誰かに貴子の決意と言葉を運んでいく。


 - これほど想われておきながら、まだ燻っているおつもりですか? -


  -----------------------


195 :Qoo:2007/05/23(水) 01:55:40 ID:jzU6ogpf0

一応この話はこれで終わりです。
続きのプロットはありますが、今回は色々な表情の貴子さんが書きたかっただけなので、
それはまた暇を見て…。

…というより、こんなの書いてないでさっさとバースデイ・カプリッツィオを終わらせろ!
という感じですね…すみません。 ( ̄□ ̄;)
他の職人さんのスピードには敵いませんが、B・Cはちまちまと書いていこうと思います。
                           …頑張らずに適当に…。 Qooでした。m(_ _ )m


196 :名無しさん@初回限定:2007/05/23(水) 02:07:04 ID:GEGhN4nc0
乙。いい話だ。貴子さんかっこよさげ。

ところで、地の分がめちゃくちゃじゃないかな? 三人称と貴子さんの一人称が混ざってると思う。
視点は貴子さんだけど貴子さんが一人称で語っている訳でもない。
なのに紫苑さまのことを地の文で「紫苑さま」と表記しているのはおかしいよ。
言葉は悪いけど、すごく気持ち悪かった。
でも続きは期待しているので、がんばってください。

197 :名無しさん@初回限定:2007/05/23(水) 10:17:59 ID:pDFzDuVBO
こんな話を読まされると紫苑さまルート以外
プレイ出来なくなってしまうじゃないかw

続き両方とも楽しみに待ってます

乙でした!

198 :名無しさん@初回限定:2007/05/23(水) 18:35:53 ID:wOC2aiL30
>197
きっと、どのルートでも、瑞穂お姉さまと、
貴子さんが、なんとかしてくれるさ。
すくなくとも、ユカリン、一子ルート意外ならね。多分;

199 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/24(木) 00:02:43 ID:gcBpvk0q0
東の扉です。
懐かしい作者さんが2名、復活してますね。GJです。
Qooさん、どちらもあせらず、自分のペースでいいので書いていってください。
私は、相変わらず「ほころび始めた縁」以外にもいろんなケースを考えてます。
(現在、最初から全部まりやが仕組んだと思い込んで怒り核爆発、不機嫌モード全開の由佳里ちゃんに、
まりやが脅し半分の交渉で瑞穂くんに由佳里ちゃんを慰めさせて「これなら文句ないでしょ?」と水に流させるケースで落ち着いてます)
ところでQooさん、私も以前に偽者の被害に遭いましたので、トリップはつけたほうがいいと思いますよ?

それでは、「貴婦人への架け橋」のデート編が出来ましたので、(以前のはバースデー編とします)投下させていただきます。
よろしければ、どうぞ見てやってください。

200 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/24(木) 00:07:47 ID:geWge7Je0
 5月12日の夜、軽井沢の別荘では、僕の誕生パーティーで盛り上がっていた。

〜貴婦人への架け橋 デート編〜

「それにしても奏ちゃん、ずいぶんとしっかりしてきましたわね」
「ええ。僕の自慢の妹ですから」
「2年前は瑞穂さんなしでは何もできない娘のように見えましたのに……さすがエルダー候補になるだけのことはありますわね」
「そうね」
 みんなの会話を聞いていて、僕の頭にふと疑問があがった。
「ねえ、そういえば、もう1人のエルダー候補、由佳里ちゃんは?」
「え? そういえば……」
 僕は、ここに来てから由佳里ちゃんと何をしたのか覚えていない……というより、由佳里ちゃんを見た記憶そのものがなかった……と思う。
「由佳里ちゃんでしたら、楽しみにしておりましたから、来ていると思うのですよ」
「でも、確か場所が変更になったことを言った時にはいなかったと思うけど……」
「でも、お姉さま方がお伝えくださっているはずなのです」
奏ちゃんはそう言うけど……僕はまりやと貴子さんを見て聞いた。
「ねえ、由佳里ちゃんに場所が変わったこと、ちゃんと言ってくれたよね?」
「そりゃあ、由佳里は貴子の生徒会の後輩なんだから、伝えてるわよ」
「何をおっしゃいますの! 由佳里さんはあなたの方がお姉さま歴はずっと長いのですから、あなたが伝えるべきでしょう!」
 ………。
 数瞬の沈黙。それを僕が破った。
「……つまり、こういうことだね。由佳里ちゃんは、会場が変更になったことを知らない。
今も松島の別荘で、1人私たちを待ち続けている……と」
「……そ、そういうことみたい……ですわね」
 何かなくてはならないものを見落としてるとは思ってたけど……。

201 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/24(木) 00:12:20 ID:geWge7Je0
「や、やば! 早く由佳里に知らせないと!」
 紫苑が言うや、まりやは携帯を取り出し、かけ始めた。
「由佳里? あたしだけど、今どこにいるの?」
 そう言ってから少しして、まりやの顔が蒼ざめる。
「あ、あのね由佳里……ちょっと言いにくいんだけど……」
 まりやは気まずそうになりながらも、会場が変更になったことを由佳里ちゃんに告げる。
「ごめん……とにかく、すぐにそっちに迎えよこすから……そう。わかった。気をつけてね」
「まりや、由佳里ちゃん、やっぱり?」
 僕は、まりやが携帯を切ると、聞いてみる。
「うん……知らなかったみたい……」
「それで……由佳里ちゃん、それ聞いて、がっかりしてなかった?」
「うん……泣いてた」
「やっぱり……」
 由佳里ちゃんには悪いことしちゃったな……。
「まったく……まりやさん、大切な妹をいびることしか考えてないから、こんなことになるのですわ」
「何よ貴子! 由佳里はあんたにとっても生徒会の妹でしょ? 
生徒会長やってたくせに、妹に関して無関心だからこうなったんじゃない!」
「なんですって! 言わせておけば、そもそもあなたは……」
 まりやと貴子さんはお互い罪をなすりつけあっている。見苦しい……。
「悪いのはまりやさんでしょう!?」
「貴子じゃない!」
「おやめなさい!!」
 そこで、紫苑が2人を制する。
「悪いのは、私たち全員、でしょう。違いまして?」
 紫苑の鶴の一声に、誰も反論できない。
「そうだね。紫苑の言うとおりだよ。誰か1人でも由佳里ちゃんに確認していれば、こんなことにはならなかったんだ」
 由佳里ちゃんには、後で何かお見舞いでも持って謝りに行かないと……なるべく早い方がいいよね。

202 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/24(木) 00:17:19 ID:geWge7Je0
「紫苑……明日のデートだけど……」
「ええ。由佳里さんに謝罪に行きましょう」
「ごめん……」
「いいえ瑞穂さん、私にも責任の一端はありますから」
「待って!」
 紫苑にデートの中止を言おうとしたところで、まりやが声をかけた。
「いいよ。瑞穂ちゃんは、紫苑さまとデートしてきなよ」
「でも……」
「由佳里はあたしたちでなんとかなだめるからさ。あたしたちのミスで、せっかくの瑞穂ちゃんの誕生日の楽しみまで潰すのもなんだしさ」
「だけど、由佳里ちゃんは……」
 僕がそう言いかけると、まりやが急に真顔になった。
「瑞穂ちゃん、そんなにあたしたちが信用できない?」
「まりや……」
 そうだね。まりやだって、僕たちのことを考えて言ってくれてるんだ。
由佳里ちゃんのことはまりやたちに任せておけば、謝罪は少しぐらい延ばしても大丈夫だろう。
「……ありがとう」
「いいって。それじゃ、瑞穂ちゃんは紫苑さまとどうやって楽しむかを考えなよ」
「うん。じゃ、由佳里ちゃんのこと、よろしくね」

203 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/24(木) 00:22:28 ID:geWge7Je0
 そして翌日……。
「いよいよ、瑞穂さんと一緒に軽井沢で過ごせるのですね」
「そうですね……」
「瑞穂さん?」
 まずい……僕が何を考えているのか気づかれたかも……。
「由佳里さんのことが気になるのは私も同じですからわかりますけど、今日一日は、私のことだけを考えてくださいませんか?」
「わかりましたよ」
 そうだね。由佳里ちゃんにはまりやたちがついてるんだし、
せっかくのデートでこんな気分じゃ、まりやの気持ちを台無しにしてしまうことになるからね。

 そして、デートに出発して、いくつかの観光名所を訪れた。
「ね、ねえ、紫苑」
「なんですか、瑞穂さん?」
「もっと、自然の観光名所とかにも行きませんか?」
 2人で相談した結果、僕と紫苑の行きたいところを半分ずつ、交互に行くことになったんだけど、
僕はなるべく人の少ない自然の場所を希望した。なぜなら……。
「ねえねえキミたち、きれいだねえ、どう? 俺らと一緒に遊ばない?」
 その理由は、これだ。もう今日で何回目かわからない。
「ごめんなさい。私たちは2人で楽しみたいの」
「そんなつれないこと言わずにさあ。女同士でいてもつまんねえよ?」
 ナンパ師全員にこんなこと言われてるし。僕、今日は女装してないのに……ううう……。
「僕は男なんですけど?」
「またまた、そんなジョーダン。どっからどう見てもとびっきりの美女じゃん。なあ?」
「そうそう。姉ちゃん、そんな見え見えのウソつくなんて、面白いねえ」
 ガーン!!
「とびっきりの美女……見え見えのウソ……ううう……」
 僕、もうどうかしてしまいそう……。

204 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/24(木) 00:27:22 ID:geWge7Je0
「あら、瑞穂さん、体調が悪くなってしまったみたい。私は彼女を病院に連れて行かなくてはいけませんから、
申し訳ないですが、あなたたちと遊んではいられませんわ」
 紫苑はそう言ってナンパをかわす。だけど、紫苑まで「彼女」なんて……。
「ちぇ、しょうがねえなあ」
「じゃあな」
 そう言ってナンパ師軍団は去って行った。
「ううう……」
「瑞穂さん、もういい加減落ち込むのはやめませんか?」
「だけど……もう100回近くもナンパされて、こんなこと言われ続けると……」
「112回ですわ」
 満面の笑顔で言う紫苑。数えてたの……。
「楽しそうだね、紫苑……」
「ええ。それだけ殿方にナンパされると、嬉しいですから」
 僕は男にナンパされても、全然嬉しくないですけどね……。
「でも、瑞穂さんにも、おいしいことはあったではないですか」
「まあ、あれはおいしいかどうかは……」

 そう、あれとは、僕たちが喫茶店でしゃべっていた時のこと……。
「あ、あの……」
 僕たちに見知らぬ女の子2人組が、顔を赤らめながら声をかけてきた。
「なんですか?」
「さ、サインをしていただけませんか?」
「あの……僕たちは芸能人じゃないんですけど……」
 僕は、アイドルの誰かと勘違いしたんだろうと思って言ってみる。
「だ、ダメですか?」
「ダメじゃないですけど、価値なんてないと思いますよ?」
「そんなことありません! 私たちにとっては、宝物ですから!」
「瑞穂さん」
 女の子たちが悲しそうな顔をすると、紫苑が「めっ」という顔で僕を睨む。
 そうだね。こんなに必死でお願いしてるんだから。僕は聖央でエルダーをしていたときの気分を思い出す。

205 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/24(木) 00:32:14 ID:geWge7Je0
「わかったよ。僕たちでよければ」
「あ、ありがとうございます!」
 2人はぱあっと笑顔になる。僕たちは紙に「鏑木紫苑」「鏑木瑞穂」と名前を書いてあげる。
「あの……ご友人同士かと思っていましたが、お2人は、ご姉妹なんですか?」
「いえ、僕た……むぐぐ……」
「まあ、似たようなものですわ」
 僕が夫婦だと言おうとすると、突然紫苑に口をふさがれた。
「あの……紫苑さま、瑞穂さま……」
「まだ何か?」
「よろしければ、ついでに握手もお願いできませんか?」
「ええ、いいですよそれぐらい」
 僕と紫苑は2人で交互に握手をしてあげた。
「ああ……感激です……」
「私たち、しばらくこの手を洗いませんから!」
 そう言って、2人の女の子はふらふらしながら自分の席に戻った。

「まあそれは、役得というかなんというか……」
「そういえば、こんなこともありましたわね」

206 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/24(木) 00:37:12 ID:geWge7Je0
 洋服店に入ったときのこと……。
「お嬢ちゃんたち、こんなのも似合うんじゃないかい?」
 そう言って店のおばさんが出してきたのは、清楚なイメージの白いワンピース……確かに紫苑には似合いそうだけど……。
「あの、僕に似合うのも、選んでくださいませんか?」
「何言ってんだい。あんたにも似合うじゃないか! そんな男みたいな服よりずっとね」
 ガーン!!
 ま、また女の子と間違われてるし……。
「ううう……」
「あら、瑞穂さん、また落ち込んでしまいましたわね」
「僕は、ずっと性別を間違われてばかりなんだ……」
「もう落ち込むのはやめません? 見てる私は楽しいですけど、瑞穂さんには身体に悪いですわよ?」
「ううう……どうせ僕の性別は……」
「あたしはどんなに男が女装してても女が男装してても、本当の性別を一瞬で見抜けるんだよ」
 店のおばさんがそう割り込んできた。
「あーん!! それって追い打ちーっ!!」
 僕は女装なんてしてないのに……とうとう僕は泣き出してしまった。
「えーん!! くすん、ぐすん……」
「ほらほら、元気をお出しなさい。誰が信じなくても、私はあなたが男性の方だと、理解してますから」
「ううっ……紫苑……」
「ほら、わかったら、顔をおあげなさい」
 紫苑にそういわれて、僕が顔を上げると……。
 チュッ……。
「………!!」
 紫苑が僕にキスしてきた。途端に顔が赤くなる。
「元気の出るおまじない、ですわ。効き目はありまして?」
「ええ。もう十分に」
 僕はこうして、落ち込んだ時は紫苑からのキスに元気をもらっていた。

207 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/24(木) 00:42:19 ID:geWge7Je0
 そして、夕方……。
 一通り軽井沢を満喫した僕たちは、ホテルでディナーを食べることになっていた。
 なんでも、今日ここで、多くの新人賞を受賞した軽井沢出身の新人アイドル、花園瑠璃香(はなぞの るりか)が
コンサートを開くらしい。僕たちは彼女の顔を知らないんだけど……。

「きゃっ!」
「わっ!」
 と、僕がホテルの廊下の角を曲がったところで、1人の女の子とぶつかった。
「あっ、ご、ごめんなさい!」
「いえ、こちらこそ……」
 その女の子は僕たちに謝るやいなや、手を廊下について何かを探し始めた。
「コンタクト、落としちゃった……どこかな?」
「コンタクト? 僕たちも手伝うから……」
 僕と紫苑は、そう言って廊下に手をついてあたりを探り始める。
「あ、ありがとうございます!」
 そして、しばらくたったころ……。
「あっ!」
「見つかったの? 紫苑」
「ええ。これではなくて?」
「ええ。これです! ありがとうございます!」
 女の子はそう言ってコンタクトをはめた。
「わあ、なんて素敵な方々……」
 女の子は、そう言って頬を染めて僕たちにうっとりと見とれている。
「ふふっ、ありがとう。そういう君も、結構かわいいと思うよ」
「え? ありがとうございます……こんな素敵なお姉さまからかわいいなんておっしゃっていただけるなんて……
ああ……私は幸せ者です……」
 ガーン!!
 ……やっぱり性別を間違われるのか。
「あ、あの、私、急ぎますので、これで……また、お会いできるといいです」
「ふふっ、そうですわね」
 女の子はそう言って急いでかけ足で去っていった。

208 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/24(木) 00:47:22 ID:geWge7Je0
「あれ、これはハンカチ?」
 ふと、あの娘がいた場所にハンカチが落ちていた。多分あの娘が落としていったんだろう。
「あの娘のものらしいですわね。九鬼妙子(くき たえこ)さんですか……あとで届けてあげましょう」
「そうですね……」
「それにしても、あの娘ったら、瑞穂さんにメロメロでしたわね」
「紫苑にじゃないんですか?」
「アイドルの花園瑠璃香という人とその姉か、その妹だと勘違いされたのでは?」
 ……どっちにしても僕は女なんですか。
「ううう……」
「あら、また落ち込んでしまいましたか……もう今日で何度目でしょうか?」

「ごちそうさまでした」
「僕は家庭料理の方が好きですけど、たまにはこういうのもいいですね」
「私は、瑞穂さんと一緒なら、なんでもおいしくいただけますが?」
「もう、紫苑ったら……」
 僕と紫苑はホテルで夕食を食べ終えた。そういう僕も紫苑の笑顔を見てると、なんでもおいしく感じるな。
 ただ、相変わらずサインや握手のお願いがひっきりなしなのは疲れるけど……。
「そういえば、さっきの妙子……さんに、これ届けにいかないと……どこにいるんだろ?」
「さあ……私たちをアイドルと勘違いして見とれていらしたようでしたから、歌謡ショーの会場にいらっしゃるのでは?」
「そうですね。行ってみましょう」
 僕たちは、コンサート会場に向かった。

209 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/24(木) 00:52:21 ID:geWge7Je0
 コンサート会場では、ホテルの宿泊客やファンのみんなが、花園瑠璃香の登場を心待ちにしていた。
 そしていよいよ、彼女がステージ衣装で舞台に現れた。
「あれ? あの娘は……」
「あら……」
 僕と紫苑は、その姿を見て驚いた。
「あれ、九鬼妙子さんじゃ……」
「そう……ですわね。どういうことなのでしょう……」
 1曲終わった後で、僕たちがどうやって近づこうか話していると、向こうもこちらに気がついたらしくて、
目を輝かせてこっちに向かおうとする……けど、スタッフに制止されたようだ。
 それ以降聞こえてくる歌は、最初とは比べ物にならないほど輝いていた。
「ふふっ、彼女、途端に活き活きしだしましたわね。瑞穂さんの影響ですわね」
「紫苑の影響でしょう?」
 そして、彼女は全ての歌を歌い終わった。会場からは大きな拍手が飛び交う。
「えー、それでは、次は瑠璃香ちゃんとファンの交流会! 瑠璃香ちゃんにファンの中から選んでいただきましょう!」
 そう言われて、彼女が選んだのは、やはり僕たちだった。
「あの、さっきは、ありがとうございました!」
「いいえ、お気になさらずに。ところで、このハンカチ……」
 そう言って、僕はハンカチを差し出す。
「あっ……それ私の! わざわざ、これを届けに?」
「ええ……」
「ああ……こんな素敵なお2人に2度までも……感激です!」
 ……あのね、あなた、ファンの前だってこと忘れてない?
「でも、あなた花園瑠璃香さん、ですよね? これには九鬼妙子と書いてありますから、別の方のかと……」
「九鬼妙子は私の本名です! 花園瑠璃香ってのは、芸名ですよ!」
 紫苑の疑問に、彼女はそう答えた。
 それから、瑠璃香ちゃんは僕たちに一緒に写真に写ってほしいとか、名前や住所を教えてほしいとか頼んできた。
 最後に僕たちに何か歌ってほしいと言ってきたので、僕たちはステージ衣装であるフリフリのミニスカドレスに着替えて
3曲ほど歌うことになった。
 2人で投げキッスをしたら、鼻血を噴いたり、恍惚の表情をしたファンの死屍累々の山と化してしまった。
その中には、瑠璃香ちゃんもいた。
 アイドルなのに……「らしくなさ」は一子ちゃんといい勝負だな……。

210 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/24(木) 00:57:29 ID:geWge7Je0
 そして僕たちは、鏑木家の別荘に帰ってきていた。
「ふう……色々あったけど、とても楽しかったですね」
「ええ」
「紫苑にとっては、何が一番楽しかったですか?」
「そうですわね。雲場池やテーブルマウンテン、見晴台などもよろしかったですけど、やはり一番は……」
「一番は?」
 花園瑠璃香ちゃんと友達になれたこと?
「女装してない瑞穂さんが女性に間違えられたことと、それで瑞穂さんが落ち込んだこと、ですわ」
 ガーン!!
「け、結局、そこへ行くんですか……」
 おまけに紫苑も、最近まりやの影響で、よく僕に女装させたがるようになってきてるし……。
「瑞穂さんの女装、私は大好きですわ。とっても素敵ですから」
 満面の笑顔でそう言う紫苑。僕には痛恨の一撃です。
「もちろん、そのままも男性の瑞穂さんも、とっても素敵ですけど」
「あはは……」
 さらにそう続ける紫苑。きっと、一生かなわないんだろうな。でも、それも悪くないかも。

 そして……。
「むにゃあ……母さまあ……」
「私というものがありながら、まだお母さまの夢を見るなんて……こら!」
 幸せそうに眠る瑞穂に、紫苑は優しくそう言い、人差し指で瑞穂の唇を押さえる。
 パクッ!
「………!!」
 と、瑞穂が寝ぼけて紫苑の指をくわえた。
「あん♪ 甘ーい」
「ふふっ、瑞穂さんったら」
 その夜、紫苑は幸せそうな瑞穂の寝顔に、遅くまでいたずらし続けるのであった。

To be continued……

211 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/24(木) 01:08:28 ID:geWge7Je0
とりあえず、以上で一区切りです。
急遽予定を変更して、書き上げた軽井沢デート編。
由佳里ちゃんには悪いですけど、もう少し落ち込んでてもらうことにしました(汗)
本当は最初にオリキャラ警告入れなければいけなかったのに忘れてしまって、自分のダメダメぶりに……。

ところで、最近ネタばかり浮かんできて作品化が全然追いつかないので、
不本意ではありますが、丸投げすることにしました。

お題:瑞穂くんがまりやからもらった密輸入ハードコア写真集。
   捨てるのに困った瑞穂くんは、とりあえず部屋に隠しておき、そのまま忘れてしまった。
   それをまりや以外の“誰か”が見つけてしまい……!

私としてはL鍋さんに書いていただきたいですが、無論それ以外の方でも大歓迎です。
書いていただくのですから、私の思っていたのとは全然違っていても文句は言いません。
どなたか、よろしくお願いします。

それでは、これにて失礼します。

212 :名無しさん@初回限定:2007/05/24(木) 01:20:04 ID:CNrEnhs60
あーほのぼのデートいいねぇ。
さすがに三桁のナンパ野郎はどうかと思いますがw
瑞穂ちゃんがステージ上で歌って踊る姿はぜひ見たい。

あと、Qooさんもよかったですよ。貴子さんがかっこいいー。紫苑様切ないー。
196さんが言ってたので注意して読み直したら、たしかに地の文にちょっと違和感ありますね。たとえば

>張り詰めたような声で貴子を制すると、複雑な面持ちで貴子の目を見つめる紫苑さま。

とか、この地の文が成立するのはまりやの一人称だけじゃぁ・・・
でも総じて満足! 続きを切に希望してみます。

213 :名無しさん@初回限定:2007/05/24(木) 01:26:41 ID:C/2jgriB0
新作キター!!!(・∀・)

にしても、また由佳里ちゃんが…
今年に入ってからこの手のSSばかりだな。以前は面白いオチだなと思っていたが
最近はそれを通り越してなんか可哀想になってきた。

まりやに由佳里ちゃん宥めさしたら、傷口に塩を塗りこみ更に火に油を注ぎそうだがw
ここ等でゆかりん救済系が読みたくなってきたな。誰か書いてくれんかな?俺は絶対読むぞ?

214 :名無しさん@初回限定:2007/05/24(木) 01:29:09 ID:TwDHCsyUO
面白いんだから細かいこといいっこなしでいいんでない?
と言いつつ、貴子さんは自分のことを指して貴子と言っている
貴子さんの一人称は貴子説を唱えてみる

215 :名無しさん@初回限定:2007/05/24(木) 02:15:13 ID:cKi8qhCk0

>>196 >>212
えっと…話の書き方はマリみての影響を受けてます…。
話の読み手が自分のことを自分の名前で呼びながら話していく書き方です。
テラーとしての自分は、話の中の自分とは同じ心を持った別の人物とでも言いましょうか…。
だから自分のことは呼び捨てで、他の人は自分の呼び名で呼ぶわけで…。

なので貴子の話で、自分のことを指すときは全て「貴子」で通しています。
話の中で自分のことを「私」言っているところは、心情を直接表している箇所で、
いわゆる「かっこ( )」で囲んで表されることが多い部分です。

…ぐだぐだと説明してしまいました。
うぅ…説明しないとこんなことも伝えられないなんて…。
          力不足で本当にごめんなさい。 (iдi)

216 :名無しさん@初回限定:2007/05/24(木) 10:36:52 ID:CNrEnhs60
意味合いは違えど>>212さんの説で正解ということですか。
すみません、マリみて読んだこと無いので気づきませんでした。

217 :名無しさん@初回限定:2007/05/24(木) 10:38:41 ID:CNrEnhs60
間違えました>>214さんの説、です。

見当違いの批評をしてしまって申し訳なかったです・・・

218 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/05/24(木) 20:36:48 ID:4+MNGEsE0
こんばんは。
東の扉さん、今回もおもしろかったです。GJ!

お題についてですが、面白そうですよね。
ただ、ほんとに今は仕事がきつくて体力無くて・・・orz
もし、私が書くとしたらかなりハチャメチャな展開になるでしょうね!

瑞穂卒業の前日、お姉さまの寮の引越しを手伝おうと大勢の妹たちが押しかけていた。
あわよくば、お姉さまの思い出の品を、ゲットしようと期待に胸膨らませて!
そこで、ある一人が見つけた(お姉さま使用済み?)密輸入ハードコア写真集。
妹たちの欲望が一気に爆発して、奪い合いの修羅場!!
騒動を聞きつけて集まる上級生グループも虎視眈々と狙ってるっ!!

てな感じですかね^^
ま、来月には何か一本書きたいなとは思っていますので、今回は読むほうに専念させていただきたいな・・・と。



219 :名無しさん@初回限定:2007/05/25(金) 22:15:46 ID:E9nU+gUk0
密輸入ハードコア写真集って
イカレてやがるぜ、この雌猫ちゃんはよォ! ヘイ、ベイベェー!
オレのマグナムであんたのケツの穴をノーフューチャー! ノーフューチャー!
こんな感じ?

220 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/05/26(土) 20:04:48 ID:Nx41NQuW0
>>218
>私が書くとしたらかなりハチャメチャな展開になるでしょうね
それを期待していますので……。
ただ、写真集を見つけるのは、ヒロインでも、準レギュラーでも、一般生徒でもかまいませんので。

>今回は読むほうに専念させていただきたいな
いつでもかまいませんよ。記憶の片隅にでもとどめておいてくださって、いつか書いていただければ幸いです。

>>219
ここに載せるにしてはなんか危ない気がしますが……。

221 :名無しさん@初回限定:2007/05/27(日) 01:17:31 ID:KWaTPWFf0
>>220
ここに載せるのは危ない?
だったらエロパロ板の方に投下すりゃ良いじゃないか。
あっちはここ最近の作品投下が全く無いから大歓迎だろうぜ。

親切ついでにリンクも貼っといてやらぁ。アンタのお越しを向こうで待ってるぜ!

乙女はお姉さまに恋してる(エロパロ板)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1166226552/

222 :名無しさん@初回限定:2007/05/27(日) 05:30:20 ID:9XibygGn0
同人ダウンロード
http://www.nip-go.net/index22.php

223 :名無しさん@初回限定:2007/05/27(日) 09:27:24 ID:UTgAwWmu0
>>222はワンクリです。
引っかかる人は居ないと思うけど、念のため。

224 :特に何もない日常の1コマ 1/2:2007/05/30(水) 00:57:34 ID:U8+cD7pR0
「わ〜い、終わった〜」
由佳里ちゃんは言葉と同時にバンザイをして立ち上がると、くるくると回って踊りを披露する。
これはもう勉強が終わったときの恒例行事みたいなもの。
最初のときのようにそのままベッドに倒れこむ事は無くなったけど。
「がんばったわね。由佳里ちゃん」
時計はもう少しで24時を指そうとしていた。
由佳里ちゃんの勉強を見てあげるときは情報を小出しにして、なるべく自分の力で解けるようにしてるんだけど、
今回は失敗しちゃったかも。
時間が掛かりすぎたせいで最後には集中力も切れてきていたし、何事もほどほどが一番と云うことね。
「さっ、今日はもう遅いし、明日に備えて早く寝ましょう」
自分に家庭教師の才能が無い事を確認できたところでそう促す。
「あ・・・えっと・・・・そのぅ・・・・」
ところが由佳里ちゃんは、もじもじと何かを言いたそうに視線を向けてくる。
すぐにピンと来て水を向けてみる。
「ねぇ由佳里ちゃん。良かったら久しぶりに一緒に寝ましょうか」
「あ、はいっ。それじゃ直ぐに準備してきますっ」
ぱっと顔を輝かせて、大慌てで由佳里ちゃんは部屋を出て行った。
由佳里ちゃんの勉強を見るようになってから気が付いたことだけど、彼女はもの凄く、たぶん奏ちゃんよりも
ずっと甘えん坊さんなのかもしれない。
でも奏ちゃんとは違って由佳里ちゃんは、恥ずかしさが先に立ってなかなか言い出せないみたい。
だからこちらから気付いてあげることが大切。
そういえば前にちょっと意地悪ちゃったことがあったけど、頬を膨らませて拗ねてみせた由佳里ちゃんは
堪らなくなるくらい可愛かった。
奏ちゃんをいつも抱きしめてしまう紫苑さんの気持ちがちょっと解ったかも。
「お待たせしましたお姉さまっ」
5分と経たない内に、元気良く由佳里ちゃんが部屋に飛び込んできた。
「は、早かったのね」
「はいっ、それだけが取り柄ですからっ」
それだけが取り柄って・・・しかし、これから寝ようっていうのに随分元気ね。
ちゃんと寝れるのかしら。

225 :特に何もない日常の1コマ 2/2:2007/05/30(水) 00:59:20 ID:U8+cD7pR0
悩んでも仕方ないので、電気を消して2人でベットへ潜り込む。
「えへへへ」
布団に包まった由佳里ちゃんは満面の笑みを溢す。
全校生徒の姉として振舞わなきゃいけないのは大変だけど、妹のこういう笑顔を見れたときはやってて良かったと思う。
お布団に入ってから暫くは2人で秘密の会話。
私の知らない奏ちゃんやまりやの失敗談を「内緒ですよ」と言って話してくれる。
他には由佳里ちゃん自身の学校や部活での出来事。
基本的に私は聞き手。
そうしている内に、由佳里ちゃんの目が次第にとろんとしてくる。
睡魔に抗っていっぱいお話しようとしてくれてたけど、やがてゆっくりと由佳里ちゃんの目蓋が閉じてゆく。
それから程無くして小さな寝息を立て始めた。
「ありがとう、とっても面白かったわ。それじゃお休みなさい」
幸せな顔で眠る妹を愛しく思いながら、寝息を子守唄に目を閉じる。
羊の出てくる暇もなく、意識はあっと言う間に深みへと落ちて行った。



「おっはよー瑞穂ちゃん。早く起きないと遅刻・・・・って何やっとんじゃーーーっ!!」
「ん・・・まりや・・・・?」
「ふっふっふっふっ、一度ならず二度までも。覚悟はできてるんでしょうね」
「へ?・・・ええっ」
外は雲一つなく青空が広がり、朝日が輝く清々しい朝。
部屋に差し込む朝日も、周囲の喧騒も他所に、大好きなお姉さまの匂いと温もりに包まれた眠り姫は、
まだまだ夢から覚めそうになかった。
「だから誤解なんだってばーっ」
「問答無用ッ!!乙女の怒ッ!!甘んじて受けなさぁいッ!!」


226 :名無しさん@初回限定:2007/05/30(水) 01:00:16 ID:U8+cD7pR0
恥ずかしながら帰って参りました。
今回は誤字脱字は無い・・・・・・・はず。

ちょっとだけですが由佳里分を追加しておきます。

227 :名無しさん@初回限定:2007/05/30(水) 01:05:54 ID:M/txLLVw0
乙。ほほえましいな

誤字が無いと?

「ワタシがこの世で許せないのは、bedをベットと表記するヤツだ」
bedをdogなどに変えてもいいけど。まぁ、細かいことだ、気にするな

228 :名無しさん@初回限定:2007/05/30(水) 05:43:45 ID:CivYPKz50
>>226 GJ&乙

はややっ…>>227さんが編集さんのように厳しいのですよ〜

とは言え英語をカタカナ表記に直すのは難しいわな
ベッドくらいの日常で使われる物はいいけど
俺みたいな「ねいてぃぶ」な日本人には発音の部分で無理

229 :名無しさん@初回限定:2007/05/30(水) 06:36:44 ID:uLy6UPYF0
559 吾輩は名無しである sage 2007/04/03(火) 05:31:59
ベットとベッドの違いを間違いだと勘違いしてる人多いな。
これに関してだけは、外来語として両方正しい。

日本には寝台が最初医療器具として輸入されたため、ドイツ語読みで
官公庁などの書類を通してベットで広まった。
その後、家具として英語圏からベッドが輸入されるようになり、ベッドも広まった。
つまり、両方が外来語として定着してるわけ。

いや、外来語は英語だけだ!と主張したいなら別だが。


560 吾輩は名無しである sage 2007/04/03(火) 07:36:03
>>559
だってさ、たいがいの小説ではベッドになっているよ。
ほかのメディアでもそうじゃないかしらん。
ワードなんぞはベットと入力するとご丁寧に注釈が入るよ。
手持ちの広辞苑でもベッドは載っているけど、ベットは載っていないよ。


561 吾輩は名無しである sage 2007/04/03(火) 09:53:16
発音のしにくさと関係があるんじゃないかな。
促音のあとに濁音が来ると発音しにくい(少なくとも日本人には)。
「handbag」も口に出して言うときには、ほとんどの人が「ハンドバック」と言ってると思う。

230 :名無しさん@初回限定:2007/05/30(水) 08:51:16 ID:kRjotWE70
>>229
「handbag」を正しく発音しようとしてハンバーグになった舌足らずは俺と由佳里ちゃんだけでいい。

231 :名無しさん@初回限定:2007/05/30(水) 15:03:08 ID:JSDUakHVO
何がおかしいのか約5分わからなかった俺も入れてくれ。

232 :名無しさん@初回限定:2007/05/30(水) 15:28:55 ID:HzjkPU2w0
メイドとメードとどっちが正しいかみたいなもん?

233 :名無しさん@初回限定:2007/05/30(水) 20:33:54 ID:W1Cp+HXH0
円盤をデスクと呼んだり机をディスクと呼んだりするようなもんか?

234 :名無しさん@初回限定:2007/05/31(木) 21:37:59 ID:E5J16Xsg0
>>226さん乙です。

「どちらも正しいのではないでしょうか」

>>227さんも「気にするな」といってるけど、気になったのでwグーグル先生にきいてみた。

"ベッドで" に一致する日本語のページ 約 1,700,000 件
"ベットで" に一致する日本語のページ 約 625,000 件
"メイド服" に一致する日本語のページ 約 1,580,000 件
"メード服" に一致する日本語のページ 約 27,700 件

むしろ作品内で混在してることのほうが……

235 :名無しさん@初回限定:2007/05/31(木) 22:49:08 ID:q0s5UeLw0
>>224-226を書いた者です。
変な流れを作ってしまって申し訳ない。


>>234
>むしろ作品内で混在してることのほうが……
言われて初めて気が付きました。
基本が疎かになってるようでは、まだまだ精進が足りないですね。
でも懲りずに書き込むと思うので、そのときはまた読んでやってください。

236 :名無しさん@初回限定:2007/05/31(木) 22:50:29 ID:ScPe/PfU0
出版業界と教育現場とで基準が違ったりするしね。
あれがおかしい、これがおかしいと微に入り細に入り言う輩は
日本語の正しい表現が一つしかないって思いこんでいるのかも。

気にしすぎず楽しむが吉。

237 :名無しさん@初回限定:2007/05/31(木) 23:48:01 ID:NYVn+yM40
>>235
まあ細かいことはあまり気にせず気楽に頑張って下さい
次回作も楽しみに待ってますよ

238 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/01(金) 22:38:20 ID:ZlD5NxyC0
東の扉です。

貴婦人への架け橋、由佳里ちゃんフォロー編がようやく完成しましたので、投下させていただきます。
ちなみに、前回登場したオリキャラが話題の中にありますので、ご注意ください。
それでは、よろしくお願いします。

239 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/01(金) 22:43:44 ID:ZlD5NxyC0
 5月12日、お姉さまの誕生パーティーが開かれてるはずの松島の鏑木家の別荘……。
「なんで誰もいないんですかあ!? みんな、どこ行っちゃったんですかあ!?」
 私、上岡由佳里は、無人の別荘で、理解不能な状況を前に、ひとり叫んでいました。
 プルルルルル……。
 そこへ、携帯に電話がかかってきました。

〜貴婦人への架け橋 琥珀の涙編〜

「はい、由佳里です」
(由佳里? あたしだけど、今どこにいるの?)
 電話をかけてきたのは、まりやお姉さまでした。
「え? どこって、松島のお姉さまの別荘に決まってるじゃないですか! でも、誰もいないし、どこ行っちゃったのかと思って……」
 私は、そう自分の不安な心を口にします。
(あ、あのね由佳里……ちょっと言いにくいんだけど……)
 するとまりやお姉さまは、信じられないことを話し始めました。
いわく、パーティー会場は軽井沢に変更になったこと。それを私にだけ伝え忘れていたこと。
「そ、そんな! せっかく楽しみにしていたのに! そんなのひどすぎます!」
(ごめん……とにかく、すぐにそっちに迎えよこすから)
 まりやお姉さまはそうおっしゃいますが、私はとてもそんな気分にはなれませんでした。
「いいですよ。ひとりで帰れますから……」
(そう。わかった。気をつけてね)
 まりやお姉さまがそう言うと、携帯は切れました。
「そんなの……せっかくのお姉さまの誕生パーティーなのに、私だけのけものなんて、あんまりだよ……ううう……」
 私は傷心の中、目から次々と雫をこぼしながら、とりあえず今日泊まるためのホテルを探すことにしました。

240 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/01(金) 22:48:39 ID:ZlD5NxyC0
「はあ……」
 なんとか開いてるホテルを見つけた私は、落胆のため息をつきます。
 おなかがすいたので下の食堂で注文したハンバーグ定食も、結局半分以上残してしまいました。
「大人になったお姉さまのお顔……見たかったのに……お姉さまのお誕生日……みんなと一緒にお祝いしたかったのに……」
 何の気なしにバッグを開けると、その中に“あれ”が見えて、持ってきていたのを思い出しました。
 大人になったお姉さまの魅力に我慢できなくなったときのために持ってきた、大人のおもちゃ。
「これでも使って、気を紛らわせようかな……」
 私は、早速それを持って、部屋のトイレに入りました。

「………」
 私は少しでも寂しさを紛らわせればと、ローターを直接大事なところに当てました。あとはスイッチを入れるだけです……が……。
「あっ! そういえば、あれ忘れてた」
 “あれ”とは、半年前から、大人のおもちゃを使ってする前に、いつもしている儀式。
 半年前、まりやお姉さまからエアメールで、
「ゆかりんはバイブやらローターやらを愛してやまないエロエロ娘だもんねえ」とからかわれたことがあります。
 その後でしたくなった時、ふとその言葉が頭に浮かんで、思ったんです。
もし、やる前にこのローターにくちづけをしたらどんな気分になるんだろう……と。
 そして、それを顔の前に持っていって、目を閉じてちゅっ、とキスをしました。
 その瞬間、私の身体は電気が走ったように震え、頭も心臓もとろけちゃいそうになり、
思わず「あっ……」と、すごく悩ましいため息をついてしまいました。
 新鮮な、心地良い刺激を味わった後のひとりエッチは、以前よりいっそう興奮して、すごく燃えました。
 それ以来、興奮を高めるために、いつもこうしているんです。
 ちゅっ……。
「ん……くうんっ……」
 閉じた目のすぐ下の唇に触れている、無機質な冷たい感触。それがエッチをするためのものだと思っただけで、
じゅん、と下のほうがぬれてきます。

241 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/01(金) 22:53:23 ID:ZlD5NxyC0
 そして、改めてローターをいやらしい方の唇に当て、今度こそスイッチを入れます。
「ふぁあああああっ!!」
 途端にわきあがってくる快感。いっそこのまま溺れてしまいたい。
「あっ、やっ、お姉さま、もっと、もっと優しくう……」
 妄想するのに慣れているせいか、すぐにお姉さまに抱かれている様子を思い浮かべ、より深みにはまっていきます。
「ああ、そう、そこ、もっと感じさせて……あんっ、くっ、あうっ……!」
 ローターを徐々に強くしていきながら、お姉さまのことを頭に浮かべます。
「ああっ、お姉さま、お姉さま……ふぁひゃあああああああっ!!」
 そこで、私の中で快楽が頂点に達し、私の意識は真っ白になりました。

「はっ……!」
 私は意識を取り戻すと、今までの行動を振り返ります。
 お姉さまの誕生パーティーに自分だけのけ者にされて、気を紛らわせるために、ひとりエッチをして……。
「あはは……私、いったい何やってんだろ……」
 涙を流しながら、乾いた笑いを浮かべる私。
 確かに1人でしている間だけは寂しさを紛らわせることができましたが、終わってしまうと、
みんなパーティーを楽しんでるのに、1人こんなことをしている自分がよりいっそう惨めに思えて、ますます落胆してしまいました。

242 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/01(金) 22:58:44 ID:ZlD5NxyC0
 軽井沢でのデートを終えた僕は、朝早くに軽井沢を出発して、昼過ぎには東京に帰ってきた。
 由佳里ちゃんのいる聖央の女子寮に行くために、女装して準備を済ませると、まりやが由佳里ちゃんのことを報告するため、
鏑木邸に来た。
「こんにちは」
「まりや……どうだった?」
 そうは言っても、まりやの浮かない顔を見ると、なんとなく結果が見えていた。
「ごめん……瑞穂ちゃん」
「そう……ダメだったの」
「うん……由佳里のヤツ、あたしが考えてた以上に落ち込んでたみたいで、しかも瑞穂ちゃんが紫苑さまと
軽井沢でデートしてるって知ったら、余計落ち込んでしまって……」
 やっぱり……。
「由佳里のこと心配して一刻も早く謝ろうとしてた瑞穂ちゃんに、あたしが無理やりデートのお膳立てをしたんだから、
瑞穂ちゃんは悪くないとは言ったんだけどね……もう理屈じゃないみたい」
「そう……」
「ごめん……由佳里のことは任せてって言ったのに、瑞穂ちゃんがいなくてもなんとかなると思ってた、あたしの考えが甘かった」
「いいわよ。まりやは私たちと両方のことを考えてやってくれたことだし、
由佳里ちゃんのことを第一に考えずに、自分たちが楽しむことを優先させた私も悪かったんだから」
「瑞穂ちゃん……」
「じゃあ、私、これから由佳里ちゃんに謝りに行って来るから……紫苑は一緒には来ない方がいいわね」
「そうですわね……私が一緒に行くと、由佳里さん、あてつけのようにとってしまう可能性がありますから……」
 僕がそう判断すると、紫苑も納得してくれたようだ。
「じゃ、行って来るから」
「うん……気をつけてね、瑞穂ちゃん」

243 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/01(金) 23:03:31 ID:ZlD5NxyC0
 そして僕は、聖央女学院の女子寮の門を開けた。
「こんにちは」
 そう言って由佳里ちゃんの部屋に行こうとすると、1人の女の子に出会った。
「あの……もしかして、宮小路瑞穂さまですか?」
「え、ええ、そうですけど、あなたは?」
「あ、私、寮で由佳里お姉さまのお世話をさせていただいております、皆瀬初音と申します。
おうわさは由佳里お姉さまや奏お姉さまからうかがって……」
 僕が返すと、初音ちゃんはにこやかにそう挨拶を返した、と思っていると……。
「……って、それより瑞穂さま、あなたのお誕生パーティーで、どうして由佳里お姉さまをのけ者にしたんですか? 
ちょっとひどいと思います」
 そう僕を問いつめてきた。
「由佳里お姉さま、とてもお優しいし、お料理も気配りもとってもお上手でいらっしゃいますし……」
 初音ちゃんはそう言って少し考えるしぐさに入った。
「……えっと、たまーに意地悪されるときもありますけど、でも、普段ご自分より他人のことを優先して考えておられる方ですから、
そういう一面も逆に魅力的に思えませんか?」
 たまに意地悪なって、由佳里ちゃん、ホントにまりやの妹なんだな……子は黙ってても親に似るって言うけど……。
「あ、あと、何度も瑞穂さまをおかずに1人楽しんでらっしゃるようですけど……でも、それだって
仲間はずれにする理由になるほどのことではないと思いますけど。どうしてなんですか!?」
 初音ちゃんからは、静かながらも、由佳里ちゃんを仲間はずれにしたことに対する怒りがふつふつと伝わってくる。
姉想いのいい妹を持ったね、由佳里ちゃん。
 ……でもね初音ちゃん、そういうこと本人に言うのはやめようよ。
「ごめんなさい。由佳里ちゃんをのけ者にしたのはわざとじゃないの。ちょっとした手違いだったのよ」
 そう言って、僕は由佳里ちゃんをパーティーに招待できなかったいきさつを説明した。
「……そうだったんですか。でも、どっちにしても由佳里お姉さまがかわいそうですよ」
「ええ。わかってるわ。だから、私も謝りに来たの」
「……瑞穂さま、絶対に由佳里お姉さまを立ち直らせてくださいね」
「うん。任せといて」
 そう言うと、僕は初音ちゃんと別れ、由佳里ちゃんの部屋に向かった。

244 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/01(金) 23:08:34 ID:ZlD5NxyC0
 コンコン……。
 僕は由佳里ちゃんの部屋をノックする。けど、返事がない。何度やっても同じだった。
「由佳里ちゃん、失礼するわね」
 そう言って僕が部屋のドアを開けると……。
「うわっ!」
 そこには、いくつもの料理酒の酒瓶が転がっていた。
「ふぇーん! (みんなひどいじゃないですか! 私1人だけのけものにして!)」
 ……由佳里ちゃん、気持ちはわかるけど、未成年の飲酒は法律違反だよ?
「ね、ねえ由佳里ちゃん、今度のことは、本当にごめんなさい……次からは気をつけるから、元気出してくれない?」
「(いいんです、どうせ私はいらないんです! 忘れられて、ハンバーグとローターだけを友達に、1人寂しく朽ち果てるんです!)」
 ……完全にすねてるというか、やけになってるというか……でもローターって……
由佳里ちゃん、酔ってても、男に向かって言う時は言葉は選ぼうよ……。
 でも、今は手に負える状態じゃないか……酔いが醒めるまで待とう。

 食堂に下りると、奏ちゃんともう1人、知らない女の子がいた。
「奏ちゃん……と、えっと……」
「あ、お姉さま、こちら、奏のお世話をしてくださってる、七々原薫子ちゃんなのですよ」
「はじめまして。宮小路瑞穂です」
「はじめまして。七々原薫子だよ。よろしくね」
 僕が挨拶すると、向こうもそう返してきた。なんかちょっと言葉遣いに難があるみたいだな。
「よろしくね。ところで奏ちゃん、由佳里ちゃんだけど……」
「はいなのです。奏も、まりやお姉さまたちも、初音ちゃんに怒られましたのですよ。
由佳里ちゃん、奏たちが謝っても、全然元気を出してくれないのです」
「そうなの。私が行かないとダメみたいね」
「あの、瑞穂さま、早く由佳里お姉さまを立ち直らせてね。由佳里お姉さまが落ち込んでから、
あたしたち寮のみんなも、雰囲気が暗くなって困ってるの」
「薫子ちゃん……わかってるわ。任せといて」
「生徒会の可奈子さんたちもご心配していたようで、奏のところに聞きにこられたのですよ」
「そう……」
 本当にみんなに慕われてるんだな、由佳里ちゃんは。よし、由佳里ちゃんだけじゃなく、みんなのためにも、僕が頑張らないと。

245 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/01(金) 23:13:44 ID:ZlD5NxyC0
 コンコン……。
「はい……あっ、瑞穂さま」
「初音ちゃん。ちょっといいかしら」
「はい」
「失礼するわね」
 そう言って僕は、初音ちゃんの部屋に入った。
「それで、私に何か?」
「ええ。由佳里ちゃんを立ち直らせるには、やっぱりパーティーの前後、由佳里ちゃんがどんな様子だったか
知っておいた方がいいと思って。初音ちゃん、教えてくれるかしら?」
 僕と直接関係がなく、由佳里ちゃんに近い彼女なら話しやすいだろうからね。
「わかりました。まず、これをお聞きください」
 初音ちゃんは、そう言って携帯を取り出し、録音の再生ボタンを押した。
(もうすぐもうすぐ逢えるんだ♪ 大人になったお姉さま♪ どれだけキレイになったかな♪ どれだけ凛々しくなったかな♪ 
このプレゼントをお姉さま、おいしく食べてくださるかな♪ あと8日♪ あと8日♪ 今から待ち遠しいな♪)
「これは……」
「パーティーの4日前に、由佳里お姉さまがお部屋で口ずさんでいらしたんです。
あまりにお可愛かったものですから、思わず録音しちゃいました」
「………!」
 僕は言葉もなかった。
「ねえ、由佳里ちゃんのプレゼントって?」
「……たらずやのベルサイユです。由佳里お姉さまの身内の方のお気に入りだったらしくて、
でも由佳里お姉さまには高すぎるみたいですから、それのために欲しいものもいっぱい、我慢してらしたんですよ」
「じゃあ、今すぐにでも……」
「……もう手遅れですよ。あれは足がつきやすいらしくて、もう痛んでて食べられなくなっていますよ」
「………!!」
 由佳里ちゃんに対し、いたたまれなくてたまらなくなった。意図しないこととはいえ、
これだけいっぱいの由佳里ちゃんの気持ちを、僕は踏みにじってしまってたのか……。

246 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/01(金) 23:18:17 ID:ZlD5NxyC0
「由佳里ちゃん、失礼するわね」
 僕は酔いのさめた由佳里ちゃんと話をするために部屋に入った。
「お姉さま……なんでここにいるんですか? 紫苑さまと一緒にラブラブしてればいいじゃないですか!」
 ……あら、由佳里ちゃん、完全にへそ曲げちゃってるな。まあムリもないけど。
「そんな由佳里ちゃんを放っておけないわよ」
「ウソばっかり……ほっといて紫苑さまとデートしてたじゃないですか!」
 ……まりや、それで余計落ち込んだって言ってたな。
「ごめんなさい。そのことについては言い訳しないわ。私も初音ちゃんに怒られて、由佳里ちゃんのこといろいろ聞かされて、
由佳里ちゃんがどれだけ傷ついたか、よくわかったから」
「……黙っててって言ったのに……初音ったら」
「勘違いしないで。私がムリに初音ちゃんに問いただしたのよ。由佳里ちゃん、それだけ初音ちゃんに慕われてるってことじゃない」
 僕がそう言うと、由佳里ちゃんの表情が少し和らいだ。
「ううん。初音ちゃんだけじゃない。奏ちゃんも、薫子ちゃんも、生徒会のみんなも、由佳里ちゃんのこと、大切に思ってるわよ」
 僕は、由佳里ちゃんの机の上におかれているものを見た。
 某レストランのハンバーグお試し券。手作りのクッキー。いわくありげな指輪。
そしてオトナのDVD。主演のAV女優が、どことなく女装した僕に似ている。
「これ、みんなのお見舞いね。指輪は美智子さんと圭さん、クッキーは貴子さん、無料券は奏ちゃん、DVDはまりやからね」
「ぜ、全部当たりです。どうしてわかったんですか?」
「性格を考えればね。圭さんはおまじない好きだし、貴子さんはお菓子作りが得意だし、
こんなもの渡すのはまりや以外考えられないし、残る無料券は奏ちゃんから、ってことになるでしょ?」
 そう言って、僕は用意してきたものを渡す。

247 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/01(金) 23:23:27 ID:ZlD5NxyC0
「これ、おみやげ。それと、パーティーの写真よ。せめて、空気だけでも触れさせてあげれば、と思って持ってきたの」
 由佳里ちゃんは、写真を見始める。僕とまりやのファッションショーを興味深そうに見てたり、
一子ちゃんと会いたかったと言ったりしてた。
「これは、お姉さま、何してらっしゃるんですか!?」
 由佳里ちゃんが愕然としたように言う。僕が下着をなめている写真だ。
「あっ……それは、罰ゲームなのよ。ポードゲームで負けちゃったから」
「じゃあ、私のもしてください」
「え? でも、由佳里ちゃんとはゲームやってない……」
「私をのけ者にして、しかも1日ほったらかしにして紫苑さまとデートしてた罰です!」
 ああ、そういうことか……なるほど。
「わかったわ。じゃあ、由佳里ちゃん、下着を脱いで」
「え……?」

248 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/01(金) 23:28:32 ID:ZlD5NxyC0
「わかったわ。じゃあ、由佳里ちゃん、下着を脱いで」
「え……?」
 最初は勢いで言っちゃったけど、お姉さまにそう言われて、私は自分の言ったことの意味を理解しました。
「は、はい……」
 私はそう言ってドキドキしながら下着を脱いでお姉さまに渡します。
 奥さんのいる人が、違う女の人の下着の匂いをかいでなめ回す……しかも本人の見てる前で……
そんなとんでもなくいやらしい状況なんだと考えると、ますます興奮が高まってきます。
 そうしているうちに、お姉さまが私の下着の匂いをかいでくださいます。
 いや……ダメ……もう我慢できない……。
 やりたい……でも、お姉さまの見ている前で……そうは思うものの、恥ずかしいと思えば思うほど、衝動を抑えきれなくなっていきます。
 そうだ! お布団にくるまってすればなんとかバレないかも……私は、掛け布団を身体にくるめて、
お姉さまが私の下着の匂いと味を堪能してくださってるところを見ながら、胸とあそこを愛撫しました。
「由佳里ちゃん、もういいかしら。はい、これ。ちゃんと洗っておいてね」
 お姉さまがそう言うと、私はいくらか正気に戻り、下着を受け取ります。
「あ、はい……」
 私は何も考えずにブラをつけます。
「あっ! 由佳里ちゃん、ちゃんと洗わないと、私の唾液まみれで汚いわ!」
 お姉さまが注意します。
 お姉さまは脱がせようとしておっしゃったのでしょうが、私には逆効果でした。
 私の胸に、乳首にお姉さまの唾液が……そう感じると、とてつもなく興奮します。
「あっ……んっ……」
 私は、ショーツの方を見ながら考えます。これをはいたら、私のいやらしいあそこが、お姉さまの唾液でいっぱいに……。
「ちょっと、由佳里ちゃん!」
 私は意を決して、お姉さまの唾液にまみれたショーツを一気にはきます。
「んーっ……!!」
 あまりの快感に、思わず叫びだしそうになるのを必死でこらえていると、意識が朦朧としてきました。
「はあ、はあ、はあ、はあ……」
 荒い息を悩ましげにはきながら、私の意識は完全に快楽の渦の中に沈んでいきました。

249 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/01(金) 23:33:45 ID:ZlD5NxyC0
「ふうん……瑞穂ちゃん、人気アイドルの花園瑠璃香とねえ……」
 由佳里ちゃんのものを色々洗濯した後、僕は男の格好に戻り、由佳里ちゃんとまりやの3人でお好み焼きを食べに来ていた。
 僕たちの席は個室になってるところて、外から見られることはない場所だ。
「僕のところに手紙が来たよ。読んでみる?」
 僕はそう言って、2人に手紙を渡す。
「あはは、どっちがファンだかわかんないわね」
「確かにそうですね……」
「でも由佳里、、瑞穂ちゃんが来ただけでここまで復活するとはね」
「僕の力じゃないよ。初音ちゃんたちが由佳里ちゃんのこと教えてくれたから、僕も誠意をこめて謝ることができたんだよ」
 僕たちは、さっきまでのやりとりをまりやに話す。
「……にしても、瑞穂ちゃんが罰ゲームで由佳里の下着までねえ……
ゆかりんさあ、それ見て我慢できなくなって、その場でしてたんじゃないの? 1人えっち」
 まりやが、意地悪モードに入って由佳里ちゃんをいじりにかかる。
「な、何言ってるのよ、まりや! 私はその間ずっと由佳里ちゃんを見てたけど、そんな気配、全然なかったわよ!」
「そう? ゆかりん、瑞穂ちゃんのなめ回した下着をはいて、感じて気持ちよくなって、イっちゃったんじゃないのお?」
「あのねまりや、妄想するのは勝手だけど、残念ながら由佳里ちゃんは至っていつも通りだったわ」
 僕はそう反論するけど、それがまずかったようだ。
「ふうん、ゆかりんってえ、1人えっちばっかしてんのがいつも通りなんだ?」
「だから、なんでそうなるのよ! 由佳里ちゃんはえっちなことなんてしてなかったって言ってるじゃない!」
「へいへい、わかりましたよ。ところで瑞穂ちゃん、ドリンクバーに行くのよね? あたしの分もついで来て?」
「なんで僕が……まあいいけど、僕も注ぎに行くし……何にするの?」
「メロンソーダ」
「わかったよ。じゃあ行って来るね」
 僕はそう言って、グラスを2個持って部屋を出た。

250 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/01(金) 23:38:21 ID:ZlD5NxyC0
「にしても、昨日は落ち込んでたのに、ゆかりんってほんっとエロエロよねえ」
 お姉さまが出て行った直後、まりやお姉さまが意地悪な顔になってそう言います。
「なんでですか!」
「だってねえ、瑞穂ちゃんに自分の下着の匂いかがせてなめ回させて、それ見て感じちゃうなんてさあ」
 ぎくっ! まりやお姉さま、一体どこまで見透かして……。
「そ、そんなことないって、お姉さまがおっしゃったじゃないですか!」
「そっか……」
 意外にもまりやお姉さまはあっさりと引き下がりました。
「そうよね。瑞穂ちゃんに、そんなに魅力あるわけないもんね」
 まりやお姉さま、お姉さまに対して、なんて失礼な言い草! 私は頭に血がのぼりました。
「そんなことないです! 瑞穂お姉さまは、十分すぎるほど魅力的ですよ!」
「どうして? だって由佳里、瑞穂ちゃんのそんなとこ見ても、エロくなんなかったんでしょ?」
「なりました! お姉さまのそんなとこ見せられたら、感じちゃうに決まってるじゃないですか!」
「ほーら、やっぱりエロエロじゃないの」
 途端に意地悪モード全開で言うまりやお姉さま。しまった! またはめられたあ!
「あ、わわ、あ、あの……まりやお姉さま……お姉さまにだけは秘密に……」
「何をおっしゃいますやら」
 私がお願いすると、まりやお姉さまは呆れた顔になりました。
「とっくにバレてるわよ。瑞穂ちゃんが、気づかないフリどころか、フォローまでしてくれる
おひとよしの超甘々ちゃんだってだけの話じゃない」
「え? なんでわかるんですか? 何を根拠に……」
「やれやれ。ゆかりんはまだ気づいていないのかね。瑞穂ちゃんに妙なクセがついちゃってるの」
「妙なクセ?」
「そ。女装していなくても、ウソつく時はおねえ言葉になっちゃうクセ」
 そう言われて、私は記憶をたどってみます。そういえばお姉さま、私を弁護してる時だけ、女性の話し方で……。
「わあっ!!」
 私の顔は、途端に火が出るほど真っ赤になりました。

251 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/01(金) 23:43:35 ID:ZlD5NxyC0
「ただいま。ご注文のドリンク、持って来たよ」
 僕が自分のウーロン茶とまりやのメロンソーダを持って部屋に戻ると、
まりやは意地悪な笑みを浮かべ、由佳里ちゃんは真っ赤になっていた。
「まりや。はい、これ」
「ああ、サンキュ」
「由佳里ちゃん、どうしたの?」
 ポンッ
「え? お姉さ……ま……わ、わああああっ!!」
 僕が由佳里ちゃんの肩を叩くと、由佳里ちゃんは耳まで真っ赤になって、ダッシュで飛び出していった。
「まりや、由佳里ちゃん、どうしたの?」
「さあねえ」

 それから僕は、寮の由佳里ちゃんの部屋に戻ってきた。
「……お姉さま、いったいいつまでいらっしゃるんですか?」
「あら、迷惑?」
「い、いえ、全然迷惑じゃないですけど、お帰りにならなくていいのかな、と」
 僕はその質問には答えず、由佳里ちゃんに気づくように聞く。
「ねえ由佳里ちゃん、私と紫苑のお見舞いの品について質問はない?」
「え? そういえば、ないんですか?」
「あるわよ」
「え? 軽井沢のおみやげ……ですか?」
「違うわよ。私自身」
「お姉さま自身……って……」
「だから、紫苑がお詫びに3日間、私を貸してあげるって。だから、今日から3日間、私は由佳里ちゃんのものよ」
 理解不能らしい由佳里ちゃんに、僕が説明する。途端に由佳里ちゃんの頬がピンクに染まる。
「紫苑のことなら遠慮しなくていいわよ。『内緒ですれば浮気。私が頼んでるから浮気にはなりませんわ』って言ってたもの」
「わーい! えへへ……」
 そう言って、由佳里ちゃんは僕に抱きついてきた。それから3日間、由佳里ちゃんは寮に帰ってから僕にベタベタに甘えてきた。

252 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/01(金) 23:48:20 ID:ZlD5NxyC0
 そして、3日目の夜……。
「お姉さま、今日まで、ありがとうございました!」
「やっと元気が戻ったみたいね」
「はい!」
「そういえば、食べに行ったわよ。たらずやのベルサイユ」
「え?」
「さすが由佳里ちゃんがプレゼントしてくれようと思っただけあって、とっても美味しかったわ」
「お姉さま……」
「プレゼントはこんな形になっちゃったけど、でも、由佳里ちゃんの気持ちは、しっかりとこの胸に刻みこんだから」
 僕はそう言って由佳里ちゃんの手を掴み、自分の心臓の部分をさわらせる。
「は、はい……」
「それじゃ、私は帰るわね」
「はい」
 チュッ……。
 僕は、タイミングを狙って由佳里ちゃんの唇にキスをした。
「これは、“ごめんなさい”と“ありがとう”のキスよ。ふふっ、じゃあね」
 そう言って僕は、由佳里ちゃんの部屋を後にした。
 由佳里ちゃんは、赤い顔で、いつまでも自分の唇を押さえていたらしい。

 次の日、由佳里ちゃんは友人に会うたびにこう言っていた。
「心配かけてごめんね。上岡由佳里、完全に復活しました!!」

Fin

253 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/01(金) 23:56:13 ID:ZlD5NxyC0
以上です。
これで由佳里ちゃんも、納得してくれると思います。
薫子ちゃんと初音ちゃんのキャラですが、私はエトワールを持っていないので、
情報を少し聞いた程度でしか知りません。
ですので、もし違っているところとかがあっても、どうかご容赦ください。

それでは、これにて失礼します。

254 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/02(土) 20:16:00 ID:/rxvLXL60
>>252で入れ忘れていた部分があったため、修正させていただきます。


255 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/02(土) 20:26:05 ID:/rxvLXL60
 そして、3日目の夜……。
「お姉さま、今日まで、ありがとうございました!」
「やっと元気が戻ったみたいね」
「はい!」
「そういえば、食べに行ったわよ。たらずやのベルサイユ」
「え?」
「さすが由佳里ちゃんがプレゼントしてくれようと思っただけあって、とっても美味しかったわ」
「お姉さま……」
「プレゼントはこんな形になっちゃったけど、でも、由佳里ちゃんの気持ちは、しっかりとこの胸に刻みこんだから」
 僕はそう言って由佳里ちゃんの手を掴み、自分の心臓の部分をさわらせる。
「は、はい……」
 由佳里ちゃんの頬がみるみる紅く染まっていく。
「それじゃ、私は帰るわね」
「はい」
 チュッ……。
 僕は、タイミングを狙って由佳里ちゃんの唇にキスをした。
「これは、“ごめんなさい”と“ありがとう”のキスよ。ふふっ、じゃあね」
 そう言って僕は、由佳里ちゃんの部屋を後にした。
 由佳里ちゃんは、赤い顔で、いつまでも自分の唇を押さえていたらしい。

「ふふふ、由佳里ちゃん、すっかり元気になったみたいね……って僕、今まで何してた!?」
 ガーン!!
 い、いくら紫苑の許可をもらってるからって、他の女の子と……あんなに甘々の時間を過ごして……キ、キスまで……。
「ううう……こんなに浮気性だったなんて……僕は……僕は……!!」

256 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/02(土) 20:31:39 ID:/rxvLXL60
 その直後、鏑木邸……。
「ただいま、紫苑」
「おかえりなさい、瑞穂さん。どうでした? 由佳里さんは」
 3日ぶりに家に帰った僕を、紫苑が出迎えてくれる。
「うん、もう大丈夫だよ」
「では瑞穂さん、3日間私を1人にしておいた分、精一杯楽しませてもらいますからね」
 そう言って、悪魔の笑顔で迫ってくる紫苑。
「……ちょ、ちょっと、紫苑!?」
「瑞穂さん、覚悟はよろしいですわね?」
「わーっ!!」
 その夜、僕は完全に紫苑のおもちゃにされてしまい、その光景を隠し撮りしたビデオの中の僕のあまりの可愛らしさに、
完全に落ち込んでしまった。

 ちなみに由佳里ちゃんは、次の日友人に会うたび、こう言っていたらしい。
「心配かけてごめんね。上岡由佳里、完全に復活しました!!」

Fin

257 :名無しさん@初回限定 ◆0XucCTxAGU :2007/06/02(土) 20:41:55 ID:QmuTdtq10
瑞穂ちゃんが貸し出された3日間の様子が知りたいです。

瑞穂ちゃんとツイストゲームしたり、脱衣野球拳したり、半裸デッサンしたりとか(笑)

ああ、今ウィスキーで酔ってるから上手いこと言えないや。
とりあえず。GJ!

258 :名無しさん@初回限定:2007/06/02(土) 22:23:12 ID:N1VmyeAX0
乙&GJでした!


259 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/08(金) 23:46:43 ID:bhUAbNOA0
>>257

私としてはエロなし甘々の2人を考えていたのですが……まあご想像にお任せします。
ところで、大人のおもちゃにキスする由佳里ちゃんとそれを見てからかうまりや、
もしよろしければ「まりやとかがみてた」の続編で使ってやってください。

それでは、遅くなりましたが、まりや聖誕祭SS、投下させていただきます。
舞台はまりやEND直後の6月です。
どうかよろしくお願いします。

260 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/08(金) 23:50:24 ID:bhUAbNOA0
 僕、鏑木瑞穂は、今、どうすればいいか悩んでいる。
 今までにもまりやの誕生日にプレゼントをあげたことはあったけど、今回は違う。
 幼なじみの悪友に送るのではなく、人間として成長するきっかけを与えてくれた恩人であり、
そして愛しい恋人として贈るのだから、今までのよりいいものにしたい……とは思うものの……。
「何にしようかな……まりやへの誕生日プレゼント……」

〜最高のプレゼント〜

 大学のキャンパスで、僕は貴子さんと話していた。
「じゃあ、貴子さんにも、まりやからの招待状が?」
「ええ。それにしても、誕生パーティーを開くから、アメリカの別荘に来いなどと……本当にあつかましいというか……」
 そう言いながらも、貴子さんは笑っている。
「そっか。紫苑さんや、奏ちゃんと由佳里ちゃんにも招待状を贈ったって言ってたっけ。
おかげで奏ちゃんと由佳里ちゃん、大慌てでパスポートの申請に行ったらしいね」
「思いついたら後先考えない方ですから……瑞穂さんも、将来が不安ですわね」
「あはは……まあ、それは百も承知です」
 僕は苦笑しながら返す。
「でもこれでよかったのかもしれません。まりやさんのような方を好いてくださる殿方は、後にも先にも瑞穂さんお1人だけでしょうから」
「貴子さん……それは言いすぎじゃ」
「まあ、男性のような性格のまりやさんですから、ほとんど女性同然の瑞穂さんにはお似合いなのでしょうけど」
 ガーン!!
「ほ、ほとんど女性……ううう……」

261 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/08(金) 23:54:23 ID:bhUAbNOA0
 それから僕は、聖央の寮に来ていた。
「お久しぶりです、お姉さま」
「お久しぶりなのですよ」
「久しぶりね。2人とも元気だった?」
 元気よく出迎えてくれた奏ちゃんと由佳里ちゃんに、僕はそう挨拶を返す。
「はい!」
「しばらくでしたわね、瑞穂さん」
 え?
「し、紫苑さん? どうしてここに……」
 僕が振り返ると、紫苑さんがお嬢さまスマイルを浮かべていた。
「奏ちゃんたちに呼ばれましたの。まりやさんのお誕生会に向けて」
「そうでしたか……」
 僕は疑問に思っていたことを聞いた。
「ねえ、奏ちゃんと由佳里ちゃんは、プレゼント、何にするか決めた?」
「はいなのですよ!」
「私も1つにしぼりました!」
「私も決めましたわ」
 紫苑さんにはまだ聞いてないんですけど……。

262 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/08(金) 23:58:38 ID:bhUAbNOA0
「そう。由佳里ちゃん、1つにしぼるって?」
 僕は気になって聞いてみる。
「はい……実は私、お誕生会の料理を担当しようと思ってるんですけど、それ以外にも何か、とも考えたんですけど、
やっぱりお料理だけでいくことにしました!」
「そう……でも、どうしてそうしようと思ったの?」
「私って、それと陸上ぐらいしかとりえがないですから……2つ同時にプレゼントするより、1つでもいいから、
最高のものにしようと思ったんです」
 最高のものにする……か。
「そう……ありがとう、由佳里ちゃん。おかげで決心がついたわ」
「お姉さま、決心って?」
「私も、まりやへのプレゼント、2つ候補があって、どっちにしようか迷ってたの。
でも、由佳里ちゃんのおかげで、どっちにするか決まったわ」
「そうですか……お役に立てて嬉しいです」
「瑞穂さん、それで、何にすることにしたんですか?」
「紫苑さん……それは、当日見てのお楽しみってことで……」
 そして僕は、プレゼントの準備に戻った。

263 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/09(土) 00:02:24 ID:bhUAbNOA0
「まりやお姉さま、おめでとうございますなのですよ」
 まりやに会うなり、みんな口々にそう挨拶する。
「ありがとみんな、ああもう、招待してよかったーって思うわ」
 と、まりやが僕に気づいた。
「瑞穂ちゃん……」
「まりや、おめでとう」
 僕は、満面の笑顔で言う。
「サンキュ。いやー、瑞穂ちゃんに来てもらえると、全然気分が違ってくるよ」
「それは僕も同じだよ、まりや」
 僕は、事前にお願いしたことを聞いてみた。
「ねえ、ところで、前にお願いしたこと、用意してくれた?」
「うん。ビデオとカメラの準備は万全だけど……いったい何する気なの?」
「ふふふ……それは秘密」
「それにさ、あの何個ものダンボールは何? あれがあたしへの誕生日プレゼントなの?」
「半分正解……かな? もうちょっと詳しく言えば、その材料……だけどね」
「お姉さま、もしかしてまりやお姉さまへのプレゼント、まだ作っていらっしゃらないのですか?」
 奏ちゃんが不安そうに聞いてきた。
「うーん……なんて言ったらいいのかな……僕のプレゼントは、作る作らないっていう種類のものじゃないんだ。
なんなのかは、まあ、見てのお楽しみってことで……」
「瑞穂ちゃん、まさか変なものじゃないでしょうね?」
 まりや、疑心暗鬼になったみたいだな。
「大丈夫。絶対まりやは気に入るよ。じゃ、はじめましょうか」
 そうして、まりやの誕生パーティーは始まった。

264 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/09(土) 00:06:37 ID:aHdcdrSa0
「えーっ!? これ、全部由佳里が作ったの?」
「はい! お姉さまに喜んでいただければと思って、腕によりをかけて作らせてもらました!」
「ふふっ、これが由佳里ちゃんからのプレゼントだって」
 テーブルの上を見ると、並んでいるのは、そのほとんどがまりやの好みの料理だった。
さすが由佳里ちゃん、気配りうまいし、だてに1年間まりやの妹はやってないよな。

「うーん! おいしーい! こんな優秀な妹を持ったこと、誇らしいわ。あんた、ほんっとどこにお嫁に行っても困らないよ」
 まりやが、料理を頬張りながら由佳里ちゃんを褒めちぎる。
「あはは……ありがとうございます、お姉さま」
「……って、あたしが言っても皮肉にしかならないか。んじゃ、感謝の気持ちは態度で表現しようかねえ」
 そう言うと、まりやは由佳里ちゃんを後ろから抱きしめて、身体を愛撫しにかかる。
「ひゃああああっ! お、お姉さま、それは余計です! 気持ちはわかりましたから、やめてくださーい!」
 い、いいのやら悪いのやら……。

「そういえばさ、瑞穂ちゃんのプレゼントは? まだできてないって言ってたわりには、全然作る様子ないんだけど?」
 由佳里ちゃんをいじり終えて解放したまりやが、ふと聞いてくる。
「心配しなくても大丈夫だよ。ちゃんと渡せるから。僕のプレゼントは最後に渡すからさ、まずは他のみんなのを受け取ってよ」
「わかった。期待してるからね」
 そしてまりやは、まず奏ちゃんと紫苑さんのプレゼントを受け取った。

265 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/09(土) 00:10:21 ID:aHdcdrSa0
「ではまりやさん、これは私からですわ」
 貴子さんはそう言ってまりやに箱を差し出す。
「どうも」
 まりやはそう言って箱の中身を見る。
「な、ななな、なんじゃこりゃーっ!?」
 愕然として、身体をわなわなと震わせるまりや。僕が中身を見ると、貴子さんのポートレートだった。
「あんたはあたしがこんなもんで喜ぶと思ってんのかーっ!!」
「別に喜ぶとは思っていませんわ」
 今にもテーブル返しをしそうな勢いのまりやに、貴子さんは冷静に返す。
「まりやさん、デザイナーに限らず、修行というのはとかく厳しいものですわ」
「何が言いたいのよ……?」
「くじけそうになったり、スランプになった時は、それをご覧なさいな。きっと落ち込んでなどいられませんわよ?」
 なるほど、そういう手もあったか。貴子さんらしいな。
「んじゃ、ありがたくいただいといたげるわ。ありがと、貴子」
「どういたしまして」
 まりやと貴子さん……これはこれで、いい組み合わせだな。

「じゃあ、最後に僕からのプレゼントね。奏ちゃん、由佳里ちゃん、手伝い、お願いね」
「はい!」
「はいなのですよ!」
 僕はそう言って、奏ちゃんと由佳里ちゃんを連れて広間の舞台の奥へ行った。

266 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/09(土) 00:14:21 ID:aHdcdrSa0
「由佳里と奏ちゃんを連れて……瑞穂ちゃん、何をするつもりなのかな?」
 あたしは、瑞穂ちゃんのプレゼントがなんなのかさっぱり見当がつかなかった。
「お待たせ、まりや。僕からのプレゼント、しっかり受け取ってね」
「瑞穂ちゃん、プレゼントって……えっ!?」
 出てきた瑞穂ちゃんは、なんとハイパーファリオのプラム姫の衣装を身につけていた。
「ふふっ、どう? まりや」
「す、すごい似合ってる……」
「これが私からのプレゼント。今までしてこなかった、ゲーム系のファッションショーよ」
 瑞穂ちゃんはそう言って、次々と女装ファッションを披露してくれる。
 恋週間の安岡美穂が主人公好みの女の子を演じるときのお嬢さん着、ストレートファイター3の春麗、
サクラ合戦のキャラの普段着や戦闘服とか、影川咲子の敵としての衣装とか、他にもあたしの知らないゲームまでの衣装を披露してくれた。
その数、なんと3桁になろうって程。
 その間、あたしはもちろんシャッターを切り続けた。
「まりやさん、瑞穂さん、プレゼント、もう1つの方にするか迷ってらしたそうですわよ」
「貴子……」
「でも、由佳里さんから最高のプレゼントにしたいという言葉を聞いて、自分も体裁とか気にせず、
純粋にまりやさんに喜んでもらうことだけを考えて、こちらにしたそうですわ」
「そう……だったんだ……」
「『まりやに最高のプレゼントだと思ってもらえるよう、頑張るよ』とおっしゃってましたわ。
まあ、私も内容は今まで知りませんでしたが」
 瑞穂ちゃん、予想外のものを……嬉しすぎるよ。あたしにとっては、最高のプレゼントだよ!!

267 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/09(土) 00:18:32 ID:aHdcdrSa0
 パーティーも終えて、別荘で一泊する聖央御一行様。僕とまりやは、同じ部屋で寝ることになった。
「瑞穂ちゃん……」
「まりや、どうだった? 僕からの誕生日プレゼントは」
「嬉しすぎるよ。まさかあんなに嫌がってた女装ファッションショーをしてくれるなんて……」
「びっくりした?」
「したよ。まあ、あたしとしては時々してほしいとこだけど、嫌がってる以上、無理言わないから」
 まりやは、いつになくそう遠慮した言葉を言う。
「いいよ」
「いいよ……って」
「大好きな人の趣味だからね。今はちょっとムリだけど、僕も好きになっていきたいから」
「瑞穂ちゃん……くうっ、ホント嬉しいよ」
「まりやったら……でも、写真とかならともかく、生の女装ファッションは、できればまりや以外には見られたくないな」
「あたしだけの女装瑞穂ちゃんか……それも悪くないわね」
 どんどんまりやに染まっていく自分。でも、しょうがないよね。そんなまりやを好きだって気づいてしまったんだから。
「ところで瑞穂ちゃん……」
「何? まりや」
「あんだけの女装姿を見せられて、あたしが我慢の限界に来てるってのはわかるわよね?」
「ま、まりや……?」
 僕は、なんとなく不穏な空気を感じ取ってしまった。
「大丈夫。まむし酒やらすっぽんエキスとかなら山ほどあるからさ」
「まりや……僕はいいけど、ちょっとは雰囲気ってものを……」
「そんなもの、作ってる余裕はなーい!! いくわよ、瑞穂ちゃん!!」
「わーっ!!」
 その夜、僕はまりやにいろんな意味でおもちゃにされ続けた。

268 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/09(土) 00:22:33 ID:aHdcdrSa0
 翌日……。
「ありがとねみんな。気をつけてね」
 僕たちが帰国する際、まりやが別荘の外まで見送ってくれる。
「はい、紫苑さまと奏ちゃんの分」
「ありがとうございます」
「ありがとうございますのですよ」
 僕は昨日のファッションショーの写真をばらまく際、プレゼントだから演出料はいらないって言ったけど、
ちゃっかりお金は取っているらしい。まりやらしいというか……。
「でもさ、由佳里はホントにいらないの? 瑞穂ちゃんの写真」
「え、ええ……欲しいことは欲しいんですけど……その……」
 もじもじする由佳里ちゃんを見て、まりやは意地悪モードに入った。
「はっはあん……大切なお姉さまの恋人で1人えっちするのは申し訳ない……とか思ってるのかなあ?」
 途端に顔を真っ赤にする由佳里ちゃん。
「っ……そ、そんなこと……!!」
「安心しなって。襲うならともかく、瑞穂ちゃんのこと考えて1人えっちするぐらいで、怒るようなまりや様じゃないわよ」
 由佳里ちゃんは、真っ赤になって返事を返せないでいる。
「だからさ、欲しいならちゃんと言いなよ。由佳里なら、おまけしといてあげるからさ」
「は、はい……」
 多分、これからまりやのわがままはどんどんエスカレートしていくんだろうな。
でも、それにもこたえてあげたい。そう思う僕だった。

Fin

269 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/09(土) 00:28:28 ID:aHdcdrSa0
以上です。
うーん……急いで書き上げただけに、かなりずさんになってるな……と思います。

にしても、8日以内に、まりや聖誕祭記念SSが1つもなかったのは寂しいよ……。
他のところではあることを、遅れてもどなたか書き込んでくださることを信じて……。

それでは、失礼いたしました。

270 :名無しさん@初回限定:2007/06/09(土) 01:04:21 ID:yeG2y2VU0
誰かコレで一本お願い

ミス・ユニバース “世界一の美女”の基準は?
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070608-00000022-maip-soci

271 :名無しさん@初回限定:2007/06/09(土) 01:05:05 ID:gXuxSo+R0
何も見えないwwwwwwwwww

272 :名無しさん@初回限定 ◆0XucCTxAGU :2007/06/09(土) 03:05:25 ID:HPtp7iU60
>>269
お疲れ様です。GJでございました。

次はぜひ、まりやと由佳里との3Pを(殴)


当方、続編の構想に煮詰まっております。・・・うう、プレッシャーが。
以前の2作品もお姉さま度がほとんど無かったのですが、
今の構想ではマイナスに反転してます・・・
どうしたものか・・・(『お客様は怪電波の届かないところに(ry』)



         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|          あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|    }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//|       『おれは「まりや(ry」の続編を考えているはずだったが
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ        いつのまにか ただのエロ妄想になっていた』
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人        な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ        おれも何をされたのかわからなかった…
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ        頭がどうにかなりそうだった…
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \    催眠術だとか超スピードだとか
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ    そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ  もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

273 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/06/09(土) 08:33:58 ID:UeHHEV8F0
今回、書く予定ではありませんでしたが、昨日から突貫工事で書き上げました。
この後、寝ます。

*オリキャラあり
*某人気コミックのパクリあり

寝不足でハイな状態の私の妄想全開のバカ話ですのでご注意ください。

274 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/06/09(土) 08:34:39 ID:UeHHEV8F0
『禁断の数値』

ある日の恵泉女学院。
その日、まりやのクラス3−Bの教室に親善留学生がやって来た。
中東のトウェーク王国の姫リーザと侍女アムザ。親善大使として来日している間、日本の学生とのコミュニケーションを
計りたいという希望で、短期間ながら恵泉の生徒となった。

二人の周りには休み時間のたびに数人のクラスメートが集まってきていた。
王族という肩書き、高貴な雰囲気は皆の注目の的。
侍女は積極的に周りに話しかけ、多くの生徒と会話をしようとしているようだった。
姫はそのそばで、会話を聞き、頷いたり微笑んだりしている。
どうやらリーザ姫は直接、他人とは話さず話し役は全て侍女に任せているらしい。
ふたりは時折、なにやら小さな機械を懐から取り出して、それを覗き込んでいた。
そんな様子を興味深く観察していたまりやは、二人に話しかけた。
「アムザさまは日本語がお上手なんですね」
「はい。我が国と日本はエネルギー輸出や技術交流など深い友好関係にあります。国政に携わる人間にとって日本語は英語とともに
必須の言語です」
侍女のアムザは流暢な日本語で答えた。
「なるほど。ところでつかぬ事をお伺いしますが、アムザさまが先ほどからお使いになってらっしゃる機械、一体何なのでしょうか?」
「ご覧になってらっしゃたのですか」
「ええ。とても興味深く」
悪びれることなく答えるまりや。
「好奇心旺盛なのは悪いことではありませんわ。この機械は、人の能力を測る機械なのです」
「?」
「我々の国は石油輸出に頼るだけの中東の小国。自国防衛のためには優れた政治力が必要です。
そのため優れた人材を国の内外を問わず広く募集しているのです」
「…なるほど」
「リーザさまは近い将来、国の政治中枢に登ります。その時の人材確保も常に心がけています」
「アムザさまは優秀なのですね」
「私はリーザさまの身の回りの世話をしていますが、将来はリーザさまを補佐して国政に参画するつもりです」

275 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/06/09(土) 08:35:28 ID:UeHHEV8F0
侍女は照れた様子も無く、自分のことを客観的に話し続けた。
「でも、その人の能力というものは簡単には判るものではないのでは?」
まりやの当然の質問に、侍女は頷いて持っている機械を差し出した。
「それを測るのがこの機械です。これは日本の鏑木生体エネルギー研究所に依頼して製作した試作機です」
侍女の手にあるその機械は厚み2センチほどのフロッピーディスク大の物だった。
「人間が放射するオーラエネルギーを読み取って、その人に備わっている『カリスマ性』と『政治力』のおおよその数値を算出してくれます」
「へえええ」
その説明に、まりやが急に瞳を輝かせる。
「『カリスマ性』に優れた方は指導者タイプ、『政治力』に優れた方は政治家タイプということですね」
「では、先ほどからその機械を使って計ってらしたのですね?」
「はい。人材というものは簡単には見つからないものですから、常に注意をして見るようにしています」
「そ、それで、お目にかなった人はいましたか?」
侍女は軽く微笑んだ。
「残念ながら。この学院は政財界の子女が多いと聞いて、多少期待していたのですが…」
「ほ、ほう…」
軽く身を乗り出すまりや。
「まあ政治に参与できるレベルの人間が簡単に発掘できるはずもありません」
「ほうほう」
ニンマリしながら相槌を打つまりや。何だか楽しそうだ。
「基準が厳しすぎるのでは無いのでは?」
その問いに、侍女は頷いて肯定する。
「勿論です。リーザさまを補佐する人間を甘い基準で選べません。私自身、日々政治、経済の勉強を続けていますが…」
侍女が測定器を指差す。。
「測定器では私の『政治力』700です。ですが大事なのは知識よりも素質。生まれ持ったバランス感覚です。
通常の人で100前後。せめて500以上は無いと話しになりません」
「なるほど、なるほど」
物凄く嬉しそうなまりやの笑顔。
「ちなみにまりやさんは…」
侍女が測定器をまりやに向ける。3秒ほどのち、ピピピというアラームが鳴る。

276 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/06/09(土) 08:47:51 ID:UeHHEV8F0
「『カリスマ』200ですね。普通の方よりは高いですが、それでも少し足りません」
「そうでしょうね。あたしではそんなものでしょう」
まりやは自分の数値を聞いてウンウンと頷いた。
「……不思議ですね、まりやさん」
侍女が軽く首をかしげた。
「はい?」
「なぜか、貴女は先ほどからとても嬉しそうに見えるのですが……」
「そうですかあ?」
そう返事する顔も楽しそうだ。その表情を見て姫は困惑する。
自分の数値が低いと云われて、楽しそうに笑っているまりやがリーザたちには理解できない。
まりやにとって見れば、こんな面白いことが突然降って湧いてきた感じに楽しみの笑いが止まらない。
早速、頭の中でアレコレと画策し始める。
「アムザさま」
「はい」
「後でご紹介したい人がいますの。是非、その機械で測ってみていただけませんか」
「はあ」
そう云ってにひひと笑うまりやだった。
ピピピッ
アラームが鳴って、侍女が姫に小さな声で耳打ちした。
「不思議です。この方、政治力が異様に高いです」


昼休み
Bクラスの教室でリーザたちと共に昼食をとっているまりや。
机を4つ合体させて大きなテーブルを作って、そこで3人分お弁当を広げている。
その周囲を遠巻きにクラスメートたちが眺めている状態。
初日にして、姫はその高貴なカリスマ性からか皆の人気を集め始めているようである。
まりやは前の休憩時間に、隣の教室に行き瑞穂に昼休みに来て欲しいと告げていた。もちろん、理由は告げていない。
「まりやさん、貴女は不思議な人ですね」
侍女がまりやに話しかける。
「えっ?」

277 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/06/09(土) 08:52:35 ID:UeHHEV8F0
「貴女の数値ですが、指導力に比べて『政治力』が異常に高いです。しかしながら…」

測定器には『赤ランプ』が点滅していた。この赤ランプの意味は、その人の政治力が謀略に偏っていることを示している。

「『政治力』というより『謀略力』に近いようですが…数値は600を超えています」
それを聞いて姫がニッコリと笑った。そして侍女にゴニョゴニョと耳打ちする。
「もし貴女が男性なら、軍参謀本部の幕僚にお迎えしたかったとおしゃっています」
「うふふ。本当にその機械は何でもお見通しですのね。でも、あたしなんかよりもっと面白い人がもうすぐ来ますから」
そこへ瑞穂がやって来た。周りのクラスメートたちが急に騒ぎ出す。
Bクラスの皆が瑞穂に挨拶をする。それらの挨拶に答えながら瑞穂はまりやたちの机にやって来た。
「お待たせ。まりやさん」
「あれ、紫苑さまは?」
「今日は奏ちゃんと食堂よ」
「なあんだ。つまらない」
ちょっと当てが外れたような顔をするまりや。
「まあいいか。リーザさま。我が校のカリスマを紹介いたしますわ。リーザさま?」
姫と侍女が二人揃ってぼうっと瑞穂に見とれている。
「ありゃ…もしもし」
「……はっ!こ、これは失礼しました」
我にかえって慌てて挨拶する姫と侍女。
「リーザさま達もこんなタイプは初めてですか?」
まりやが面白そうにたずねるのに、姫は真面目な顔で頷いて侍女にゴニョゴニョと耳打ちする。
「なんというか、性別を超えた美しさを感じるそうです。わが国はイスラムですがユダヤの天使というものを想像させるような…」
「う〜ん。さすがに鋭い」
瑞穂がまりやの肩をトントンを叩く。
「ちょっと、話が見えないんだけど」
「あ〜ゴメンゴメン。リーザさま、アムザさま。こちら、エルダーシスター宮小路瑞穂。我が校最強のカリスマ」
先ず、二人に瑞穂を紹介して、続いて瑞穂のほうを向いた。

278 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/06/09(土) 08:56:18 ID:UeHHEV8F0
「瑞穂さん、こちら親善留学生として本日来られたリーザさまとアムザさまよ」
「ああ、中東の王室関係の…。午前中にAクラスのほうでも噂になってました」
お互いに挨拶を交わすのもそこそこに、まりやが侍女にせっついた。
「アムザさま、早く測ってください」
「は、はい」
顔を赤らめながら、侍女が測定器を操作する。
ピピピッ
「いくつっ!!」
まりや、姫、侍女が一斉に測定器を覗き込む。

・・・『カリスマ』800、『政治力』700

「まあ、すばらしい!」
姫と侍女が感嘆の声をあげる。
しかし、まりやは拍子抜けした表情だった。
「なあんだ、そんなもんか」
その言葉に驚いたような顔を向ける侍女。
「とんでもありません。これほどの数値、持っている人間は稀です。しかも学生。すばらしい逸材です」
「いや、逸材なのはわかってるの…。たまに凄い魅力を発揮するときがあるんだけど…。勘違いだったかな?」
またしても、まりやの肩をトントンと叩く瑞穂。
「あの、また話が全く見えないんだけど?」
「ああ、いいのいいの。あたしの勘違いだったみたい。瑞穂さんを買いかぶり過ぎちゃってたわ」
「…何が何だかわからないけど、物凄く腹が立つわね…」
瑞穂に、侍女が声をかけた。
「宮小路さん」
「はい」
「この学院を卒業後、もしよろしければ私たちの国へいらっしゃいませんか?」
「えっ?」
「リーザさまは現在、自国の女性権を向上させるために優秀な女性を集めています。宮小路さんさえよければ、将来はわが国で初めての
女性政治家になっていただきたいとおっしゃています」

279 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/06/09(土) 09:04:12 ID:UeHHEV8F0
「えええっ!」
早速のスカウトに慌てる瑞穂。
姫と侍女のふたりがかりの説得にあたふたする瑞穂を面白そうに眺めているまりや。
「何だか楽しそうね」
いつの間にやらやって来た圭と美智子。
「あら、珍しいわね。圭がこの教室にくるなんて」
「なにやら面白そうな予感がしたから。瑞穂さんがらみの楽しそうなことは、出来るだけ逃したくないの」
大真面目に答える圭。
「あっ、そう。そうだ、圭のカリスマ性を測ってあげるわ。演劇を今後も続けるんだったら、きっと役に立つわよ」
まるで自分の道具のように説明するまりや。
まりやは侍女に頼んで、圭の数値を計測してもらう。
ピピピッ
興味深く見つめる美智子とまりや。

・・・『カリスマ』9、『政治力』3

「えっ!?10以下?」
目を丸くするまりや。
数値を見て慌てる侍女。
「機械の故障でしょうか?そんな数値、出たことがありません」
「それで合ってるわよ、多分」
そんなふたりの様子を見て、フッと笑いながら云う圭。
「そんなはずはありません。普通の人でも100はあります。人間が普通にしている状態でも、体から生体エネルギーは
かなり放出されています。貴女、ホントに生きていますか?」
侍女が失礼極まりない発言をする。
「その測定器はオーラを調べてるんでしょ。演劇人たるもの自分のオーラを調整できなくては役者なんて出来ないわよ」
「げっ!圭、あんた自分で調節できるの?」
まりやが驚きの声を上げるのに、Vサインで答える圭。

280 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/06/09(土) 09:09:04 ID:UeHHEV8F0
「…ということは…逆に物凄い量のオーラを出すことも可能ということかしら?」
「まあ、それは劇の中でならね。配役にもよるわよ」
「あんた、つくづく只者じゃないわね…」
その言葉を聞いた姫と侍女が大いに感心する。
「まさに変幻自在というわけですね。コレが話に聞くジャパニーズ忍者というものでしょうか」
「Yes.My occupation is a Ninja.」
「何適当なことを云ってるんですか!圭さん」
瑞穂が圭に突っ込みを入れる。
「ご歓談中のところ失礼します。お姉さま」
貴子がやってきた。
「あら貴子さん。こんなところへ何の用かしら」
早速、ささくれ立った言葉をかけるまりや。
「まりやさん。別に貴女に用事があってきたわけではありませんの。親善留学生の方に生徒会長として、ご挨拶に参りましたの」
「あっそう。じゃ、チャッチャと挨拶して。それとアムザさま、この人測ってみてください」
もう好き勝手に我が物顔で仕切るまりや。
「まあせっかく来たんだから、せめてあたしを楽しませて行ってちょうだい。この恵泉でエルダーと勢力を二分する生徒会長なんだし、
もしかすると意外な数値が出たりなんかして…」
ピピピッ

・・・『カリスマ』500、『政治力』500

「…くそ真面目な数字ね。貴子さん、貴女は全くつまらない人ね…」
やれやれと首を振りながら、がっかりという表情のまりや。
「・・・・・・何が何だかわかりませんが、猛烈に腹が立ちますわね」
貴子がわなわなと震えている。
「まりやさん、先ほどから云ってますように500以上の数値の方は滅多にいません。この方の数値も素晴らしいです」
そう云って、侍女は貴子の方を向いた。

281 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/06/09(土) 09:13:18 ID:UeHHEV8F0
「貴女も是非、卒業後に私たちの国へいらしてください」
「え?え?」
事情がわからずオロオロする貴子。
「アムザさま、その程度の数値は子供だましですわよ」
まりやがそう云うのに、首をかしげる侍女。
「そんなことはありません。実際に高数値の人は数えるほどしかいません。この学院でも、先ほどからエルダーシスターと
生徒会長のお二人だけではありませんか」
その口調には言外に、まりや自身も低数値だったではないかという意味を匂わせている。
しかしながら、まりやは余裕の表情。
「まだまだ、これからですわよ」
「まりやお姉さま、何なさってるんですかぁ?」
由佳里が現れた。
「おっ、ゆかりん。ちょうどいいわ。面白いことやってるから紫苑さまを呼んできて頂戴」
「紫苑おねえさまでしたら、外の廊下にいましたよ」
「あらそう。じゃあ…」
まりやは大きく息を吸い込むと、
「紫苑さまああーー」
大きな声で廊下に呼びかけた。
「ちょっと、まりやさん。何ですか、はしたない」
「そうよ、到底お嬢様とは云えないわよ」
貴子と瑞穂が眉をひそめてたしなめる。
自由奔放なまりやの行動。
姫が侍女にゴニョゴニョと耳打ちする。
「日本の名家の子女はとても活発なんですね…」
「とんでもない!この方を基準に判断しないでください。この方は特別製です」
アムザの言葉を貴子が慌てて否定した。
「皆さん、ごきげんよう。今、私を呼ばれたのはまりやさんでしたか?」
紫苑が奏を連れて教室に入ってきた。
「紫苑さま、ごきげんよう。さあ、こちらにいらしてください」
大喜びで紫苑を迎えるまりや。

282 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/06/09(土) 09:17:28 ID:UeHHEV8F0
「まあ、おねえさま方がおそろいですわ!」
紫苑を迎えて、クラスメートたちのボルテージも急上昇!
Wエルダーの揃い踏みで教室の雰囲気が一気に華やかな感じになった。
「来た来たー!これよ、これ!さあ、アムザさま。もう一度、瑞穂さんを測ってくださいな」
「???」
アムザが訳が判らないという表情をするのを、まりやが急いて数値を測らせる。

ピッピッピッピッピッピッピ・・・・・・
鳴り止まないアラーム音!

「な、なんですか!?す、数値が急上昇しています!」
驚きの声を上げる侍女。
リーザ姫も目を見張っている。
「2000…3000…3500…まだ上がっています!」
「ふふん、やっぱりね。あたしの考えでは5000までいくわよ」
「5000!?それは…高位司祭クラスの数値です。ありえません!」
ピッピッピッピッピ・・・・・
まだ上昇を続ける数値。
「それがありえるんだなぁ。二人揃うと」
瑞穂と紫苑、ふたりのエルダーが寄り添っている姿にクラス中の皆がポーッとした顔で視線を送っている。
「ああ、なんだかお姉さま方がキラキラ光って見えますわ」
「今日はなんて良い日なんでしょうか」
次々と上がる喜びの声。
ピピピー!!
アラーム音が止まった。
「いくつっ!!!」

283 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/06/09(土) 09:21:34 ID:UeHHEV8F0
全員が一斉に測定器を覗き込む。

・・・『カリスマ性』12000、『政治力』700

「いっいっいちまん…12000!!」
驚愕に目を剥く姫と侍女。
さすがのまりやもびっくり。
「ふわ〜、すごいわ。ここまでとは思わなかったわ。皆を瞬時に虜にするパワーがこれほどとは。まさにマタタビ人間ね」
「あらあら、まりやさん。やけに楽しそうですわね。どうかなさいましたか?」
事情を把握していない紫苑がのんびりとした声をかけてきた。
「実は紫苑さま。いま、おもしろいことをしていますのよ」
そう云って、まりやは紫苑たちに測定器のことを説明した。
「貴女が先ほどから、意味不明なことを云っていたのはこういうことでしたの」
説明を受けて、ようやく理解したという表情の貴子。
紫苑も説明を受けて、楽しそうな表情になった。
「なるほど。それは面白いですわね。それで瑞穂さんの数値は?」
「それが通常『カリスマ性』800、紫苑様とのフュージョンで12000なんです」
「?なんだか良く判りませんが、それは高い数値なのでしょうか?」
「ええ。普通の人で100前後らしいです」
「さすがは瑞穂さん」
「きっと紫苑さまもこれに近い数値が出ていたと思うんですけど」
王室主従をみると、ちょっと青い顔をしてボソボソと話し合っている。
きっと予想外の数値に戸惑っているのだろう。
「どうしたのですか?リーザさま、アムザさま。せっかくの人材をスカウトなさらないんですか?」
まりやが面白そうに聞いた。
「え、ええ」
リーザ姫から耳打ちされて歯切れ悪く答える侍女。
「正直、これほどのカリスマは却って国にとっては害になる可能性もありますからね〜。王室乗っ取りとか…」
「し、しかし宮小路さんの政治力はせいぜい通常レベルですから…、要は皆の偶像というレベルですわね」
歯に衣着せぬまりやの言葉に焦る侍女。

284 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/06/09(土) 09:25:25 ID:UeHHEV8F0
「ふっふっふ、そうですかな〜。では、今度は紫苑さまを測ってみてください」
そう云うと、まりやは紫苑の方を向いた。
「紫苑さま。この測定器、私の知ってる会社が開発してるものなんです。もしかしたら手に入るかもしれませんよ」
「まあ、本当ですか。まりやさん」
紫苑の顔が嬉しそうに、パアッと輝く。
先ほどから紫苑が測定器に強い関心を持つような素振りを見せていたのを、まりやは気づいていた。
紫苑が考えている使い道は、勿論まりやといっしょ。
「これがあれば、瑞穂ちゃんの魅力を世間にアピールし易くなりますよね〜」
「ええ、その通りですわ。まりやさん」
紫苑が例の悪人の笑顔でニンマリと笑った。
ピッピッピッピッピッピピピピー!!!
アラーム音が鳴り響く!
しかも、『謀略力』に近いことを示す赤ランプが点滅した状態で!!!

・・・『政治力』5500

ブゥゥゥ!!!
思わず噴出してむせる王室主従。
冗談ではない。こんな連中、とても国に連れて行くわけにはいかない。
「あらあら、どうしましたあ。リーザさま、アムザさま」
まりやはこうなることを予想していたらしい。主従は悔しいが、返す言葉が見つからない。
ふと、ここでリーザ姫が気付いたことがある。
不思議なのはまりやの存在である。
これほど高レベルの数値の人間が大勢いるのに、この場を仕切っているのはその誰でもない。
このまりやである。政治力(謀略力?)は確かに多少は高かったが、それにしても、何故まりやが皆を引っ張りまわしているのか腑に落ちない。
姫が侍女に耳打ちし、その質問をまりや自身に問いただした。
「さあ、そう云われても…」
性格的なものかもね、と首をかしげるまりや。
「それは簡単なことですわ」
紫苑が答えた。
「まりやさんの本当の力はその機械では測れない、もっと別なところにあるのですわ」

285 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/06/09(土) 09:29:27 ID:UeHHEV8F0
「そうね。まりやの本領は、強いてあげれば『行動力』にあるのかも」
今度は瑞穂が答えた。
「考えたり思いついたりするのは誰にでも出来るけど、まりやの場合はそれが躊躇無く行動につながって行くから」
その言葉に貴子もウンウンと頷いた。
「全く。少しは躊躇して欲しいものですわね。きっと『行動力』を測る機械があったら、まりやさんの数値はずば抜けていますわね。10万とか」
「それって、褒められているのかしら?どうにもそうは聞こえないんだけど…」
まりやが複雑な表情で云う。
「ひねた根性はお捨てなさい。他人の言葉は素直に聞くものですわよ。お姉さま方はともかく、私は皮肉で云っているのですけど」
「こ、このぉ・・・」
侍女が深く嘆息した。
「なるほど。このような数値だけで人は判断できないということが良くわかりました。このような逸材ぞろいの中で、
一番の規格外の人材がまりやさんだったわけですね」
「にははは、いやあ照れちゃうわね〜」
「…まりやさん、今のは褒め言葉では無いと思いますけど」
貴子がジト目で突っ込んだ。
姫が侍女にまたしても耳打ちする。
「まりやさん。この学院にはどうしてこんなに人材が多いのかと、リーザさまが驚いておられます」
「まあ、多いといっても3人なんだけどね。うちの学院の3大カリスマだし。他には…」
ぐるりと辺りを見回す。
圭は計測不能だし、奏や由佳里は測るまでも無く、パンピーの平凡数値だろう。
「あ、そう云えば美智子さんの数値を測ってなかったわね」
「え、私ですか。結構です。測っていただかなくて。私はこの上なく平凡な人間ですから」
「まあまあ、遊びですから。ちょっとだけ、ね?」
辞退する美智子に強引に頼み込むまりや。
「実はあたし、美智子さんも只者じゃないって気がするのよね〜」
クイクイッ
圭がまりやの袖を引っ張った。
「なによ、圭」
「君子危うきに近寄らず」
「は?」

286 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/06/09(土) 09:34:24 ID:UeHHEV8F0
「藪をつついて蛇を出す」
「???」
「忠告したわよ」
「……」
「知ってはいけない事ってあるのよね」
そう云いながら圭が遠ざかっていく。
圭が何を云いたいのか判らないが、とりあえずまりやはアムザに頼んで嫌がる美智子の数値を強引に計測してもらった。
測定器を美智子に向けてスイッチを押す。


ピッピッピ・・・・・・・・・・・・・・ピピピピピピピピピピピピピピピピピ・・・・・・・・・・・・・・・・・・


鳴り止まないアラーム音!!
「えっ!?なに?なに?」
さすがにまりやも予想外の反応に焦り気味。
侍女が測定器を見て、真っ青な顔色でガタガタ震えている。
美智子の『政治力』の数値が凄まじい勢いで上昇している。

しかも赤ランプが『点滅』ではなく、『点灯』したままで!!

・・・・・・5000・・・6000・・・7000・・・

「あ、あう…あう…」
上昇を続ける測定器を前に、体を硬直させるまりやたち。
美智子が、凄い勢いでアムザに近寄ると手に持っていた測定器を奪い取り、そのまま床に叩き付けた。
バキッ・・・
粉々に壊れる測定器。
「あっ…」
「あらあら、すいません。手が滑ってしまいましたわ」
にこやかな笑みのまま、そう云う美智子。

287 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/06/09(土) 09:38:52 ID:UeHHEV8F0
「て手が滑ったって…みみ美智子さん。今の…」
まりやはそう云いかけて、美智子の顔を見て言葉を詰まらせた。

ゴゴゴゴゴゴゴッッ・・・・・・・・

顔は笑っているが、美智子の背後から凄まじい不可視のコロナが吹き上がっているのが感じられる。しかも真っ黒な…。
「今の?何をおっしゃってるんですか、今の…何?」
ビリビリと凄まじいプレッシャーが辺りを覆う。
教室の温度が、一気に5度ほど下がったような錯覚に襲われる。
瑞穂と紫苑はいつの間にやら、教室の隅のほうへ移動して目をそむけている。
由佳里と奏は遠くのほうで床にへたり込んで、抱き合いながらぶるぶる震えている。
侍女は青い顔して、足をガクガクさせながら必死に逃げ出そうとしている。
リーザ姫は腰を抜かして、口から小さな声で「ひぃぃぃ」と悲鳴のものをもらし続けていた。
リーザ姫が初めて、他人に聞かせた声がコレか、と思いながら、まりや自身も蛇に睨まれた蛙のように動けない。
「…触れてはいけない竜の逆鱗」
遠くのほうで、圭がそういうのが聞こえてきた。



「まりや、まりやってば!」
体を揺さぶられて、まりやが目を覚ますと、そこは寮のリビングだった。
どうやらテーブルに突っ伏してうたた寝していたらしい。
「こんな所で寝てたら風邪ひくよ」
「あれ?…夢か」
テーブルの上には、由佳里に買ってきてもらったドラゴン○ールのコミックスが散乱していた。
読んでる最中に寝てしまったようだ。
「ああ、だからあんな夢をみたのね」
「どうしたの?なんかうなされてたようだったけど」
「ちょっと、触ってはいけない逆鱗に触れた夢をみたの」
「?」

288 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/06/09(土) 09:43:07 ID:UeHHEV8F0
「それにしてもあの機械…いけるかも…とりあえずやってみるか…」
なんだかボソボソと訳の判らない独り言を云いながら、ニヤリとわらうまりや。
そんなまりやの顔を見て、嫌な予感に捉われる瑞穂だった。
「その笑い方をした時には、いつもろくなことを考えていないんだから。まりやってば…。
なんで後先考えずに突っ走るんだろ…」

次の日
講堂で全体朝礼が行なわれる日だった。
生徒たちが居並ぶ中、前方の教職員たちの列の横に日本人離れしたエキゾチックな顔つきの美少女が立っていた。
まりやがそれに気付き、首をかしげる。
先生の挨拶が始まった。
「本日より親善留学生が、当学院に通われることになりました」
「あれぇー?」

 Fin

289 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/06/09(土) 09:47:06 ID:UeHHEV8F0
オリキャラ・パクリ・夢オチの3本柱でした。
今回の真の主人公は、まりやでなく逆鱗の人ということで。
お粗末さまでした。

290 :名無しさん@初回限定:2007/06/09(土) 09:53:49 ID:rl7eEGFd0
>>289
朝から見れるとはありがたや〜
GJ!!というか美智子さん恐(´・ω・)ス

291 :名無しさん@初回限定:2007/06/09(土) 09:59:10 ID:h0eaLsxf0
数値の上がり方がスカウターな所為でどうしてもオリキャラがサイヤ人に・・・

「美智子さんの政治力はいくつですかー!」
「は・・・8000以上だ・・・!!」
「8000!?そりゃ何かの間違いだ、故障だぜ!」

ともあれGJ

292 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/09(土) 10:00:18 ID:aHdcdrSa0
>>289

それでもGJです!
……にしても、続きが非常に気になるんですけど……実は逆鱗の人に時間ループさせられて、エンドレスだったりして(汗)

>奏や由佳里は測るまでも無く、パンピーの平凡数値だろう。
2人とも将来性はすごいと思いますけどね。意外な数値見れるかも。

>>272
そういう時は、忘れてパーッと気分転換するのが一番だと思いますよ?
煮詰まった頭で考えても、泥沼にはまっていくだけですから。
気分転換することで、考えもしなかった構想が思い浮かぶかも。
……とにかく、私は気長にお待ちしていますので……それでは。

293 :名無しさん@初回限定:2007/06/09(土) 10:09:19 ID:QOpJDVOpO
GJ!乙でした
ゆっくり寝て下さい

294 :名無しさん@初回限定:2007/06/09(土) 11:47:23 ID:gXuxSo+R0
>>289
竜玉厨乙wwww
(・∀・)カエレ!

295 :名無しさん@初回限定:2007/06/09(土) 12:21:18 ID:knYpnQMM0
>>294
中華は来るな。
我が国がお姉さまを環境汚染国に送り出すとでも思うたか。

296 :名無しさん@初回限定:2007/06/09(土) 22:54:06 ID:Jfue0p7+0
>>272
ただのエロ妄想でも良いから、出来上がったら是非投下しておくれやす。
楽しみにしてまっせ!

297 :名無しさん@初回限定:2007/06/11(月) 01:45:20 ID:TfyDRemP0
>>292
>>>289
>……実は逆鱗の人に時間ループさせられて、エンドレスだったりして(汗)

「美智子はこういうの信じてなかったんじゃなくて?」
「はい、信じてません。でも圭さんは信じてますから」
「…敵わないわね。…Past, present, future, all are one in Yog-Sothoth. Yog-Sothoth...」

(((;゚Д゚)))ガクガクブルブル

298 :世界おとボク童話 ◆0XucCTxAGU :2007/06/11(月) 02:36:01 ID:rUlHl5ug0
『北風と太陽』

この話は
北風=まりや、太陽=瑞穂、不運な旅人=由佳里でお送りします。


北風と太陽がぼんやりとお茶を飲んでいました。
「瑞穂ちゃ〜ん、ヒマよねぇ」
「うん、そうだねぇ」

そこへ旅人が通りかかりました。
その旅人、ゆかりんはハンバーグ柄の長いコートを着ていました。

「あれみて、瑞穂ちゃん。由佳里よ」
「なんか変なコート着てるわね」
「センス悪いわ。あんなコート脱がせてやんない?」
「寒いのに可愛そうよ」
「勝った方が負けた方のおごりで生牡蛎食べ放題ってどう?」
「別にいらないけど・・・じゃあ私から」

瑞穂ちゃんはがんばって体温を上げました。
するとどうでしょう。
辺りはぽかぽか春陽気になりました。
こんなに暑くなってはコートなんか着ていられません。

「暑い〜」
ゆかりんはコートを脱ぎました。

「こんな感じでいいの?」
「甘いわね。瑞穂ちゃん。次は私の番ね」

299 :世界おとボク童話 ◆0XucCTxAGU :2007/06/11(月) 02:36:45 ID:rUlHl5ug0
ヒュ〜
まりやは北風となって、ゆかりんの耳元でささやきかけました。
「由佳里、瑞穂ちゃんが良いコトしない?だって」

「え!? そ、そんな。まだ気持ちが・・・」
と言いつつすでにブラウスも脱いでいます。
スカートも足下に落ちました。

「ふつつかものですが、よろしくおねがいします。瑞穂お姉さま・・・」
ブラのホックが外され、パンティーに手がかかりました。
「でも、こんなに明るいのに・・・やぁんっ」

太陽の瑞穂ちゃんは居心地が悪くなって西の地平線に逃げていきました。
「あ、瑞穂ちゃん! 約束の生牡蛎食べ放題〜!」

太陽が沈んであたりに夜のとばりが降り始めました。
「なんだかムードが出てきましたね、瑞穂お姉さま」
薄闇の中でゆかりんが一糸まとわぬ裸になりました。
コートを広げてその上に横になります。
「さあ、瑞穂お姉さま来ていらしてください」

しかし、瑞穂ちゃんの太陽はすでに地平線に沈んだあとです。
今か今かと目を瞑って待ち受けるゆかりん。
でもいつまで経っても瑞穂ちゃんはゆかりんのもとにやってきません。

寒い北風がびゅーびゅー吹き付けてくるばかり。
裸のゆかりんは、

くしゅんっ!

かわいそうに風邪を引いてしまったそうな。
どっとはらい。

300 :名無しさん@初回限定:2007/06/11(月) 02:39:22 ID:CIoBgI6QO
どんなコートだよwwww

301 :名無しさん@初回限定:2007/06/11(月) 06:01:31 ID:+JiX2Qsk0
生牡蛎食べ放題って・・・w
GJ!

302 :名無しさん@初回限定 ◆0XucCTxAGU :2007/06/11(月) 10:00:21 ID:qPZD0lYJ0
>世界おとボク童話
昨日喘息で眠れなくてゴロゴロしてたら電波を受信しました。
また、ネタになりそうな童話を思い出したら書き連ねていきます。


『次回予告』

・まりみて 由佳里とまりやのバースデー
 (まりやとかがみてたの続編。あと、奏ちゃんのHシーンの構想を練っています。
 かなりエロエロ。テーマは過激よりも淫靡。)

・お姉シャマナ シャマナ 鈍器を持った肉食み退治
 (エロ無し。言うまでもなくコミカルです。肉食みに弱点はないのか!?)

・ブギーエルダーは笑わない
 (女子校生、宮小路瑞穂は世界の敵が現れたときに、別人格ブギーエルダーにスイッチする。
  シリアスもの?ちょっと長くなる予定)

の3本でお送りします。
乞うご期待! m(_ _)m

303 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/11(月) 10:48:32 ID:DJaM95I60
>>302

期待してます。
由佳里とまりやのバースデーには、私のアイデアも、使うかどうか検討しておいてください。

私も、「金の斧」をもとにしたものを受信しましたので、投下させていただきます。

304 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/11(月) 10:53:27 ID:DJaM95I60
〜金の服と池の女神〜

 昔々、あるところに、まりや、由佳里、奏の3人が住んでいました。
 ある日、奏ちゃんが洗濯をするため、川に行きました。
 ところが、途中の池に服を落としてしまいました。
「はややっ、大変なのですよ」
 すると、池の中から女神の紫苑さまが出てきました。
「あなたが落としたのはこの服かしら?」
 女神様は、そう言って金の服を出してきます。
「違いますのですよ」
「それでは、この服かしら?」
 奏ちゃんが否定すると、女神様は、そう言って銀の服を出してきます。
「それも違いますのですよ」
「それでは、この服かしら?」
 奏ちゃんが否定すると、女神様は、そう言って奏ちゃんが最初に落とした服を出してきます。
「はい、その服なのですよ」
「まあ、正直なのね」
 女神様は、微笑んで奏ちゃんをぎゅっと抱きしめます。
「正直者のあなたには、この服をすべてさしあげますわ」
 女神様は、金の服、銀の服も奏ちゃんにあげました。
「女神様、ありがとうございますのですよ」
 奏ちゃんは、満面の笑顔を浮かべ、スキップで帰っていきました。

 その日、奏ちゃんはまりやに今日あったことを話しました。
「ふーん、よかったわね」
「はい! 親切な女神様がいらっしゃって、幸運だったのですよ!」

305 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/11(月) 10:57:44 ID:DJaM95I60
 次の日、由佳里が洗濯をするため、川に行きました。
 ところが、途中の池に服を落としてしまいました。
「わあっ! 大変」
 すると、池の中から女神の紫苑さまが出てきました。
「あなたが落としたのはこの服かしら?」
 女神様は、そう言って服を出してきます。
「はい! その服です!」
 由佳里ちゃんがそう言うと、女神様は……。
「あなたのような図々しい嘘つきには、この服どころか、あなたが最初に落とした服も返してあげることは出来ません!」
 それを聞いて、由佳里はびっくり。
「なんでですか! どう見ても私が落とした服じゃないですか!」
「これはブランド品の服。あなたが落としたのはニセモノの粗悪品。私の目はごまかせませんわ」
 女神様は、そう言って池に帰っていきます。
「素人の私に、そんな違いわかるわけないじゃないですかあ!!」
 池の周りに、由佳里ちゃんの怒声が空しく響きました。

「うえーん……まりやお姉さまあ……女神様、ひどいんですよ……」
 帰ってきた由佳里ちゃんは、姉同然に慕っているまりやに泣きつきます。
「ああ、泣かない泣かない。あたしのお古……っつっても着てさえないけど……
その中から、由佳里に似合うの何着か分けたげるからさ。機嫌直しなよ」
「ううっ……お姉さま……」
 由佳里ちゃんは、まりやに服を何枚か譲ってもらって、機嫌を直しました。
「ふーん、そっか、これはいけるわね」
 一方、奏ちゃんと由佳里ちゃんの話を聞いたまりやは、何やら悪巧みをしている様子。


306 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/11(月) 11:02:09 ID:DJaM95I60
 次の日、まりやは大量の服を持って、女神様のいる池に行きました。そして……。
「どおりゃあああっ!!」
 かけ声とともに、その大量の服を池に投げ込みました。
「あ、あなたかしら……大量の服を落としたのは……」
 すると、池の中から女神の紫苑さまが、疲れた様子で出てきました。
「はい、そうです」
「ちょっとは限度というものを……」
「限度ってなんですか?」
 ツッコミを入れる女神様に、まりやはどこ吹く風。知らん顔。
「ま、まあよろしいですわ。あなたが落としたのは、この服かしら?」
 女神様は、そう言って金の服を出してきます。
「はい、それです」
 まりやがそう答えると、女神様は……。
「あなたのような図々しい嘘つきには、この服どころか、あなたが最初に落とした服も返してあげることは出来ません!」
 それを聞いて、まりやは大喜び。
「やったあ! あたしん家、両親が服どっさり買ってくるから、ありすぎて処分するのに困ってたのよねえ。あーすっとした。
また捨てに来るから、女神様、そん時はよろしくね!」
 女神様は、あまりにも予想外の展開に、脱力して池の中に沈んでしまいましたとさ。

Fin

307 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/11(月) 11:06:31 ID:DJaM95I60
女神様の人選間違えたかな? とも思いますが……。
とにかく以上です。くだらなくてすみません。では、これにて失礼します。

308 :名無しさん@初回限定:2007/06/11(月) 12:05:37 ID:2r2LJu1zO
紫苑さまがやり込められるパターンは珍しいですね
このオチなら女神は瑞穂ちゃんか貴子さんかなとも思いますが
それだと途中がおかしくなりますし、難しい所ですね…

また次も期待してます
乙でした!

309 :名無しさん@初回限定 ◆0XucCTxAGU :2007/06/11(月) 12:57:09 ID:qPZD0lYJ0
ふふふ。紫苑さまの女神なら、さらにその上を行く報復プランをもってそうですね。


「あなたのおとした服はこの金色の服でしょうか?」
「そうよ〜」
何回も繰り返された問答。
いつものようにむふふとまりやが笑う。

「あなたは正直者です」
「え?」
見ると女神様の手には金色に光る服があった。
「前回、おとしていったものの中に含まれていました」
にっこりと笑う紫苑さま。
「あなたは正直者ですから、いままで捨ててきたすべての服を返して差し上げます」
そう言うと、紫苑さまは手元のひもを引いた。
なんか罠っぽい。

「ひぃぃっ!」
逃げだそうとしたまりやの上から、びしょびしょに濡れた服がどっさりと落ちてきた。
水分を含んだ生地はとても重たい。
「た、たすけ・・・」
まだまだ服は止むことなくどんどん落ちてくる。
あまりの重さにまりやは気を失った。

「やっぱり悪いことはできないのですよ〜」
「そうですよ。不法投棄する場合には気をつけないと」
奏ちゃんと由佳里ちゃんに戒められるまりやでした。

>由佳里ちゃんがおもちゃにキスしてまりやにからかわれる設定
ちゃんと使わせて頂きます。
大トリでオチに使う予定です(笑)

310 :まりみて2 前編 ◆0XucCTxAGU :2007/06/11(月) 14:39:59 ID:qPZD0lYJ0
『まりやとかがみてた 〜こころからのプレゼント』前編



「奏ちゃんたら可愛い。耳の先まで真っ赤になって・・・」
紫苑が奏の後ろから、首筋をねぶり上げる。その両手は奏の胸の果実を弄んでいた。
「ふふ。そうね。こちらもおしっこしたみたいに濡れてきたわ」
「いやぁ・・・おねぇさま・・」
奏の秘唇にキスの雨を降らしていた瑞穂が意地悪く言う。
奏はもう茫然自失の態だ。大きく胸が上下している。

「そろそろ、いいかしら?」
「そうね。もう十分に準備できたみたい」
紫苑と瑞穂がくすくすと笑い合う。

瑞穂が『お姉さま』になってるのは奏の要望だった。
そのほうが怖くないからと。
むかし取った杵柄。
瑞穂はちょっと意地悪なお姉さまになりきって奏を責めている。

311 :まりみて2 前編 ◆0XucCTxAGU :2007/06/11(月) 14:41:25 ID:qPZD0lYJ0
「奏ちゃん、とても可愛いわよ」
瑞穂は奏のクレバスにぴたっと付ける。
「可愛いからもっと焦らしてあげる」
瑞穂は腰を動かして、スマタのように奏のクレバスをさすり始めた。
「お姉様ぁ・・・」
奏は自ら腰を浮かして瑞穂に強く愛してもらおうと思った。
触れるかふれないかという繊細な愛撫だったからだ。

「腰を振るなんて、いやらしい奏ちゃん・・・」
「だ、だってぇ・・・・もう、お願いなのですぅ・・・やぁんっ」
「奏は辛抱が足りないけど、しょうがないわね」
瑞穂は奏の唇を奪った。舌で唇をこじ開けてさらに奥へと侵入する。
むりやりに舌を犯す乱暴なキス。

奏がキスに耐えている間に奏の背後から手を伸ばして、紫苑が瑞穂を奏のクレバスに導く。
ちゅく。
濡れたおとが奏に代わって、瑞穂をせき立てた。
「じゃあ、いくわね」
唇を離して指先で口元をぬぐった瑞穂はそのまま腰を密着させた。
クレバスのふちを巻き込んで沈んでいく瑞穂。
「はぁ・・・ああぁ・・ぁぁ!」
「奏ちゃんたらいつまでも狭いままね。奥まで届いたみたいよ」
奏は待ちこがれた快感に耐えるように、瑞穂の背中に手を回して抱きついた。



その様子を部屋の扉の隙間からのぞいている女性が居た。
マタニティドレス姿の貴子だった。
その唇は堪え忍ぶように結ばれていたが、やがてスッと扉の隙間から姿を消した。

それを、由佳里と体に手を這わせていた、まりやが見ていた。

312 :まりみて2 前編 ◆0XucCTxAGU :2007/06/11(月) 14:42:05 ID:qPZD0lYJ0
貴子の妊娠が分かったのは3ヶ月前、鏑木の病院での検査だった。
いまはもう、つわりも収まってきた。そろそろ妊娠5ヶ月目になる。

妊娠の事実が分かった時点で貴子は秘書室長を解任された。
現在は、「経営戦略部預かり」の肩書きを与えられて、鏑木の家で暮らしている。

喜んだ面々。紫苑さまも偽りのない笑顔で祝福してくれた。
お腹の中の子供を抱きしめるように、お腹を両手で抱いた。
顔を赤らめた瑞穂がありがとうと言ってくれた。
今までの人生で一番嬉しかった。


だが、初めこそ瑞穂の子を宿したしあわせを感じていたが、それもすぐに消えた。

子供によくないとの理由から、夜の生活が無くなったからだ。
身を火照りをもてあました貴子はひとりで慰めたりもした。
しかし、愛の感じられない快感など、慰めにならなかった。

妊娠した自分を放っておいて他の女性を抱く瑞穂を恨んだこともある。
でも理性がしょうがないのだと言い返してくる。

どうしようもなくなって貴子はほんのときおり、こうしてみんなの乱交を覗きに来る。
覗いたところで何ができるものでもなく、やがてそのまま自室に帰る。



貴子はひとりぼっちだった。

313 :まりみて2 前編 ◆0XucCTxAGU :2007/06/11(月) 14:42:59 ID:NSNXYX2t0
ある夜、貴子が独り寝のむなしさを感じていると、部屋の扉がノックされた。
「どなたですか?」
「あたしよ。まりや。ちょっと話したいことがあるから開けてよ」
夜着の上に一枚羽織って扉を開けた。

そこにはまりやとともに瑞穂もいた。
「ちょっと中で話したいの、いい?」
「え、ええ。どうぞ」
二人を迎え入れて扉を閉めた。

「貴子はベッドに腰掛けて。瑞穂ちゃんは貴子を支えてあげて」
まりやは自分のために椅子を持ってきてその前に座った。

「単刀直入に言うわ。貴子。
 あなた、夜が寂しいのね」
「なっ!?」
「知っているわよ。あなたが扉の隙間から覗いてること」
貴子はくやしくなってうつむいた。なにも口にできない。

「いままでよく耐えたわね。でもこれからはそんな心配は無用よ」
「え?」
いつになく優しいまりやの声に顔を上げる。
まりやが首に抱きついてきた。
「もういいのよ・・・お医者様からOKもらったから」
「な、なにの?」
すぅっと息を吸ってまりやが言った。
「これからは安定期だから、やさしいHならしても良いって」

314 :まりみて2 前編 ◆0XucCTxAGU :2007/06/11(月) 14:44:03 ID:NSNXYX2t0
初めは何を言われたか分からなかったが、ゆっくりと理解した。
貴子は両手で顔を隠して涙ぐんだ。

「ほらね。瑞穂ちゃん言ったとおりでしょ。
 貴子だって人間だから、好きな人に抱いて欲しいものなのよ」
「そっか・・・ごめん貴子さん。気づかなくて・・・」
「いえ・・・」
貴子の返事はすすり上げるような鼻声だった。

「でも、やっぱり赤ちゃんが・・・」
「だーかーら。安定期になったらHしてもいいんだって!
 それにひとりHしてるくらいならちゃんと瑞穂ちゃんとHするほうが健全だよ!」

「な!?」
動揺する貴子の面前に、まりやは1枚の写真を突きつけた。
貴子のひとりHの証拠写真だった。

「あなた、なんてものをっ!」
「こんなのどうでも良いコトよ」
そういってまりやは貴子の目の前で写真を破る。

「大切なのは、これから貴子と瑞穂ちゃんがHするってことだけ」
まりやは貴子の着ているものを脱がせ始めた。
「瑞穂ちゃんも脱いで」
横目で指示する。
「わかった」
瑞穂は上着に手を掛けた。中性的な肉体が現れた。
貴子を脱がせ終えたまりやも服を脱いだ。

315 :まりみて2 前編 ◆0XucCTxAGU :2007/06/11(月) 14:45:32 ID:NSNXYX2t0
「貴子さん、いままで放っておいてごめんね。
 これからは貴子さんも一緒だよ」
瑞穂は貴子を優しく抱き寄せた。
「はい・・・」
貴子の目に再び涙があふれた。


お腹を圧迫しないように向かい合って横になる瑞穂と貴子。
まずはキスから・・・
ひさしぶりに首筋や耳を責められる快感。
愛されているという実感だった。

「そうだわ。これを忘れてたわ」
「え?」
「由佳里のおもちゃ。ローターって知ってる?」

顔を赤らめて黙ってる瑞穂に説明する。
「これを貴子の膣に入れるんだけどね・・・
 
 ちょっと瑞穂ちゃん。『しゃぶって』、濡らしてくれない?」

「そ、そんな・・・」
「そのまま入れるとまだ濡れてないから痛いかもしれないわよ。
 貴子のことが好きなら、恥ずかしくても我慢よ。イヤなら目を瞑って」
目をつむる瑞穂。見ている貴子も恥ずかしくて目をつむる。
目をつむりながらも貴子が痛くないようにねっとりとローターをねぶり上げる瑞穂。

ごっほんっ!

まりやが不自然に大きなセキをする。
「ん? まりや?」
「え? なんでもないよー。準備できたら、はい貸してー」

316 :まりみて2 前編 ◆0XucCTxAGU :2007/06/11(月) 14:46:23 ID:CmCl7AQJ0
ローターを受け取ったまりやは、貴子のお尻の横に座った。
「覚悟しなさいよ。貴子。ふっふっふ」
「ちょっ・・・まりやさん?」
ローターのスイッチをオンにして、うちももに当てる。
微妙に触って、貴子の性感を煽るようなやさしいタッチ。
波のように寄せては返し、寄せては返し。
ときにふともものつけ根の方に移動しつつ、貴子が感じるとおあずけするように遠ざかる。
まりやらしい、意地悪な責め方だ。


瑞穂はいままでの寂しさを忘れさせるような、優しくも激しいキスをしていた。
はしたなく、熱いキス。
ねっとりと貴子の舌をすくい上げて絡めるような動き。
瑞穂も久しぶりに逢う恋人に舞い上がっていた。

瑞穂の手は貴子の大きくなった胸をいやらしく揉んでいた。
こねるように、すくい上げるように、貴子の胸で遊んだ。

「あああっ!」
なすがままに舌の蹂躙を受けていた貴子が声を上げた。
まりやのローターがクレバスをなぞっている。
「やっ! ああぁ」
ローターがクレバスに潜ったりしつつ、そこにある芽を刺激していた。
「ふふ。敏感ね。貴子。とろとろ濡れてきたわよ」
「ま、まりやさん・・・はぁんっ」
「待ちきれないみたいね。3ヶ月も待たされたらそうよね・・・
 がんばった貴子にご褒美を上げるわ」
「あ、いやぁ・・・だめぇ」
まりやはローターをクレバスに押し込んだ。膣口でぶるぶると刺激しているはずだ。

317 :まりみて2 前編 ◆0XucCTxAGU :2007/06/11(月) 14:47:05 ID:CmCl7AQJ0
キスするだけだった瑞穂の唇も、紅潮した貴子の首筋や耳を愛撫し始めた。
手はやや大きくなったお腹とその真ん中のおへそをなぜる。
「少し大きくなったね・・・赤ちゃん」
「み、瑞穂さん・・・・わたし、もうっ」
「もうイっちゃいそう? じゃあ、そろそろ・・・しようか?」
涙目でこくんとうなずく貴子。


瑞穂はコンドームを着け終えた。
避妊目的ではない。感染症を防ぐのと、流産を防ぐためだ。

「じゃあ、瑞穂ちゃんこっちにきて。
 貴子の背中側から抱いてあげるのが一番負担が少ないのよ」
瑞穂は言われたとおり、貴子の背中側に周り、体を密着させた。
「さあ、瑞穂ちゃん。浅く、やさしくね」
「う、うん・・・貴子さん、いい?」
「は、はい・・・おねがいします・・・」
手に持って、貴子の真ん中にちかづける瑞穂。
ゆっくりと差し込んでいった。

「はあああぁぁぁ・・・」
「き、きつい」
「瑞穂ちゃん、さっきも言ったけど、優しく、浅くよ」
「わ、わかってるよ」

318 :まりみて2 前編 ◆0XucCTxAGU :2007/06/11(月) 14:47:50 ID:CmCl7AQJ0
ゆっくりと腰を前後に動かし出す瑞穂。
手は胸に、口は貴子の耳の裏側や肩口に吸い付いた。
愛撫するたびに、貴子の膣がびくっと震える。
「くぁっ! はぁ・・・」
「もう限界?」
「も、もう・・・」
浅くと言っていたのに、ずんずんと子宮口まで突き上げる衝動に貴子は追いつめられていった。
「でも、ボクはまだ・・・なんだけど」
「ダ、ダメです。・・・・ああっ・・・・ん。」

「じゃあ・・・、しょうがないな。気持ちよくなってね」
腰の動きを速くする瑞穂に、貴子はどうにかなりそうだった。
胸を揉む瑞穂の手を掴み、両手で握った。
「ああぁ・・・ふぁっ! うんっ!」
ビクビクと震える貴子。

その周期が速くなっていくのにつれて、喘ぎのトーンも上がっていった。
「みっ! あああっ」
ぎゅうっと瑞穂の手が握りしめられた。

ラストスパートとばかりにさらに激しさを増す腰の動き。
「はああああんっ! ああああっ」
貴子は泣き出すような喘ぎを上げた。
貴子の締め付けが一際きつくなること十数秒。
ようやく、貴子が大きく息を吸った。

はぁはぁ。
瑞穂もイきはしなかったものの、かなりの満足を得ていた。
そのまま、貴子を後ろから抱きしめる。
貴子は今、なにも考えられなかったが、しあわせの中にいた。

二人の荒い呼吸が長く部屋に響いた。

319 :まりみて2 前編 ◆0XucCTxAGU :2007/06/11(月) 14:55:28 ID:Gof7rGvO0
前編終わりです。
後編は貴子のアナルいじりと後日譚です。
今週中くらいに書き上がる予定。

アナル本番というのを考えていましたが、どうも安定期のセックスでググって見ると
そんな激しいコトしたら、アナルから出血するかもとか、流産するかもとか・・・

なので、愛撫するだけで本番は無しにしました。
その分じっとりと愛撫させますけどね。けっけっけ。

後半の構想はまず、オチに東の扉さんのアイディアを頂きました。
できるだけ、コミカルに締めくくるつもりです。

感想お待ちしております。m(_ _)m

320 :名無しさん@初回限定:2007/06/11(月) 18:49:39 ID:k7O25Mkc0
瑞穂お姉さまが身重の貴子さんほっぽって乱交に耽るとかありえねぇだろ・・・
でも、エロいからおk

321 :名無しさん@初回限定:2007/06/11(月) 19:53:33 ID:DQRxwVpX0
>>319
瑞穂の名を借りた別物
(・∀・)カエレ!

322 :名無しさん@初回限定:2007/06/11(月) 21:07:03 ID:n+xEFoI/0
>>320に同意

323 :まりみて2 前編 ◆0XucCTxAGU :2007/06/11(月) 21:09:29 ID:Gof7rGvO0
>>320
前作でひとりずつ赤ちゃんを産むのは決定しておりますので・・・
身重なので乱交の場に連れて行くのは、逆に可愛そうだと思いました。
見学だけでおあずけなんて・・・
後編はさらにエロ度を上げてみるつもりです。
ただし、それが受け入れられるか・・・読み手を限定しないか・・・

>>321
そっすね。

324 :名無しさん@初回限定:2007/06/11(月) 21:38:49 ID:SS/920/I0
>>323
ききき・・・キターーーー(・∀・)ーーーー!!!まりみての続編キタ!

>>身重なので乱交の場に連れて行くのは、逆に可愛そうだと思いました。
>>見学だけでおあずけなんて・・・
まぁそれが最善だと思います。
アフターフォローが上手く出来なかったのも瑞穂ならではじゃないかと。
瑞穂の性格上、誰かに言われてから初めて気づきそうですしね。

最高でした。後編もお待ちしております。

それから
>>321は気にする必要はありません。基地外のする事ですから。
今後はスルー推奨で

325 :名無しさん@初回限定:2007/06/11(月) 21:48:39 ID:+JiX2Qsk0
>>323
GJ!
また後編も待ってますよ

326 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/06/11(月) 22:13:37 ID:YT6ScpOr0
おお!仕事から帰ってきたら面白い作品投下が!
童話シリーズいいですね。お二人ともGJ!
読んでて私もかきたくなったので、ちょこっと私も混ぜて頂く感じで、
超ショートショートを。
童話じゃなく昔話で。

327 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/06/11(月) 22:15:06 ID:YT6ScpOr0
『浦島太郎』

亀・・・瑞穂  浦島太郎・・・紫苑  子供たち・・・いつものメンバー

村の子供たちが浜辺で、瑞穂亀を囲んでベタベタと触って遊んでいました。
「うう、やめてよ〜」
「亀のくせにこんなに腰が細いなんて女の敵よね」
「亀なのに髪の毛サラサラなのですよ〜」
「亀なのに色っぽすぎます」
そこに紫苑太郎がやってきました。
「貴女たち、おやめなさい!」
「し、紫苑太郎さま…」
「弱者を労わる心が無いのですか!それでも慈悲と寛容を旨とする恵泉村の子供たちですか!」
「……」
「恥を知りなさい!その瑞穂亀さんは私が預かります。いいですね」
「・・・・・・紫苑太郎さま、この瑞穂亀が欲しいのですね?」
「ありていに云えばそういうことです。譲っていただけるかしら」
「タダではだめです」
「いいでしょう。有り金はたきましょう」
紫苑太郎は子供たち全員に小遣いを渡して、瑞穂亀を子供たちから助けてあげました。
「毎度ありー」

328 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/06/11(月) 22:18:45 ID:YT6ScpOr0
子供たちから解放されて、紫苑太郎に礼を述べる瑞穂亀。
「助けていただきましてどうも有り難うございました。このお礼は是非とも…あれ?」
話している最中の瑞穂亀を小脇に抱えて歩き出す紫苑太郎。
「あ、あの…ちちょっと」
「ふふふふふふふふふふ・・・・・・・・・・・・・」
「ああああの、海は反対方向ですよ!!海に帰してくれるんじゃないんですか!?」
「ふふふ。貴方は私が買ったのです」
「・・・・・・えっ!?」
紫苑太郎は一生、瑞穂亀を手放そうとしませんでした。
「いやあああああああああ!!!!」

終わり

329 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/06/11(月) 22:22:28 ID:YT6ScpOr0
『一休さん』

一休・・・瑞穂  将軍様・・・まりや

虎の屏風の前で、まりや将軍が瑞穂一休に云った。
「虎を退治してほしいのよね〜」
考え込む瑞穂一休。
ポクポクポク・・・・・・・・・・・チ〜〜ン
「わかりました、将軍さま」
そして襷がけをして、縄を掴むと将軍さまに堂々と見得を切った。
「では、虎をここに出してください。私が捕まえて見せましょう!さあ、さあ!」
勢いよくまくし立てる瑞穂一休。
「オッケー!」
「・・・・・・えっ?」
「じゃ、出すわよ。カモ〜ン、タイガー!」
バーーン!!
隣の部屋との襖が引き開けられると、そこから一升瓶を片手に持った紫苑が現れた。
「酒に強い紫苑さまが、珍しく酔っ払っちゃって手がつけられないのよね〜。それじゃ、頼んだわよ」
「えっ?えっ?えっ!?」
「ふっふっふ。あらあら、瑞穂さん。いらっしゃ〜い」
そう云うと紫苑は瑞穂一休の襟首をガシッとつかんだ。
「いや・・・ちょっと・・・離して〜・・・」
紫苑は嫌がる瑞穂一休をズルズルと引きずって、もとの部屋に戻っていき、再び襖を閉めた。
ドタン!バタン!
何やら暴れる物音に続き、瑞穂一休の悲鳴が聞こえ、それもやがて途絶えて、紫苑の楽しそうな笑い声だけが聞こえてきた。
「あらら、瑞穂ちゃん。食べられちゃったみたいね〜」

終わり

330 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/06/11(月) 22:25:56 ID:YT6ScpOr0
『金太郎』

金太郎・・・瑞穂  森の動物たち・・・いつものメンバー

いつものようにまりや猿が瑞穂金太郎の所へやって来て、遊びに誘います。
「瑞穂金太郎さん。今日も皆で遊びましょ」
「ええ。何して遊びましょうか?」
「相撲がいいな」
「相撲?」
「うん。みんな、待ちきれないってテンパッてるわよ。ほら!」
まりや猿が指差すほうを見ると、多くの森の仲間たちが、ハアハアと荒い息をしながら瑞穂金太郎との相撲の順番待ちのための
長い行列をつくっていました。
行列の先頭は、勿論、紫苑熊です。
「さあ、いらっしゃい。瑞穂さん。楽しく相撲をとりましょう。がっぷり四つに組みましょう!」
「いやああああああああ!!!!」

終わり


以上です。お粗末さまでした。

331 :名無しさん@初回限定 ◆0XucCTxAGU :2007/06/11(月) 22:37:11 ID:Gof7rGvO0
なんか全部隠しエロ表現が入っているような・・・

L鍋さんのえっち〜!

332 :名無しさん@初回限定:2007/06/11(月) 22:44:19 ID:+JiX2Qsk0
紫苑さま一人勝ちですねww
GJ&乙でした!
また気が向いたらお願いします

333 :かぐや姫 ◆0XucCTxAGU :2007/06/12(火) 21:26:11 ID:RYpZy62k0
昔、聖應の地にナイスミドル在り。名をば鏑木の翁と申す。

楓という名のおばあさんと仲良く暮らしていました。



「わ、・・・わ、私がおばあさんですってぇぇぇっ! このdkjfぱおjふじこ」



それはさておき。

鏑木の翁がイタリア製のスーツを着て今日も竹を採りにいったところ、光り輝く竹がありました。

「ひゅおうっ。」
後ろ回し蹴りで竹を割ってみると、中から可愛い女の子が出てきました。

「な・・なにするんですか! 危ないじゃないですか、父さま!」

鏑木の翁は子供がなかったので女の子を連れ帰って、瑞穂のかぐや姫(以下、瑞穂ちゃん)と名付け
楓さんと大事に育てました。

瑞穂ちゃんはすくすくと育ち、三ヶ月もした頃には立派な大人の女性になりました。
瑞穂ちゃんの噂は都まで届き、やがて都の公達が求婚に訪れるようになりました。

334 :かぐや姫 ◆0XucCTxAGU :2007/06/12(火) 21:27:25 ID:RYpZy62k0
「瑞穂ちゃん、あたしと結婚しようっ」
「お、お姉さま・・・わたくしと・・・・(きゅううぅぅぅ)」
「奏だけのお姉さまになって頂きたいのですよ〜」
「三食、ハンバーグに不自由はさせません」
「お姉さま、お姉さま、お姉さまっ。一子はお姉さまをお嫁にもらえるなら火のなか水のなかといえども容赦せず
 果ては霊界まで木っ端微塵に突き進んでかならずやお姉さまのハートをゲットしたあげくにあんなことや
 こんなことも辞さず妄想のほとばしるがままにお姉さまの体までも癒して差し上げる次第なのであります!」

うんざりした瑞穂ちゃんは結婚する条件として5人に無理難題を要求しました。
「まりやは永久機関。貴子さんはキマイラとソーマを、奏ちゃんは邪馬台国出雲説の物証、由佳里ちゃんは
 大統一理論ね。一子ちゃんは私が男であることを証明して」。

「あははは。そんな、お姉さまが男だなんて天地がひっくり返って海の水がお月様を水没させても猿が鳥になって

 そのあと殺人コアラにまで進化したことがきっかけでアザラシが世界を征服したあげくに酒池肉林のハーレム
 帝国でこの世のはかなさを一心不乱喧々囂々と歌に詠んだってあり得ませ〜ん!」



一子ちゃんは涙目の瑞穂ちゃんに追い出されました。

335 :かぐや姫 ◆0XucCTxAGU :2007/06/12(火) 21:28:38 ID:RYpZy62k0
「え〜〜〜っと、ここにπが代入されて・・・複素数がディラックの海で・・・ATフィールド?」
ハンバーグで知らないことがなくても数学には役に立たなかったようです。由佳里ちゃん轟沈。

「草薙剣と八咫鏡と八尺瓊勾玉を手に入れたのでこれからレムリア王国にに攻め込むのですよ〜」
奏ちゃんは海の彼方に旅立っていきました。

「キマイラってなんですの?」
貴子さんは本屋さんで全巻大人買いして読み耽ったあげくに執筆者に続きを催促する手紙を出しました。
ある意味、幸福な終わり方でした。


まりやは金にものを言わせて闇市場で手に入れました。
「ふっふっふ。圭さんから永久機関を手に入れたわ・・・スイッチはこれかしら?」
屋敷一つ分の大きさはある永久機関の真ん中に入って、太極図のようなボタンを押すと
宙にエメラルド碑文が現れて、永久機関が起動しました。

がごーん、がごーん、ぴー、ぷしゅー
「や、やったわ・・・!」
まりやの周りでアームが動き出しがっこんがっこん上下しています。

「・・・ところでこれどうやって止めるの?」
太極図ボタンを連打しましたが、押すたびに機械は速くなるばかり。
「圭さん、止めてー」
まりやは自分が芝村の地獄にハマっているのが分かりませんでした。


というわけでだれも瑞穂ちゃんを手に入れることができませんでした。

336 :かぐや姫 ◆0XucCTxAGU :2007/06/12(火) 21:29:43 ID:kvncOaCb0
聖應の地にとても美しい姫がいると聞いたときの帝、紫苑さまは瑞穂ちゃんに会いに行きました。

「貴女がかぐや姫・・・・・・それは、そうと、ロミオ。友人として頼みたいことがある」
「ソレチガウ・・・」

「ワタシの可愛い仔猫ちゃ〜ん?」
「なんですか、それは?」

「「・・・」」

「こほん。私はもうすぐ月に帰らなければならないのです・・・」
「そ、そんな!」
「ですから、誰とも結婚できません」
「・・・・・・」

「その代わりに不死の薬を置いていきます」
「ずいぶんと唐突ですね・・・さてはネタに困りましたね?」
「これです。父さまと楓さんにも一つずつ」
瑞穂ちゃんは強引に話を進めました。

337 :かぐや姫 ◆0XucCTxAGU :2007/06/12(火) 21:31:04 ID:kvncOaCb0
「これは?」
手渡されたものは小さなボイスレコーダーでした。
「このボタンを押せば音が聞こえます。それを一度聞くたびに千年寿命が延びるそうです」

ぽち。

「あん♪」




「さあ、私は今から月へ帰らなければなりません、さようならっ!」

瑞穂ちゃんは顔を赤らめるとさっさと竹で編んだロケットで月の世界に帰ってしまいました。


瑞穂ちゃんがいなくなって悲しんだ帝と鏑木の翁、楓さんでしたが、そのたびに帝は鏑木の夫婦の元を訪れ
ボイスレコーダーを再生させたそうです。

「あん♪」
「あん♪」

こうして紅茶を飲みながら優雅で幸福な午後を過ごしたそうです。

338 :かぐや姫 ◆0XucCTxAGU :2007/06/12(火) 21:31:56 ID:kvncOaCb0
もでぇくて、ゆるぐねがったじゃぁ、どっとはらい



これ忘れてました。
おしまい。

339 :名無しさん@初回限定:2007/06/12(火) 23:19:21 ID:yXgFynRS0
GJ!
こういう昔話のパロってノリが軽くなって
読んでて楽しいので大好きですw
もし良ければまたお願いします

ここ最近作家のみなさんが良作をたくさん投下してくれるので
読者として大変ありがたいです

乙でした


340 :名無しさん@初回限定:2007/06/13(水) 16:43:28 ID:wFHHSzD70
>>327
そーいえば紫苑太郎さまって漁師さんでしたね。
ならば亀は
売る>食う>>>>>>>>>>飼う
ですよねえ。
…よかったね、瑞穂亀さん(ぇ?)

>>329
うわっ、「とら」だあああああ!!!
でも「タイガー」じゃないですよ、まりやさん!

>>330
文章上では瑞穂クンの「美貌」は描かれてないけど、どんな服装だかとっても気になりますw

>>334
>5人に無理難題を要求しました。
>一子ちゃんは私が男であることを証明して
>「あははは。そんな、お姉さまが男だなんて
>あり得ませ〜ん!」
む、無理難題w

341 :名無しさん@初回限定 ◆0XucCTxAGU :2007/06/13(水) 21:15:10 ID:AcDgYs7L0
>>339
ありがとうございます。
ただ、じつのところ、後編にまったく手をつけておらず、現実逃避というところが大きいのですが(笑)
まりみての続きは「今月中」に予定を変更します〜

>>340
無理難題です。だってお姉さまの性別は男でも女でもなく、お姉さまですから〜
瑞穂ちゃんにすると、一縷の望みを一子ちゃんに託したつもりだったのですが。

かぐや姫は、みんなどこから突っ込もうか悩んでいると思います(ニヤリ
でも推敲もせずに電波を受信したそのまま書き込んだので、変な表現が多いですなぁ。
まちがえて一子ちゃんのセリフに不要な改行も入ってるし。

次回、「お姉さまの奇妙な冒険」奏ちゃんとの休日デート。
デート中に奏ちゃんが謎の男たちにさらわれた!?
鏑木一家総出のカーチェイス! 「やるき、薙ぎ払いなさい!」重機関銃を持ち出す弁護士
「瑞穂、世界の果てを見せてやろう」「魔法少女めいぷる☆メイド見参!」
「お待ちなさい、薄荷ー軍団。 瞬着! 宇宙女刑事シヲン!!」
「瑞穂ちゃん、みんなあなたの大事なものを奪っていったわ。なにか分かる?」

というような妄想を受信しました。誰か書き起こしてー(他力本願)

342 :名無しさん@初回限定:2007/06/13(水) 21:58:58 ID:e1Gj2H8o0
>>330
がっぷり四つに組んだら最後そのまま土俵などどこへやら
紫苑様に連れ去られて誰も来れないような所でくんずほぐ
れずにこれから俺に入ってくる金すべてベットしてやるw

343 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/14(木) 14:10:40 ID:80JoS+MV0
またネタが思い浮かびましたので、投下させていただきます。
今度も昔話ものです。
では、よろしくお願いします。

344 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/14(木) 14:14:22 ID:80JoS+MV0
〜かちかち山〜

 昔々、あるところに、瑞穂と由佳里という可愛い夫婦が住んでいました。
 由佳里は毎日ハンバーグ弁当を作り、それを瑞穂が街に売りに出て生活費を稼ぎ、
夜になると朝まで2人で眠らずに楽しいことをして、それはそれは幸せに暮らしていました。
 ところが、いつからか山からおりてきたまりやだぬきによって、2人の幸せな暮らしはめちゃくちゃにされてしまいました。
「ほーらほらほら。瑞穂ちゃん、次はこの衣装よ」
「わーっ!! まりやだぬきさん、もうやめてーっ!!」
「やめないもーん♪ あたしの見つけてきた服全部着せて女装ファッションショーを終わらせるまではね」
 瑞穂は、毎日のようにまりやだぬきに女装させられていました。そして由佳里は……。
「ここかー? ここがええのんかー?」
「ま、まりやだぬきさん、やめてくださいよお……」
「そんなこと言ってえ、ゆかりんも感じてるんじゃないのお?」
「ゆ、ゆかりんじゃないですよ……ひゃあああっ!!」
「ういやつよのお。ほれほれほれ」
 まりやだぬきに、毎日のようにセクハラされていました。
 しかもまりやだぬきは、2人の様子をモデル事務所やAV事務所に高く売りつけ、
法を無視して2人にモデル料も払わずに、大もうけしていました。

「うーっ……まりやだぬきめ、毎日毎日女装させて、もう我慢できない!」
「私も瑞穂さん以外の人? にえっちされるなんて、我慢なりません!」
 2人は、まりやだぬきを懲らしめることにしました。

345 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/14(木) 14:18:32 ID:80JoS+MV0
 ある日、まりやだぬきが山を歩いてると、瑞穂の下着写真集が目の前にありました。
「おっ! いいもん見っけ! これで瑞穂ちゃんをからかえるし、あたし自身のコレクションとしても捨てがたいしね」
 そう言って、まりやだぬきは写真集を手にとろうとしましたが……。
 ヒュンッ!
 写真集の周りにしかけられていた縄にかかって、まりやだぬきはつかまってしまいました。
「ふっふっふ、とうとう捕まえたよ、この性悪だぬき!」
 瑞穂はそう言って、家にまりやだぬきを縛りつけます。
「そこでたっぷり反省していなさい!」
 瑞穂はそう言って街へ出かけます。
 家には、ハンバーグ弁当を作っている由佳里と、縛られたまりやだぬきだけが残されました。
「えーん! 由佳里、ほどいてよーっ!」
「ダメです! しばらくそこで、私たちにしたことを反省していてください!」
「そんなあ! 許してよ由佳里。ほんの出来心だったのよ。そんなに迷惑してるなんて思わなかったからさ。ふぇーん!」
 まりやだぬきのウソ泣きを見抜けなかった由佳里は、罠にかかって同情してしまいました。
「一度由佳里のハンバーグ食べてみたかったのよ。最高のハンバーグ食べさせてくれるなら、お礼もするからさ」
「そうですね。ハンバーグが好きな人に、悪い人なんているわけないですからね!」
 由佳里は、そう言ってまりやだぬきの縄を解いてしまいました。
「うーん! おいしーい! さすが由佳里だわ」
「えへへ。ハンバーグのおいしさがわかってもらえて、嬉しいです」
「じゃあお礼に、思いっきり気持ちよくしてあげるわゆかりん!」
 まりやだぬきは、ハンバーグ弁当を食べ終えると、途端に意地悪モードに変わって由佳里をいじりにかかります。
「ゆかりんじゃありません! っていうか、まりやだぬきさん、私をだましたんですかあ!?」
 やっと由佳里は気づきますが、もう後の祭り。
「ふふーん♪ だまされる方が悪いんだよーん♪」
 まりやだぬきは、由佳里にセクハラの限りを尽くします。

346 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/14(木) 14:22:36 ID:80JoS+MV0
「ただいま。由佳里、今帰ったよ」
「う……うえええええん……」
 瑞穂が家に帰ると、由佳里があられもない格好で、身体からは色々な液体を垂れ流して泣いていました。
「………!! どうしたの、由佳里、一体何があったの?」
「あ、あなた……私、まりやだぬきにだまされて……えーん……」
 見ると、縛りつけてあったところに、まりやだぬきの置き手紙がありました。

やーい! 見たか瑞穂ちゃん!
あたしの手にかかれば、あんたたちなんてちょろいもんよ!
あんたたちは、おとなしくあたしのオモチャになってればいいのよ。
ま、とりあえず、その格好のゆかりんに欲情して、なぐさめてあげることね。
                                   まりやだぬき

「まりやだぬきめ! どこまでも人をこけにしてーっ!!」
 それを見た瑞穂は怒り核爆発。まりやだぬきを追って、山に入ります。

347 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/14(木) 14:26:21 ID:80JoS+MV0
「もし、こんな山奥に、いったいどうしたんですの?」
 山に入った瑞穂は、貴子うさぎにそう呼び止められます。
「ええ、実は……」
 瑞穂は、今までまりやだぬきから受けた数々の屈辱を、すべて貴子うさぎに話しました。
「ま、まあ!! 聞いていれば、なんといううらやま……いえ、ひどいたぬきなんでしょう! 許せませんわ!!」
 それを聞いた、貴子うさぎはかんかん? です。
「お姉さま、私に任せてください! 必ずまりやだぬきを懲らしめてさしあげますわ!」
「ええ、でも……」
「でも、ではありません! おひとよしのお姉さまでは、必ずまたずる賢いまりやだぬきにだまされてしまいますわ! 
何も言わずに、私にお任せくださいな」
「貴子うさぎさん……」
 瑞穂が、僕はお姉さまではなく男なんですけど……という前に、貴子うさぎはまりやだぬき退治に出かけます。

348 :支援:2007/06/14(木) 14:30:15 ID:YRN5bpdG0
↓続きをどうぞ

349 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/14(木) 14:30:23 ID:80JoS+MV0
「まりやだぬきさん」
「何よ、貴子うさぎ」
 貴子うさぎはまりやだぬきを見つけてそう声をかけます。
「とある無人島に、お姉さまにぴったりなレアものの衣装がたっぷりあるという噂ですわ」
「ええっ!? 瑞穂ちゃんに? どこどこ、どの島よ」
 まりやだぬきは、興奮気味に貴子うさぎを問いつめます。
「実は、すでに行く用意はしてありますわ。私についてきてくださいな」
 貴子うさぎは、そう言ってまりやだぬきを海岸に誘い込みます。
「私はこの木の船に乗りますから、あなたはそちらの泥の船をお使いなさいな」
 貴子うさぎがそう言うと、まりやだぬきは泥の船に火を放ちます。
「なっ……!?」
「こうやって焼いちゃえば溶けないでしょ。その手には乗らないわよ、貴子うさぎ」
「ま、まあよろしいですわ。それでは出かけましょう」
 そう言って、2人は海岸から見える島を目指します。
「もうすぐ着くわね」
 まりやだぬきが無人島の船着場に到着しようとする頃、貴子うさぎは、手に隠し持っていたボタンを押します。と……。
 ドーン!!
 派手な音がしたかと思うと、まりやだぬきのいた場所から、空に巨大な白い毒キノコが浮かび上がりました。
 その後のまりやだぬきの行方を知るものは、誰もいません。

350 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/14(木) 14:35:38 ID:80JoS+MV0
「貴子うさぎさん、ありがとうございました!」
 その後、まりやだぬきを懲らしめることに成功したと聞いた瑞穂と由佳里は、貴子うさぎにお礼を言います。
「いいえ、当然のことをしたまでですわ」
「お礼に、これを受け取ってください」
 由佳里は、そう言って1枚のDVDを渡します。貴子うさぎはそれを受け取りました。そして、家に帰ってそれを再生します。
「貴子うさぎさん、ありがとうございます。あん♪」
 女装姿の瑞穂が、画面の中で、そう色っぽい声と仕草をしています。
「きゅうううう……」
 こうして貴子うさぎは、何度もDVDを見ているうち、鼻からの出血多量で入院してしまいました。
 瑞穂と由佳里は、今まで以上にラブラブでエロエロな夫婦生活を送りました。
 そしてまりやだぬきは……。
「ちくしょーっ!! 貴子うさぎめ! あんなムチャクチャしやがってーっ! 絶対仕返ししてやるーっ!!」
 ボロボロの身体で入院しながら、そう復習を……じゃなくて復讐を誓うのでした。

Fin

351 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/14(木) 14:41:05 ID:80JoS+MV0
以上です。
今回の人選には自信があります。
どこからツッコミを入れようか迷いぬいていただければ幸いです。
それでは、今回はこれにて。

352 :名無しさん@初回限定 ◆0XucCTxAGU :2007/06/14(木) 17:01:54 ID:+VJrQghT0
た、貴子さんはバニーガール姿なんですかっ!?

353 :名無しさん@初回限定:2007/06/14(木) 20:55:49 ID:2kxcIGXQ0
>>345
>ある日、まりやだぬきが山を歩いてると、瑞穂の
>下着写真集が目の前にありました。

撮りおろし。
ハッ、怒りのあまり僕はなんてことを_| ̄|○

>>350
>「貴子うさぎさん、ありがとうございます。あん♪」
> 女装姿の瑞穂が、
>画面の中で、そう色っぽい声と仕草をしています。

撮りおろし。
ハッ、感謝のあまり僕はなんてことを_| ̄|○|||

354 :名無しさん@初回限定:2007/06/14(木) 21:11:30 ID:/qdJV78F0
投下マダー

355 :名無しさん@初回限定:2007/06/14(木) 21:26:48 ID:jLj0nZHv0
最近大笑いしてばかりだなw
まりやが狸か、ぴったりかもなw

ワロスwww

356 :名無しさん@初回限定:2007/06/14(木) 21:57:26 ID:4jLW55Wn0
結構なお手前で・・・GJ!
東の扉さん最近すごいペースですね
燃え尽きない程度に頑張って下さい
乙でした

357 :Qoo:2007/06/18(月) 22:40:48 ID:6kYzH5tF0

バースデイ・カプリッツィオ、続きです。
どうぞ。

358 :Qoo:2007/06/18(月) 22:43:24 ID:6kYzH5tF0

◆ 8回表・1/2 11月16日:放課後

「ハ〜ッピバースデートゥーユ〜、ハ〜ッピバースデートゥーユ〜、ハ〜ッピバースデーディーア貴子さ〜ん」
 「貴子さ〜ん」はお姉さまの声だけど、実際には全員の会長への呼び名は統一されていないので、
 「か〜いちょう〜」やら「会長さ〜ん」やら、色々な言葉が混じっている。
「ハ〜ッピバースデートゥ〜〜ユ〜〜〜」
 歌の終わりと共に、会長がバースデーケーキに植えられた火の灯るロウソクに息を吹きかけると、
 一息にして見事に全てのロウソクが吹き消された。
 パチンパチンと音がして、真っ暗だった部屋に灯りが戻る。
「貴子さん、お誕生日おめでとうございます」
「おめでとうございまぁ〜す」
「おめでとうございます、会長」
「おめでとうございま〜す」
「おめでとうございますなのですよ〜」
 お姉さまに続き、拍手と共に皆の口から祝福の言葉が告げられた。
 食堂に入るまでは自分の置かれている状況がいまいち理解できていらっしゃらない様子の会長だったけど、
 いかにもパーティ、という感じの部屋の飾りや、「会長、ハッピーバースデイ!」の幕を見て、
 ようやくこれがどういうことかに気づかれたようで。
 ドッキリのネタばらしも済んだところで会長を上座に据えると、
 他の皆は適当な場所に腰かけ、早速パーティが始まったのだった。

 適当とは言っても皆が皆バラバラに座ったわけではなく、上座から見て右が三席、左に四席イスがあったので、
 三席の方が生徒会役員の席というわけだ。
 …ということは、葉子さんの隣の席に座ることができてちょっとハッピーになっていた可奈子の目の前の席に、
 全員寮生が座ったことでようやく気付いた。

359 :Qoo:2007/06/18(月) 22:45:01 ID:6kYzH5tF0

「ありがとうございます、皆さん…」
 皆の祝福の言葉を受けた会長が、指先で軽くまなじりを拭う。
「貴子さん…」
「あんた、泣いてんの?」
「…んくっ、わ、悪かったですわね」
「はっ、別に…今日はあんたとやりあうつもりはないわよ」
 軽く悪態をついたまりやお姉さまだったが、目頭に涙をじわりとにじませた会長に見上げられると、
 溜息をついて視線を外しながら居心地が悪そうに肩をすくませた。
「それは…残念ですわね…」
 ずっ、と鼻をすすりながら憎まれ口を叩く会長の言葉には、いつもの迫力は欠片もない。
 でもそんな会長を見ていると、普段…というか、今まで一度たりとも今みたいな会長を見たことがないせいだろうか。
 言ったら会長は怒るかもしれないけれど、可愛らしさとか愛おしさとか、そんなものを感じてしまう。
「まぁまぁ、今日は仲良くいきましょうよ。ね?まりや」
「分〜かってるわよ。…あ〜、貴子?」
 喧々にやりあっているわけではないものの(むしろこの二人からすれば可愛らしいやりとりとも言える)、
 とりあえずなだめに入ったお姉さまに、まりやお姉さまは言われなくても分かってる、
 といった感じで手をパタパタと振ると、再び会長の方に顔を向けた。
「な、何ですか?改まって」
 名前を呼ばれて警戒する会長だったが、
「いや?…誕生日、おめでとう」
 とまりやお姉さまがそっぽを向いて頭をかきながらそう言うと、会長は一瞬思考が停止したかのように目を見開いた。

360 :Qoo:2007/06/18(月) 22:48:34 ID:6kYzH5tF0

 そして間もなく我に返り、今自分に向けられた言葉の意味を理解すると、まりやお姉さまからふいと視線を逸らしつつ、
 顔をぽおっと赤らめて気恥ずかしそうにしながらも、素直に感謝の言葉を口にする。
「あ…、ありがとう……ございますわ」
 そんな言葉がこぼれた、次の瞬間。
 会長以外の、可奈子も含めた皆の口から同時に「かっ…!」という言葉が発せられ、
 「…かっ?」と会長が軽く首を傾げながら不思議そうに聞き返すと、
 「可愛い〜〜〜〜!!」という皆の声が見事にシンクロナイズした。
「……えっ?」
 突然の皆の歓声に呆気に取られる会長だったが、
「あんな会長、初めて見ましたぁ」
「へぇ、あんな顔もなさるのね…」
「かっ、会長…」
「会長さん、すごく可愛いかったのですよ〜」
「うんうん」
「ふふっ、そうね」
 といった皆の声で、一足遅れて自分が皆に「可愛い」と言われていることに気付くと、会長の顔が更に赤く染まる。
「なななななな……」
 真っ赤な顔で"な"を繰り返す会長を横目で見ながら、
 まりやお姉さまがわざとらしく片手で頭を抱えながら溜息をついてみせた。

361 :Qoo:2007/06/18(月) 22:51:42 ID:6kYzH5tF0

「不覚だわ…。貴子なんかを可愛いと思っちゃうなんて…」
「あああ貴女に可愛いなんて思っていただかなくてもけけっ、結構ですわ!」
「いや〜そんな顔で怒鳴られても、全然迫力ないわね」
 狼狽のあまり言葉をどもらせながらも、何とか言い返す会長だが、
 頭に血が上った会長と、にやにやと口元を歪めながら冷静に会長をからかうまりやお姉さま。
 どちらがイニシアチブを握っているのかは考えるまでもない。
「お、おおお黙りなさい!」
「貴子さん、落ち着いて…。もう、まりや。今日の主賓は貴子さんなんだから」
 熱くなる会長をなだめながら、まりやお姉さまに向けて少し眉をつり上げたお姉さまだったが…。
「可愛いって、褒めてるんじゃない」
「悪意に満ちてましたわ!」
 恥ずかしいことこの上なくマックスな今の会長には、まりやお姉さまが喋るだけで琴線に触れるのだろう。
「まあまあまあまあ貴子さん…!」
 再燃する二人を傍目に見ながら、「だめだこりゃ」という言葉が頭に浮かぶ。
 お姉さまも同じ気持ちなのだろうか、つり上げた眉を情けなく下げながら、
 「まりや、お願いだからちょっと静かにしてて…」と溜息混じりに呟く。

 傍から誰も手を出せない状況で孤軍奮闘するお姉さまを見つめながら、
 たった一人でご苦労様です、と蚊帳の外から無責任に思う可奈子だった。

362 :Qoo:2007/06/18(月) 22:53:05 ID:6kYzH5tF0

「主よ、今から我々がこの糧をいただく事に感謝させたまえ、アーメン」
 ごたごたも何とか一段落し、ようやくといった感じでパーティが再開された。
「やっと食べられますね…」
 料理に手を伸ばしながら、上岡さんがぽつりと呟く。
「何よ由佳里、あたしのせいで食事が遅れたとか言いたいわけ?」
 むっと妹に突っかかるまりやお姉さまだったが、「心当たりがあるからそう思うんじゃないんですか?」
 などと、上岡さんはそちらに一瞥もくれずに言い返す。
「言うじゃない」
「はいはい、まりや、暴れないでね」
 しかし、けんか腰になりかけたまりやお姉さまをお姉さまがぴしゃりとけん制した。
 まりやお姉さまの扱いが少々ぞんざいになったのは気のせいじゃないと思う。
「…ぶーぶー。贔屓だ」
 お姉さまの言葉の奥の棘に気付いたのか、まりやお姉さまはぶちぶちと文句を言いながらも引っ込むと、
 唇を尖らせながらちぎりレタスをフォークでざっくりと突き刺した。
 ある意味虎の威を借る狐状態ではあるが、ここは上岡さんに軍配が上がったようだ。
 くすくすと笑いながら、可奈子も目の前に並べられた料理に手を伸ばした。
 料理を何品か皿に取り、口に運ぶ。 …これは…。
「この料理ってぇ、葉子さんたちが作ったんですよねぇ」
「そうだけど、ほとんど上岡さんが作ってしまったようなものよ」
「そうですね。私たちが来たときにはもう下ごしらえも済んでいましたから」

363 :Qoo:2007/06/18(月) 22:55:53 ID:6kYzH5tF0

「そうなんですかぁ…料理お上手なんですねぇ。これとかすっごくおいしいです〜」
 この豚の角煮もすごく柔らかいし、中までしっかり味が染みていてとてもおいしい。
 可奈子が絶賛すると、上岡さんは「えへへ…」と照れながら答えた。
「えと…ありがとうございます。実は料理にはちょっとだけ自信があるんです」
「本当に。これならお店で出してもおかしくないくらいね」
 会長も手放しで可奈子の言葉に賛同すると、上岡さんは人差し指の腹で少し赤く染まった頬をこすりながら、
 「い、いえ…私は他の部分が足りませんから…」と謙遜してみせた。
「でもこれだけ料理ができれば、女の子としては十分なアドバンテージだわ」
 しかし、葉子さんが感心したようにそう言うと、周防院さんがさらに追い討ちをかける。
「そうなのですよ〜。由佳里ちゃんは家事とかすごくお上手だから、羨ましいのです」
 褒め言葉の嵐に困り顔で苦笑する上岡さんだったが、親友の言葉を受け一矢反撃に打って出た。
「わ、私なんて…。奏ちゃんのほうが可愛いし頭もいいし、いいなぁっていつも思ってるよ」
「そ、そんなことはないのですよ〜。奏おっちょこちょいで、背もちっちゃくて、自分にあまり自信がないのですよ…」
「そんなの、私だって…」
「まあまあ二人とも」
 褒め合い問答から自分の粗探しに発展し、沈みはじめる二人にくすくすと笑いながらお姉さまが仲裁に入った。

364 :Qoo:2007/06/18(月) 22:56:58 ID:6kYzH5tF0

「自分と他の人を比べて足りないものを補う努力をするのはいいことだけれど、
人はそれぞれ違うのだから、今の自分に足りないものがあったからって、悲しむ必要はないの。
奏ちゃんも由佳里ちゃんも、私には真似できないくらいの色々な能力を持っているんだから」
 言いながら横の席に座る周防院さんの肩に触れ、上岡さんを見つめる。
「お姉さま…」
「それに、奏ちゃんと由佳里ちゃんは全然違う女の子だけれど、
二人とも可愛くて素敵な女の子だと、私は思っているわ。それだけじゃあ、駄目かしら…」
 とにっこり優しい笑みを浮かべながら、「ね?」と僅かに首を傾げるお姉さま。
「と、とんでもないのですよぉ〜…」
「あの、えっと…その…は、はい…」
 そんな圧倒的なまでの説得力を撒き散らす眩しい笑みを向けられた二人は、
 ぽけ〜っ、とただただその笑顔に見とれ、ふるふると首を横に振るのだった。

「さすがね…」
「確かに…」
「そうですねぇ…」
 そしてそんな二人をたやすくに虜にしてしまうお姉さまの手腕に、
 ただただ感心しきりな生徒会三人組なのであった。

365 :Qoo:2007/06/18(月) 22:58:39 ID:6kYzH5tF0

 食事もある程度減ってきたところで、左の脇腹をつんつんと小突かれた。
 何だろう、と横に顔を向けてみると、葉子さんがこちらを見ぬまま膝の上に小さな紙切れを置いた。
 ラブレター…だったら嬉しいけど、多分違うだろう。
 疑問符を頭の上に浮かべながら葉子さんから受け取った紙切れを見ると、
 「プレゼントタイム」と書かれていた。 そろそろプレゼントを渡しますよ〜という合図だ。
 可奈子はふと君枝さんの方を見ると、可奈子の視線に気付いた君枝さんが軽くうなずいた。
 そのままお姉さまの方に目を向けると、お姉さまは会長以外の全員に視線を巡らせて微笑する。
 お姉さまは身をかがめてテーブルの下に置いてあったピンク色のビニール袋を手に取ると、会長に話しかけた。
「貴子さん」
「はい…何でしょうか」
 すぐそこの席でお姉さまが屈んだことに気付いていた会長は、箸を置いてお姉さまに向き直った。
「再度改めまして、おめでとうございます」
 笑顔でそう言うと、お姉さまが会長に袋を差し出した。
 それに続けて、周防院さんと上岡さんも祝福の言葉をかける。
「え…あの…これは?」
 困惑の表情で問いかける会長。
 多分"それ"がプレゼントであることは分かっているんだと思う。
 だからこそ遠慮の気持ちがあるんだろう。
「もちろんプレゼントです。私たちから、貴子さんへ」
「そんな…このようなパーティを開いてもらっただけでも十分に嬉しいですのに…」

366 :Qoo:2007/06/18(月) 23:02:10 ID:6kYzH5tF0

「それなら、もし貴子さんがどうしても受け取りたくないのでなければ、
このプレゼントも受け取っていただけると嬉しいのですけれど…」
 憂いの表情を浮かべ、「駄目かしら…」と目を細めながらかなりへりくだった物言いでねだるお姉さま。
「そそそんなっ…その…ありがたく受け取らせていただきますわ…」
 お姉さまにそんな表情で迫られた会長は、目を白黒させて慌てふためくと、
 手持ち無沙汰にもてあそんでいた両手をおずおずと差し出した。
「ふふふっ…ありがとう、貴子さん。できれば中身も喜んでもらえると嬉しいですね」
「とんでもないです。その、嬉しいです…」
 会長は寮生の面々に視線を巡らせると、おずおずと受け取った袋をその胸にそっと抱きしめた。
 言葉少なだけど、その幸せそうな顔は言葉以上に会長の胸の内を物語っていた。
「会長、可愛い〜」
「会長、嬉しそうね」
 そんな会長を肴に、葉子さんとこそりこそりとささやきあう。

「今開けてもよろしいでしょうか」
 会長は赤くなった鼻をずっとすすり上げると、お姉さまに聞いた。
「ええ、もちろん」
 お姉さまがそう返すと、会長が「では」と紙袋を上から覗き込み、手を差し入れた。
 何が出てくるんだろう。
 可奈子たちはお姉さまたちが何をプレゼントするのかは聞いていないので、
 袋の口を見つめながら、中身が何かちょっと気になっていた。

367 :Qoo:2007/06/18(月) 23:08:16 ID:6kYzH5tF0

「これは…暖かそうなマフラーですね」
 会長が嬉しそうに中から引き上げたものは、透明な包装に包まれた栗色のマフラー。
 薄い見た目重視のやつじゃなくって、見た目からあったかさが伝わってくるような感じの、
 厚くてふわふわなマフラーだった。
「そちらは、私たちからです」
「そちらは?」
 お姉さまの言葉に、会長は袋の中に栗色のマフラーを戻すと再度袋の中を探り、
「…あ、もう1つあるのですね」
 と今度は茜色のマフラーを取り出した。
 さっきの栗色のマフラーとみたいな、あったかそうなマフラーだ。
「それは、紫苑さんからのプレゼントです」
「えっ、これが…ですか!?」
 驚いた会長は、お姉さまの顔と手にしたマフラーを交互にまじまじと見た。
「ええ。それで紫苑さん、そのプレゼントを私に手渡してこう言ったんです。
…私は、貴子さんに嫌われていますから、代わりに渡してください…って」
「そっ、そんなっ、嫌ってなどおりませんっ!!」
 がたんっ、と派手な音を立てながら椅子から立ち上がり、激昂する会長。
 しかし直後にはっと正気に戻ると、「あっ…その、も、申し訳ありません…」としおれながら腰を下ろした。
 そんな会長を目の前で見ていたお姉さまだったが、とくに驚いた様子もなく、
 それどころかむしろ嬉しそうににこにこと微笑している。
「ええ、分かっています。ですから、今の貴子さんの様子を紫苑さんに教えてあげたら、きっと喜ぶと思います」
 お姉さまがそう言うと、会長は「えっ?あっ…?」と言葉に詰まらせながら赤面し、
 状況がつかめないといった感じで目をぱちくりさせた。

368 :Qoo:2007/06/18(月) 23:10:20 ID:6kYzH5tF0

 隣で葉子さんが「策士ね…」と笑いながら呟く。
「もしかして〜お姉さま、わざと会長が怒るようなことを言ったんですか〜?」
「まぁ、そうみたいね。あの言い方なら会長が怒った分だけ、
それは紫苑さまへの好意に正比例するわけだから。それを確かめたのね」
「なるほど〜…」
 なるほど、策士だ。
 会長ですら手玉に取るお姉さまを改めて尊敬しつつ、会長の方に向き直ると、
 いつの間にやら会長とまりやお姉さまが云々言い合っていた。
 どうやらしぼんだ会長をまりやお姉さまが突付いたようだった。 相変わらず仲の良い二人である。
 というかまりやお姉さまってば、最初に会長とやりあうつもりはないって言ってたはずなのに。
 会長が近くにいると、挑発せずにはいられないのだろうか。
 そしてこちらも相変わらず、それを制止しようと苦笑いのお姉さまが奔走していた。
 お姉さまは確かにすごい人なんだけど…。
 力があるということは、逆にそれだけやることが増えて大変なのかもしれない。
 そんなことを思いながら、切り分けられたバースデーケーキにフォークをもぐり込ませる呑気な可奈子だった。



369 :Qoo:2007/06/18(月) 23:11:25 ID:6kYzH5tF0

超が付くほどお久しぶりの、バースデイ・カプリッツィオ、続きです。
時間や表裏を気にしながら読むと面白い…かもしれません。 (笑)

今回は8回表・"1/2"ということで、次回も8回表の続きになります。 それでは、Qooでした。 m(_ _)m


370 :名無しさん@初回限定:2007/06/18(月) 23:14:43 ID:k/pRvvV70
>>369
お疲れさんです〜
以前のやつを読み返しながら楽しませていただきます。

371 :名無しさん@初回限定:2007/06/18(月) 23:18:30 ID:+UQV1ZZh0
>>358-368
久しぶりの投下GJ!
面白いんだが、一つ気になった点を。

>>目を細めながら

よくこれが使われているが、他に表現方がないものか。
これでは瑞穂が貴子さんを睨んでる様に取れるぞ。

372 :名無しさん@初回限定 ◆0XucCTxAGU :2007/06/18(月) 23:53:38 ID:AnnKt9nt0
ぐっじょーぶっ!

>371
>憂いの表情を浮かべ、「駄目かしら…」と目を細めながらかなりへりくだった物言いでねだるお姉さま。

「目を細めながら」は憂いの表情とかぶるので消しても良かったかもしれませんね。
(えらそうにいって済みませんm(_ _)m)

もしくは「上目遣いで」っ。上目遣いでお願いするお姉さま良いッ!

373 :名無しさん@初回限定:2007/06/19(火) 00:10:50 ID:EqmWk5bs0
GJ!
続きが気になってしかたがありませんw
プレッシャーかけちゃってますけどまたお願いします
乙でした

374 :名無しさん@初回限定:2007/06/19(火) 21:42:29 ID:aNRu9w280
>>371
目を細めるってそんなに使われてるかな。
それに目を細めるっていう言葉って、確かに「睨む」っていう場合にも使われることはあるけど、
「孫の成長に目を細める」みたいに優しい目のことを言うのが普通だと思う。

ただ、>>372には同意。

375 :名無しさん@初回限定 ◆0XucCTxAGU :2007/06/20(水) 12:10:31 ID:wC2tW5mt0
>>374
>ただ、>>372には同意。

ふふ。あんたも上目遣いでおねだりするお姉さまが良いんだな。このスキモノめっ!w

376 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/26(火) 16:16:02 ID:mmKZfF7T0
東の扉です。
以前エルダー1日所有券の時に頼まれていた父紫苑さん、母瑞穂くん、娘奏ちゃんのままごとの話、
ようやく完成しましたので投下させていただきます。
遅くなりましたが、よろしくお願いします。
なお、これは、エルダー1日所有券シリーズと話のつながりはありません。

377 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/26(火) 16:20:07 ID:mmKZfF7T0
 とある金曜日の昼休み、僕は紫苑さんと奏ちゃんの2人と一緒に昼食を食べている。
「〜というわけなのですよ」
「まあ、そんなことが……奏ちゃんらしいですわね」
 しかしこうして見てると、まるで母親と娘みたいだな。
「あっ! 瑞穂さん、今、大変失礼なことを考えておられましたわね」
 ぎくっ! 紫苑さん、相変わらず鋭いな。
「すみません、紫苑さん」
「いいえ、許しませんわ。瑞穂さんには、罰ゲームをしていただきます」
「罰ゲームって?」
「まあ、それは放課後、寮でお話いたしますわ」
 一体どんな内容なんだろう。イヤな予感がするのは気のせい?

〜ナイショの×2 ま・ま・ご・と〜

「それで、罰ゲームって?」
 寮に帰ってきた僕は、紫苑さんにそう聞いてみる。
「ええ。今日から日曜日の夜まで、私と奏ちゃんの3人で、おままごとをしていただきますわ」
「おままごと……ですか?」
「ええ。今日から瑞穂さんと奏ちゃんのお2人だけなのでしょう? 私もいた方が、にぎやかでよろしいと思いますが」
「そう……ですね」
 ちなみに、由佳里ちゃんは今日から陸上部の強化合宿に出かけていて、まりやはそれについていっている。
「それで、おままごとと言いますが、具体的にはどうすればいいんですか?」
「簡単なことです。私たち3人で、家族のように過ごすのです」
 家族のようにって……。
「ちなみに、役割はどうなるんですか?」
「私がお父さん役で、瑞穂さんがお母さん役、奏ちゃんはお子様役ですわ」
「……なんで僕がお母さんなんですか?」
「罰ゲームですから」
 紫苑さんは何のためらいもなく、満面の笑顔で答える。
だけど紫苑さん、奏ちゃんと親子に見えることを怒ってたんじゃないんですか?

378 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/26(火) 16:24:06 ID:mmKZfF7T0
「ただいまなのですよ」
 そうして話しているうちに、演劇部の練習を終えた奏ちゃんが帰ってきた。
「おかえりなさい、奏ちゃん」
「まあ、おかえりなさい」
 紫苑さんは、そう言っていつものごとく奏ちゃんを抱きしめる。
「は、はややっ!!」
 奏ちゃんは、これまた嬉しそうに苦しそうにもがいていた。
「ぷはあっ……し、紫苑お姉さま! なぜここにいらっしゃるのですか?」
 紫苑さんの抱擁から脱出した奏ちゃんがそう聞く。
「ねえ、奏ちゃん、それについてお話があるんだけど……」
「お話……なのですか?」
 僕は、紫苑さんから言われた罰ゲームのことを奏ちゃんに話した。
「そんな……奏、お子様なのですか……」
「気にしないで。ただの遊びなんだから」
「わ、わかりましたのですよ」
 僕が優しく諭すと、奏ちゃんも納得してくれたようだ。

379 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/26(火) 16:27:59 ID:mmKZfF7T0
「お母さん、今帰ったぞ」
「お疲れ様です、お父さん」
「お父さま、お疲れ様なのですよ」
 紫苑さんが仕事を終えて帰ってきたという設定だ。
「お父さん、夕食、できていますわよ」
 テーブルには、僕が作った夕食が並んでいる。
 ご飯とお味噌汁と茶碗蒸し、ほうれん草のおひたし、鮭の塩焼き。
 由佳里ちゃんに色々料理を教えてもらってから、僕も簡単な料理なら、なんとか食べられるくらいのものは作れるようになっていた。
「おいしい!」
「とてもおいしいのですよ!」
「そ、そうかしら?」
 つい最近まで料理もしたことない僕の料理がおいしいなんて……意外だな。
 自分でも食べてみると……思っていたよりずっとおいしい……まあ、無論由佳里ちゃんの料理とは比べるべくもないが。
「ああ。母さんの料理を食べると元気が出るよ」
「これからも、時々お母さまに作っていただきたいのですよ」
 紫苑さんと奏ちゃんがそうほめてくれる。でも、母さん、お母様という言い方は、やっぱり思いっきり違和感を感じるな。
 と、紫苑さんが耳打ちしてきた。
「聖央に来て初めての調理実習からまだそんなに経っていないのにこれだけおいしいお料理ができるなんて
……もう主婦の素質、十分すぎますわね」
 ガーン!!
「ううう……僕は……僕は……」
「あ、あの、お姉……お母さま、どういたしましたのですか?」

380 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/26(火) 16:33:34 ID:mmKZfF7T0
 夕食を食べた後、僕はお風呂をわかす。
「お父さん、お仕事でお疲れでしょう? お風呂はいかが?」
 僕はそう言って、紫苑さんにお風呂をすすめた。
「お母さま、お風呂、できましたのですか?」
「ええ。よかったら、奏も一緒にどう?」
「………」
 と、奏ちゃんが頬を赤らめてボーっとしている。
「……どうしたの?」
「あ、あの、お姉さま……じゃなくて、お母さまに呼び捨てにされると、照れますのですよ」
 あ、そうか。僕はちゃんづけで呼んでたもんな。
「もう、そんなこと言われるとこっちが照れるじゃない」
「はうう……」
「奏は相変わらずかわいすぎるな」
 そう言って奏ちゃんを抱きしめる紫苑さん。こういう時でもお父さんのフリは忘れないんだな。
 奏ちゃんをお風呂に入らせた後で、紫苑さんが僕に言う。
「普通はお母さんと入るものではなくて? お父さんとだと、危険だと思いますわよ?」
「紫苑さん……現実では僕と入る方が危険だと思いますけど?」

 そして、僕もお風呂に入り終えて、いよいよ寝る時間になった。
「瑞穂さん、主婦の朝はお洗濯、朝ごはんの用意と色々お忙しいですから、早起きでお願いしますね」
 紫苑さんがそっと耳打ちで教えてくれる。
「わかりました。なるべく早く起きるよう心がけます」
 そうして僕は、紫苑さんと一緒の布団で寝ることになった。
 ちなみに、最初は奏ちゃんと3人で寝るつもりだったが、さすがにそれには狭すぎるので断念。
「さて、お母さん」
「な、なんですか、お父さん?」
 紫苑さんの妖艶な笑みを見た僕は、何かいやな予感がした。
「夜、夫婦でやることといったら、決まっておりますわよね?」
「ちょ、ちょっと紫苑さん……」
「今さら恥ずかしがってどうするんですの? もう私たちは夫婦ですのよ?」
「そ、それはおままごとの中だけの話で……わーっ!!」
 その夜、僕は紫苑さんに思う存分もてあそばれてしまった。いろんな意味で……。

381 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/26(火) 16:36:12 ID:mmKZfF7T0
 翌日の朝……。
「ふーっ……やっと終わった……」
 僕は洗濯と朝食の準備を終え、そうため息をついた。
 主婦の仕事って、こんなに大変なんだ……。
 今までは朝ごはんや洗濯物を見ても何も感じなかったけど、こんなに大変なことをいつもしてくれていたのか……
と思うと、母さまや楓さんには感謝の気持ちでいっぱいになるよ。
「お母さん、おはよう」
「お父さま、お母さま、おはようございますなのですよ」
「おはようございます、奏、お父さん。朝ごはんができてますよ」
 僕が作ったのは、ご飯と豆腐のお味噌汁、海苔と玉子と納豆。定番だな。
「やはりお母さんの料理はおいしいな」
「同感なのですよ。お母さまは、世界一のお嫁さんになれるのですよ」
 2人がまたそう褒めてくれる。でも奏ちゃん、ままごとしてるからそうなったんだろうけど、日本語としておかしいよ?
 僕は将来誰と人生をともにするのかまだわからないけど、主婦の仕事の大変さは、決して忘れずにおかなきゃね。

 それからお昼まで、僕たちは別々に勉強していた。
「お母さま、お茶をお持ちいたしましたのですよ」
 と、僕の部屋に、奏ちゃんが入ってきた。
「……お母さま、どうかいたしましたのですか?」
「ああ……そっか……」
 なんか違和感するなと思ったら、いつも奏ちゃんから聞いてるセリフは“お姉さま”だもんな。
「なんでもないわ。ちょっと違和感しただけ」
「お母さん、少し教えて欲しいところがあるのですが……」
 紫苑さんがそう言って僕の部屋に入ってきた。
「お父さん、教えて欲しいところって?」
 ……こういう時は、素で話してもいいと思うけどな。
 そうして、僕たちはお茶を飲みながら勉強した。

382 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/26(火) 16:40:14 ID:mmKZfF7T0
「お母さま、どうしてお買い物にこんなところまで来るのですか?」
 奏ちゃんが僕にそう疑問をぶつける。僕たちは、聖央の生徒がよく利用する繁華街ではなく、隣町のそこに来ているんだから。
「うふふ、奏、もし、いつものところでお友達に会ったら、私たちを『お父さま』『お母さま』と呼んでいること、
どう説明するつもり?」
「あ、なるほどなのですよ」
「そうだな。父さんもどうしてこんな遠くに行こうと言い出すのか疑問に思ってたんだが……」
 紫苑さん、ちょっとはそういうことも考えましょうよ。
「……えっと、今日の晩ごはんの材料は……と」
「そういえば、リンスがもうすぐ切れると思うのですよ」
「ふふ、奏もお母さんもこれだけしっかりしていれば、お父さんは安心だよ」
 ……それでも、やっぱり恥ずかしい。っていうか……。
「奏、お姉さま方の子供だと言われて、誰も疑われないのですよ……」
 やっぱり奏ちゃんが落ち込んでしまった。僕も母親だと納得されて、落ち込みそう……。

「買い物も終わりましたね」
 買い物袋をいっぱい持って、僕たちはスーパーを出た。と、紫苑さんが耳打ちしてくる。
「ふふ、瑞穂さん、お買い物をしている時は、主婦そのものでしたわね。これからも続けられた方がよろしいのではなくて?」
 ……これからは、買い物は僕1人で行くことにしよう。そう思わずにはいられなかった。

383 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/26(火) 16:43:53 ID:mmKZfF7T0
 そして翌日の日曜日、僕たちは近くの山にピクニックに来ていた。
 3人で遊ぼうということになったんだけど、どうしても人のいる場所に行くと周りに不自然に思われるので、こういう形になったんだ。
「はあはあ……お母さま、お待ちくださいなのですよ」
「お母さんは体力あるな。お父さんも奏もクタクタだぞ」
「もう少し行くと休憩所があるから、そこで待ってるわね」
 文化系の紫苑さんと奏ちゃんは僕に比べると体力が無いようで、途中で何度もバテ気味になった。
まあ、僕は2人のペースに合わせてたけど、それでも若干僕のほうが速くなってしまうみたいだ。
「さあ、ここで一息つきましょ」
 休憩所で、1つのお菓子と僕はコーヒーを、紫苑さんはお茶を、奏ちゃんはイチゴジュースを注文する。
「はあっ……生き返るのですよ」
「ふふっ、本当にそうだな」
「ねっ、こういうのもいいでしょ?」
 ……ところで前から思ってたけど。
「やっぱり紫苑さんのお父さんは、少し違和感がありますね」
 僕がそっと紫苑さんに耳打ちする。まあ、それでもなりきっているからか、予想していたほどではないけど……。
「ふふっ、瑞穂さんのお母さんは、まったく違和感がありませんけどね」
 ガーン!!
「ううっ……僕って……」
「あ、あの、お母さま、どうして落ち込んでしまわれるのですか? お父さま、お母さまに何をおっしゃったのですか?」
「ふふっ、さあ、なんだろうね」

384 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/26(火) 16:48:05 ID:mmKZfF7T0
 そして、僕たちは山の頂上近くの、一番見晴らしのいい場所に着いた。
「わあ、景色がとってもキレイなのですよ」
「ふふっ、本当に壮観だな」
「でしょう? これが登山の醍醐味よ」
 まあ、本格的な登山とはいえないだろうけどね。苦労して登って疲れているからこそ、その後で見る景色が余計美しく感じるんだよな。
「それじゃあ、ここらでお昼のしないか?」
「奏も、もうおなかペコペコなのですよ」
「そうね。それじゃあお昼にしましょうか」
 僕はそう言ってカーペットを敷き、その上にお弁当を並べた。
「おいしいのですよ。さすがお母さまなのですよ」
「調理実習ではお弁当の作り方までは教えないが、さすがお母さんだな」
 ……紫苑さん、それは父親のセリフじゃないと思いますけど。
「まあ、お母さんも寮で色々聞いてるからね」
 こうして僕たちは、ピクニックを思う存分楽しむことができた。

385 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/26(火) 16:51:58 ID:mmKZfF7T0
 ピクニックから帰ってきた後、僕たちは夕食を終え、3日間にわたるままごとも最後を迎えようとしていた。
「3日間のままごとも、これで終わりですわね」
「そうですね。紫苑さん、いかがでしたか?」
「なんだか瑞穂さんと家庭を持ったみたいで、とっても楽しかったですわ」
 紫苑さんが嬉しそうに目を細めて言う。
「かっ……!」
 かわいい……。
「か……?」
「奏ちゃんはどうだった?」
 僕はあせって奏ちゃんに聞くことにする。
「奏も、お姉さま方と本当の家族になったみたいで、とても嬉しかったのですよ」
「そう。よかった」
「でも、子供扱いされるのがショックだったのですよ……」
「あら、ごめんなさいね」
 奏ちゃんが落ち込むと、紫苑さんが申し訳なさそうに謝る。
「では、今度やるときは、奏ちゃんは妹ということにいたしましょう」
「本当なのですか?」
 奏ちゃんはぱあっと笑顔になる。
「じゃあ、私も今度は旦那様役で……」
「それは却下ですわ。瑞穂さんは、奥さん役でないとさまになりませんもの」
 ガーン!!
「お、奥さん役でないと……さまに……ならない……」
「あ、あの、お姉さま、どうしてそこで落ち込まれるのですか?」

386 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/26(火) 16:55:58 ID:mmKZfF7T0
「では、紫苑さん、また明日お会いしましょう」
「ええ、それでは、ごきげんよう」
 紫苑さんはそう言って、僕が楓さんに頼んで来てもらった車に乗りこみ、帰って行った。
「ただいま!」
「ただいまっと」
 そこへ、陸上部の合宿に出かけていたまりやと由佳里ちゃんが帰ってきた。
「ねえ、今車で出て行ったの、紫苑さまじゃない?」
「そうよ」
「えっ? 紫苑さま、なんで寮にいらっしゃったんですか?」
「ああ、それはね、まりやと由佳里ちゃんが合宿に出かけてる間、奏ちゃんと3人でおままごとしていたの」
「おままごと? 小学生じゃあるまいし……」
「まあ、詳しい話は、食堂でゆっくりしましょう」
「そうね。じゃ、部屋に荷物置いてきましょ」
「はい!」
 僕たちは寮に入った。まりやと由佳里ちゃんは、部屋に荷物を置きに上がる。

387 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/26(火) 17:00:07 ID:mmKZfF7T0
 僕たちは、降りてきた2人に、おままごとの内容について話した。
「ふーん、そんなことがねえ。ぴったりじゃない」
 まりや、どのへんがぴったりなの?
「えーっ? 奏ちゃんいいなあ。私もお姉さまとおままごとしたーい!」
 一方、由佳里ちゃんはうらやましそうに言う。
「じゃ、じゃあ、また機会があれば……」
「ダメよ瑞穂ちゃん。由佳里とおままごとなんかした日にゃ、結婚できない身体にされちゃうから」
「なんでですか! 私そんなことしません!」
「どうだか……最初はそう思ってても、途中でやりたいと思ったらブレーキきかなくなって、
どんどんエスカレートしていくのが由佳里だもんねえ」
 ムキになる由佳里ちゃんに、意地悪な表情のまま余裕で返すまりや。
「うっ……」
「ほらね瑞穂ちゃん。わかったでしょ?」
「もう! まりやお姉さまの意地悪!!」

「由佳里ちゃん、早速まりやにいじられてるわね」
「由佳里ちゃんも、お姉さまと家族になりたいのでしょうか?」
「そうね。でも……」
 僕たちは、ある意味もう家族みたいなものだけどね……2人の漫才みたいな会話を聞きながら、僕はしみじみそう思った。

Fin

388 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/06/26(火) 17:05:48 ID:mmKZfF7T0
以上です。
なんか、暑さで身体も心もへばっているんでしょうか?
色々消化不足のように思います。
まだまだ書き足りない面もあるかとは思いますが、今の私にはこれが限界でした。
それでは、今回はこれで。お粗末さまでした。

389 :名無しさん@初回限定:2007/06/26(火) 20:37:07 ID:WdHDzUA70
>>388
GJ(o^-')bb
暑い中お疲れ様です

390 :まりみて2 後編 ◆0XucCTxAGU :2007/06/27(水) 01:55:02 ID:UZa7Yq5R0
「はぁ・・はぁ・くはぁ」
まだ貴子さんは喘ぎが止まらない。ボクの腕の中でぐったりとしていた。
久しぶりの絶頂がよほど刺激的だったみたいだ。

「じゃあそろそろ第2ラウンドね。瑞穂ちゃん、貴子を離して」
いくぶん貴子さんの息が整ってきたところでまりやがベッドにのってきた。
枕とクッションをお腹の辺りに置いて貴子さんをうつ伏せにさせる。
「ぁ・・・」
膝を立てさせてお尻を高く上げさせた。

「貴子、良い眺めだわ。瑞穂ちゃんに可愛がってもらったあそこが丸見えよ」
言われて貴子さんは顔を赤らめる。恥ずかしがる貴子さんも可愛いな。
「でも、これからあなたが気持ちよくなるのは、こ・こ・よ」
「ひぃぁっ!」
まりやは貴子さんのお尻の上の方を指で突ついた。
「ほうら、逃げない、逃げない」
ほうほうの体で逃げようとする貴子さんをまりやが捕まえる。

「貴子、アナルをいじられるのは初めて?」
「っ! あ、当たり前でしょうッ!」
「じゃあ、今日はじっくりと優しく瑞穂ちゃんに愛してもらいましょうね。くすくす」

391 :まりみて2 後編 ◆0XucCTxAGU :2007/06/27(水) 01:56:54 ID:UZa7Yq5R0

つぷり。

貴子さんの秘所に振動するローターを埋め込むまりや。
「あああっ! だめっ。やああぁぁぁ」

「瑞穂ちゃん、見てて。ここはこうやってやさしく愛撫するのよ」
「はぁはぁ・・・まりやさん、やめっ・・・あああっ!」
貴子さんの制止も叶わず、まりやは貴子さんのお尻の穴をいじり始めた。

「由佳里と違って、ウブなのが可愛いわね」
「くはぁ・・・」
指で貴子さんのお尻をさすり上げると貴子さんの体がビクビクと痙攣した。
「いままでオナニーしたことが無くても、生まれたときから使ってるから快感を感じるようにできてるのよ。
 ふっふっふ」
「ああっ・・・やぁぁぁ・・・・っひいっ!」
まりやはお尻をさすり上げるだけでなく、ときおり爪でカリカリとひっかいたりして貴子さんを責め立てた。
数分続いただろうか、まりやが一息ついたときには貴子さんは息が上がるほどに喘いでいた。

「さ、つぎは瑞穂ちゃん、いってみよーか」
「っ・・・や、やめて・・・まりやさ・ん、おね・がい」
まりやは貴子さんの秘所からローターを引っ張り出して、ボクを手招きした。

いつもの貴子さんからは想像できないほど、哀れに懇願していた。
でもその姿にボクは・・・淫らな思いを抱いてしまった。

392 :まりみて2 後編 ◆0XucCTxAGU :2007/06/27(水) 01:58:14 ID:UZa7Yq5R0
ベッドに上がり、身体全体で息をしている貴子さんのお尻の後ろに座る。
「まずは・・・そうねぇ。貴子のアナルにキスしてあげたら?」
「い、いやですっ! 瑞穂さん、お止めになって・・・」
お尻にキスしたら、貴子さんはどんな表情を見せてくれるのだろう。
ドキドキしながら、恥辱に悶える貴子さんを想像しながらボクは尻の谷間に唇を寄せた。

「ひ、ひぃっ! だ、だめっ、やめてぇ。っはぁっ!」
貴子さんの身体が反り返る。
それでもお構いなしにボクは愛撫を続けた。

っ・しゃぁぁぁああああ

突然の水音。
それは貴子さんから吹き出していた。
「ぃやぁ・・・」
枕で顔を隠しても小水は止まらない。

「ごめんね、貴子さん。貴子さんの可愛い顔が見たくて、つい図に乗り過ぎちゃった・・・」
「ぅぁぁぁ」
「貴子さん、可愛いよ」

ちゅっ。ちゅっ。

抱きしめて体中にキスをする。
耳元、うなじから背中、濡れたふともも。そして・・・秘所。
「だ、だめです。瑞穂さん、汚いっ・・・」
「汚いことなんて無いよ。ボクの可愛い貴子さんだもの」
言いながらもう一度キスをする。
「ああっ・・・」

393 :まりみて2 後編 ◆0XucCTxAGU :2007/06/27(水) 01:59:25 ID:UZa7Yq5R0
「可愛い貴子さんが見たいから・・・もう一度、お尻・・・良いかな?」
「ゆ、指だけなら・・・」
「うん」

さっきまりやがやっていたように指でつつき、さすり、爪でカリカリしてみる。
そのたびに貴子さんは背中をビクビクとさせて反応してくれる。
「あっ・・・はぁ・・・」
「気持ちいい?」
「そ、そんなこと・・・・き、訊かないで、ください」
また貴子さんが感じてきたみたいだ。
ボクはさらに貴子さんのお尻で遊んだ。

394 :まりみて2 後編 ◆0XucCTxAGU :2007/06/27(水) 02:00:48 ID:hTNzq6640

「も、もう・・・瑞穂さん・・・私っ!」

いままで恥ずかしさで枕に顔を埋めていた貴子さんが振り返る。
恥ずかしい表情はそのまま、せっぱ詰まった顔でおねだりする貴子さん。
しらず知らず、お尻もおねだりするようにゆらゆらと揺れている。

「じゃあ、もう一回、・・・お尻に、キスして良い?」
「ぅぅぅぅ」
顔を赤らめた貴子さんは再び枕に顔を埋めた。
返事がないのを肯定と受け取ったボクは貴子さんのお尻に近づいた。

ちゅっ。
 ちゅっ、ちゅっ、ちゅーっ。

「ひ、ひぃっ、ひぃぃっ!」
貴子さんが小さな悲鳴を上げる。
きゅっとお尻がすぼまる。
「ああっ! ああああっ」
ボクはそのすぼまりを指で押し広げて・・・舌で舐めさすった。
「み、瑞穂さん、もう、もうっ!」
貴子さんがイキそうなのを知って、ボクはラストスパートとばかりにさらに責め上げた。
すぼまりの皺を広げるように舐め上げ、舌でべろべろとなめ上げた。
「ああっ!ああぅっ! あああああっ」

ほどなく、貴子さんは絶頂を迎えた。

395 :まりみて2 後編 ◆0XucCTxAGU :2007/06/27(水) 02:02:06 ID:hTNzq6640

「くはぁ・・・はぁはぁ」
すこしずつ、ボクの貴子さんの息が整ってきた。
気が付けば、まりやはいつの間にか姿を消している。

「今日は一緒に寝ようか・・・」
「・・・はぃ・・・」
とりあえず、おしっこで濡れたシーツは剥がして浴室に入れてある。
ボクらは抱き合って横になった。

ぐる。ぐるぐるぐる。

「「え」」

貴子さん、お腹が減ったの・・・?

「あ、あの、瑞穂さん、わ、わたくしやっぱりひとりで寝ます」
(最近便秘だったのに、あんなコトするから!)

「ちょ、ちょっと貴子さん、お腹が鳴ったくらいで」
「も、問答無用ですわ。は、はやく〜っ!」
ボクはわけが分からず情けないすっ裸のまま、部屋を追い出されてしまった。

誰にも見つからないように自分の部屋に戻るのには、さっきと同じくらいドキドキした。

396 :まりみて2 後編 ◆0XucCTxAGU :2007/06/27(水) 02:03:07 ID:hTNzq6640
夜が明けた。
ちょっと・・・貴子さんと顔をあわしづらいな・・・
でもどんな顔を見せてくれるんだろう〜
端から見れば今のボクの顔はゆるんでいるに違いない。
両手でパンと頬を叩いて引き締める。

顔を洗い、さっさと着替えて食堂へ。
まだ、貴子さんは来ていなかった。
そのかわり、食卓で頬を染めながら何枚かの紙を手にとっているボクの・・・お嫁さんたち。
なにやらみんなに説明しているまりや。真ん中で腕を組んでいる。

「あ」
奏ちゃんの声でみんながこちらに振り向く。なぜかだれもが固まっている。
イヤな予感がする。

「みなさん、おはようございます」
うしろから貴子さんの声がした。
貴子さんも異常な雰囲気に怪訝な顔をする。

さっと奏ちゃんが紙を後ろ手に隠したところで、貴子さんがつかつかと入っていった。
ボクもあとから付いていく。
奏ちゃんから取り上げるまでもなく、手近にいた紫苑から取り上げた。

これは写真?
貴子さんの後ろからのぞき込む。

397 :まりみて2 後編 ◆0XucCTxAGU :2007/06/27(水) 02:04:57 ID:GeMYqCNz0

ボクがおしりに口づけしていた。
ふくれたお腹が貴子さんだと示している。

「まっ!」
わなわなと震える貴子さんのそばをするっと逃げるまりや。
抜け目なく、サンドイッチを口にくわえている。
「ま、まちなさいっ!」

ぶろろろー。エンジンの音。まりやのオープンカーの音だ。逃げた。

黙々と他の写真を回収する貴子さん。
「か、奏も赤ちゃんができたらこんなことするのですかーふわわわ」
「あ、いや、あはははは・・・」
キッと貴子さんに睨みつけられてボクは口をつぐんだ。
奏ちゃんを抱きしめて頭をナデナデする紫苑。

そのあとの朝食はなんだか食べにくかった・・・

398 :まりみて2 後編 ◆0XucCTxAGU :2007/06/27(水) 02:06:06 ID:GeMYqCNz0
朝食のあと食後のお茶もそこそこに、由佳里はこっそりと自室に戻った。

まりやが、みんなに写真を見せる前に由佳里にだけ囁いた。
「この前の由佳里のお誕生日にプレゼントあげるの忘れてたから・・・ごめんね。
私へのプレゼント? いいのよ。いつか最高のをもらうから・・・ね。」

ポケットには1枚の写真とおみやげ。
写真には恥ずかしげにおみやげを舌でなぶり上げる瑞穂の顔。
「お姉さま・・・」

おみやげを口に含み、首筋からうなじに彷徨わせる。
「ああ、お姉さま、そんなところ・・・ふわぁ」
乳首にあて、さらにはふともものあいだに・・・
「おねえさま、おねえさまぁ!」

写真を見ながら、ローターを瑞穂の唇に見立ててするひとりHは刺激的で
すぐに絶頂が訪れた。

399 :まりみて2 後編 ◆0XucCTxAGU :2007/06/27(水) 02:06:53 ID:GeMYqCNz0
「はぁはぁ・・・お姉さま・・・好きです」
瑞穂への愛を込めて、目を閉じて濡れたローターにキスをする。

「カシャ!」

「え?」
見ると、ドアが少し開いている。

だだだだだー。(廊下を走る音)
ぶるん。ぶろろろー。(オープンカー・・・)
「え? え?」

『最っ高の誕生日プレゼント、ありがとー!www』
由佳里の脳裏にまりやの意地の悪い笑みが浮かんだ。

「お、お姉さまのバカーっ!」

400 :kamakiri ◆0XucCTxAGU :2007/06/27(水) 02:16:49 ID:Wz5IXGVh0
おまたせしました。後編です。
東の扉さん、ネタありがとうございました。

今回は、H部分の推敲する気力がありませんでした。
変なところがあってもスルーしてください。

というのも、ばあちゃんが脳梗塞で倒れてようやく回復してきたら
今度は親父の胃ガンが発見されて・・・
1,2ヶ月休ませて頂きます。

みなさんの投稿は楽しく読ませて頂いてますので
これからもよろしくおねがいします。m(_ _)m

401 :名無しさん@初回限定:2007/06/27(水) 21:00:33 ID:TUi//rhF0
大変な中お疲れさまでした
気の利いたことも言えませんがお祖母様と父上様の
一日も早い回復を祈っております

402 :kamakiri ◆0XucCTxAGU :2007/06/27(水) 22:17:30 ID:hhaF1C5N0
ありがとうございます。

自分自身もうつ状態、喘息がでていて、猫と一緒に寝ている毎日です。ごろにゃ。
性欲も減退し、えろえろな文章が書けません。くぅっ・・・!
そのうえ今日は急激な円高で、為替取引で50万近くの含み損がーーーーっ!
全然おとボクと関係ないですね。 おやすみなさいなのですよ〜

403 :名無しさん@初回限定:2007/06/27(水) 22:18:47 ID:GJZyaMyv0
おとボクにエロは必要ない。

404 :名無しさん@初回限定:2007/06/27(水) 23:47:16 ID:7v/2cuRm0
おとボクワールドにむやみにエロを求めてはいけない

405 :名無しさん@初回限定:2007/06/28(木) 00:14:40 ID:P4mX2wfX0
どこかのエロパロのように百合づくしになるくらいなら
エロ無しのほうがいいよ

406 :名無しさん@初回限定:2007/06/28(木) 00:16:02 ID:LZtWSBkY0
エロは必要ないとまでは言わないが、これはいただけない

407 :名無しさん@初回限定:2007/06/28(木) 00:20:20 ID:Mtqa65v+O
>>402
ウーン…、四面楚歌状態ですね…
長い人生そんな時もありますよ、負けずに頑張って下さい。
あと関係ない話ですいませんが、FXは25日線割ったら
(たぶんドル円でしょ?)一旦手仕舞った方が良いですよ。
余計なお世話ごめんなさいm(_ _)m

408 :名無しさん@初回限定:2007/06/28(木) 00:55:25 ID:C6FmQG5U0
>>400
無理な状態で無理に書くより、落ち着いた状態できちんと推敲した物語を書いたほうが、
kamakiri氏にとっても読み手にとってもいいと思うお。
それで例え完成するまでに時間がかかっても、読み手からすれば、
作品の出来 >>> 完成までの早さ なんだお。

409 :kamakiri ◆0XucCTxAGU :2007/06/28(木) 05:54:41 ID:sZedHunS0
みなさんご意見ありがとう。
批判意見でも放置されるよりも落ち着きます。

まりみて2は強引すぎましたかね。ちょっと暗いし。反省しとります。
つぎは昔話風の短編が書きたいです。コミカルなやつ。
誰か、お題出してくれないかな〜?

>>407
豪ドルとユーロ専門です。テクニカルなんて知りません。勘だけが頼りです(笑)

>>408
やり残したことがあると気にするタイプのうつなんで、もうしわけない。
これでやっと肩の荷が下りた感じです。

やっぱりまた〜り書き連ねていくのが一番ですね〜

410 :名無しさん@初回限定:2007/07/03(火) 02:23:10 ID:N4VPXW/B0
>>385
>「奏も、お姉さま方と本当の家族になったみたいで、とても嬉しかったのですよ」

。・゚・(ノД`)・゚・。

411 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/03(火) 16:24:14 ID:tDSvT/Ka0
>>409

東の扉です。遅くなりましたが、私の提案をお使いいただき、ありがとうございます。
貴婦人への架け橋では、純粋にローターへのキスで刺激を求めていましたが、そういうのもアリですね。

>誰か、お題出してくれないかな〜?

「うさぎとかめ」なんてどうですか?
由佳里ちゃんがうさぎで、奏ちゃんが亀。そしてまりやがうさぎグループ、紫苑さんが亀グループにいて。
実は、私の中で話が出来上がってたりしますけど、電波受信の作品化が追いつかない状態なので。

私もエロエロ話は、時間がかかっても、煩悩を満タンにした状態で書くべきだと思います。
kamakiriさんとご家族の容態はどうですか? 健康を祈っております。お大事に。

412 :Nの館 ◆NN2yaKataw :2007/07/04(水) 21:52:34 ID:8uh9rWvo0
 誰もいない……投下するなら今のうちっ!

 東の扉さん、kamakiriさん、お題を横取りしてしまい、申し訳ありません。
 とんでも電波を受信してしまいましたので。
 由佳里ちゃんと奏ちゃんの設定が、東の扉さんの前提とひっくりかえっていることを、先にお詫びします。


「“うさぎとかめ”なのですよ〜」


 むかしむかし、あるところに、由佳里という名の亀と、奏という名のうさぎが住んでいました。ふたりはある日、瑞穂という美しい天使と出逢い、瑞穂をどちらの天使にするかでもめてしまいました。そこで、その一帯に君臨する貴子という名の女神さまに相談したところ、
「それでは、42.195キロ離れた場所まで競争して、先に到着したものがゴールにいる瑞穂さんとやらを天使にする、ということでいかが?」
という提案を受けました。ふたりはその提案を呑み、いよいよ競争の日がやってきました。

 スターターの貴子女神さまが、
「それでは、位置について……用意……スタート!」
 と号令して、競争は始まりました。

413 :Nの館 ◆NN2yaKataw :2007/07/04(水) 21:54:22 ID:8uh9rWvo0
 由佳里亀には、まりやという名のイノシシが監督としてついています。
「由佳里、あなたは長距離ランナーとしては決して早いほうじゃないけど、大丈夫。いままでの練習の成果を出せば、4時間以内でゴールできるわ。自信を持って最後まで走り抜くのよ! あたしは5キロごとに由佳里のペースをチェックしてアドバイスを送るわね」
と言って、5キロ先のチェックポイントへ全速力で走り去っていきます。
「はい、ドジでのろまなカメ、というイメージを返上するために頑張ります!」
そうまりやイノシシに誓って、ゆっくりと、しかし一歩一歩確実に走っていきます。

 一方の奏うさぎには、不思議な能力が備わっていました。普通のうさぎなら四肢を使って飛ぶように走ることしかできないところ、なんとこの奏うさぎときたら、ピンクの両耳と、そこにつけたリボンとをばたつかせて、空を本当に飛んで移動できるのです。
(しょせん相手は少しずつ走っていくことしかできないのですから、勝利は飛んでいける奏がいただいたも同然なのですよ〜)
そう心の中でつぶやくと、ピンクの両耳とリボンを使って、一気に飛んでいってしまいました。そして、30キロぐらいの距離を一気に飛んだところでいったん着地しました。地平線の向こうまで見渡しても由佳里亀が見えないことに安心した奏うさぎは、
「もう半分以上来てしまったのですよ〜、やっぱり楽勝なのですよ〜。でも、一気に飛んできたのでちょっと疲れたのですよ〜」
といって休憩にはいります。
 そのころ、由佳里亀はまだ5キロ地点に達していませんでしたが、やがて5キロ地点に達すると、約束通りまりやイノシシに
「いいペースよ、その調子で頑張れ!」
と励まされました。由佳里亀は、足取りが気持ち軽くなるのを感じました。

414 :Nの館 ◆NN2yaKataw :2007/07/04(水) 21:55:24 ID:8uh9rWvo0
 さて、休憩にはいった奏うさぎのところには、紫苑という名のスケールの大きな蓑虫がやってきました。
「まあ、そこにいるのはうさかなちゃん、いつ見てもかわいいわ♥」
と言って、奏うさぎに近づき、そして

むぎゅーっ!

と蓑の中に奏うさぎを取り込んでしまいました。
奏うさぎは最初のうちは
「奏、紫苑お姉さまにこうやって抱っこされると、息が苦しいのですよ〜」
などと抵抗しましたが、そのうち疲れもあって、そのまま眠ってしまいました。

 そんなこととは知らず、由佳里亀は、まりやイノシシの5キロ毎のペースチェックと適切なアドバイスを受け続けました。そして、予定以上の順調さで30キロを過ぎると、道端に大きな蓑虫を見つけました。亀の方に手を振っています。手を振られた由佳里亀は、
「蓑虫さん、応援ありがとう!」
とお礼をすると、ますます軽い足取りで、ゴールへと一歩一歩着実に走っていきました。

415 :Nの館 ◆NN2yaKataw :2007/07/04(水) 21:58:02 ID:8uh9rWvo0
 ――あれから、3時間ほども過ぎたでしょうか、ようやく蓑の中に取り込まれた奏うさぎはようやく目を覚ましました。
「あれ、ここはどこなのですか? そして、私は誰なのですか?」
酸欠状態で眠っていた奏うさぎは、まだ意識が朦朧としています。
「うさかなちゃん、ようやく目を覚ましたのね。大丈夫? 息苦しくなかったかしら?」
紫苑蓑虫の問いにもはっきり答えることができません。
「まだ完全に意識が戻っていないのね? それでは、これを……」
と、奏うさぎの前ににんじんを差し出しました。
にんじんの甘い匂いに、ようやくお腹がすいていたことを思い出し、意識が戻った奏うさぎは、にんじんをまるまる一本、きれいにたいらげてしまいました。
「まあ、よく食べるのね、うさかなちゃん。もう一本いかが?」
二本目もあっさり食べきってしまいます。
「まだありますから、遠慮なく食べていってね」
という紫苑蓑虫の言葉に甘えて、30分かけて五本もにんじんを食べた奏うさぎは、ようやくエネルギー満タンになりました。
「にんじん、とてもおいしくて、奏、嬉しかったのですよ〜」
と紫苑蓑虫にお礼を言うと、ようやく自分が何をしていたのか思い出しました。
「そういえば、その道を走っている亀さんを見ませんでしたか?」
「ああ、そうそう、35分ぐらい前に通り過ぎて行きましたわね。手を振ったら「応援ありがとう!」と答えてくれて、とても律儀だと感心していましたのよ」
「えっ……」
奏うさぎは絶句します。なにしろここからゴールまでは約10キロ。いくらドジでまぬけな由佳里亀でも、40分あれば走りきっていておかしくありません。
「で、では、奏は道を急ぐので、これで失礼するのですよ〜。ごちそうさまなのですよ〜。またお会いしましょうなのですよ〜」
と言い残すと、いつも以上に両耳とリボンをばたつかせて、ゴールへと一直線に飛んでいきました。

416 :Nの館 ◆NN2yaKataw :2007/07/04(水) 21:59:30 ID:8uh9rWvo0
 いよいよ、瑞穂天使さまの待つゴール地点。先に瑞穂天使さまの目に飛び込んできたのは、由佳里亀の方でした。
「まあ、由佳里ちゃん、私はずっとここで待っていたのよ。これで私のすべては由佳里ちゃんのものよ」
瑞穂天使さまの声を聞くと、胸が飛び上がらんばかりの夢心地になった由佳里亀は、最後のエネルギーを使ってラストスパートをかけ、瑞穂天使さまの胸に飛び込んでいきました。
まりやイノシシも、
「由佳里、やったわね! 勝ったのよ! おめでとう!」
と祝福しています。
「まりやお姉さまのおかげで、ドジでのろまなカメ、のイメージを払拭できました。本当にありがとうございました!」
と言いながら深々とお礼していると、ようやく空のかなたからものすごい羽音を響かせて、奏うさぎが飛んできました。そしてようやくゴール地点に着地しましたが……
「奏、負けてしまったのですよ〜。楽勝だなんて思って寝てしまったのと、そのあとごちそうまでいただいて、時間をたっぷりロスしてしまったのが敗因だったのですよ〜。後悔してもしきれないのですよ〜」
と言って、紫苑蓑虫のいるところに元気なく帰っていきましたとさ。

おしまい。

417 :Nの館 ◆NN2yaKataw :2007/07/04(水) 22:00:34 ID:8uh9rWvo0
……とりあえず勢いだけ書きました。
おひとりでも気に入っていただける方がいらっしゃれば幸いです。
それでは、失礼します。

418 :名無しさん@初回限定:2007/07/04(水) 23:23:44 ID:NTfJj+vV0
奏ちゃんが由佳里ちゃんに負けるなんて珍しい展開だな。
だが、それがまた良い。gj!!!

419 :kamakiri ◆0XucCTxAGU :2007/07/05(木) 00:16:31 ID:DR/plNKl0
乙です。
こちらは良い電波を受信できませんでした。

「電波が雨に染みこんで流れていってしまったから・・・」

なんて言い訳せずに、おちついたら短編でも書こうかのぅ。
怪電波よ、おいでませ。

420 :名無しさん@初回限定:2007/07/05(木) 17:21:01 ID:kQVpXnko0
電波を受信しても文章に変換できません。
論文も書かなくちゃいけませんしね……。

421 :kamakiri ◆0XucCTxAGU :2007/07/05(木) 18:05:31 ID:OwWJSCOD0
論文なんか後回しだよっ!

電波が消えていっちゃう前にっ!

422 :名無しさん@初回限定:2007/07/05(木) 18:26:28 ID:+I5x1dGXO
おいおい。
電波は消えても次があるから良いが、論文を提出しなかった事で次が無くなる事があるんだ。
読みたいのは分かるが、考えて書き込みしろよ。

って。釣られた?

423 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/05(木) 20:01:45 ID:WqZoj7Pv0
Nの館さん、GJです。
さすがにそんな展開は思いつきませんでした。なるほど。

私は、新しく受信した電波を文章化しましたので、投下させていただきます。
話の発端となった出来事はちょっと無理あるとは思いますが、大目に見てやってください。

それでは、よろしくお願いします。

424 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/05(木) 20:05:33 ID:WqZoj7Pv0
「うーん……次は、瑞穂ちゃんにどんな服着せよっかな」
 まりやが次のファッションショーで瑞穂に着せる衣装のことを考えていた。そこへ……。
 プルルルル……。
 電話の鳴る音がした。
「はい! 聖央女学院高等部女子寮です!」
(こっちは黒科(くろしな)金融のもんやけど)
「黒科金融!?」
 まりやが電話を取ると、相手は予想外のものだった。
(上岡由佳里はおるか?)
「まだ学校です。由佳里なら私の後輩で妹分ですから、話ならあたしがうかがいますけど?」
(ほうか。なら、後輩さんに伝えとけや。あんたの借金1千万円、4日後までに耳そろえて返してもらうし、ちゃんと用意しとけってな)
「1千万円!? 4日後!?」
 驚くまりや。
(ほな、確かに言うたしな。ちゃんと用意しとくんやで)
 そう言って、電話は切れた。

〜エルダーに咲いた闇の薔薇〜

「1千万の借金って、由佳里、どういうことよ!? 何考えてんのよ、あんたは!?」
「し、知りませんよ! 借りたのは事実ですけど、ほんのちょっとだけですし、来月お小遣い入ったら返すつもりでしたから」
 怒鳴り声で言うまりやに、部活を終えて帰ってきた由佳里はしどろもどろになりながら答えた。
「なんでそんなとこから借りるのよ! ちょっと我慢すればいいだけじゃない!」
「だって、期間限定の商品でどうしても欲しいものがあって……ちょっとだから借りてもいいと思って……」
「甘いわね。ああいうところの利子ってのは、カラスがカーと鳴きゃすごい膨れあがるのよ」
「そ、そんな……どうすればいいんですか!?」
「ただいま」
「ただいまなのですよ」
 そこへ、瑞穂と奏が帰ってきた。
「お姉さま!」
「あ、瑞穂ちゃん、ちょうどいいところに! 聞いてよ」
「どうしたの?」

425 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/05(木) 20:09:03 ID:WqZoj7Pv0
「そ、そんなこと……」
 まりやから話を聞いた僕は、驚きを隠せなかった。1千万円もの大金を4日以内にって、どうすればいいの!?
 僕の家は父さまが楓さんと長期出張中で、まりやの両親も旅行中だし、奏ちゃんと紫苑さんの家はそんな大金用意できる余裕はないし、
貴子さんには結局由佳里ちゃんは父と兄に恩を盾にしゃぶりつくされるからと断られてしまったし……。
「八方ふさがりじゃない。いったいどうやって……」
 僕がそう言うと、まりやが真剣な表情で言う。
「こうなったら、最後の手段! 名づけて“暗黒の薔薇作戦”よ!」
「あ、暗黒の薔薇作戦? なんなの、それ?」
 なんかイヤな予感がするな。とんでもないこと考えてなきゃいいけど……。
「瑞穂ちゃん、英訳しちゃダメよ。したら大学卒業まで聖央の刑だからね!」
 だ、大学卒業まで女装生活……イヤすぎる……。
「それで、一体どういう作戦なの?」
「とりあえず、部屋で書くから、奏ちゃん、それをとりあえず今から言うだけコピーしてきて!」
「は、はいなのですよ!」
 まりやは部屋で何か券みたいなものを書き上げると、奏ちゃんにそれを渡した。
「頼んだわよ!
「お任せくださいなのですよ!」
 奏ちゃんは、ダッシュで紙をコピーしに行く。
「……まりや、あの券みたいなものは何? 作戦と関係あるの?」
「もちろんあるわよ。由佳里の借金、聖央のみんなに肩代わりしてもらうのよ」
「肩代わりって……」
 でも、そんなの……。
「もちろん、それだけじゃなんだから、代わりに瑞穂ちゃんが、聖央のみんなにサービスするのよ」
「あっ、さっきの券を売って、お姉さまがその券に書かれているサービスをするってことですね!」
 まりやが言うと、由佳里ちゃんがそう続ける。
「そういうこと。由佳里、さえてるじゃない!」
「それで、どんなサービスを?」
「それは、奏ちゃんの券を見ることね」

426 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/05(木) 20:12:53 ID:WqZoj7Pv0
 しばらくして、奏ちゃんがコピーを終えて戻ってきた。
「はあはあ……まりやお姉さま、終わりましたのですよ」
「お疲れ。瑞穂ちゃん、見て」
 僕が券をのぞきこむと、そこに書かれていたのは……。
「心と心がつながってるわねをしてあげる券……抱きしめてあげる券……背中を抱いてあげる券……おでこにチューしてあげる券……
ほっぺに……唇に……」
 そうやってどんどん読み進めていると……。
「ぱふぱふしてあげる券!? 乳首にチューしてあげる券!? あそこにチューしてあげる券!?」
 あ、あそこってどこ!?
「ま、まりや! こんなのまでしろって!?」
「当然じゃない。そこまでしないと、4日以内に1千万なんて無理よ」
 理屈はわかるけど……そんなことやり続けたら……。
「だから、暗黒の薔薇作戦なのよ」
 な、なるほど……。
「じゃ、早速みんなに説明するわよ!」
「お待ちなさい!」
 まりやがそう言うと、突然どこからか声が聞こえた。僕がその方を見てみると……。
「紫苑さん! 緋紗子先生!」
「話は聞きました。学校の風紀を乱すようなこと、教師として見過ごすわけにはいきません!」
「私も、先代のエルダーとして見逃せませんわ」
「2人とも、これには深い理由があって……」
 まりやは、そう言って2人に説明する。
「なるほど……事情はわかりました。しかし、風紀を乱すことには変わりません。しかし……」
「条件次第では、聞かなかったことにしてさしあげますわ」
 悪魔の笑みでそう言う2人。
「じょ、条件って?」

 2人が出した条件とは、自分の言う僕のサービスを無料で受けさせること。恥ずかしい……。

427 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/05(木) 20:16:50 ID:WqZoj7Pv0
 翌日、講堂……。
 緋紗子先生と紫苑さん、そしてまりやの細工で、他の教師はそこに近づかないことになっている。
「さて諸君、こうしてお集まりいただいた理由について話そうと思う!」
 まりやは顔に覆面をして話す。
「必殺密売人X、単刀直入に言ったほうがいいかと……」
「痴れ物! 今回私のことは家津蔵人(いえつ くらんど)と呼びたまえ!」
 僕が言うと、まりやはそう返す。なんかいわくありげな名前だな……。
「コホン、とにかく、我々はとある事情で金に困っている。それで、皆さんからカンパしようと思うのだが、
それでは皆さんも納得いくまい! そこで、代わりに我らがエルダー、宮小路瑞穂嬢のサービスを提供しようと思う!」
 そう言うと、講堂にいたみんなから歓声があがる。
「以上が、サービスの内容である! ピンと来ない方もいらっしゃるであろうから、実演してみようと思う! 紫苑さま!」
 まりやがサービスの説明を終えると、紫苑さんが講堂の奥から登場した。
「はい!」
「この券を読み上げながら瑞穂ちゃんに渡して、サービスをしてもらってください」
「はい」
 嬉しそうに言う紫苑さん。僕は、緊張でガチガチだ。
「はい。まずは、心と心がつながってるわねをしてあげる券ですわ」
 紫苑さんはそう言って僕に券を渡す。
「私の心と……」
 僕はそう言って左手で自分の心臓を触り……。
「紫苑さんの心が、今、つながりましたね」
 そう言いながら、右手で紫苑さんの心臓を触る。
 キャー!!
 そうすると講堂の女の子たちの間から歓声が上がる。
 紫苑さんは、うっとりと僕に見とれている。
「次は、抱きしめてあげる券ですわ」
 僕は、正面から紫苑さんをぎゅっと抱きしめる。また歓声が上がった。
「背中を抱いてあげる券ですわ」
 僕は、紫苑さんの背後に回り、おなかの部分に手を回して抱きしめる。
「まあ、瑞穂さんの胸が背中に当たって、心地良いですわ」
 紫苑さん、相変わらず僕の胸パッドがお気に入りのようで……。

428 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/05(木) 20:20:51 ID:WqZoj7Pv0
 そして僕は、紫苑さんのおでこに、ほっぺに、唇にキスをした。
 そのたびに講堂からおびただしい歓声があがる。紫苑さんはますます顔を蕩けさせて僕を見ている。もう限界かも……。
 おさえろおさえろ……僕は女の子、女の子なんだからっ!!
「次はぱふぱふしてあげる券ですわ」
 そう言って紫苑さんは僕の胸パッドの谷間に顔を埋めた。僕は紫苑さんの頭をぎゅっと抱いた。
「うわっ!」
 紫苑さんが僕の胸パッドをもんでくる。もう興奮が高まっていく。
 うわわわっ!! 3.14159265358……。
 それをごまかすため、僕は頭の中でなぜか円周率を唱えていた。
「乳首にチューしてあげる券ですわ」
 僕は優しく紫苑さんの制服のボタンを外し、ブラをあげて、指定の場所にキスをした。
「あそこにチューしてあげる券ですわ」
 ……今度はスカートの中にもぐり、大事な場所にキスをした。
「まあ、下着越しなんて、瑞穂さん、案外いけずですのね」
 し、紫苑さん、直接あそこにキスしろと!? 僕、ただでさえもう限界なんですけど……。

 ぼ、僕はこんなことを何度も何度もやり続けなきゃいけないのか……身体と理性が持つかな……とてつもなく心配……。
「では、以上で実演を終了する。金額は、表記のとおりである。
購入したいものは、指定の金額を払って、瑞穂嬢から券を受け取りたまえ」
 ちなみに、表を見せると……。

心と心がつながってるわねをしてあげる券 5千円
抱きしめてあげる券 1万円
背中を抱いてあげる券 1万円
おでこにチューしてあげる券 2万円
ほっぺにチューしてあげる券 2万円
唇にチューしてあげる券 3万円
ぱふぱふしてあげる券 5万円
乳首にチューしてあげる券 8万円
あそこにチューしてあげる券 10万円

以上である。

429 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/05(木) 20:25:09 ID:WqZoj7Pv0
「キャー!!」
「わーっ!!」
 まりやが言うと、生徒たちは、おしくら饅頭のように僕に押しかけてきた。
「お姉さま、これを!」
「私はこれをお願いしますわ」
「お姉さま、私にも……」
 って由佳里ちゃんまで……。
「売り手が買いに走ってどうすんのよ!」
 あ、まりやがツッコミを入れたら気絶しちゃった。
 そして、券はあっという間に売り切れた。
「うーん。券足りなかったかしら。今日はもっといっぱいコピーしよっか」
 ま、まりや……ちょっとは僕の心身のことも考えて……。

 放課後、寮……。
「私が先ですわ!」
「私が一番に並びましたのよ!」
 僕にサービスしてもらおうと、生徒のみんなは押しあって争っている。
「あの……みなさん、いがみあわなくても、私は逃げはしませんから……では、あなたから……ほっぺにチューしてあげる券ね」
 僕は、券の内容を確認して、そのサービスをしていく。
「ああ……お姉さまあ……」
 気絶する女生徒。すかさずまりやが呼んでおいた救急隊員が担架に運ぶ。
「次は私ですわ!」
「はい。背中を抱いてあげる券ね」
「ああ……お姉さまあ……」
 うっとりしながらふらふら帰っていく。
「お姉さま、私にも……」
「邪魔してどうすんのって朝言ったでしょうがーっ!!」
 乱入の由佳里ちゃんに、すかさずまりやのツッコミ。

430 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/05(木) 20:28:54 ID:WqZoj7Pv0
「あ、あの、ちょっと休憩時間をくれない?」
 半分ぐらいまでいった頃、僕はもう耐えられなくなっていた。色々と。
「仕方ないわね。じゃあ、15分ね」
 まりやから休憩時間をもらって、部屋に戻った。
「はあああああっ……疲れるーっ……死ぬかと思ったあ……」
 あんなことをやり続けて、もうドキドキが止まらないよ……。
「はい瑞穂ちゃん、ハーブティーよ」
「いただきます」
 飲むと、途端に興奮した気分が鎮まって、安らかな気分になる。助かったあ……。
「ま、まりや、ありがとう」
「いいって。じゃ、後半戦がんばんなよ。みんな待ちくたびれちゃってるから」
「うーっ……」
 その言葉が、僕の気分を天国から地獄へ戻した。

「あ! お姉さまが戻ってこられましたわ!」
「お姉さま、次は私です!」
「その次は私です!」
 僕が戻ってくると、予想通りの過剰反応。
「ああ……お姉様あ……」
「お姉さま……幸せです……」
「ふにゃああああ……」
 で、サービス後の反応も相変わらず。
「我慢できないー……お姉さまあ、私にもお……!」
「ええかげんにせんか、めんどりゃあ!!」
 由佳里ちゃんの乱入と、まりやのツッコミも相変わらず。
「ねえまりや、“めんどりゃあ”って、何?」
「男に言うから『おんどりゃあ』。由佳里は女の子だから『めんどりゃあ』」
 ……聞くんじゃなかった。

431 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/05(木) 20:32:52 ID:WqZoj7Pv0
「はあああああっ……やっと終わったあ……」
 もう夜になろうかという頃、僕はそうため息をついた。
「お疲れ、瑞穂ちゃん」
「ねえ、まりやあ、もう我慢できない……ちょうだい……僕にハーブティー、ちょうだい……」
 とにかく、たまったものを鎮めないと……もうどうにかなってしまいそうだよ……。
「ふうん……ハーブティーじゃ足りないみたいね。ここはあたしが手伝いますか」
 まりやは、意地悪モードに入って、僕を部屋に押し戻して鍵をかけた。
「ちょ、ちょっとまりや、何を……」
「ハーブティーじゃ足りないだろうから、あたしが手伝ってあげるね、性欲の処理」
「い、いらないって……わーっ!!」
 その後、僕はまりやの手と口で1回ずつ出してしまった。
「たまってるだけあって、前のときより全然早いわね」
「ううう……かっこ悪い……」
「気にしたら負けよ。明日もあるんだから、しっかり休んどきなよ」
「ううう……」
 そうだ。あと2日あるんだった。
「そうそう。今日の売り上げは2百万よ」
「2百万か……かなり厳しいね」
 それを聞いて、僕は深刻になった。
「完売だからいいじゃない。それに、ぱふぱふと乳首あそこのチューは半分ギャグのつもりだったから
そんなに枚数作らなかったけど、そっち増やせばいいわけだし」
 明日はさらに厳しくなるのか……どうしよう……。

432 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/05(木) 20:36:00 ID:WqZoj7Pv0
「お姉さま、お茶をお持ちいたしましたのですよ」
 奏ちゃんが、お茶を持って僕の部屋を訪れる。
「奏ちゃん、いらっしゃい」
 やっぱりこの時間は、心が安らぐな。
「どうぞなのですよ」
「ありがとう」
 僕はそう言ってお茶を飲む。
「これは、ハーブティー?」
「はいなのです。お姉さま、今日は大変でしたから、リラックスできるものがいいと思いまして、
まりやお姉さまに一番効力の強いものを譲ってもらいましたのですよ」
「そう。ありがとう奏ちゃん。嬉しいわ」
 ちゅっ。
 僕はそう言って奏ちゃんのおでこにキスをする。
「はややっ、お姉さま、照れますのですよ」
「そうだ! ねえ、奏ちゃん、今日は私と一緒に寝ない?」
「え? お姉さま、よろしいのですか?」
 驚く奏ちゃん。でも……。
「ええ。私のほうからお願いしてるんだからね」
「お姉さま、ありがとうございますのですよ。奏、夢を見てるみたいなのですよ」
 その日、僕は奏ちゃんと一緒に寝た。僕にとっても、心が安らいでよかった。

433 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/05(木) 20:39:59 ID:WqZoj7Pv0
 翌日、講堂……。
「さて諸君、私こと家津蔵人による、瑞穂嬢のサービス券の販売を開始する。なお、今回は売り上げ好評につき、
ぱふぱふならびに乳首とあそこの券の量を大幅に増やすことにしたので、昨日買えなかった者も安心したまえ!」
 講堂中から聞こえる歓声。僕はどうなるんだろう……。
「では、昨日休んでいた人のために、瑞穂嬢のサービスについておさらいに入る。紫苑さま!」
 まりやが紫苑さんを呼ぶ。僕は再び紫苑さんを相手に実演することになった。
「では、券を買うものは、欲しい券を言ってお金を……」
「お待ちなさい!」
 と、そこへ、それを制する声が入って、講堂の扉が開く。そこにいたのは……。
「貴子さん……」
「昨日、寮に行列が出来ておりましたから、おかしいと思いましたら、こういうことでしたのね」
「いかにもそのとおりですわ」
「このようないかがわしいこと、生徒会長として断固認めるわけにはいきません! ただちに中止しなさい!」
 紫苑さんの返答に、貴子さんはそう言う。
「厳島貴子! ご貴殿が借金を断るから、仕方なくこうしているのではないか!」
 すると、まりやがそう反論してきた。
「そ、それは、後々のあなた方の身の上を考慮に入れた上でのことだと申したではないですか!」
「貴子さん、聖央の生徒が、危機に陥っているのですわよ? それを見捨てろとおっしゃるのですか?」
「紫苑さま……それは……」
「今回限りですから、大目に見ていただけませんか?」
「……今回だけ、特別ですわよ」
 紫苑さんの発言に、貴子さんも折れてくれたようだ。
「ありがとうございます。私の心と……」
 僕は左手で自分の心臓を触り……。
「貴子さんの心が、今、つながりましたね」
 右手で貴子さんの心臓を触った。
「おおお、お、おねおねおね……」
 途端に狼狽する貴子さん。ふらふらしたかと思うと……。
「きゅううううう……」
 その場に気絶してしまった。
「さて、生徒会長の承認も得ましたので、販売再開といたします!」
 そして今回も即完売となった。私が先だ私が先だと争っていたようだけど……。

434 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/05(木) 20:44:06 ID:WqZoj7Pv0
「はああああ……やっと終わったあ……」
 2日目も無事終了。生徒のみんなにより火がついてるみたいだったけど。
「お疲れさま、瑞穂くん」
「ひ、緋紗子先生! どうして僕の部屋に……」
 僕が部屋に戻ると、なぜか緋紗子先生がいた。
「瑞穂くん、だいぶたまってるでしょう? 先生が処理してあげようと思って」
「い、いりませんよ! だいたいシスターがこんなことしても……」
「大丈夫。夏に処女は詩織にあげちゃったから、もう前の穴でもOKよ」
「そうじゃなくて……わーっ!!」
 2日目は、緋紗子先生の中に処理させられてしまった。
 ちなみに、今日の売り上げは4百万。あと4百万か……。
 その後は、奏ちゃんとハーブティーを飲んで、一緒に寝た。

 3日目、講堂でいつものように紫苑さん相手の実演の後、まりやが券を販売。今回は買った中には貴子さんもいたみたいだけど……。
 そして、寮でのサービス。
 今日は、3回休憩をもらうことになった。
 後から聞いた話だと、生徒たちは、その後1週間は僕の「サービス」の余韻に浸っていたらしい。
「はあああああ……今度こそホントに終わったあ……」
「瑞穂ちゃん、お疲れ。今日の売り上げは7百万。合計1300万たまったわ」
「じゃあ、借金も無事返せるんだね……よかった……」
 ホッとするが、疲れは隠せないみたい。とにかくやっと解放される……。

「うーん……終わったのはいいけど、ああいうの見てるとムラムラしてくるな……」
 その夜、まりやは瑞穂のサービスを見続けてたまってることに気づいた。
「今日も瑞穂ちゃんに処理してもらうか」
 と、自室を出て瑞穂の部屋に向かう。その途中で見たのは……。

435 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/05(木) 20:48:05 ID:WqZoj7Pv0
「お姉さま!」
「何、由佳里ちゃん?」
 と、そこで由佳里が瑞穂に声をかけていた。
「あ、あの、お疲れ様です。ありがとうございました」
「どういたしまして。無事返済できるみたいよ」
「あの、それでお姉さま、失礼ですけど、サービスし続けて、興奮していらっしゃいませんか?」
 由佳里が恥ずかしそうに言う。
「そうね。少したまってる、かしら?」
「あ、あの、お姉さま、もしよろしければ……」
「瑞穂さん、それは大変ですわね。私が処理してさしあげますわ」
「し、紫苑さん!」
 と、そこへ紫苑が乱入してきた。
「あ、あの、紫苑さん……」
「瑞穂さん、何もおっしゃらないでくださいな。そのままでは、今後のエルダーとしての生活に、支障が出ますわよ?」
 紫苑はそう言って、瑞穂を部屋に連れて行った。
(あーあ。紫苑様に先越されたか。ん? そっか、いい手があるじゃない!)

「由佳里、いい加減しゃきっとしなよ」
 あの後、呆然としている由佳里を部屋に運んだまりやは、そう言って気づかせる。
「まりやお姉さま? なんでここに」
「いつまでも呆然としてるから、ここに運んであげたのよ」
「そうですか……ありがとうございます」
 由佳里は、まだ少しボーっとしながら返す。
「集めたお金で、無事借金も返せるしね」
「よかった。ありがとうございます!」
「ところでさ、由佳里」
 まりやはそう言うとニヤニヤする。それを見た由佳里は引き気味。

436 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/05(木) 20:51:53 ID:WqZoj7Pv0
「感謝してるなら、お礼をしてくれてもいいよね?」
「な、何が言いたいんですか?」
 まりやはいきなり服を脱いで言う。
「あたしさ、瑞穂ちゃんのサービス見てたまってるのよね。瑞穂ちゃんは紫苑さまが持ってったみたいだし、由佳里が口で慰めてくれない?」
「そ、そんなの……」
「今回のお金、誰が持ってるかわかってる?」
「お、脅す気ですか!? まりやお姉さま、ひどいです!」
「ひどくないって。由佳里、あんたあたしたちがいなかったら、少なくとも数ヶ月はこういうこと汚いオヤジども相手に
やり続けなくちゃいけなかったのよ?」
 怒る由佳里に、動揺せずにそう返すまりやを見て、由佳里は考える仕草に入る。
「相手があたしで1回きり。お礼もしてあげるんだから、そう考えれば万々歳じゃない」
「で、でも、お礼でしたら改めてさせてもらいますから、やめてください!」
「ダーメ♪ これは下手に借金したらこうなるんだって、由佳里への教育も兼ねてるんだから」
「ううう……」
 困り顔の由佳里を見て、まりやのいたずら心はより燃え上がる。
「もうわかりましたから、今回だけは勘弁してください。とてもそんな気になれませんから」
「んじゃ、そんな気にさせてあ・げ・る♪」
 まりやはそう言うと、由佳里の胸と秘所を愛撫しにかかる。
「ひゃああああっ!?」
「おっ、いつもより反応過剰だねえ。やっぱ瑞穂ちゃんのサービス見て、由佳里もたまってたのね」
「や、やめてください」
「それじゃ、次の一撃で……それっ!」
 まりやはそう言うと、由佳里の敏感なところを突いた。
「ふあっ!?」
 つぼを刺激された由佳里は、頂点を間近に迎えながら、身体のうずきを持ったまま醒めた。
「どう? 由佳里? 苦しくない?」
「く、苦しい、です……」
「イかせてほしいでしょ?」
 そう言われて由佳里は考えていたが……。
「そう。イかせてほしくないのね。じゃあ、あたしはこれで。おやすみ」
「ま、待ってください!」
 まりやがそう言うと、由佳里はまりやの腕を掴んだ。途端にまりやが再びニヤニヤする。

437 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/05(木) 20:56:14 ID:WqZoj7Pv0
「イかせてほしいんだ?」
「お、お願いしますう……」
 身体のうずきにはどうしても勝てなかったようで、悔しそうにお願いする。
「じゃあ、あたしを慰めてくれたら、イかせてあげる。世の中ギブ&テイクよ」
「ううっ……」
 由佳里は、まりやへのサービスを開始した。

「はあはあ、由佳里上手ね。素人とは思えないわよ」
 由佳里にたっぷりサービスしてもらったまりやはそう言った。
「っていうか、そうしている間に1回イっちゃったみたいだし、さすがゆかりんよねえ」
「ど、どういう意味ですかあ!?」
「怒るな怒るな。今度はあたしが、めいっぱいサービスしてあげるから♪」
「ちょ、ちょっとまりやお姉さ……ひゃああああっ!?」
 その夜、由佳里は一晩中まりやにおもちゃにされ続けた。

 翌日、黒科金融の取り立てが来る時間。僕たち4人の寮生は食堂に集まっていた。
「あの……黒科金融のもんですけど……」
「借金の返済ならここに」
 僕はそう言ってかばんを差し出す。
「あ、あの、そのことなんですけど……」
 取り立ての人は、ばつが悪そうに話す。

「手違いだったあ!?」
 この発言には、僕たちは全員びっくり。
「へ、へえ、借り手の中に同姓同名の方がいらっしゃいまして。こっちの上岡さんが借りたのは1500円だったんですよ。
利子つけて1800円ですけど、お詫びに利子元金含めて返済は結構ですから」
 金融会社の人は、そう言って借用書と菓子おりを差し出す。
「じゃあ、あっしはこれで。ごめんなすって」
 ばつが悪そうにしながら帰る金融会社の人。
 手違いって、じゃあ、僕がこの3日間してきたことはなんだったの……?

438 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/05(木) 21:00:58 ID:WqZoj7Pv0
「まーりーやー」
 あんなことを強いられて、それがムダだったとわかった僕の怒りは、まりやに向けられた。
「まーりーやーおねーさーまー」
 見ると、由佳里ちゃんもまりやに何かされたのか、まりやに怒りを向けていた。
「何よ、悪いのは黒科金融でしょ? あたしは当然のことをしただけじゃない」
「でも、まりやが確認してれば手違いだとわかったはずよね? しなかったまりやも悪いでしょ!?」
「それは……っていうか、由佳里がお金借りなければよかったんじゃない」
 声を小さくしながらも、まりやは必死に反論する。
「まりやお姉さまが人の弱み粗探しして色々おごらせたりしなければ、お金借りたりなんかしませんでした!」
「結局原因はまりやじゃない! だいたいまりやは……あっ! 逃げた!」
 僕が見ると、まりやはすでに食堂から姿を消していた。
「こら! 待てーっ!!」
 僕と由佳里ちゃんは、校舎に逃げたまりやを追いかけていった。

「待てーっ!!」
 僕がそう叫びながら校舎に入ると……。
「み、美智子さん!」
「あら、瑞穂さん、ごきげんよう」
 そこには、美智子さんが立ちはだかってた。
「美智子さん、今まりやを追っていますので、これで……」
 僕がそう言って去ろうとすると……。
「瑞穂さんたちは、まりやさんに危害を加える気ですの? でしたら、ここをお通しするわけには参りませんわ」
 美智子さんが通せんぼ。よく見ると、映画「ベルサイユに咲いた百合の花」のチケットが2枚。
「美智子さん、まさか、そのチケットでまりやに買収……」
「いやですわ瑞穂さん。人聞きの悪いことをおっしゃらないで。これは、まりやさんから、圭さんと一緒にどうかと、善意でいただいたものですわ」
 善意でって、思いっきり怪しいんですけど……。
「でもいただいた以上、私もまりやさんには誠意を示さなければ、このチケットを受け取れないと思いますの」
 物は言いようだな……。
「瑞穂さんは、まさか私と圭さんの時間が台無しになってもいいなんてひどいこと、おっしゃいませんわよね?」
 美智子さんの表情は哀願するようだが、オーラはどす黒い殺気を放っている。もし台無しにしたら、
彼女から受けるのは恨みとか憎しみとかよりもっと恐ろしい“何か”だろう。

439 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/05(木) 21:04:29 ID:WqZoj7Pv0
「ま、まさか……どうぞ圭さんとお2人で楽しんでください……」
「じゃ、じゃあ、私たちはこれで……」
 こうなっては僕たち2人は、引き下がるしかなかった。
 見るとガラス窓の向こう側で、まりやが「ふふーん」という笑みを浮かべながら、ピースサインをしていた。くーっ!!

「ううう……まりやお姉さまにあんなひどいことされても、また泣き寝入りするしかないんだ……」
 その日の夜、由佳里は部屋で1人落ち込んでいた。
「まりやお姉さま、学校ではいいお嬢さまで通してるから、いじめられたって言っても誰も信じてくれないし……
私は1人ぼっちなんだ……」
「そんなことないわよ」
 そう言って、由佳里の部屋に人が入ってくる。
「お、お姉さま!? どうして?」
「何があったか知らないけど、由佳里ちゃん、落ち込んでると思って」
「お姉さま……」
「私たちはお仲間よ。私も小さい頃からずっとまりやにいじられてるから、由佳里ちゃんの気持ちは、誰よりもわかってるつもりよ」
「ううっ、お姉さま……」
 由佳里は瑞穂に泣きついてきた。瑞穂は、由佳里ちゃんを優しく抱きしめる。
「まりやに何かされて、辛くなったら私のところへいらっしゃい。愚痴を聞くぐらいのことなら、してあげられるから」
「でも、お姉さまは……」
「私のことなら心配しないで。由佳里ちゃんの愚痴を聞いてると、私のやり場のない憤りを
由佳里ちゃんが間接的に代弁してくれてるみたいで、かえって気が楽になるから」
「は、はい」
「まりやにいじられてる者同士、1人で耐えてるよりも、2人で励ましあっていきましょう」
「ううっ……そんなふうにおっしゃってくださるの、お姉さまだけです……」
「よしよし」
 そう言って、瑞穂は由佳里ちゃんの頭をなでる。

440 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/05(木) 21:08:21 ID:WqZoj7Pv0
 それから1週間後……。
「はい、あーん」
「あーん」
 瑞穂と由佳里は、学院の食堂でハンバーグランチを食べていた。瑞穂の持つフォークから、
ハンバーグの破片が由佳里の口へと運ばれる。
「どう? 由佳里、おいしい?」
「瑞穂さんに食べさせてもらうなら、何でもおいしいですよ」
「ふふっ、由佳里ったら。私も、そんな由佳里を見てればなんでもおいしく感じるわ」
 周りの空気を無視して、2人きりの世界に浸る瑞穂と由佳里。
「……ちょっと、なんとかならないの、あの2人?」
「そうはおっしゃいましても、相思相愛のようですから、認めてあげるべきではありませんか?」
「紫苑さまの言うとおりですわ。聖央の生徒なら、多少の羽目はずしは大目に見てあげるべきでしょう」
 まりやの言葉に、紫苑と貴子はそう返す。
 あれ以来、瑞穂と由佳里は交際を始めていた。
 傷つけられて絶望のどん底にいる心、火照りをもてあましている身体、自分のことをわかってくれるのは相手しかいないという思い、
などなど、愛をはぐくむには十分すぎる培地がそろっている中、2人がこうなるのは必然だった。
 ちなみに、2人が最初に肌を重ねた時、由佳里は瑞穂が男だと気づいた。少し驚いていたが、
とても傷ついていた由佳里にとっては「そうなんだ」くらいのことでしかなく、そのまま会話は進んでいった。
「多少どころじゃないわよ! 限度ってものがあるわよ! 毎日毎日、学院はもちろん、寮に帰っても、
食堂でも部屋でもベッドの上でも、遠慮なくいちゃついてんのよ! ちっとはあてつけられるこっちの身にもなれってーの!」
「はうう……由佳里ちゃん、うらやましいのですよ」
「瑞穂さん……」
 由佳里が心配そうに言う。
「気にしなくてもいいわよ。ちっともいじめられてる人の身にならずに、私たちをおもちゃにし続けてきた人の言うことなんか、ね」
「はあい!」
「くううう……揚げ足をーっ!」
 瑞穂の言葉に、歯ぎしりするまりや。紫苑と貴子は、それを笑いながら見ている。

441 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/05(木) 21:11:55 ID:WqZoj7Pv0
「はい、瑞穂さん、あーん」
「あーん」
 今度は由佳里が、瑞穂に食べさせる。
「どうですか、瑞穂さん?」
「ふふっ、由佳里に食べさせてもらうと、すごく美味しくなるわ」
「もう、瑞穂さんったらあ」
「ねえ、明日はお弁当、作ってくれない? そうしたら、お礼に口うつして食べさせてあ・げ・る♪」
「やあんっ、瑞穂さん、恥ずかしいよおっ」
「聞いてるこっちが恥ずかしいわよ! ったく、いちゃつき過ぎて、10月の時の奏ちゃんみたいになっても知らないよ?」
 まりやがイライラしたように言う。
「心配ないわよ。その程度のことで、私たちの愛は壊れはしないもの」
「ねーっ♪」
 2人の声がハモる。周りの生徒たちは、誰も中に入ってはいけないようだった。
「だーっ!! 誰かなんとかしろーっ!! あのバカップルをーっ!!」
 昼休みの学食に、まりやの叫びがむなしく響き渡った。

Fin

442 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/05(木) 21:19:38 ID:WqZoj7Pv0
以上です。長々とすみません。

「暗黒の薔薇作戦」の意味は、わかる人にはわかると思います。けど、ネタが古いかな?
由佳里ちゃんは、今回も貧乏くじ担当と見せかけて、最後に一番おいしいところをあげちゃうというオチにしてみました。

今回の作品はL鍋さんのを目標に考えてみました。少しは近づけてるといいな……。
久しぶりに読みたい気もします。
それでは、今回はこれにて失礼いたします。

443 :Nの館 ◆NN2yaKataw :2007/07/05(木) 23:59:15 ID:TeBoTiYu0
>>442
東の扉さん、GJです!
瑞穂&由佳里の壊れっぷり……もといバカップルぶり、楽しませていただきました。

さて、昨日の「“うさぎとかめ”なのですよ〜」ですが……
奏うさぎが由佳里亀に勝つシナリオが欲しい、という声を聞いたような気がするので、マルチエンディングとして作ってみました。
レス番号415の途中までは同じで、分岐直前に共通の訂正(ちょっとだけ)を入れ、次のスレから分岐しています。


「そういえば、その道を走っている亀さんを見ませんでしたか?」
「ああ、そうそう、35分ぐらい前に通り過ぎて行きましたわね。手を振ったら「応援ありがとう!」と答えてくれて、とても律儀だと感心していましたのよ」
「えっ……」
奏うさぎは絶句します。なにしろここからゴールまでは約10キロ。いくらドジでのろまな由佳里亀でも、40分あれば走りきっていておかしくありません。
「で、では、奏は道を急ぐので、これで失礼するのですよ〜。ごちそうさまなのですよ〜。またお会いしましょうなのですよ〜」


444 :Nの館 ◆NN2yaKataw :2007/07/06(金) 00:00:31 ID:TeBoTiYu0
「お待ちなさい!」
と紫苑蓑虫はすかさず声をかけた。しかし、
「いま、亀さんと競争しているのですよ〜。でも、亀さんもあと5分ぐらいでゴールしてしまうのですよ〜」
と泣き出しそうな奏うさぎ。
「それでも、何事も過ぎるのはよくないことですわ。急ぎ過ぎないこと。慌て過ぎないこと。ここはひとつ、私にまかせてみませんか?」
ようやく少し落ち着いた奏うさぎは、自力だけでは敗戦濃厚と悟ったのか、ここは紫苑蓑虫に頼ることにした。
「は、はいなのです……」
「それでは」
紫苑蓑虫はひとこと話すと、蓑が少しずつほどかれ、下の方には脚が出てきました。
「え、ええっ?!」
蓑が完全にほどかれると、そこには魔法使いの姿が……。
「ま、魔法使いのおばあさまなのですよ〜」
「魔法使いの……なんですの?(怒)」
魔法使いは杖で奏うさぎの臀部に一撃を加えます。
「魔法使いの……お姉さま」
「はーい、お助けいたしますわ、うさかなちゃん。」
魔法使いになった紫苑蓑虫は、
「ずんどっとっと、ずんどっとっと……」
と踊り出したかと思うと、杖を振り回して、
「えいっ」
と杖を奏うさぎに向けます。するとどうでしょう。奏うさぎは、140ナノメートルまで小さくなって、電子顕微鏡なしでは誰からも見えなくなってしまいました。ついでに、紫苑蓑虫自身も、173メートルの大きさになってしまいました。これでは奏うさぎを踏みつぶしてしまいます。
もう一度杖を振り回して
「あらあら、うふふ」
と呪文を唱えると、紫苑蓑虫は元の大きさに戻り、奏うさぎも140ミリメートルまで回復して、紫苑蓑虫の胸の谷間にぴったりはいりこむ大きさになりました。
「か、奏はいったいどうしてしまったのですか?」
「うさかなちゃん、そのわけはいずれわかりますわ。いまはそこにおさまっていらっしゃい」
「はいなのですよ〜」
奏うさぎが胸の谷間におさまったことを確認すると、紫苑蓑虫は蓑を元に戻します。そして脚を引っ込めると、その穴はエンジンになり、ジェット燃料を噴射すると、ロケットは炎と煙をあげて勢いよく発射! ゴール地点へと一気に飛んでいったのでした。


445 :Nの館 ◆NN2yaKataw :2007/07/06(金) 00:01:31 ID:TeBoTiYu0
 いよいよ、瑞穂天使さまの待つゴール地点。先に瑞穂天使さまの目に飛び込んできたのは、由佳里亀の方でした。
「まあ、由佳里ちゃん、私はずっとここで待っていたのよ。これで私のすべては由佳里ちゃ……」
といいかけたところで、急に目の前が暗くなりました。

   ドーン!

 紫苑蓑虫ロケットが瑞穂天使さまの目の前に着地したのです。そしてすばやくエンジンを止めると脚を出し、蓑をほどき、魔法使いの姿に戻って、
「はいっ」
と杖を振りながら一声唱えました。すると、奏うさぎはもとの大きさに戻り、そのまま瑞穂天使さまの胸にしがみつきます。
「瑞穂さま……」
「奏ちゃん……」
「やっぱり、瑞穂さまは奏の天使さまなのですよ〜」
紫苑蓑虫も、奏ちゃんが目的を果たしてホッとしている様子を見て、
「よかったわね、うさかなちゃん」
と微笑みました。

 一方、ゴールまでわずか5メートルほどに迫っていた由佳里亀は、まさに目の前で展開された紫苑蓑虫ロケットの着地にびっくりして首をすくめるとそのまま倒れ込んでしまい、動けなくなってしまいました。この様子を見て、まりやイノシシは、
「ここまで来て、なぜ亀がうさぎに負けなきゃいけないの? むっきーーーーーーーーっ!」
と地団駄を踏んで悔しがりましたが、さすがに魔力にはかなわないと、由佳里亀を連れてすごすごと帰っていきましたとさ。

おしまい。


446 :Nの館 ◆NN2yaKataw :2007/07/06(金) 00:02:38 ID:TeBoTiYu0
はぁー、やっぱりパロディ系は慣れないと難しいですわね。
顔を洗って出直してきますわ。


447 :名無しさん@初回限定:2007/07/06(金) 00:57:00 ID:ynFqoyQp0
話の起こりとオチが薄く、推敲不足のミスが多い。(特に推敲不足は最近の職人さんに多く感じる)
あと1文が長すぎる箇所はどこかで切って分けると見やすくなるよ。
ネタは悪くないだけに、もったいない気がするね。

苦言ばかりだけど、頑張ってこれからも書いて欲しいな。

448 :名無しさん@初回限定:2007/07/06(金) 02:20:43 ID:11vVv8Di0
>>446
ツンデレラの紫苑様かw魔法使いのおば…お姉様w
更に儀式そして失敗のオチまでwww

クロスオーバー出演ご苦労さん。グッジョブ!

449 :名無しさん@初回限定:2007/07/07(土) 18:54:11 ID:jOLv9AqK0
ブラウザでちゃんと日本語表示できるし、指先操作で違和感ない、
反応速度も問題ない。

ソフトウェアキーボードの使い勝手さえ改善してくれれば、iPhoneは最強。
約$600も高くはないかな?

今はファームウェアのバージョンアップに期待

450 :449:2007/07/07(土) 18:55:45 ID:jOLv9AqK0
誤爆スマ

451 :名無しさん@初回限定:2007/07/08(日) 06:54:16 ID:hJjc/foo0
最近ニコ動見てる所為か、お姉さまが新人プロデューサになり、
貴子さんをトップアイドルに育てて見せるという微弱電波を受信して困る。

452 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/08(日) 13:23:45 ID:6UY+xx5c0
|ω・`) < 誰もいない 投下するなら今の内

このフレーズも久しぶり。
日曜日の昼間からここにいる人はほとんどいないでしょうけど…。

では一本、投下させていただきます。

453 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/08(日) 13:24:26 ID:6UY+xx5c0
『コンビニ狂想曲』

職員室から出てきた瑞穂は、ドアのところで貴子と出くわした。
「あっ、貴子さん。ちょうど良いところで」
「え?何でしょうか、お姉さま」
「今、緋紗子先生にも許可を頂いてきたところですが、貴子さんにも説明しておかなくてはいけませんから」
「?…何やら込み入ったお話のようですね。生徒会室でお話をお聞きしましょう」
そのまま、生徒会室に向かう二人。
そして、貴子に事情を説明する瑞穂。
「本日からお姉さまが短期間ながらアルバイトをするということですか」
「いいえ、アルバイトは校則で禁止されていますから。知人の店のお手伝いということです。給金は一切頂きません」
「しかし、何故この時期に?」
十二月に入り、受験準備も佳境に入ってきている。
「貴子さん、この学院の裏手に小さなコンビニがあるのをご存知ですか?」
駐車場もない小さなコンビニエンスストア。
「…そう云えばありましたわね。いつも校門前の大通りのコンビニを利用してますから、滅多に裏手には行きませんが」
「あそこのコンビニは、私やまりやさんがよく行っているのですよ。経営者のご夫婦と娘さんがやっている小さなコンビニで
私たちは顔なじみなんです。最初、まりやさんに紹介されたんですけど」
「まあ、まりやさんが…」
「ええ。手作り弁当を売っていまして。珍しいでしょ、コンビニで手作り弁当なんて」
「そうですわね」
和食好きの瑞穂は、学食の和食メニュー以外にも、時折、このコンビニの手作り弁当を買ってきて食べていた。
「昨日のことなんですけど、オーナーの娘さんに当分の間、コンビニを閉めると云われまして。事情を聞くと、お父様が交通事故に遭われて、
手術をされたそうなんです。幸い、命には別状ないそうですが、2週間ほど入院されるそうです。お母様はお父様の看護に付きっ切りになるし、
お店は娘さんだけになるんですが、コンビニといえば深夜までやっているのが当たり前。夜間は閉めるとしても、一人で早朝から夜まで
営業することは到底出来そうにない。かといって、新たに従業員を雇うお金も時間的余裕もない、ということだそうです」
「…なるほど。それでお姉さまが一肌脱ごうと云う訳ですね」

454 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/08(日) 13:27:13 ID:6UY+xx5c0
「ふふ。そんな大層なものでもありませんけど、あのご夫婦には色々とお世話になりましたから」
「お優しいのですね。お姉さまは…」
瑞穂がいたずらっぽく笑った。
「それにですね、貴子さん。興味があるんですよ」
「興味?」
「これまでアルバイトなんて、話に聞いただけで実際にしたことはありませんでした。今回のお手伝いはきっと
私にとって良い社会勉強になると思うのです」



その日の夕方。コンビニにて。
「はい、瑞穂ちゃん次は賞味期限切れの食品を引っ込めてね」
「うん」
まりやと二人っきりの店内で、瑞穂は店内整理を行なっている。まりやは何やら、店の奥で書類とにらめっこしている。
「ちょっと、まりやも働いてよ」
「忙しくなったら働くわよ。大体、この店は暇なんだから。一人でも充分よ」
「でも、もう少ししたら補充のトラックがくるよ。今のうちに入れ替えの準備をしておかないと…」
「入れ替えって云ってもたいした量じゃないわよ。もともとが狭い店内なんだし。たいした品揃えでもないしね」
「まりやってば…。こうしてお店を預かってる限り、少しでも売り上げを良くしようとか思わないの?」
「その辺については考えてるわよ。あたしもオーナー夫婦は好きだし、ちょっとでも客筋を良くしてあげたいと思ってるわよ。
だから、お店の手伝いに瑞穂ちゃんを誘ったんじゃない」
「どういうこと?」
「瑞穂ちゃんがこの店で働いていれば、貴子や紫苑さまたちが買い物に来てくれるでしょ。売り上げも上がるじゃない」
「…またそのパターン?だけど、そう上手くいくかな?」
瑞穂たちがお店を任される時間帯は、学校が終わった後。5時から9時までの4時間。
午前中から夕方までは娘さんがお店をやって、夕方に帰っていく。そして、9時になったら再びやって来てお店を閉める。
深夜営業は当分の間、閉店する。

455 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/08(日) 13:35:27 ID:6UY+xx5c0
放課後、しかも裏門の近くにあるコンビニに生徒たちが買い物に来るだろうか?
コンビニのドアが開き、紫苑と圭、美智子が入ってきた。
「ご苦労様です。瑞穂さん。お買い物に参りましたわ」
「あ、どうも有難うございます。皆さん」
紫苑は瑞穂の全身を眺めて、嬉しそうに微笑んだ。
「紫苑さん、どうしたんです?」
「いえ、瑞穂さんのその姿、新鮮な感じに感動してましたの」
瑞穂とまりやは当然ながら、コンビニのユニフォームを着用している。
美智子も紫苑の言葉に頷いた。
「そうですね。私たちは普段、制服姿の瑞穂さんしか知りませんし」
「面白味の無いコンビニのユニフォームも瑞穂っちが着ると色気というか趣きが感じられるから不思議」
賞賛(?)意見に、心中で男なのにとガックリとする瑞穂。
「瑞穂さん、私、このシャープペンシルをいただきますわ」
紫苑が商品を持って、レジにやって来た。あわててレジカウンターに入る瑞穂。
「どうも有難うございます。105円になります。5円のお返しです」
そう云って、紫苑の手のひらにお釣りを返す。するとそれを横で見ていた圭が首を振った。
「違うわね、瑞穂っち」
「えっ?」
すると、まりやも傍にやって来て同じく首を振った。
「そうよ、違うわよ。瑞穂ちゃん」
「な、何が違うの?お釣りは5円であってるわよ」
「お釣りの渡し方よ。そうでしょ、圭?」
「ええ。そう」
瑞穂は紫苑にお釣りを返すとき、片手でお金を持って、紫苑が差し出した手のひらに落とすようにして渡した。
「それがダメ。接客の基本は心を込めること。お客さんに尽くす心。コレが大事」
演劇指導のように厳しい顔で、圭が説明する。

456 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/08(日) 13:39:15 ID:6UY+xx5c0
「そうよ、圭の云う通りよ。相手が手を差し出したら、左手を相手の手の下に持っていって、取りこぼしの無いように備える。
そして右手でお釣りを握って相手の手のひらに置くのよ。そっと、優しくね」
「ええっ、そこまでするの?」
今度は圭が、まりやの言葉に頷いた。
「そうね。それが正解。例え他の店、他の人がしなくても瑞穂っちはそうしたほうがいいわね」
「…何故?」
「そうすればこの店は画期的に変わる」
「はあ?」
意味が判らないという風に首をかしげる瑞穂。紫苑と美智子は面白そうに、やり取りを見ている。
この二人はどうやら、まりやと圭が云わんとしている事が判ったようだ。
「じゃ、早速実践してみましょうか」
その時、ドアが開いて新たな客が入ってきた。
「お姉さま、ご苦労様です」
貴子だった。
「いらっしゃいませ。貴子さん」
「ふふふ、何だか不思議な感じですわね。お姉さまが働いている店に買い物にくるのは」
「あら、貴子。いらっしゃい」
「まりやさん、貴女もお手伝いをしているのですか!?」
「そりゃそうよ。あたしが瑞穂さんを誘ったんだもの」
ちょっと不愉快そうな表情をした貴子は、シャーペンを持ってレジにやって来た。
「お姉さま、これを頂きます」
レジに入った瑞穂のわき腹を、まりやがツンツンと突付いた。
「じゃ、さっき云ったとおりのことを貴子にやってみて」
瑞穂は頷き、左手を伸ばして貴子の差し出した手にそっと添えると、右手にお釣りをもって貴子の手のひらにそっと置いた。
「有難うございます。80円のお返しです」
「・・・・・・・・・」

457 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/08(日) 13:43:12 ID:6UY+xx5c0
真っ赤な顔で硬直して動かない貴子。
「…あの、貴子さん?どうかしましたか?」
「・・・・・・・・・はっ!い、いいえ!何でもありません」
そう云うと何やら貴子は、バタバタと動き出して、店の中をあちらこちら動き回る。
「おおおお姉さま、私、これも買うのを忘れておりました!」
消しゴム・ボールペン・クリップ
「そ、そうですか…」
再び、レジ操作をする瑞穂。
「合計で280円になります」
凄い勢いで貴子が1000円札を出す。
(さっき財布を出したとき、小銭をいっぱい持ってたように見えたんだけど)
首をかしげながら、1000円札を受け取る。
ふと気がつくと横でニヤニヤと笑いながら、まりやが見ていた。
何だか嫌な笑いかただなと思いながら、瑞穂はお釣りを取り出す。
「720円お返しです」
先ほどと同じように左手で貴子の手を優しく包みながら、右手でそっと手のひらにお釣りを置いた。
貴子が顔だけでなく全身を真っ赤にして、ブルブル震えている。
「・・・・・・・・・」
さっきと同じように硬直して動かない貴子。
「…あの、貴子さん?もしも〜し?」
「・・・・・・・・・はっ!あああ、私ったらまた、買うのを忘れてたものが!」
そう云って、またもやバタバタと動き出す貴子。
「ちょ、ちょっとちょっと待って!ストップ!貴子さん!!」
「はい?」
貴子がピタッと動きを止める。
「何だかおかしいですよ。こういう文房具は学校の購買部でも買えるじゃないですか。どうしたんですか、一体…」
「そうですわね、貴子さん。早くどいていただかないと次の人に迷惑ですわよ」
そう云いながら、紫苑がチロルチョコを持って後ろに並んでいた。

458 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/08(日) 13:47:28 ID:6UY+xx5c0
「し、紫苑さん。紫苑さんもさっき、シャーペンを買ってたじゃないですか」
「コレを買い忘れていたもので」
そう云って差し出すチロルチョコ一個。
「・・・・・・・・・」
ピッ!
レジを打つ瑞穂。
「10円になります」
「ではこれで」
1万円札を取り出す紫苑。
「うわっ!紫苑さん」
「はい、何ですか」
「10円玉持ってないんですか?」
「私、10円玉集めが趣味ですので、使うわけには参りません。お手数ですが、1万円札からお願いいたします」
「…そんな趣味、初めて聞きましたよ」
瑞穂は1万円札を受け取ると、まりやに声をかけた。
「1万円入りまーす」
「はーい」
笑いながら、返事をするまりや。
「先ず大きいほうからお返しします」
そう云って9000円を、先ほど貴子にしたように紫苑の手に返す。
ニンマリと微笑む紫苑。
続いて、細かいおつり990円を紫苑の手に置いたとき、紫苑がいきなりガバッと瑞穂の手をお金ごと握り締めた。
「ちょ、ちょっと紫苑さん!」
瑞穂が慌てて手を引っ込めようとするが、紫苑はしっかりと握り締めて離さない。
「なるほど。これは『良いもの』ですね。貴子さんならずとも、もう一度商品を買ってしまいたくなるのも分りますわ」
当の貴子は、唖然とした表情で紫苑の行動を横から見ていた。

459 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/08(日) 13:51:16 ID:6UY+xx5c0
「ふっふっふ、お客様、気に入ってもらえて何よりですが踊り子に手を触れてもらっちゃ困りますぜ」
まりやが笑いながら云う。
「良いものってなに?踊り子ってなに?」
憮然とした表情の瑞穂。
「ふふふ、すねた表情の瑞穂さんも可愛らしいですわね。まあ、そう云う訳ですから」
そう云いながら、ようやく瑞穂の手を離す紫苑。
紫苑にそう云う訳と云われても、意味が良く分らない瑞穂はなんとも返事のしようが無い。
「まあ、それはまりやさんにお任せになってれば良いと思いますよ。ねえ、まりやさん」
「ええ、そうですわ。瑞穂ちゃんは接客を一生懸命にやってくれればいいから」
圭も美智子もウンウンと頷いている。瑞穂以外、全員分っているようだ。
「おお姉さま、私もコレを頂きます」
貴子が赤い顔してチロルチョコと一万円札を握り締めている。
「・・・・・・ま、いいけど」
まりやがげんなりした表情で云った。
この後、まりやは『お客様のお買い物は出来るだけ一回にまとめてお願いします』という張り紙を書いてレジ前に貼り付けた。



「さあ、今日も頑張りましょ」
「張り切ってるわね、まりや」
「そりゃそうよ、売るのは瑞穂ちゃんだもん」
「まりやもレジ打ちしてよ」
「ダメダメ。アタシが手伝ったら、商品価値が落ちるから」
「…云ってる意味がわかんないよ」
昨夜は紫苑たちが帰って云った後、数人の恵泉生徒たちがやって来た。
皆、瑞穂がこの店で働いていることに驚き、大量の買い物をして帰った。
初日からまずまずの滑り出し。

460 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/08(日) 13:56:05 ID:6UY+xx5c0
「店長さん、吃驚してたね」
「まだまだこんなものじゃないわよ」
初日から早速、まりやは店の仕入れについて口を挟み、店長を驚かせていた。
「そもそも、この店にコンビニ弁当は必要ないのよね。買う客なんてほとんどいないんだし」
「でも、お弁当を置いていないコンビニなんて聞いたこと無いよ」
結局、弁当の仕入れをやめるというまりやの意見は却下された。
6時近くになり部活なども終わり始める頃、コンビニは昨日以上ににぎわい始めた。
もちろん客層は全て恵泉の生徒たち。
「口コミで広がり始めたのね。瑞穂ちゃんがここで働いていること」
瑞穂はレジで大忙し。話しかけてくる生徒たちの相手をしながら、レジ打ち。
しかもほとんどの娘たちがお釣りがでるように、お札で支払ってくる。
ちなみに売れている商品は文房具とお菓子類が多い。
まりやはたまに、レジ横で袋いれを手伝うが、ほとんど店内の棚整理や商品補充ばかりしている。
そこに圭と美智子がやって来た。
「大繁盛ですね」
「圭、美智子さんいらっしゃい」
「私、このお店がこんなに賑わっているのを見たことがありませんわ」
レジでフル回転している瑞穂を眺めながら美智子が微笑みながら云う。
「これも美智子さんのおかげよ」
まりやは美智子の受付嬢ネットワークでコンビニの宣伝をしてもらっていた。
「ちょうど良かったわ。圭に色々と意見を聞きたかったの」
そう云って、二人を惣菜、お弁当コーナーに連れてきて、棚を指差した。
「どう思う?」
「売れ残ってるわね」
「このコンビニは9時以降は閉まるんですよね。お昼以降にお弁当を仕入れる必要は無いんじゃないですか?」
美智子の意見にまりやが頷く。
「昨日、店長さんにもそう云ったんだけど…」

461 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/08(日) 14:00:12 ID:6UY+xx5c0
「店長さん?」
「オーナーの娘さんが店長さんなの。弁当の仕入れを止めて代わりに何か置こうと思っても売れるものが無いし」
この店で一番売れているのが文房具なのだから仕方が無い。
う〜んと考え込むまりやと圭。
「でしたら売れる食べ物類を作らないといけませんね」
「美智子さん、簡単に云ってくれますがどうやって?」
美智子がレジを指差した。
「瑞穂さんに頑張ってもらいましょう」
一瞬、呆気に取られた表情のまりやだったが、直ぐに
「え、あ…ああ、そうね。なるほど」
美智子の云ってる意味を理解して頷いた。
「こういうのは本来、まりやさんの方が得意ではありませんか」
「まあ、そうなんだけどね」
にゃははは〜と笑うまりや。
「じゃ早速何か考えなきゃ…と、もうこんな時間か」
時刻は7時前。店内の生徒の数がかなり空き始めた。普通の街中のコンビニならば、この時間帯は結構込み合っている時間だろうが、
学院裏の大通りから外れたこの店は、この時間から客はどんどんと少なくなる一方。
よくこんな店が今まで経営できてたものだとまりやが感心するくらいである。
「そろそろ貴子が来るわね。じゃ、張り紙を出しておかないと…」
レジに戻ってきたまりやは、カウンター下からなにやらごそごそと、紙を取り出すとそれをレジ前にペタリと貼り付けた。
「お姉さま、ご苦労様です」
貴子がやって来た。
「貴子さん、いらっしゃい。今日も生徒会のお仕事ですか?」
「はい。と云っても引継ぎなんですけどね」
「貴子、毎日来てくれるのは結構なんだけど買い物していってくれるんでしょうね?文房具以外」
「当然でしょう。私は買い物に来ているんですから」
「嘘ばっかり。瑞穂ちゃんの色香に迷ってきているくせに」
「ちょ、ちょっと!」

462 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/08(日) 14:04:15 ID:6UY+xx5c0
まりやのお嬢様らしからぬ言葉に、焦る瑞穂。
しかし貴子はたいして気にした風も無い。
「いいんですのよ。お姉さま。まりやさんの地の悪さは昔っからですから」
貴子はお菓子コーナーに行くと、なにやら掴んでレジに戻ってきた。
「要は買い物をすれば宜しいんでしょう?」
「貴子、貴子。コレ」
まりやがレジ前の張り紙を指差した。

<恐れ入りますが一万円札にてチロル購入はお断りします>

「・・・・・・・・・」
「最近さあ、やたらつり銭が出るのよね。困るっちゅーの。いくらつり銭を用意しても足りゃしない」
「………」
「やっぱり人に迷惑をかける行為をしてはいけないわよね。ね〜貴子さん?」
「………」
「…なに固まってんのよ。まさか一万円札しか持ってこなかったんじゃないわよね」
「・・・・・・・・・ええ」
「・・・・・・・・・この、ど馬鹿!!」
「ででででも…ほら、チロル2個買えば…」
「同じだっつーの!」
まりやと貴子がやいのやいの云い争い始め、瑞穂がそれを疲れた目で見ている所に今度は紫苑が現れた。
「ご苦労様、瑞穂さん。賑やかですけど、どうなさったんですか?」
まりや達に目を向けながら、尋ねる紫苑に瑞穂は張り紙を指差した。
「あら、まあ…」
そう云うと紫苑は、店内をキョロキョロと見回して店奥においてあるコピー機のところに向かった。
「瑞穂さん。このコピー機を使いたいのですが…」
「そこの投入口にお金を入れてください。そうすれば使えます」

463 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/08(日) 14:08:13 ID:6UY+xx5c0
紫苑はレジにやってくると財布を取り出した。
「すいませんが小銭を持っていませんので両替していただけますか?」
「え、ええ。いいですよ」
「では…」
チャッ!
「コレを両替してください」
財布から取り出したのは一万円札。
「って…ええ!紫苑さん!小銭が全くないんですか!?」
「はい。残念ながら10円玉が本日は全くありませんの」
「ででも、あのコピー機は50円玉や100円玉でも使えますよ?」
「残念ですが、私、今朝のガムテープ占いで今日は50円玉と100円玉は使ってはいけないと出ていましたの。ほんとに残念ですが」
「・・・そんな占いはじめて聞きましたよ」
ぶつぶつ云いながらも、仕方ないと紫苑から一万円札を受け取る。
「一万円入りまーす」
「はーい」
まりやと貴子もいつの間にか、口論を止めて紫苑と瑞穂のほうを見ていた。
「ではまず9000円と…」
先にお札を渡して、続いて10円玉10枚を混ぜた小銭を渡す。
左手を紫苑の手の下に添えて、右手で小銭を手の平に置くように…
紫苑がいきなりガバッと瑞穂の手をお金ごと握り締めた。
「わ!ま、また!紫苑さ〜ん!」
瑞穂が手を引っ込めようとするが、紫苑はしっかりと握り締めて離さない。
「はあ〜、こうすると心が和みますわ〜」
紫苑は掴んだ手を嬉しそうに撫で回している。
「ちょっと、紫苑さま、紫苑さま!『タダ喰い』はいけませんよ!」
慌ててまりやが割って入った。

464 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/08(日) 14:12:14 ID:6UY+xx5c0
満喫した紫苑はようやく瑞穂の手を離すと、10円玉を持ってコピー機のところへ行った。
そして、台に何も乗せずに1枚だけ空コピーをして出てきた紙を丁寧に折りたたむとカバンに入れた。
「それでは私はこれで失礼させていただきます。瑞穂さん、皆様、また明日」
にこやかに挨拶して店を出て行く紫苑。
瑞穂もまりやも貴子も、店にいる全員があんぐりとして紫苑の後姿を見送っていた。
「………す、凄いわね。紫苑さま。ここへ来る目的が見事にはっきりしてるわね〜」
しばらくしてから、ようやくまりやが声を出した。
「目的って一体…」
疲れた様子でがっくり肩を落とす瑞穂。
「まあ、紫苑さまは特別ね。あの人を止めるのはちょっと難しそうね。…さてと」
まりやはレジ前に視線を戻した。
「昨日に続いて二番煎じがここに1匹」
そこに一万円札を握り締めた貴子が立っていた。
「あ、あの、お姉さま。こ、コピー機を使いたいのでり両替をお願いしたいのですが…」
恥ずかしげに差し出す一万円。
「はいよ〜」
まりやは素早くレジカウンター内に入ると、貴子の手から一万円を引ったくりガシャガシャと荒い手つきで10円玉50枚の束を混ぜて
小銭山盛りで両替したお金を貴子の前にドンと置いた。
「気が済むまでコピー機使ってちょうだいな」
「・・・・・・・・・」
無言で体をわなわなと震わせる貴子。
その様子を見て、財布から一万円札を出そうとしていた他の客たちも慌ててお金を引っ込めた。



「さあ、今日も張り切っていきましょ」
元気な掛け声をかけるまりやの横で、ぐてっと瑞穂が萎れている。

465 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/08(日) 14:16:54 ID:6UY+xx5c0
「もう既に疲れたよ、まりや」
昨日の閉店後からつい先ほどまでにかけて、瑞穂はずっとオニギリを作り続けていた。
まりやのアイディアで売り出すことになった『お姉さまのオニギリ』。
塩味のオニギリに中身は鮭、たらこ、梅のいずれかが入っている。それをサランラップで包装しただけ。
「へばるのはまだ早いわよ、瑞穂ちゃん。これからが勝負なんだから!」
昨夜、まりやは店長に掛け合って弁当の仕入れを5割減らしていた。
最初、乗り気ではなかった店長もまりやの熱弁に感化され一か八かの賭けに出たのだった。
「全くもう…店長さんまで巻き込んじゃって。これで失敗だったらどうするの?」
「だから意地でも成功させて見せるわよ」
「・・・どの口からそんな言葉が出てくるのかな!?この価格設定で!」
このオニギリ、一個500円、実に粗利益率95パーセントの極悪価格である。
「売れる!あたしを信じなさいって!美智子さんにも宣伝を頼んでるんだから!」
そうこうしている内に学校帰りの生徒たちが、こちらに向かってくるのが見えた。
「さあ始めるわよ。瑞穂ちゃん、レジカウンターに入って!外回りは全てあたしがするから」
まりやは小さな立て札を取り上げると、カウンターの上にカンッ!と音を立てて置いた。
<『お姉さまのオニギリ』始めました>
「戦闘開始よ」

二時間後…
カンッ!!
まりやは立て札を裏返して音高くカウンターの上に置いた。
<完売御礼!有難うございました>
グッタリと伸びている瑞穂の横でハイテンションで高笑いしているまりや。
「カーカッカッカ!おーもうけ!大儲けッ!!」
「…あのさ、まりや」
「そーかい!気分爽快ッ!!」
この二時間、押しかけてきた生徒たちが押し合いへし合いでオニギリを奪い合った。

466 :名無しさん@初回限定:2007/07/08(日) 14:20:46 ID:OyssGjrzO
支援

467 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/08(日) 14:21:11 ID:6UY+xx5c0
ひとりで二つも三つも買う生徒も多数いた。そしてオニギリと一緒に飲み物も大量に売れた。
まりやたちが働き始めて、初めて文房具以外の大商いだった。
しかも、粗利益の塊のような商品で!
「まりやってば!」
「ん?なに?」
「レジ打ちをちょっとは手伝ってくれても良かったじゃない。私ひとりでもう、フラフラ…」
「ダメよ。『お姉さまのオニギリ』はお姉さまが作ってお姉さまが手渡しで売ってくれるからこの価格で完売できるのよ。
そうじゃなきゃ誰が買うもんですか、こんなちんけな塩オニギリを」
その言葉にガックリと膝をつく瑞穂。
「なんだか泣けてきちゃった。まりやってば何でこんなに商魂旺盛なんだろ。お金に不自由してるわけじゃないのに…」
「瑞穂ちゃん。何だかあたしのことを勘違いしてるわね。確かにあたしの家は財閥ではないけれど、貧しい訳じゃない。
どちらかと云えば裕福な部類よ。あたしはね、お金が欲しいのではなくて、お金儲けをするその過程が楽しいのよ。
あたしの『策』が『当たった』ときの爽快感がたまらない訳よ。実際、この店でいくら売り上げを上げようとも、あたしたちは
バイト代すら貰ってないんだしね」
「ぶらぼ〜」
ぱちぱちと手を叩く圭と美智子。
「その心意気、見事なり」
「あら、あんたたち、また来てたの?」
「はい。圭さんがとってもお気に入りなんですよ。ね、圭さん?」
美智子の言葉に圭が頷く。
「貴女たちがこの店で働き始めてから、あたしは毎日が楽しみで仕方が無いわ。この店の商品であたしが欲しいものは
何一つ無いけど、ここで繰り広げられる喜劇を見るためにならお金を支払っても良いわ」
「…圭、あんた何気にひどいことを云うわね」
「でもさすがは、まりやさん。瑞穂さんがらみでこれほどの商売をさせられるとはお見事ですね」
美智子の賞賛にちょっと照れるまりや。
「でも、そのまりやさんの上前を撥ねる人はもっと凄いんでしょうけど」
「………ん、そうか、紫苑さまか…あの人は特別。でも二番煎じは許さないわよ」
まりやは時計を見ると、もうそろそろかと云いながら張り紙を取り出してきて、カウンターの前に貼り付けた。

468 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/08(日) 14:22:01 ID:6UY+xx5c0
「お姉さま、ご苦労様です」
いつもの台詞と共に貴子が現れた。
「また来たわね、貴子」
「あら、コンビニエンスストアに客が来て何がおかしいんですか?」
そこへ君枝、葉子、可奈子の生徒会三人組が現れた。
「会長〜」
「ああなたたち…何しにここへ…」
焦る貴子。
「コンビニに買い物に来て何か変ですか〜」
可奈子のからかう様な口調に言葉を詰まらせる。
「会長、最近ずっとそわそわしてる様子でしたが、いつもここに寄ってたんですね」
葉子が生真面目な顔で云う。その言葉に君枝もウンウンと頷いた。
そしてレジカウンターの上の立て札に気がついた。
「あら、今日、『お姉さまのオニギリ』と云うのを売ってたんですか。これはお姉さまのお手製ですか?」
「ええ、そうよ」
まりやが返事をした。
「そう云えば、貴子も絶対に買いに来ると思ってたけど来なかったわね」
「会長、今日もずっとそわそわしてましたね」
「はは〜ん、来たくても来られなかったということか」
「かいちょ〜」
可奈子がニヤニヤと笑いながら貴子の顔を見た。
「そうならそうと云って頂ければ良かったのに〜。生徒会の仕事は代わりましたのに〜」
「な、何ですか!貴女たち。お、憶測でからかうもんじゃありません」
顔を真っ赤にして反論する貴子。
「べべべ別に私はお姉さまの仕事姿を見たいとか、お話したいとか、お手をさわりたいとかそういう訳ではありませんよ」
「・・・・・・・・・誰もそこまで云っていません」
葉子が生真面目な顔で云う。

469 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/08(日) 14:27:15 ID:6UY+xx5c0
「貴子、貴子、コレ」
まりやが手招きして、カウンター前の張り紙を指差した。

<恵泉生徒会長・元エルダーは両替、チロルで万札お断り>

「・・・・・・・・・」
ざわざわざわ…
硬直する貴子とざわつく生徒会三人組。
「会長、一体これは?」
不安げな顔で尋ねる君枝。
「名指しで批判されるとはただ事ではありませんね」
生真面目な顔でつぶやく葉子。
「会長〜ってばあ、大暴れしたんですね〜」
なにやら楽しそうに云う可奈子。
「ままま、まりやさん!!」
「なによ」
ぎゃあぎゃあと言い争いが、例によって始まる中、またいつものように紫苑が現れた。
「ご苦労様、瑞穂さん」
「いらっしゃい、紫苑さん」
「賑やかですがどうしましたか?」
瑞穂は黙って、張り紙を指差す。
「あら…」
紫苑は張り紙を見て頷くと、辺りを見回し店内の売り場からハンドクリームを持ってきた。
「瑞穂さん。今日はこれを頂きますわ」
ハンドクリームは250円。ついにまともな商品を買った紫苑。相変わらず出すのは一万円札だが。
まりやも貴子も言い争いを止めて、紫苑をじっと見ている。

470 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/08(日) 14:31:17 ID:6UY+xx5c0
お釣りを貰った紫苑は、瑞穂の手を見て、
「瑞穂さん、手が赤くなってますわよ」
「ああ、昨日からまりやに酷使されてたので。オニギリを作り続けてたんですよ」
「あら、これから毎日?」
「ええ。当分そうなると思います」
紫苑はハンドクリームを開封すると、瑞穂の手を取り、クリームを塗り始めた。
ぬりぬりぬり…
「あ、有難うございます。紫苑さん。でもそんなことして貰わなくても」
ぬりぬりぬり…
「いいえ、綺麗な瑞穂さんの手が痛んでいるのを見るのは忍びないですから」
ぬりぬりぬり…
「友人として当然のことですわ」
ぬりぬりぬり…
塗り続ける紫苑。
「あの、もう結構ですから…紫苑さん」
ぬりぬりぬり…
「………」
「…紫苑さん?」
ぬりぬりぬり…
手のひら、甲だけでなく手首まで塗りまくり、あまつさえその手を自分の頬に当てて幸せそうに頬擦りをしている。
「紫苑さん、紫苑さん、紫苑さんってば!」
「…はあ〜、堪能しましたわ」
ようやく瑞穂から手を離した紫苑。
「これで今夜もゆっくりと安眠できそうですわ」
「安眠って…」
「明日も友人としてクリームを塗りに来ますわね。瑞穂さんの手が心配ですから。いいえ、礼には及びません。だって友達ですから。
では、帰ります。ふふふ、友達友達…」
店中の人たちがポカンとして見守る中、紫苑は楽しそうに店から出て行った。

471 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/08(日) 14:35:17 ID:6UY+xx5c0
「…し、紫苑さま。今日買ったクリームで当分『タダ喰い』を続けるつもりね」
紫苑が客ではなく、友人としてクリームを塗りに来るのであれば、まりやも張り紙で断ることは出来ない。
「相変わらず凄いですわね、紫苑さまは」
美智子が感心したように云う。
レジ前を見ると、貴子がいつの間にやらリップクリームを持って立っていた。
「こここ、これを頂きます。お姉さま」
リップクリーム300円。一万円札で買い物をする。
その様子を冷ややかに半目で見守るまりや。
「あああの、お姉さま。クク、クチビルが荒れていましてよ。ここコレを」
買ったばかりのリップクリームを、真っ赤な顔で開封する貴子。これから起こることに期待して、かなり動揺しているようである。
「あら、悪いわね。貴子」
貴子が差し出したリップクリームを、まりやが素早く奪い取り、スティックを限界まで思いっきり引き出す。
そして根元から一口で、ガリッとかじり取ってしまった。
「不味いッ!!」
プッとスティックを吐き出すと、空になった容器を貴子に投げ返した。
「ゴメンね〜貴子。使い切っちゃったわ」
「・・・・・・・・・」
わなわなと震えている貴子。
そんな二人の様子を見つめている生徒会3人組。
「なるほど。張り紙の意味が判りました」
「会長〜ってば。毎日、こんなことをしていたんですね〜」
「………会長」
まりやと貴子の様子を見て、ハンドクリームを買おうとしていた店内の数人の生徒たちは慌てて買うのを止めてしまった。



「さあ、今日も張り切っていくわよ!」
ハイテンションなまりやの横で、死んでいる瑞穂。

472 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/08(日) 14:39:12 ID:6UY+xx5c0
1日がかりで400個のオニギリを作っていた。死に物狂いで作ったものだから、形もいびつで大きさも微妙に違う。
昨夜の売り上げは、この店の過去3ヶ月間で最高の売り上げだった。
「ほら、見てよ。瑞穂ちゃん」
レジの売り上げシートを取り出すまりや。
「昨夜の4時間の利益は過去最高だったわよ」
店長もこの数字を見て驚き、まりやを店長代理にして、仕入れはまりやの好きにしていいと了承してしまった。
早速、本日からデザートやお菓子類の種類を増やし、弁当の仕入れを1割に激減させてしまった。
「フランチャイズ本部からうるさく云ってきてるけど、気にしない、気にしない」
「………」
「瑞穂ちゃん、シャキッとして!ほら、お客さんが来たわよ。戦闘開始!」
カンッ!
まりやは立て札を音を立ててカウンターの上に置いた。


〜えぴろーぐ〜
2週間が経過し、コンビニのオーナー夫婦も無事退院してお店に復帰した。
当初、すっかり様変わりした店内に驚いていたが以前とは比較にならないお店の活況に感謝の言葉を口にした。
瑞穂とまりやは晴れてお役御免となったが、瑞穂が不安を口にする。
「ねえ、このあとお店の売り上げがまた、落ちるんじゃないのかな」
お店の心配をする瑞穂の優しさに、笑顔でこたえるまりや。
「ん〜そりゃ落ちるでしょうね。でもね心配しなくてもいいわよ。これまでの売り上げが異常だったんだから多少落ちても大丈夫」
「多少じゃないんじゃない?」
「瑞穂ちゃんってば心配性ね。あたしは伊達に2週間、恵泉生徒にオニギリを売り続けてきたんじゃないわよ。育ち盛り、食べ盛りの
乙女の胃袋に2週間毎日、放課後に食べ物が入ってたのよ。もう、体と胃袋が覚えちゃって習慣づいちゃってるわよ。それに皆の
溜まり場にもなり始めたし、デザートの種類も物凄く増えたし、放課後になれば自然と足が裏門に向かうわよ」
「………そうか」
「そうよ」

473 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/08(日) 14:43:11 ID:6UY+xx5c0
二人が学院に登校すると、圭が挨拶してきた。
「瑞穂さん、どうもありがとう」
「何のお礼ですか?圭さん」
「瑞穂さんのおかげで台本が一本書けたわ。『コンビニ狂想曲』というタイトル。良い滑稽劇に仕上がったわ。ほとんど見たままを
書いただけで、ほとんど脚色する必要も無かったし」
「えええっ!!」
「来年のコンクールはこれでOK」
「ちょ、ちょっと止めてくださいよ、圭さん」
慌ててとめる瑞穂。
「まりや、まりやも云ってちょうだい!」
「そうね。ちょっと圭、著作権料は払ってもらえるんでしょうね?」
「違うでしょ!!」

Fin


474 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/08(日) 14:46:42 ID:6UY+xx5c0
お粗末さまでした。

支援入れてくださったかた、有難うございます。
ちょっと長めのを投下するときは助かります。

最近はあまり書いてないのですが、また書き溜まったら投下させていただきます。


475 :名無しさん@初回限定:2007/07/08(日) 15:55:41 ID:TPwWc3GS0
>>474
L鍋さんGJ、いやギガGJです
盛大に笑わさせてもらいました

476 :名無しさん@初回限定:2007/07/08(日) 16:31:22 ID:qwzhlpOgO
GJ!
L鍋さんの紫苑さまは黒くて大好きですww
乙でした!

477 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/08(日) 19:44:47 ID:/IN4fMn40
GJです!
L鍋さんの作品、久しぶりに読めて嬉しい限りです!
私のお題を覚えてくださっているかどうかはわかりませんが、それでもそれでなくてもいいので、
またぜひご拝読したいです!
これからもお互いに頑張りましょう! よろしくお願いします!

478 :sage:2007/07/09(月) 01:27:47 ID:TsBq6pqUO
>>474GJ
>>477ガンバレ

479 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/09(月) 19:14:37 ID:6SHZDdX30
東の扉です。
kamakiriさん、以前受信して忘れていた電波を思い出しましたので、お題にどうかと思いましたので、書かせていただきます。

「眠れる森の美女」
いつものメンバーの妖精たちから祝福を受けたタカコーロラ姫。
しかし、魔女マリヤフィセントの呪いにより、年頃になると永遠の眠りについてしまった。
彼女を見初めたミズホ・フィリップ王子は、彼女を目覚めさせるため、女神シーオンの加護を受け、
聖央の盾とエルダーの剣を身につけ、極悪怪獣ムッキーと化したマリヤフィセントに挑んでいく……。

あと、昨日、こんな電波も受信しました。
赤子が遺棄される事件が後を絶たない現実を憂う瑞穂くんは、自分にできることはないかと紫苑さんに相談する。
瑞穂くんは2人で赤ちゃんの育て方を聖央の生徒たちに教えようと紫苑さんから提案され、それに賛同した。
紫苑さんは、瑞穂くんを「教材」として、生徒たちに赤ちゃんの育て方を教えていく……。

興味のある方は作品化にチャレンジしてみてください。どなたでも大歓迎です。
それでは、私は新しい作品の作成に入ろうと思いますので、これにて。

480 :名無しさん@初回限定:2007/07/09(月) 20:02:48 ID:sIVrWbZZ0
極悪怪獣ムッキーwwwwww
サルの怪獣か?wwwwww

481 :名無しさん@初回限定:2007/07/09(月) 20:30:08 ID:grkJjhap0
パーマン2号を思い出した・・・

482 :kamakiri ◆0XucCTxAGU :2007/07/09(月) 21:54:30 ID:TgxvGjO80
>>479
お題はありがたいんだけど、今日親父が末期ガンで余命6ヶ月といわれたので凹んでます・・・
もうちょっと落ち着くまで書く気力が・・・はふぅ

みなさんの作品は楽しく読ませて頂いています。
これからも投稿お願いします。m(_ _)m

483 :kamakiri ◆0XucCTxAGU :2007/07/09(月) 21:55:48 ID:TgxvGjO80
東の扉さん、お題くれたのにごめんねー

なんかいま思考が支離滅裂だ。orz

484 :名無しさん@初回限定:2007/07/09(月) 22:30:59 ID:zHm3dQgP0
>479
後のネタで紫苑様の後ろに某アニメの京都弁のお姉さんが見え隠れするのは気のせいか・・・

485 :いばら姫:2007/07/10(火) 00:40:37 ID:ELcWw0GA0
ある日、子に恵まれなかった国王夫妻の元に、一人の女の子が生まれ、ミズホという名前がつけられた。
その誕生を祝うために、十三人の魔法使いのうち、十二人が呼ばれた。
最初の十一人は、姫となる女の子・ミズホに、思い思いの祝福を捧げた。
「私からは、優しさの祝福を捧げます」
「私からは、呑気いう名の祝福を授けたいと思います」
「ボクからは、元気の魔法をかけてあげます! あと、中華料理が上手になる魔法もです」
「私は、姫に勇気をあげちゃう! パソコンでコラージュを作る才能もね。ククク」
などなど、王女としてふさわしくあるための魔法が、王女に捧げられた。
そして、十一人目の祝福が終わったそのとき。
呼ばれていないはずの魔法使い――希代の美しさを持つ黒髪の魔女が纏った、世がふるえるほどのまがまがしい雰囲気に、城内は緊張感に包まれた。
「あなたは、邪悪の魔女・シオン……」
「せっかくの宴の席だ、私からも魔法を掛けよう。 ……王女は、十六歳の誕生日に、糸紡ぎの針で死ぬだろう!」
まがまがしい呪いの言葉に、国王夫妻はおびえ、嘆く。
そして、十三人目の魔法使いが名乗りを上げる。
「王様、王妃様、ご安心下さい」
白菊の魔女・カナ。
彼女の自信に、魔法使いの一人が確認の言葉を投げる。
「いくらカナと言っても、シオンの呪いを消し去ることは出来ないわ」
「いいえ、条件を外してしまえばいいのです……シオンさま、ずっと私のターンなのですよ!」
そういうと、カナはミズホに魔法を掛ける。
「……ミズホ王女は、十五歳の誕生日に王子となり、二度と王女となることはないだろう!」
最後の祝福に、全ての者が目を見張った。


486 :いばら姫:2007/07/10(火) 00:41:50 ID:ELcWw0GA0
そして、ミズホ十六歳の誕生日。
カナの魔法が効いたのか効かなかったのか、ミズホは世にも美しい姫として育っていた。
城で宴が催されるそのとき、ミズホは隠された階段を発見する。
「お姉さん、こんなところで何をなさっているのです?」
「糸を紡いでいるのです。姫もぜひ、いかがですか?」
「ええ、よろしければ」
こうして、シオンと一緒に糸を紡ぎ始めるミズホ。
そのとき、紡錘がミズホの胸に刺さった。
「ククク……」
目を見開くミズホと、不気味な笑いをするシオン。

「……ふー、びっくりしました」
ミズホは、胸に深く刺さったはずの紡錘を何気なく引き抜くと、それを糸車に戻す。
「な……なぜ、生きている?」
魔女の質問に、姫は紡錘の刺さった胸をまさぐり、丸いものを取り出しました。
それは、胸パッド。
「ええ、両親から伝え聞いておりました。十六の誕生日に、美しい魔女が私を求めてやってくると」
いや、誰もそんな説明はしていない。
「十一の呪いのせいで、男として生きるには少々やりづらくなってしまいましたからね」
そういうと、ミズホは邪悪の魔女にこう告げた。
「私は、十一の呪いから私を解放してくれるあなたを、ずっと待っていました。結婚していただけますか?」
そして、邪悪の魔女は邪悪と魔法を捨て、王妃・シオンとなった。



「……という話を考えてみたのだけれど、瑞穂さんはどう思います?」
「紫苑さん……都合良すぎです」


487 :485-486:2007/07/10(火) 00:45:45 ID:ELcWw0GA0
以上、某女装作品と >>479 にインスパイアされて一作作らせていただきました。
>>479 さん、ネタをいただきありがとうございます。

488 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/10(火) 14:24:51 ID:Hm2EbYRa0
東の扉です。
いばら姫さん、作品化ありがとうございます。

kamakiriさん、頭の片隅にでもとどめておいてくだされば、いつでもいいですよ。
当分は無理かもしれませんが、元気を出してくださいね。
お父さんには、一日でも長く生きていられることと、奇跡が起こることを祈っています。

>>484
多分気のせいでしょう。ネタの出所はアニメではありませんから。

489 :名無しさん@初回限定:2007/07/12(木) 20:52:52 ID:M2DFxEjG0
唐突ですまんが、モトGPの雑誌記事を見ててふと「レースクイーンの衣装を着て
写真を撮られる紫苑様とまりやと瑞穂」という怪電波を受信したww

ネタにもならんか…。

490 :名無しさん@初回限定:2007/07/12(木) 21:24:45 ID:Na4QXKNT0
>>489
作品にする文才は漏れには無いが、明らかに紫苑さまとまりやに
嵌められてトホホ顔で真ん中に写っている瑞穂ちゃんの映像が
ハッキリと浮かんできた

491 :名無しさん@初回限定:2007/07/12(木) 22:48:12 ID:eESaKQjr0
レースクィーンというと、

大学の自動車部の応援
鏑木の関連企業の応援

この位?

492 :名無しさん@初回限定:2007/07/13(金) 00:18:00 ID:RfJ5rbWD0
>>490
紫苑さまとまりやに乗せられて、ノリノリで真ん中に写っている写真を見てorzな
瑞穂ちゃんの映像がハッキリと浮かんできた


493 :名無しさん@初回限定:2007/07/13(金) 19:41:14 ID:OMXKsWq50
>>412
「うさぎとかめ」かあ。
寝ているうさぎを起こさないかめの卑怯モ…あれ?
フェアプレイだ、ゆかりん♪

>>432
なにげにハーレムな展開ですが
>その日、僕は奏ちゃんと一緒に寝た。僕にとっても、心が安らいでよかった。
安らいじゃうんだw
…いや、ここは深読みで?

>>453
>「これまでアルバイトなんて、話に聞いただけで実際にしたことはありませんでした。今回のお手伝いはきっと
>私にとって良い社会勉強になると思うのです」
そーいえば瑞穂ちゃんってば「いいとこのお嬢さん」でしたね(違ッ)
>>467
>あたしはね、お金が欲しいのではなくて、お金儲けをするその過程が楽しいのよ。
>あたしの『策』が『当たった』ときの爽快感がたまらない訳よ。
お嬢さまだ。財界のお嬢さまだー!
>実際、この店でいくら売り上げを上げようとも、あたしたちは
>バイト代すら貰ってないんだしね
>>473
>「そうね。ちょっと圭、著作権料は払ってもらえるんでしょうね?」
"ゴールドラッシュの「超」ビジネスモデル"ですか?

494 :名無しさん@初回限定:2007/07/13(金) 19:43:30 ID:OMXKsWq50
>>485
>王女は、十五歳の誕生日に王子となり、二度と王女となることはないだろう!
その手があったかー!
>>486
>「な……なぜ、生きている?」
>それは、胸パッド。
忘れてたー!
>「十一の呪いのせいで、男として生きるには少々やりづらくなってしまいましたからね」
言われてみればー!
>「……という話を考えてみたのだけれど、
>どう思います?」
「ツングリ」にも負けてません!

495 :名無しさん@初回限定:2007/07/13(金) 20:44:26 ID:h8zLD1gi0
…アンタ何者さ

496 :名無しさん@初回限定:2007/07/13(金) 23:44:19 ID:NWau1epg0
お姉様さ!

497 :名無しさん@初回限定:2007/07/19(木) 00:47:58 ID:qIHo9ZdN0
保。

498 :名無しさん@初回限定:2007/07/21(土) 18:40:11 ID:aBukVD4+0
健。

499 :名無しさん@初回限定:2007/07/22(日) 13:30:48 ID:clbWnJHH0
なんかえらく過疎ってるな
人いるか?

500 :kamakiri ◆0XucCTxAGU :2007/07/22(日) 14:25:01 ID:Kmt/3HBi0
みなさん、夏バテかな?

さっき、書店でジャパネスク人妻編みつけたので1〜5巻買ってきた。
僕ネスクの続編書きたいな〜

501 :名無しさん@初回限定:2007/07/22(日) 16:23:17 ID:9LQnMvuE0
居るには居るけど、燃料が落ちてこないことにはね〜。

502 :名無しさん@初回限定:2007/07/22(日) 21:15:30 ID:PqoC+Sq30
>>500
続編は是非読みたいですけど、無理しないで下さいね
気長に待ってますから

503 :名無しさん@初回限定:2007/07/23(月) 14:05:12 ID:6iPkLJ1g0
へんなもの見つけた
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1165400248/858

504 :名無しさん@初回限定:2007/07/23(月) 20:37:11 ID:vipiWvXB0
>>451の支援のつもりで・・・

 アイマス・コラボ「アイドルはクイーンがお好き」

 学院祭を数日後に控えた、とある日の事、紫苑は文庫本を手に、大学内のカフェテラスに座っていた。
時折吹くおだやかな風が、本を読む彼女の長い髪を揺らす様は、まるで1枚の肖像画を見るようであり、
その神々しいばかりの美しさに学院祭の準備に追われ、忙しそうにキャンパス内を行き交う人々でさえ一瞬目を奪われ、中にはしばらく立ち止まってしまう者さえいた。

 案の定そんな彼女に、おずおずと声をかける猛者も現れたが、たいていが一言、二言、声を交わした後、彼女がにっこりと微笑むとスゴスゴと退散して行く。
それが数回繰り返された後、彼女は文庫本をたたむと、ホッとため息をついた。

「瑞穂さん・・・遅いですわ・・・。」

 同じ大学に通う瑞穂の講義が終わるには、もう少し掛かるようだ。
彼女は手持ちぶさたのまま、何気に目の前のキャンパスを眺めていた。
すると、行き交う人々の中に、2人の小学生らしき女の子がいるのを見つけた。
元気に飛び回る2人を見ているうちに、彼女は遠くない未来、瑞穂との間に授かるであろう子供について、想いをはせていた。

「女の子の双子なら、家の中が華やかでいいかしら!?」

 ポツリとつぶやいた自らの言葉に、思わず頬を染めながら下を向いてしまう紫苑。
そんな自分をごまかすためか、彼女はふと思いついた疑問を口にしていた。

「で、でも・・・小学生なら、まだ学校にいる時間じゃないかしら!?」

 再びキャンパスに目を向けるが、すでに女の子達の姿は無く、しかたなく彼女は傍らの文庫本を手に取り、続きを読み始めた。
それから数ページ読み進んだ時の事、いきなり後ろから肩をたたかれた彼女は
まるでテレビの2カ国語放送のように、左右から同時に別々の言葉を、同じ声で浴びせかけられた。

「あずさお姉ちゃん、ひとりだけサボって、ずるい〜〜!!」

「真美も、のど乾いた〜!ジュース欲しい〜〜!!」

505 :名無しさん@初回限定:2007/07/23(月) 20:42:15 ID:vipiWvXB0
 振り返ると、そこには先ほどの2人の女の子が立っていた。
偶然とは言え、あまりのタイミングの良さに驚く紫苑。
一方、声を掛けた2人のほうも、彼女の顔を見つめたまま、驚いた表情のままでいた。

「そうなの。2人は双子で、亜美ちゃん、真美ちゃんって言うの。それで、そのお連れのあずささんとは、はぐれてしまったのね。」

「うん。さっきはごめんなさい。後ろから見ると、そっくりに見えたんだもん。」

「まぁ、そんなに似ているのかしら!?一度会ってみたいわ。」

「あずさお姉ちゃんも、お姉ちゃんみたいに長い髪をしてて、スラッと背が高くて・・・それに・・・んっふっふ〜!!」

「それに・・・なぁに?」

「おっぱいもね、こう、バインバイ〜ンって!!」

「あらまぁ、うふふ。」

 3人はテラスのテーブルを囲み、楽しそうに話し込んでいた。
聞けば、彼女達と連れのあずささんは、同じプロダクションに所属するアイドルで今日は数日後に催される、
学院祭でのライブの打ち合わせのため、やってきたプロデューサーに同行して来たそうだ。
そこでライブに連動したとある企画を聞かされ、その準備のためにキャンパス中を飛び回っていたのである。

506 :名無しさん@初回限定:2007/07/23(月) 20:43:44 ID:vipiWvXB0
「それでね、ライブとの・・・コ、コ、コブラ!?」

「違うよ、亜美〜、コブラじゃなくってコラボ!!」

「そうそれ!!そのコラボで、学院祭クイーン・コンテストに、
亜美たちが特別審査員で出るんだけど、その時
審査員推薦で、もう1人乱入させようって・・・。」

「それで、その候補を3人で探してたんだけど、ある程度レベルが高くないと
みんなが納得しないし・・・だけどあずさお姉ちゃんを見たら、なぜかみんなに
断られちゃうし、そうしたら、いつの間にかあずさお姉ちゃん、いなくなってて・・・。」

「それであずさお姉ちゃんのケータイに、ここのカフェテラスで落ち合おうって
メールしたの。そうしたら、お姉ちゃんを見つけて、てっきり・・・」

「そうなの・・・。それじゃまだ、どこかで迷っているのかしら。それより、亜美ちゃん、真美ちゃん、そのコンテストのお話、
もっと詳しく教えてくれないかしら!?」

 その後、コンテストの詳細を聞き出した紫苑は、ある企みを胸に秘めつつ
にっこりと笑いながら2人に向かって、こう切り出した。

「それじゃ、一緒にあずささんを探しに行きましょうか!?
それに、もしかしたら、条件に見合う推薦候補も見つかるかもよ・・・うふふ。」

「本当!?やったぁ!」「わ〜い!行こ、行こ!!」

507 :名無しさん@初回限定:2007/07/23(月) 20:45:18 ID:vipiWvXB0
 こうして、3人が連れ立ってカフェテラスを後にした頃から、
時間を遡ること1時間と少々、瑞穂はこれから講義に出席するため、
目的の教室へと向かっていた。
すると、瑞穂の目に、前を歩く紫苑らしき後ろ姿が目に入った。

「あれ、紫苑!?どうしたんだろう、確か今日はもう講義は無いと聞いていたけど。」

「え〜と・・・、困ったわ。亜美ちゃん達は何処に行ったのかしら?」

「紫苑、どうしたの!?今日はもう講義は無かったはずじゃ?」

「えっ!?・・・あの〜。」

「あっ!す、すいません。知り合いと人違いを・・・。」

「まぁ、そうでしたの・・・。ところで、ここは何処ですか?」

「は、はぁ??」

 聞けば、彼女、三浦あずささんは、連れと一緒にキャンパス内を
歩いているうちにはぐれてしまい、たまたま講義に向かう人の流れに沿って
歩いているうちに、ここまで来てしまったらしい。

508 :名無しさん@初回限定:2007/07/23(月) 20:51:34 ID:vipiWvXB0

「私、昔から方向音痴で・・・今までも何度か、
気が付いたら知らない場所まで行ってしまって〜・・・うふふ。」
「は、はぁ・・・。とにかく、こっちには教室しか無いですから、
今来た道を逆に進めば、広い場所に出ます。
そこには、カフェテラスもありますから、ここより見つかりやすいと思いますよ。」
「はい、ありがとうございます。えっと・・・今来た道を逆ですね・・・。」

 何だか頼りなさげに、逆方向をうかがうあずさを見て、
瑞穂は少しだけ不安を感じていた。
と、その時、講義開始を知らせる予鈴が、2人のいる廊下に鳴り始めた。

「そ、それじゃ、僕は講義があるんで、これで!!」

 そう言うと、瑞穂は教室へと駆けだした。
何とか予鈴の鳴り終えるまでには、席に着く事ができ
ホッと一息つくと、先ほどの事を思い浮かべていた。

(何だか危なっかしい感じだったけど、大丈夫かな・・・?)

 やがて、ギリギリで教室に滑り込む人々も途切れ、
後は講師が来て講義を始めるだけとなった。
瑞穂がノートの準備をしているとギリギリになって入ってきた誰かが
息を切らしながら、自分の隣に座った。

「ハァ、ハァ、足速いんですね・・・。ハァ、ハァ、私も、ダンスレッスンなら
そこそこやっているんですが、結構・・・息が・・・切れました〜。」

509 :名無しさん@初回限定:2007/07/23(月) 20:53:51 ID:vipiWvXB0
「あ、あずささん!?何やってるんですか??」
「はい、先ほど教えていただいたのですが・・・やっぱり・・・よくわかりません。
ここはひとつ・・・、連れて行っていただけないものかと・・・。」
「そ、それはいいですけど、僕はこれから講義を受けないといけませんし。」
「それなら、ここで大人しくしていますから、ご心配なく。」
「は、はぁ・・・。」

 ニッコリと微笑むあずさに、すっかり拍子抜けしてしまう瑞穂。
そうこうするうちに講師が現れ、瑞穂も気持ちを切り替えると
真剣に講義に聞き入った。そして、講義も中程まで進んだ時
突然、左側から何かがぶつかった衝撃を感じ、思わず左を見ると
そこには自分にもたれかかりスースーと寝息を立てている、あずさの寝顔があった。

「ちょ、ちょっと、あずささん・・・起きて下さい。」

 小声で囁くと同時に、肘でチョンチョンと小突く瑞穂。
ところがあずさは起きるどころか、瑞穂の左腕をつかむと、
そのままギュッと抱き締めてしまった。

(うわ〜〜!!あずささん、む、胸が当たってますって〜〜!!)

 もはや、講義どころではなくなった瑞穂。
さらに、次の瞬間、そんな瑞穂にたたみかけるように
教室内にケータイの着うたが鳴り響いた。

510 :名無しさん@初回限定:2007/07/23(月) 20:56:09 ID:vipiWvXB0
♪GO MY W○Y!!G○ 前へ!!♪

 幸いメール用の着信だったので、すぐに治まったものの、
それでも講義は一瞬中断してしまった。
顔面蒼白のまま、凍り付く瑞穂。
それもそのはず、着うたは2人の間から聞こえたもの。
つまりは、あずさのケータイからであった。
 その後、すぐに講義は再開されたが、もはや瑞穂の耳に入るわけもなく
講義が終了するまでの間、瑞穂は、天国とも地獄とも言えるひとときを
じっと身じろぎもせず過ごさねばならなかった。

「あの・・・あずささん、起きて下さい。もう講義は終わりましたから。」
「え・・・あ、きゃっ!・・・ご、ごめんなさい。」

 講義終了後、ようやく目覚めたあずさは、今まで自分が誰の腕を
抱き締めていたのかを理解し、手を離すと同時に、紅く染まった頬に両手を当てていた。

「いえ・・・、それはいいんです。それより、あずささんはケータイを
持っていたんですね!?」

「えっ、は、はい、そういえば・・・あら!?メールが来ています。え〜と・・・まぁ、亜美ちゃんからだわ。え〜と・・・カフェテラスで待ち合わせましょう・・・。良かった〜。」
「はぁ〜〜、出来ればもっと早く思い出していただけたら・・・。」
「えっ、何でしょう??」
「いえ・・・。それじゃ、行きましょうか。」

511 :名無しさん@初回限定:2007/07/23(月) 21:12:57 ID:vipiWvXB0
 心なしか力無い様子で、そう告げた瑞穂は、あずさと並んで
カフェテラスに向かった。その道すがら、2人に投げかけられる奇妙な視線。
それは講義終了後、一向に目覚めないあずさと、腕を取られたまま
身じろぎ出来ない瑞穂が、退室する人目にさらされた結果であった。
 かろうじて『人目もはばからずイチャつく、百合百合バカップル』として
見られている事が、瑞穂にとっては、唯一の救いではあった。
もっともそれはそれで、瑞穂にとっては、あいかわらずの大問題なのだが・・・。


「亜美〜!見つけた〜!あずさお姉ちゃんがいたよ〜!!」
「ホント〜!?真美〜!あっ、いた、いた〜。紫苑お姉ちゃんこっちだよ〜!」

 突然現れた元気一杯な、双子らしき少女たちに、驚く瑞穂。
さらに驚いたのは、少女たちの後ろからやって来るのは、
妻の紫苑だったからだ。
一方、あずさのほうは満面の笑顔を浮かべて、少女たちと手を取り合い
ピョンピョンと小さく飛び跳ねながら、はしゃいでいた。

「もぅ〜、あずさお姉ちゃん!どこにいってたんだよぅ。心配したんだから!」
「亜美ちゃん、真美ちゃん、ごめんなさい。私、また道に迷っちゃって
そうしたら、こちらの方が、案内して下さって・・・。」
「亜美ちゃん、真美ちゃん、良かったわね。」
「あっ!紫苑お姉ちゃん!あずさお姉ちゃん、この人が亜美たちと一緒に
お姉ちゃんを捜してくれたんだよ!」
「まぁ、それは・・・。どうもご迷惑をお掛けしました。三浦あずさです。」
「いえ、とんでもございません。私、かぶ、いえ十条紫苑と申します。それにしても、奇遇ですわ。
瑞穂さんがお連れになっていたとは。」
「し、紫苑、これは一体・・・!?」
「それは後でゆっくりと・・・。それより、亜美ちゃん、真美ちゃん、
どうかしら!?こちらの瑞穂さんは」
「「どれどれ〜、う〜〜む」」

512 :名無しさん@初回限定:2007/07/23(月) 21:14:34 ID:vipiWvXB0
 そっくりな顔が2つ、真剣な表情で瑞穂を見上げ、
その後まるで値踏みでもするかのように、周囲を何度か回った後、
しかめっ面から一転、親指を立てた右手が2本突き出されると同時に
こぼれるほどの笑顔を見せると、少女たちは紫苑にこう告げた。

「バッチリだよ!紫苑お姉ちゃん!ねぇ真美。」
「そうだね、亜美。ただ、スッピンにGパンは、
イマドキの女の子にしたら、イマイチって感じ〜」
「まぁ、それは仕方ありませんわ。なにしろ、瑞穂さんは私のダンナ様ですから。」

「「えぇ〜〜!?」」

「でも、さっき『百合百合のバカップル』って言ってたよね。」
「うん、百合百合って女の子同士って意味でしょ。
ひとりはあずさお姉ちゃんだし、もうひとりは・・・。」

 口々にそう言うと、2人は再び瑞穂をじぃ〜っと見つめ始め、
しばらくして、同時にこう言い放った。

「「まぁ、キレイだから、いいじゃ〜ん!!」」
「うふふ、先ほど私がしがみついていた腕も、言われてみれば細いですけど、
女性のそれとは微妙に違う感じでしたわ。」
「い、いや、あずささん。それは・・・。」
「まぁ、『百合百合のバカップル』というのは、そんな事をなさっていたのですか。」
「い、いや、紫苑。だからそれは・・・。」
「ともかく、素材としては申し分ないのは、ご理解いただけたと思います。
それでは、当日までには充分に磨きをかけておきますので、ご安心下さいませ。」
「いや、だから何のことだか・・・。」

513 :名無しさん@初回限定:2007/07/23(月) 21:16:39 ID:vipiWvXB0
 瑞穂はすがるような目で紫苑を見つめるが、紫苑はかすかに笑みを浮かべたまま
一言も喋ろうとはしなかった。しかたなく、あずさに話を振ってみたものの
案の定、話に付いて来られなかったようで、まるで要領を得られない。

「あ、亜美ちゃん、真美ちゃん、君たちなら、わかるよね!?」
「んっふっふ〜、それはね・・・。」

 亜美が事の次第を説明しようとした、その時・・・。
突然、あずさのケータイが、再び着うたを奏で始めた。

♪基本的には○本気だけど、時と場○で移り○なの・・・♪

「はい、あずさです〜。あら、プロデューサーさん・・・え!?・・・はい・・・亜美ちゃんたちですか〜、
一緒にいますけど〜・・・はい・・・はい、わかりました〜・・・。」
「兄ちゃんから!?何か用??」
「えぇ、すぐ帰って来いって・・・次のお仕事に遅刻する気かって、
ずいぶん怒られちゃいました〜。」
「ゲッ!ヤバいよ、亜美ぃ〜!!兄ちゃんスゴく怒ってるって。」
「う、うん、早く行こ!あずさお姉ちゃんも・・・それじゃね!
紫苑お姉ちゃん、後の事はヨロ〜!!」

「は〜い、それじゃ皆さん、お仕事がんばって下さいね〜。」

 急いで駆け去る3人に、軽く手を振って見送る紫苑。
そして、その場に2人だけが残された・・・。

514 :名無しさん@初回限定:2007/07/23(月) 21:17:46 ID:vipiWvXB0
「あの・・・紫苑、そろそろ説明を・・・」

 瑞穂の言葉に、くるりと向きを変えた紫苑は、瑞穂に近付くと再び向きを変え
瑞穂の隣に並ぶような立ち位置をとった。
そのまま瑞穂の腕に自分の腕をからめると、じっと瑞穂の顔を見上げ
その、こぼれるような笑顔を見せたまま、静かに話し始めた。

「承知しておりますわ。でも、・・・ここじゃ人目もありますし、ちょっと・・・
これから我が家に帰ったら、じっくりとご説明いたしますわ。あ・な・た。」

 何も知らない端から見れば、『百合百合バカップル・アナザーエディション』と
映ったであろう。しかし、誰から見ても幸せの絶頂にいるはずの瑞穂は
顔はひきつり、その背中からは、イヤな汗が噴き出すのを抑えられなかった。

(怒ってる・・・絶対に・・・このまま家に帰るのだけは、絶対イヤだ・・・)
「さぁ、帰りましょう。」
「は、はいっ!紫苑・・・さん。」

  思わず、恵泉時代のように、妻に「さん」付けしてしまい
その後ギクシャクとした歩みで、妻に従い歩き出す瑞穂。
人間、心が負けてしまえば、後は流されるのみである・・・。
帰宅後、しぶしぶ女装を承諾させられた瑞穂は、男の気を消すと称し
夜な夜な、紫苑さまに搾り取られたとか、何とか・・・。合掌。

515 :名無しさん@初回限定:2007/07/23(月) 21:20:11 ID:vipiWvXB0
おまけ

 某日某時刻、某7○5プロにて

「見て見て〜!ジャジャ〜ン、これがウワサの、その人で〜す!!」
「あ〜っ真美ぃ、いつの間にケータイなんかで撮ってたの〜!?盗撮だ〜!パパラッチだ〜!!」
「へぇ〜どれどれ・・・ゲッ!!・・・ホントにコレ・・・男なの!?」
「んっふっふ〜、これならよっぽど、まこちんのほうが男っぽいでしょ〜。」
「ちょっと亜美、真美!真が落ち込むような事言わないのっ!!」
「うう・・・。春香、ありがとう。でも・・・コレはないよ〜!」
「えっ!?あ、やだっ・・・本当にきれい・・・。」

「・・・。よ〜し、当日はボクも現場に行く!!行って・・・その・・・
何かヒントでもつかめたら、ボクだって・・・」
「ちょっと・・・。あ、でも私も、その日はオフだったかな〜って・・・。」

 何だか登場人物を増やした気もする気が・・・。
おまけに改行もも惨い・・・

けど、おわらない・・・つもり。

516 :451:2007/07/23(月) 22:20:20 ID:9EZ//lLJ0
>504-515 支援てか、暴走(笑)thx.

まぁ、微弱電波は声優ネタです(原作じゃない方の)。

ラジオのパーソナリティやって、歌のコーナーで演歌歌わせるとかはありませんからwwwww

517 :名無しさん@初回限定:2007/07/24(火) 13:52:38 ID:DgNqo8dm0
さっぱりわからない
つか、これおとボクのSSか?

518 :名無しさん@初回限定:2007/07/24(火) 14:33:38 ID:Xs1qls4b0
>>4
> Q&A その2

> (;´Д`)<マリみてとか、極上生徒会なんかとクロスオーバーさせたいんだけど……
> (・∀・)<クロスオーバー物は、混合物の元ネタを知らない人もいますので、投稿所の方へお願いします。

519 :名無しさん@初回限定:2007/07/24(火) 16:23:43 ID:r/BXiHwO0

まぁ、一応は昔話や歴史の人物を置き換えた物語もクロスオーバーと言えるんだから、
そこまで杓子定規に淘汰する必要はないとは思うけど…。

ただ、ここで問題なのは第一に知名度の問題だね。
昔話の「ももたろう」クラスの知名度があれば、誰もが知っている物語だ、
登場人物を頭の中で置き換えるのはさほど大変ではないけど、
もしそうでない限りはちょっと厳しいだろう。

さて、そうでない物語を題材に使った場合、
その「そうでない物語を見たり聞いたりプレイしたことがなくても、楽しめるか否か」、
そして「その物語をおとボクとして楽しめるか否か」というハードルが待ち構えている。
昔話の場合、基本的に人物とストーリーの両方が同時に頭の中に刷り込まれている人が大半だろう。
ただ、そうでない物語が題材に使われている場合、それを楽しませるのはかなり難しいと思う。

クロスさせる題材がマイナーで、それを知らなければ楽しめないSSは、投稿所の方がいいとは思う。


私的な感想としては、描写が拙かったり説明不足な面が多くて、見づらい印象を受けた。
大事な伏線はもうちょっと印象的に分かりやすく書かないと、後になってから「あれ?」ってなっちゃうよ。
とまぁ苦言ばかりだけど、新進の作家さんだし、次回はバージョンアップとパワーアップを期待。


あと最後に一つ。「!」の使い方がオカシイ。
特に紫苑さんと「!」は、よほどの状況じゃない限りすごい不協和音なのに、どうしてそんなに連発するの…。

520 :kamakiri ◆0XucCTxAGU :2007/07/24(火) 17:34:13 ID:Zud+qh2n0
>>504
みなさんお忙しい中、乙です。
編集さんが新人さんにきびしいよ〜(笑)

アイマスとは正式名称をなんというのでしょうか?
面白かったら見てみたい。

確かに読みにくい感じがするので、今後のパワーアップに期待です。
次回作にでもペンネーム(とトリップ)を教えてくださいね〜♪

521 :名無しさん@初回限定:2007/07/24(火) 21:10:29 ID:ilRvc8T50
と、519さんがズバズバと私の胸にも刺さる的確な指摘をされていますが、
私は気付くか気付かない程度の伏線だ〜い好きです。もう一度読み直した時のあの2度目の美味しさがっ!

なんてことを言いたいわけでなく、私もこういう物語を書くのは初めてのものなのですが、受信した電波の作品が完成しそうです。
それで、質問がいくつかあるんですが。答えられる方お願いします。
まず、25レス程度の長文になってしまうのですが、これくらいの長編でもこのスレに投下しても大丈夫でしょうか?
次に、こういった何レスにもわたるものを投下する時に、規制かからない方法ってどうすればいいんでしょうか?

作品自体は8割、プロットも最後まで出来上がっておりますので、
この二つが解決すればここなり投稿所なり投下したいなんて思ってます。

522 :kamakiri ◆0XucCTxAGU :2007/07/24(火) 22:12:42 ID:Zud+qh2n0
>連投対策
フレッツ光なら接続を切ってから再接続でID変わるけど・・・

他の人に連投支援してもらうのも手だけど、流れがぶった切られるからID変えられないなら投稿所もありかな。
きりの良いところで前後編とか分けるのも読みやすくて良いかも。

523 :名無しさん@初回限定:2007/07/25(水) 21:51:17 ID:Lx6UMubK0
>>522
ありがとうございます。
とりあえず2,3分おきに行けば大丈夫ですかね。いくつかに分けて落としたいと思います。
途中で切れるかもしれませんがよろしくお願いします。



524 :521:2007/07/25(水) 21:56:27 ID:Lx6UMubK0
「はやや〜!凄いのですよ〜!!」
「わ〜!ひっろーい!!」
「コラコラあんた達、そんなに騒がないの。それにしても!よく出来てるわね〜」
「ねぇまりや〜ほんとに大丈夫かなぁ〜?」

奏ちゃんと由佳里が広大な庭と巨大な豪邸を目の前に、眼を輝せながら口にする。
瑞穂ちゃんはというと、さっきからソワソワとして辺りを
キョロキョロと見回しては私に問いかけてくる。

今日、私達は瑞穂ちゃんの家に遊びに来ているのだ。
あ、楓さんが出てきた。

「お嬢様、荷物を」
「い、いえ、自分達で持って入るわ」

表札は、"宮小路"。


事の始まりは宿舎にかかってきた一本の電話である。


「Hamburg Week」


トゥルルルルル……トゥルルルルル……

「瑞穂ちゃーん、でんわだよー」
「もう……聞こえてるなら取ってよ〜」

そう言いながら瑞穂ちゃんが部屋から降りてくる。
私はスナックを頬張りながらリビングで横になり、クッキング番組を見ている。


525 :521:2007/07/25(水) 21:59:36 ID:Lx6UMubK0
『次のメニューは御家庭でも人気の高い、ハン――』
ピッ!反射的にテレビのチャンネルを変える。

紅茶を入れている奏ちゃんがキッチンから顔を出す。

「はやや〜!お姉様、奏が取りますのですよ〜」
「大丈夫よ奏ちゃん。私が取るわ」
「わかりましたなのですよ〜。では、美味しい紅茶を入れておくのですよ〜」
「ありがとう、じゃ楽しみにしてるわね」

「まりやお姉様、そういうことしてると太りますよ」

一方、一週間にも渡る長い休暇をとった厨房のおばさん達に変わって
毎日寮の夕食を作っている由佳里が厨房から顔を出す。

「ム……最近結構気にしてるのに……いまだに瑞穂ちゃんよりもウエスト太いし……」
「まりやお姉様は働かないじゃないですか。お姉様のスタイルなんか夢のまた夢ですね。
そもそもお姉さまとまりやお姉さまでは比べる土俵が違いませんか?」

あ、なんか向こうで瑞穂ちゃんがうなだれているみたい。

「あらら〜そんなこと言っていいのかにゃ〜?ゆっかりん?」

毎度の事は気にせずに、余計な心配をしてくれたか〜わいい妹に微笑みかける。

「な、なんですか。だいたいゆかりんじゃないって何度も――」
「一昨日のお風呂上がりに……」

********************

『ふ〜、気持ち良かったぁ!ん?』
お風呂から上がると嫌でも目に入る位置に置いてある。

526 :521:2007/07/25(水) 22:02:42 ID:Lx6UMubK0
『最近、結構走りこんでるし、きっと………』

スイッチを押し、おそるおそる脚を乗せる。そして足元を……

『……』

一度降り、近くにあった未開封の洗剤を置いてみる。

『……よし、今度こそ……!!』

もう一度スイッチを押し、足元を見て……ヘナヘナと倒れ込む。

『な、なんで!さ、3kgも増え……「ワーワーワーワーワー!!!!!」
「何よ五月蝿いわね〜、顔真っ赤にして〜」
「ひ、酷いです!何もこんな皆のいる前で言わなくても!!」
「そうよね〜、夜だってあんなに必死に発電してるのに……」
「な、何言ってるんですか〜!?そんな事してません!!」
「ふ〜ん?そんな事って何か心当たりがあるのかにゃ〜?」
「う、うぅ……」
「毎晩毎晩、瑞穂ちゃんのあ〜んな姿やあ〜んな所を妄想して……ムフフ…」

バンッ!!と包丁で玉ねぎを思いっきり叩っ切る音が聞こえる。

「や、やめてください!なんで私をそんなに苛めるんですか!?それに話ズレてます!!
だいたいですね、私だって痩せようと気をつけて昨日だってヘルシー豆腐ハンバーグに……」
「それよ!!厨房のおばさん達が旅行に行って五日目!作ってくれるのはいいけど、
なんで毎日夕食が同じなのよ!?こんなんで怒らないでいられるかぁっ!!」

由佳里は料理は上手い。しかし……!

「毎日出るハンバーグ!!そして毎日買ってくる大量の挽き肉!!!
それに耐えてもう五日目よ!?もう見るのもいやじゃい!!!!」

527 :521:2007/07/25(水) 22:06:12 ID:Lx6UMubK0
「違うじゃないですかぁっ!」
「どこがよっ!!」
「一子ちゃんっ!!」
「はいはい!お呼びですか〜?」
「私の今週のハンバーグの説明お願い!!」

上の階から天井をすり抜けて入ってきた一子ちゃんが得意のマシンガントークを繰り広げる。

「一日目はオーソドックスですがポピュラーで定評のある普通のハンバーグでした。
二日目は中に入ったトロ〜リとしたチーズがハンバーグとの絶妙のハーモニーを奏でるチーズバーグ。
一昨日は今が旬のトマトを内蔵し、ピーマンに詰め、更に野菜をトッピングした夏野菜ハンバーグ。
そして昨日のヘルシー豆腐ハンバーグ。これはハンバーグ本来の味を損なわないギリギリの配分で豆腐とひき肉を混ぜ、
尚且つ豆腐の食感まで楽しめしかもローカロリーな一品。今日のハンバーグは一風変わった味が楽しめる
牛、豚、鶏の絶妙なバランスにこだわったミックスハンバーグ!!そして明日のハンバーグはなんと秘伝の……」
「ふ・ざ・け・る・なー!!!ワレは何一子ちゃんに教えとんじゃいっ!!
というか予想はしてたけど明日もハンバーグかい!!」
「そんなに言うならご自分で作られてはどうでしょうか!?」
「ぐぅ……」
「あら、ぐぅの音は出るんですね」
「うぅ……まりやの方が男っぽいって……僕は本当は、本当はっ!」
「うるさい!というか瑞穂ちゃんっ!いつまで落ち込んでんのよ!!
ついでに私に喧嘩売ってない?……って、電話切れちゃうでしょ!!」

「や、やっぱり奏がとるのですよ」

トゥルル…ガチャ

「はい、こちらは聖應女学院宿舎なのですよ〜」
「え?あ。はい。そうなのですよ〜私が周防院奏なのですよ〜。え!?
お姉さまのお父様なのですか?あ、いえ、瑞穂に妹なんていたっけって?
わ、私はお姉さまの妹だったのですか〜!?」


528 :521:2007/07/25(水) 22:08:13 ID:Lx6UMubK0
奏ちゃんらしいやりとりだな、って……

「と!父様!?」「へ!?瑞穂ちゃんのお父さん!?」

二人で声が裏返るところでの絶妙なシンクロ。

「は、はい!今変わりますですよ〜」

瑞穂ちゃんが電話を受け取り、私も耳を受話器に近づける。

『おぉ!!瑞穂か!元気にしてるか?』
「な、なんでこちらに?」

事情が事情だし、どうしても用がある時は携帯電話の方にかけることになっていたはずだけど。

『まりやちゃんもそこで聞いているかな?』
「うぐっ………は、はい、ご無沙汰してます」
『それで早速なんだが、寮の皆の予定が空いているのはいつかな?』

瑞穂ちゃんは皆の予定が書いてあるカレンダーに目を向ける。

「ええと、皆がお休みなのは明日と明後日と――」
『おぉ!調度良い!!瑞穂。明日皆を泊りがけで家に招待してはどうかな?』
「家に!?ちょっと父様何を考えてるの?」

瑞穂ちゃんが小声になる。

『いや、別に。お前の友人達を見たいと思ってな』

ちょっと待って。まさか、まさかねぇ?

「瑞穂ちゃん、ちょっと替わってくれる?」

529 :521:2007/07/25(水) 22:10:08 ID:Lx6UMubK0
「ん?いいけど……父様、まりやに替わるね」
「おじさん。単刀直入に聞きますが、目当ては"宮小路"瑞穂ですね?」
『………何をわけのわからないことを…』
「瑞穂ちゃんをただ呼んでも、ここでいるようには振る舞ってくれないから、
私達。というよりも奏ちゃんと由佳里を一緒に……と。」
『…………』
「でも、そんなことしたらバレますよ……姓が鏑木だって。色々面倒じゃないですか?」
『その点は心配ない。既に鏑木家所有の家の一つを宮小路としてとりつくってある』

さすが鏑木グループ会長……やる規模が違う。

「はぁ……父様、そんなことをしても行きませんよ」
『瑞穂……聞いていたか………ならばこれしかないな』
「え?一体何を……」

次の瞬間、受話器のスピーカーが壊れんばかりの大音量で音が響く。


『明日と明後日、寮の皆を家に呼んだらどうかね?』

な〜るほど、よく考えてある。だからこっちにかけたのか。

「ちょっと父様!!そんな大きくしたら耳が…それに皆に聞こえて迷惑……はっ!!」

瑞穂ちゃんが後ろを見るとそこには眼を輝せ手を取り合った二人が……

「奏ちゃんっ!」「由佳里ちゃんっ!」
「で、でも!奏ちゃん、由佳里ちゃん……」
「「お姉さまは私たちが行くと迷惑(なの)ですか!?」」
「いや、そういうわけじゃないわ!全っ然大丈夫よ?」
「「じゃあっ!準備してきますね/のですよ〜!!」」
二人はやってることを投げ出して自分の部屋に戻っていった。

530 :521:2007/07/25(水) 22:14:10 ID:Lx6UMubK0
「はぁ〜、……父様?」
「ん?迎えは明日の10時頃でいいか?」

飄々とした声が聞こえてくる。
瑞穂ちゃんの声のトーンが変わる。

「帰ったら覚えてなね……」
『………み、瑞穂すま――』

ガチャン!!

受話器が叩きつけられる音が聞こえ、瑞穂ちゃんが大きなため息つく。
瑞穂ちゃんが後ろを振り返るとそこには……

「お、おおお姉さま?」
「か、奏ちゃん!?」

怯えている奏ちゃんが……

「い、今の声は…それに、何かお姉さまの周りにな、何か……」
「あ、え?い、いやこれはね?」
「すいませんなのですよ〜!!私…私何も聞いていないのですよ〜!!」
タッタッタッタッタッ!!

「はぁ〜どうしよ……まりや?ってまりやまで……こっち見てよ……」
「それは今の?それとも行く事?」
「両方、かな……」
「ま、いいんじゃない?これでハンバーグ以外の物が食べられそうだし?」
「ちょっとまりや……真剣に考えてよ〜」

********************


531 :521:2007/07/25(水) 23:14:06 ID:LFB5YdyT0
「奏ちゃん見て見て!!森がある!」
「由佳里ちゃん!こっちにはこんなに広い庭があるのですよ〜!!」

二人は荷物を置いてはしゃぎまわっている。

「ねぇ〜、まりやぁ………」
「あ〜もう、うるさい!!服が伸びる!!」
「ひんっ!」

さっきから瑞穂ちゃんが困った顔で私の服をクイクイと引っ張っては
「大丈夫かな!」、「大丈夫かなぁ〜?」と聞いてくる。

「だいたいね〜!こんなところでビクビクしないの!
堂々としてりゃバレないもんなのよ!!瑞穂ちゃん男な…ん……で…しょ……?」

言いながら振り返ると二人の荷物を取ろうとしていたのか、
私に怒られた瑞穂ちゃんが今にも泣き出しそうに眼を潤ませて下から上目遣いで私を見ている。

……ダメだ、この瑞穂ちゃん可愛すぎる。もういっそのこと襲っちゃうか。

「と、とにかく!!表札とかも変わってたし、荷物を中に運ぼう?」
「う、うん……そうだね。あれ?荷物が一つ多くない?」

二人で4つの荷物を肩と手に提げると、荷物が一つ余る。

「ああ、由佳里が二つ持ってきてたよ。う〜ん、ここは瑞穂ちゃんの家なわけだし……、
もしかしてアレ用のグッズを……!?さ〜てさて、中身は何かにゃ〜?」
「ま、まりやぁっ!僕一応男なんだけど……!それに勝手に人のものを弄るのは―――」

キャーッ!!
「今のはっ!?」
「奏ちゃんっ!?」

532 :名無しさん@初回限定:2007/07/25(水) 23:18:31 ID:Bs9cKPOo0
紫煙

533 :521:2007/07/25(水) 23:19:17 ID:LFB5YdyT0
手に持った荷物を投げ捨て、肩に引っ掛かった荷物を外しながら悲鳴の上がった方へ走る。

「お姉さまっ!!」

由佳里が泣きじゃくりながら走ってきた。

「何があったの!?」
「うぐっ!こ、この先の森で奏ちゃんが風で飛んだリボンを追いかけて、
ひっく……崖から落ちちゃって……うわぁ〜んっ!!」

最早肩に提げているのを取るのすらもどかしい。

崖に着くと、まず高さに驚いた。崖は二段になっていて、かなり高い。
立ち入り禁止の看板やロープも近くにあるが、ロープは古くなり切れている。
ザッと辺りを見回すが、奏ちゃんを見つけることは出来なさそうだ。
この位置から見えないということは次の段差も落ちているということだろう。

「まりや!まりやは戻って助けを呼んで!」
「何言ってるの!?助けなら由佳里が行くわ!」
「この次の崖はもっと高くて不安定だったはず……まりやは女の子なんだし、危ないよ!!」

瑞穂ちゃんは肩にかけた荷物を投げ捨て、崖を滑り降りる。
私は一瞬戸惑い、瑞穂ちゃんが投げ捨てた鞄を手に取り、瑞穂ちゃんに続く。

「まりや!?」
「人手は多い方がいいでしょ?それに、何かあったほうがいいと思うけど?」

そういって私は二つの荷物を掲げる。

「もう!どっちにしろここまで来たら戻れないよ!?」
「とにかく、奏ちゃんを探しましょう?」


534 :521:2007/07/25(水) 23:24:32 ID:LFB5YdyT0
二人で手分けして捜す。地面はかなり脆く、そこを辿っていけば見つけることは容易かった。

「瑞穂ちゃん!こっちよ!」
「いたの!?」

瑞穂ちゃんがこっちに走ってくる。でもそこは……!

「瑞穂ちゃんっ!そこ危ない!」
「え!?」

既に声をかけた時は遅く、脆い足場を踏み崩し瑞穂ちゃんの姿は私の視界から消えた。
下を見ると、瑞穂ちゃんは木の枝になんとか捕まっている。

「これに掴まって!」

私は荷物の一つを瑞穂ちゃんの方に下げる。

「早く!今引き上げるから!!」
「くっ…まりやごめん!……はは、これじゃ言ってることとやってることが逆だね……」

瑞穂ちゃんが掴まった時――――急に強い雨が降り出した。

「くっ……まりや、離して!そうしないとまりやも!!」
「いやよっ!!」

元々が脆かった大地は水分をたっぷりと含み、崩れ落ちる。

「きゃっ!!」

私の体が宙に浮き、瑞穂ちゃんが正面に現れる。それと同時に、瑞穂ちゃんを支えていた木が折れた。
何か、懐かしいような、そんな記憶が蘇り、思い出した記憶と同じように
私の体は瑞穂ちゃんに捉えられ、その時のように投げられ――――――なかった。

535 :521:2007/07/25(水) 23:28:31 ID:LFB5YdyT0
そのまま、落ちていった。

体に激痛が走り、記憶が蘇る。幼い頃、瑞穂ちゃんをからかっていた時に一度だけ、
瑞穂ちゃんに反撃されたことがある。その時は瑞穂ちゃんが急に正面に現れ
体を捕まれたと思ったときには既に私の体は宙に浮いていた。

「ははは……あの頃はその後瑞穂ちゃんには近づくまいって自分に誓ったっけな……」

今回は投げられなかった、ということが意味することは……?

「瑞穂ちゃん!!」

振り返ると私をかばって背中から落ちた瑞穂ちゃんが肩から血を流しながら倒れていた。

「まりや……早く…奏ちゃんを……」
「何言ってんの!?瑞穂ちゃんだってすごいケガじゃない!!早く手当てをしないと…」
「奏ちゃんの方が先だよ……?」
「でも……」
「早く!!」

瑞穂ちゃんの眼は鋭く、決して拒絶することを許さない。
まるで、私が猛獣使いに窘められる猛獣の気分になったかのようだ。

「わ、わかった。動かないでね……すぐに戻るから!」

私は急いでさっきみた奏ちゃんの居る場所へと走る。
体がまだ痛むが、二人の傷よりは痛まない。
そう考えると不思議と痛みは気にならなかった。

「奏ちゃん!」

私は奏ちゃんに駆け寄ると、静かに横にした。

536 :521:2007/07/25(水) 23:31:45 ID:LFB5YdyT0
「奏ちゃん!大丈夫!?」
「まりやお姉さま……?」
「自分の名前、言える?」
「奏です……周防院 奏なのですよ。」
「じゃあ、昨日の晩御飯なんだか覚えてる?」
「ふふふ……昨日もまりやお姉さまが嫌がって食べなかった、ハンバーグなのですよ……」
「ははは……そうだったわね」

意識は大丈夫みたい。よかった……後は何かで頭を冷やとかないと。
確か、あの鞄が何か冷たかったような気が……きっと、何か入ってるはずね。

さっきの場所に引き返し、荷物を探る。

「………、あった!!」

保冷剤の大きなカタマリがいくつかハンカチに包まれて入っていた。

「奏ちゃん、リボン、使ってもいい?」
「はい……」

さっきの保冷剤のカタマリを一つ取り出し、リボンでしっかりと後頭部に結びつける。

「後はどこか痛む所ある?」
「右足が……」

右足は赤く腫れ上がっている。この分だと折れているかもしれない。
残りの保冷剤を包まれていたハンカチでそのまま足に結びつける。

「じゃここで少し待って。瑞穂ちゃんのところへ行かなきゃ」

「瑞穂お姉さま!お姉さまは大丈夫なのですか!?私も行くのですよ!!」
「…………」

537 :521:2007/07/25(水) 23:34:56 ID:LFB5YdyT0
瑞穂ちゃんがあんなケガをしているのを見れば、責任を感じるかも……
でも、ずっとこのままでもいられないか……

「わかったわ……じゃあ、行きましょ?」

奏ちゃんに肩を貸し、二人で瑞穂ちゃんの元に向かう。

「お、お姉さま!!」
「か、奏ちゃんっ!?待って!」

奏ちゃんは片足が使えないというのに私から飛び出していく。

「良かった、奏ちゃん。無事だったのね」
「よ、よくないのですよ〜、か、奏のせいで……」
「私はだいじょう――」
「大丈夫なわけないでしょ!!全く、何の考えなしに飛び込んでいって!!
足場にも注意しないし、自分もこんな酷いのにすぐ人を優先するし!!」

「でも……」
「でもじゃない!!」
「……うん、ごめん」

さっきの鋭い眼とは違い、いつもの優しい顔に戻っていた。

「全く、瑞穂ちゃんは奏ちゃんの事になると前が見えなくなるんだから!!」

そう言って私は自分の服の肩の部分を破って瑞穂ちゃんの肩に結びつける。

「まりや、ほんとにごめんね、まりやまで落ちちゃった……」
「いいの。こういうことはお互い様でしょ?」
「……うん、ありがと。じゃあとりあえず助けを呼びましょうか?」

538 :521:2007/07/25(水) 23:37:15 ID:LFB5YdyT0
「お姉さま方〜!奏ちゃ〜ん!!」
「由佳里っ!!」

ここから姿を見ることは出来ないが、確かに声が聞こえる。

「皆無事ですか!?」
「奏ちゃんと瑞穂ちゃんがケガしてるわ!助けは!?」
「そ、それが……」

頼りない声が聞こえてくる。
そんな、二人はすぐに医者が必要なのに…!!

「雨でこの辺り一体の地盤が崩れて、こちら側からは無理みたいです!
反対側から向かってますけど……ここは木の間が狭くて、
近隣の森と繋がっていることもあるらしくて、
近くにいくまでに少なくとも丸一日はかかるって……どうしましょう!?」

さあ、どうする――――

このままここで助けを待つか。
でも一刻も早くこの二人は医者に見せなきゃ。

ならば……

「まりや、行こう。確かこの先に歩いて行けば公道があるはずよ。
そこに向かって歩けばきっと救助隊と合流できるはずよ」
「でも、奏は歩けないのですよ……」

奏ちゃんが申し訳なさそうに俯く。

「それは心配ないわ!ほら、よいしょっと」
「まりやお姉さま!」

539 :521:2007/07/25(水) 23:42:12 ID:LFB5YdyT0
「私は大丈夫よ。瑞穂ちゃんがこんなになってまでかばってくれたからさ……」
「由佳里っ!私たちはあの大きな建物に向かって歩くわ!
救助隊にもそのことを伝えておいてくれる?」
「わかりました!気をつけてくださいよ!」

さて、後はひたすら歩くだけか……

「さ、行きましょうか?瑞穂ちゃん、奏ちゃん」
「そうね、行きましょ!」
「まりやお姉さま、お願いしますのですよ〜」

こうして、私たちはひたすら歩いた。
私が持ってきたバッグは由佳里のものだったらしく、
中に入っていたものは保冷剤以外は特に役に立ちそうもなかった。

「全く……由佳里の鞄ったらホンットに何も入っていないんだから……」
「ははは……でも保冷剤がなぜか入ってたんだし、良かったんじゃない?」
「まーね。でも私のだったら色々お菓子とかも入ってたのに〜!」
「そういえばさ、途中の崖までもう一つ持ってきてたみたいだけど、あれは誰のなんだろ?」
「さぁ?確か黄色だったような気がするけど……」
「あ、それは私のね、特に役に立ちそうな物入っていなかったし……結局一緒かぁ……」
「うぅ〜、お腹減ったなぁ〜」
「それはまりやが昨日の夕食ちゃんと食べないからだよ?」
「だってもうハンバーグ飽きたよ〜。ね?奏ちゃん?」
「う、う〜ん。で、でも……今日は違うものが食べれるのですよ!」
「まーね。それを目標にして歩きましょうか!
そういえばさ、なんかさっきから匂いしない?良い様な、悪い様な」
「そう?私は特に……奏ちゃんは?」
「とくに感じないのですよ〜?」
「う〜ん、落ちて鼻おかしくなったかな……」
「ははは。何それ?まりやったら……」

540 :521:2007/07/25(水) 23:46:40 ID:LFB5YdyT0
>>532
支援ありがとうございます!


1レスずつ落とす前に見直すと結構直したい部分があるものですね。
で、見直しの最中に既に張った伏線を回収し忘れてるの思い出しました……orz
その辺は書き足して明日には投下したいと思います。

541 :521:2007/07/26(木) 22:45:16 ID:8nBF6MBc0
こうやって私たちは少しずつ歩き進めていき、辺りは徐々に暗くなってきた。

「あ〜もう疲れた!!歩けん!!腹減った!!!」
「そうね……結構歩いたしここでいったん休みましょうか?」
「奏ちゃんも寝ちゃったみたいね?」

ガサガサッ!!

「もしかして救助隊!?」
「いや、まだここまで着くには早いわ……気をつけて!」

茂みの中から出てきたのは、一匹の熊!

「……っ!!」

瑞穂ちゃんが咄嗟に構える。
しかし、その熊は構えた瑞穂ちゃんには眼もくれず、私たちの方へ向かってくる。

「まりやっ!!」
「奏ちゃん起きて!!」
「ふぇ?……あれは何なのですか?熊!?熊なのですか!?」
「この……っ!!」

熊に背を向けてはいけない。背を向けるとやられてしまう。
私はゆっくりと後ろを確かめながら後ずさりする。
奏ちゃんだけでも逃がしたいが、足をケガしているのでそれも叶わない。

さぁ、どうする―――

そう考えた時、巨体の後ろから、瑞穂ちゃんが私たちと熊との間に入り込んだ。

「下がれっ!」

542 :521:2007/07/26(木) 22:47:05 ID:8nBF6MBc0
「お姉さま、危険なのですよっ!」
「まりやっ!早く逃げて!!」
「でもっ……!」
「早く!!」

こっちを振り返った瑞穂ちゃんの眼は、さっきと同じ眼をしていた。
私はその眼に逆らえずに奏ちゃんを連れ森に逃げ込もうとする。
その時、熊が私たちを追うように動き出した。

瑞穂ちゃんの声のトーンが下がる。

「下がれっ!!!」

熊の動きが一瞬止まる。
その隙をみた瑞穂ちゃんが熊の懐に飛び込む。
そう、それは、私が幼い頃、そしてさっき見たのと同じ光景。
違うのは、私が第三者になっているということだけ。

「瑞穂ちゃんっ!!」「お姉さまっ!!」

「くっ…!!」

瑞穂ちゃんは肩の痛みに顔を歪め、熊を捉える。
そう、捉えられたら後は―――――投げられるだけ。

ドスンッ!!

巨体が地面に落ちる音が聞こえた。

その後に残るのは、投げられて気絶している熊と、
それを睨むような眼で見る瑞穂ちゃんと、
その瑞穂ちゃんを呆然とした眼で見る私と奏ちゃんだけ。

543 :521:2007/07/26(木) 22:49:20 ID:8nBF6MBc0
「もう……流石にダメかも………」

瑞穂ちゃんは熊が動かないことを確認するとフラフラその場で倒れる。

「瑞穂ちゃん!」「お姉さま!」

二人で駆け寄る。
その時、走ったのと一緒に何かが落ちる音がした。

「全く!なんて無茶するのよっ!!」
「ひっく…!お、お姉さまに何かあったら…うぐ……、私……!」
「うん、でも―――」
「「でもじゃない(のですよ)っ!!!」」
「……うん…ごめん」
「でも、本当に無事で良かったのですよ……」
「でも、もう動けないかも……結構血流してるし、私もお腹、空いちゃったたかな?」

瑞穂ちゃんが笑って言う。

「もう!……あら?奏ちゃん足の取れちゃってるわね?」
「そう言われてみれば、足が軽いのですよ〜」
「あ、あれね?」

拾い上げると、ゴロン、と何やらラップに包まれた物が転がった。

「ありゃ?なんだこりゃ?」

そこに転がっているのは………

言葉に出せない私の代わりに、それを見た瑞穂ちゃんが代わりに口を開いた。

「ハン………バー……グ?」

544 :521:2007/07/26(木) 22:54:08 ID:8nBF6MBc0
そう、それはまぎれもなくハンバーグである。
確か私の記憶が正しければ………昨日の夜出てた。

「あ……さっきのまりやの匂いって……コレ?」
「あ、なるほど」

考えてみれば奏ちゃんをおぶっていたのだから、
このハンバーグがちょうど私の顔の近くにあったわけだ。

「あ、もしかしてこれって……」

奏ちゃんが転がる保冷剤を指差す。

「ハンバーグを持ち歩くため?」

そういえばこれは由佳里の持ち物だっけか。

「もしかして、この熊さんが私たちを襲ってきたのも……」

三人の間に沈黙が走る。

「ふっ……ふふふっ!」「はははっ!!」「由佳里ったら……」

私たちは顔を見合わせ、一斉に笑い出した。
全く、こんなところまでハンバーグを持ってこようなんて由佳里らしいというか……
私たちはそこで一旦休むことにした。
奏ちゃんの頭につけている保冷剤のカタマリも開けてみれば凍らせて取っておいたのか、
中から一昨日やら三日前のやらのハンバーグやらが出てきた。

「私はずっとハンバーグを頭につけてたのですか!?」
「そういうことね……」
「な、なんだか複雑なのですよ……」

545 :521:2007/07/26(木) 22:57:23 ID:8nBF6MBc0
瑞穂ちゃんと奏ちゃんが二人で笑いながらにハンバーグを食べながら話す。

「それにしても、食べ飽きたハンバーグと言っても、
持ってきてくれた由佳里ちゃんに感謝ね。奏ちゃんの頭も冷やせたし」
「本当に、由佳里ちゃんにも感謝なのですよ〜」
「あれ?まりやは食べないの?まりやもお腹空いたって言ってたじゃない」
「う〜ん、やっぱハンバーグは――」

ギュルギュルギュル………!!

咄嗟にお腹を手で覆い、三人で顔を合わせる。

「………聞いた?」

顔を赤らめながら二人がコクリと頷く。
たぶん、私の顔はもっと赤いに違いない。あぁ恥ずかしい……

「ほらね?まりやのお腹も美味しそうなものを目の前に我慢できないんだよ」

そう言いながら瑞穂ちゃんがハンバーグの一つを私に差し出す。

「で、でも――」
「でもじゃない!!」

突然の声と瑞穂ちゃんの厳しい顔に奏ちゃんと私は眼をキョトンとさせる。
瑞穂ちゃんの顔がにこやかに微笑む。

「……でしょ?まりやが一番疲れてるんだから、食べなきゃね?」

瑞穂ちゃんの手が私の口に迫る。

「はい、あーん♪」

546 :521:2007/07/26(木) 23:01:46 ID:8nBF6MBc0
「や、やだ!恥ずかしいよっ!」
「あ〜ん♪」
「うぅ……」

瑞穂ちゃんは止めようとしない。
しかたなく白旗を揚げて口を開く。

モグモグ……ゴクリ

「どう?」
「………悪くはないかな」
「悪くはない?」

瑞穂ちゃんが睨む様に直接本心を引きずり出そうとする。

「……美味しい、かな?」
「かな?」
「……」
「………」
「……美味しい、です……」

瑞穂ちゃん、怖いよ。
奏ちゃんも、いつもなら恥ずかしがりながらも
「私も……あ〜ん♪ってしてもらっても……いいですか?」なんて言うのに、
今は小さくなってこっちを見ようともしない。というかなんか震えてる。

「まりやも由佳里ちゃんに感謝ね?」

……でも、確かに美味しかったかな、ハンバーグも。
寮に帰ったらまた今度作ってもらおうかな……なーんて。
自分でも気付かぬうちに笑みを浮かべていた。
それに気付いたのと、物音がガサゴソと聞こえるのはちょうど同じくらいだった。

547 :521:2007/07/26(木) 23:05:06 ID:8nBF6MBc0
「「「あ……」」」

すっかり失念。熊は気絶させただけなんだっけ……
熊は体を起こし、頭を抱えている。
きっと、人間に投げられたのなんて初めてなんだろうな……お気の毒に。

「えぇ!?ちょっと!瑞穂ちゃん危ないって!!」

瑞穂ちゃんはスタスタと熊に近づいていく。
目の前に立ち、手に持つ物ゆっくりと切り株に置く。

「はい、どうぞ?」

そのまま瑞穂ちゃんはゆっくりと下がる。
熊は注意深く臭いをかんだ後、ハンバーグを食べ始めた。

「もう、人は襲っちゃダメよ?」

熊が食べ終え、瑞穂ちゃんに顔を向けた時、熊の動きが止まった。
それを確認した瑞穂ちゃんはゆっくりと熊の頭を撫でた。

「ほら、もう行きなさい?」

熊は後ずさりしながら恐るべき速さで森に消えていった。

「さ、結構休んだし、お腹もそれなりに溜まったし、もう行こうか?」

瑞穂ちゃんがそう言って私たちの方に振り向いた時、
私と奏ちゃんも抱き合ったまま震えて後ずさりした。

「み、瑞穂ちゃん………!」
「な、何かお姉さまから見えるのですよ〜!」

548 :521:2007/07/26(木) 23:08:17 ID:8nBF6MBc0
それから救出隊と合流するまでの約2時間、
私たちは瑞穂ちゃんと5メートル以上の距離を開けながら歩いた。

「ね〜、まりや〜。こっち来てよ〜!」
「ヤダ!!絶対ヤダ!!」
「お、お姉さま、すいませんが、あまり止まらないでくれると嬉しいのですよ……」
「うぅ……二人とも酷いよぉ……」


そして、私たちは全員無事に帰ってくることができた。
これも瑞穂ちゃんと、由佳里のおかげかな……?

「ま、良かったわね。奏ちゃんも瑞穂ちゃんもそれほど大きなケガじゃなかったみたいだし」
「そうね、私は一ヶ月くらい右手上がんなくなっちゃったけど」
「奏もここで見てもらえてよかったのですよ〜」
「そうね、奏ちゃんだけ病院じゃかわいそうだものね」
「それにしても良かったです!私の荷物が役に立って!!」
「……そうね、なんか悔しいけど……」
「えへへ……って、悔しいってなんですか!?」
「そうだ、まりやはお礼言った?由佳里ちゃんに」
「わかってるわよ!……由佳里、ありがと。ハンバーグ……美味しかったわ。
だから、また今度作ってくれる?それと、出来れば私にも教えて欲しいかなぁ……なーんて」
「ほ、本当ですか!?良かったです!実は……」
「瑞穂〜!そろそろ夕飯にしよう、お腹空いただろう?」
「はい、父様。今行きますよ!……で、何?由佳里ちゃん?」
「い、いえ!ご飯にしましょう!!」
「そうね、瑞穂ちゃんにはさっきのお返しで食べさせてあげよっと♪」
「えぇ!い、いいよ、僕は―――」
「ダーメ。それに、み・ぎ・て。使えないでしょ?」
「あ………そっか」
「「あ、あの!!私も良ければお姉さまに(なのですよ)!!」」
「ははは……」

549 :521:2007/07/26(木) 23:26:30 ID:8nBF6MBc0
「さて、僕は夕食前にちょっと行かなきゃね」

瑞穂ちゃんはそういっておじさんの部屋に向かった。

「父様?入りますよ?」
「おぉ、瑞穂か!今日は災難だったな……」
「えぇ。全く。ですが、そもそも私たちをここに呼んだからなんですよ?
そのことも含めてわかってます?……というか、覚悟は出来てる?父様?」
「ふんっ!言ってはなんだが、さすがに利き手を肩から負傷しているお前にやられるほどやわじゃないぞ?」
「……くっ!そうだった……」
「ほらほら、だから子供はとっとと寝なさい」
「父様、甘いよ……。こっちにはこの前寮にかけてきた電話を
録音してあるテープがあるんだ。それを楓さんに聞かせたらどうなるかな?」
「……テープもなにも、おまえの持ってきた荷物は今頃崖だろう」
「そ、そこまで……」
「ふふふ、子が親を越えるにはまだまだ早いのだっ!!」

ガサガサッ!!

「なんだ!?」「なに!?」

そこに現れたのは、一匹の熊。

「あ、今日の……口にくわえてるのは、僕の鞄?」

熊がその場に置く。

「ありがとう、届けてくれたんだね?父様、これでテープはこっちのものだよ?」
「ぐっ……」
「熊さん、ついでだから、ちょっとだけ、あのわ〜るい人をこらしめてくれる?」
「ま、まて!瑞穂〜っ!!!」
「さ!ご飯ご飯♪」

550 :521:2007/07/26(木) 23:31:02 ID:8nBF6MBc0
そして、リビングに行った私たち、いや、三人は呆然とした。

そこに並ぶは………そう、ハンバーグ。

「な、なにこれ?」

うまく言いたいことが言えない。他の二人も同じだろう。

「何って、ハンバーグですよぉ♪今日のはなんとなんとなんと!!!
秘伝の自家製ソースを使用した煮込みハンバーグ、その名も……由佳里スペシャル!!」

ポカーン。たぶん私たち3人の状況を一番あらわせる言葉はコレ。

「いや〜、もうソースは三日前から煮込んじゃってましたし、良い肉も勿体無いですし、
お姉さま方と奏ちゃんが頑張っているから、その間私は皆が帰ってきたときにに
美味しいハンバーグを食べさせてあげよう!っていうことにしまして、
厨房を貸してもらったわけです♪まりやお姉さまも気に入ってくれたようですし♪」
「お、美味しそうね!食べましょうか!奏ちゃん?」
「そ、そうですね!お姉さま、食べましょう!」
「何が……」
「まりやお姉さま?どうしたのですか?」
「な〜にが『その名も……由佳里スペシャル!!』だ!!!ふざけるなぁ〜!!」
「え、えぇ!?」

「ハンバーグなんかもう食えるかぁっ!!!!」



「Hamburg Week」

Fin


551 :521:2007/07/26(木) 23:33:58 ID:8nBF6MBc0
あとがき

さて、始めてSSというものに挑戦してみたわけなんですが……
予想以上に難しい!!この一言につきます!
ネタを思いついて、プロットを作って、そこに肉付けして……と、工程がかかるうえ、
文章が短く纏められないorz 書き進めると、あれもこれも、ってなって、量が増える一方でした。
そもそも、このネタは最初に思いついたネタの冒頭部に4,5レスくらいでいれようとした物なのですが、
全然1レスに収まらず、さらにあれも、これもとなってここまで肥大化してしまいました……

とにかく!!なにが言いたいかと言いますと!!
自分で書いてみて、改めて職人さんGJ!ってことです。

ここまで含めて、拙い文ですが、読んでくれた方は、
暇であれば感想や指摘をしてくれるとありがたいです。

ありがとうございました。

552 :kamakiri ◆0XucCTxAGU :2007/07/27(金) 06:25:54 ID:S5hbqBFp0
521さん、乙です。

なんか、読んでてハンバーグお腹一杯w
ネタ思いついてもそのあとの肉付けが大変なんだよねー
電波受信してる間はどんどん筆?が進むけど。

セリフだけの部分がちょっと読みにくいかもしれない。
キャラの描写を混ぜて行間入れると良いかもです。
またつぎのSS待ってマース。

553 :名無しさん@初回限定:2007/07/27(金) 11:46:02 ID:sN2FjanG0
ちょっとマクドナルド買って来ます。

554 :名無しさん@初回限定:2007/07/27(金) 20:24:10 ID:OjdiXutn0
>>521
乙華麗。
はじめに、まりやは「あたし」ですな。

作品ができたら、まずはそれを何度も何度も読み直して、
ひたすらに間違いや表現を修正する作業を繰り返すといいと思います。
特に「違和感」を消す作業は重要です。
この違和感っていうのが読み手にとってはクセモノで、チクチクするくらいならまだいいのですが、
違和感が溜まっていくと読み手の「読みたい気持ち」というものを阻害してしまい、
ひいてはスルーという憂き目を被ることになりかねません。
書くのに慣れないうちは、完成までの時間以上に修正する時間を取るくらいでもいいと思います。

書き物は書いただけ、読んだだけ上手くなるので頑張ってください。
次作をお待ちしてます。

555 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/28(土) 23:23:20 ID:lwlNvF930
そろそろスレも埋まってきたので、埋めも兼ねて投下します。
前回書いたコンビニ物と平行して書いたもので、こちらはバカ要素が
少なめです。

556 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/28(土) 23:24:17 ID:lwlNvF930
『敗者は誰?』

1月のある日、昼休みに御門まりやが生徒会室に飛び込んできた。
「ちょっと、貴子さんいらっしゃるかしら」
「あっ、御門まりや…先輩…」
この学院でもっとも、この部屋に似つかわしくない人物の出現に驚く君枝はじめ生徒会の面々。
「会長でしたら奥にいらっしゃいます」
「そう、通るわよ」
君枝たちの返事を確かめることも無くズンズンと奥の部屋に入っていく。
「ちょっと、貴子!」
一番奥の机で書類を見ている貴子に声を掛けるまりや。
「…何ですか、まりやさん。さっきから大声で…不調法ですわよ」
「はいはい、あたしは根ががさつですから。それより貴子、ちょっと聞きたいことがあるんだけど…」
「何ですか?手短にお願いしますわ」
「食堂のパン、何?あのバリエーションの無さは!3種類しか無いじゃないの!」
「………何かと思えば…呆れましたわ。そんなことをわざわざ云いに来るとは」
「そんなこととは何よ。昼食を楽しみにしてる者にとっては、選べる数が少ないことは大問題でしょ」
「そう云われましても生徒会の管轄ではありませんし。あと2週間ほど我慢してくださいな。
食堂の改修が終わるまでのことですから」
恵泉女学院の食堂は先週から改修工事のため、3週間閉鎖されている。勿論、調理場もクローズ。
ただし、飲食用の場所として一部分のテーブルと飲み物、あとパンの販売は続けられていた。
「あと2週間も侘しい昼食をしろっていうの!?」
生徒たちはこの間、弁当持参かパンを購入するしか選択肢がない。
「ええ。それが嫌ならお弁当を持参してください」
「いやよ」
恵泉の生徒たちのほとんどが裕福な家庭の子女なので学院側は昼食についての経済的な負担はほとんど考慮していない。
どれほど豪華な弁当を持参しようが購入しようが、一向に関知しない。
しかし、その分、荷物が増えるからと嫌がる生徒もたまにいる。
このまりやのように。

557 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/28(土) 23:27:55 ID:lwlNvF930
「じゃあ、我慢してくださいな。そもそも私は今、それどころでは無いのですから」
貴子はそういうと話は終わったとばかりに、手元の書類に目を落とした。
「こらー、勝手に話を終わらすなあ!・・・って何かあったの?」
書類を睨んでいる貴子が眉間にしわ寄せて、自分の頭をこんこんと叩き始めたのを見て、まりやが尋ねた。
「・・・貴女にお話しても仕方ありませんわよ」
「まあまあ、3人寄ればなんとやらって云うじゃない。ふたりだけど。ダメもとで云ってみそ」
好奇心まるだしの顔。明らかに面白がっている。
「暇つぶしのネタを提供するつもりは有りませんが…ま、いいでしょう。
まりやさん、貴女、学食でパンを食べていらっしゃったのですよね」
「うん」
「その時、周りの生徒たちは何を食べていらっしゃったか覚えてらっしゃいますか?」
まりやは頭をひねって思い出してみた。
「ええと、お弁当とパンかな」
「他には?」
「・・・んーと、ワッフルみたいなのを食べてた子もいたかな」
「それです」
貴子はピッと指差した。
「ワッフルなんてどこに売ってるんですの?」
「えっと、近所のコンビニの前の移動ワッフル屋さんね」
「就学時間内の許可の無い校外への外出は禁止です。もちろん買い喰いもです」
どこの学校でもあるように、恵泉の校則でも昼休みの外出は禁止されている。
そして、購買部、学食でほとんどの物が揃うのでこれまで違反するものはほとんどいなかった。
稀に、コンビニに買い物に行く者がいたがその程度のことは大目に見てきていた。
そもそもこのお嬢様学校は綱紀取締りが緩やかな上、大らかであった。
「なに今更云ってんのよ」
「多少のことでしたら多めに見ましょう。ですが、まりやさん。
現在、どれだけの生徒がワッフルをお昼に食べているか判りますか?」
「…そう云えばかなり、多かったような…」

558 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/28(土) 23:30:55 ID:lwlNvF930
「ええ、10人や20人ではききません。信頼できる調査によりますと現在の我が校のお弁当の持参率は約90%、
残り10%の70人前後がパン購入者です。この人数がそのまま買い喰いにつながるようでしたら昼休みに校門に
見張りを置かなくてはなりません。先生方の耳に入るようになれば、生徒会を飛び越して学校からの指導という
屈辱的なことにもなるでしょう」
貴子は顔を赤くして、拳をぶるぶると震わせた。
「なるほど。あんたはそれを何とかしたいと頭を悩ませているわけね」
「まったく、当学院の生徒ともあろうものが昼休みに抜け出し、買い喰いなどと…」
「あたしはその子達の気持ちがわかるわよ」
「何ですって!」
貴子がキッとまりやを睨む。それに対し、まりやはまあまあと抑えるようなしぐさをして宥めた。
「貴子、いいこと。そもそも何でその子達が、わざわざ外出してまでワッフルを買いに行くのか考えて見なさいよ」
「……何故ですの?」
「魅力があるからよ」
「?」
「外出してでも、校則違反してでもそれが良いと思わせる魅力があるから買いに行くのよ」
「……」
「ということは、裏を返せば今の学食に買い喰いをさせない魅力が無いと云うことでもあるわね」
「つまり、生徒たちに学食で買わせるようにすれば…」
「そう。買い喰いはなくなるわ」
「なるほど。でもまりやさん。そうはおっしゃっても、現在、食堂は閉鎖中でワッフルはおろか、ご飯を炊くことすら出来ませんわよ」
「チッチッチ」
まりやは人差し指を振って否定する。
「なにも、厨房で作れと云ってるんじゃないわよ。パンの種類を増やせばいいのよ」
「なにやら最初云っていたことに戻りましたわね」
「なにも焼きたてのワッフルと同じものを用意する必要は無いわよ。そこそこ魅力的なパンを食堂に並べれば、
わざわざ遠くまで買いに行く生徒もいなくなるわよ」
「しかしそう上手くいくでしょうか?」
貴子が懐疑的な表情で尋ねる。
「今、パンの仕入れを担当してるのは誰?」

559 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/28(土) 23:34:00 ID:lwlNvF930
「えっと、食堂が休みの間は購買部が代行してますわね」
「それがいかーん!食堂が再開するまでのつなぎだということでやる気が無さ過ぎる!なに、あの種類!
コッペパン、アンパン、タマゴサンドの三種類だけなんてなめてるとしかいい様ないわね」
「そうは云っても、まりやさん。購買部だって売れ残ったら損失を出すわけですし品数を絞るのは仕方ないのでは?」
「だ〜か〜ら〜生徒会が仕入れを受け継ぎなさい」
「……はい?」
きょとんとする貴子にまりやが指を突きつける。
「購買部が本腰でパンを仕入れられないというのなら、生徒会がやればいいのよ。売れるパンを選んで仕入れ、売る。
生徒喜ぶ、買い喰い無くなり貴子喜ぶ!一石二鳥じゃない!」
「そそんなこと云われても、仕入れだなんてそんなこととても…」
「ふっふっふ、あたしが一肌脱いであげるから。まあ、パンのチョイスはあたしに任せておきなさい。貴子たち生徒会は
仕入れの段取りと会計から仕入れのためのタネ銭を融通してくれればいいわよ」
「ちょっとちょっと」
あせる貴子。
「決して損はさせないから!あたしにお任せなさいって!」
絶好のカモを見つけたような表情で、まりやの顔は満開の笑顔だった。



2日後の昼休み。
学食のパン売り場は大勢の生徒たちで溢れていた。
販売されているパンの種類は15種類。
まりやがカタログを見て選び抜いた人気のパンたちだった。
「スティックロールをくださいな」
「私はツナサンドを」
「和風ゴールデンバーガーを!」
押し合いへし合いの混雑。とてもお嬢様学校とは思えない風景。
離れたところからそれを見ているまりやと貴子。
「どうよ」
「お見事ですわ。本日はワッフルを食べている生徒はひとりもいませんわね」

560 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/28(土) 23:37:14 ID:lwlNvF930
「ふっふ〜ん。云ったとおりでしょ。ある程度学食で満足させてやれば、誰が好き好んで外出して買いに行くなんて事するもんですか」
勝ち誇った顔のまりや。
一方、その頃、コンビニ前の移動ワッフル屋さんは・・・
「おかしいな。いつもなら恵泉の生徒さんが買いに来るのに、今日は来ないな?明日はちょっと移動してみるか」

次の日の昼休み。
食堂の入り口で棒立ちになっているまりやと貴子。
食堂で昼食をとっている生徒たちの大勢がワッフルを食べていた。
「・・・まりやさん、一体何事ですの?」
「移動ワッフル屋が校門近くに来て営業してるみたいね」
「なんですって!くっ、すぐに抗議して他所へ行ってもらいますわ」
そう云ってすぐにでも飛び出そうとする貴子をまりやが引き止める。
「無駄よ。学校前の路上はウチの敷地じゃないし、仮に移動したとしても近所でまた営業されたら同じことよ」
「しかし、このままでは…」
「仕方ないわね。やりたくは無かったけど…当分、昼休み校門に見張りを立てましょ」
「えっ、ですがそれでは、先生方の注目を集めてしまうことになりますわ」
「だから、生徒会や風紀委員の名前を出さずにするのよ」

「なんで僕がこんなことを…」
ぶつぶつ小声で愚痴を云いつつ、昼休み、瑞穂が校門前にひとりで立っていた。
昨日の放課後、まりやと貴子が連れ立って瑞穂のもとへやって来て、昼休みの校門の見張りを頼んできたのだった。
瑞穂としても事情を知ってしまうと見過ごしにはしづらく、また、まりやだけでなく貴子からも頼まれると否とは云いづらかった。
校門の外、道の向こう側にはワッフル屋のワゴン車が見えている。
何人かが校門の方に歩いてきたが、校門の前に立っている瑞穂の姿を見るとそのまま回れ右をして戻っていってしまう。
たまにそのまま、校門の外へ向かおうとする生徒もいたが、瑞穂が、
「いけませんわね」
と声をかけてニコリと微笑みかけると、皆、赤い顔をしてしどろもどろになりながら、校舎に引き返してしまった。
その様子を遠くから見つめているまりやと貴子。

561 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/28(土) 23:41:02 ID:lwlNvF930
「よっしゃ!作戦は大成功ね」
「お姉さまには本当に申し訳ありませんわ」
「なあに、2週間だけのことだし。学院の模範となるエルダーとしての立場からも、買い喰い取り締まりは見逃せないことなんだし。
さ、アタシらはパンを売ることに専念しましょ。ガンガン売るわよ〜」

次の日、食堂ではワッフルを食べている生徒が多数いた。
呆然と立ちすくむまりやと貴子。
「何故…」
君枝を呼んですぐに調べさせる。
程なく理由が判明した。
「判りました。ワッフル屋が移動して、裏門の学院の柵側で営業しています」
生徒は学院の敷地から出ることなく、柵越しにワッフルを購入していた。
「んん〜、ワッフル屋め、小細工を〜」
地団太踏んで悔しがるまりや。
「まりやさん。どうするのです、なんだか余計に悪化したようですけど」
現在の弁当持参率は85%になっていた。
そこに瑞穂がやって来た。
「まりやさん。どう、パンは売れてるかしら」
食堂の中を覗いてぎょっとする瑞穂。
「なに?これ」
「ええい、この役立たずがあ!」
「ちょっと、まりやさん。お姉さまの責任ではありませんわよ。強いて云えば貴女の作戦の甘さですわよ」
貴子に窘められて、まりやはギリギリと爪を噛んだ。
「こうなったらあたしも本気でいくわよ。貴子、総力戦よ」
「えっ?」

またまた次の昼休みの食堂。
全校生徒の憧れのお姉さま3人、瑞穂、紫苑、貴子がパンを食べている。
その姿を遠巻きに見ている大勢の生徒たち。

562 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/28(土) 23:44:32 ID:lwlNvF930
「ハムサンドがとても美味しいですわね」
「紫苑さん、このクリームコロッケパンも美味しいですよ」
「卵パンもコーヒーに良く合いますわよ、お姉さま」
3人が美味しそうにパンを食べているのを見て、パン売り場に群がる生徒たち。
その光景を見て、まりやがほくそえむ。
「安直だけど、大駒の威力は絶大ね。最初ッからこうすりゃ良かったわ」
一方、その頃ワッフル屋は・・・
「おかしいなあ、またお客さんが来なくなったな。ちょっと調べてみるか…」



その週の日曜日。
ひとりで買い物に出かけるため、校門を出たまりやにひとりの男が声を掛けてきた。
「すいません。あなたが御門さんですか?」
見かけない男の姿に咄嗟に身構えるまりや。
そんな警戒したまりやの姿を見て、男は慌てて名刺を取り出した。
『移動ワッフルのお店 夢々オーナー Q村T雄』
「ああ、いつも学校前に出してるワッフル屋さんですか」
「はい、そうです。じつはお願いがございまして…話を聞いていただけますでしょうか」
その男性はまりやを近所の喫茶店に案内すると、そこで自分たちの販売に力を貸してくれるように頼んだ。
「そうは云ってもね〜、パンの販売は生徒会がやってることだし」
「いいえ、私共も色々と調べさせていただきました。現在の食堂のパン販売は御門さんが指揮を執っておられること、
パンの売り上げを飛躍的に伸ばしたことも知っております。是非、そのお力を!」
「でもね〜、あたしは恵泉の生徒だし…」
そう云って横を向くまりや。
「もし、お力を貸していただけましたらお礼と致しまして、売り上げの10%ほどを」
その言葉にまりやがぴくりと反応する。
「ででも・・・い今更、生徒会を裏切ってまで・・・ね?」
まりやのその態度に脈ありと感じたのか、男性は更に意気込んで話を続けた。
「その他、さらに、今後私の店のワッフルはいつでも無料で食べて頂いて結構です」
「えっ、タダ!?」

563 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/28(土) 23:48:43 ID:lwlNvF930
「はい」
う〜んと考え込むまりや。やがて、
「そのタダのところだけど、あたし以外に寮生3人も入れてもらえるかしら。だったらOKなんだけど」
「おおっ!わかりました。OKしましょう!」
「じゃあ、商談成立ね」
男性と握手を交わしてしまったまりやだった。

月曜日、午前中に生徒会室を訪れたまりやは、
「あたし、ちょっと忙しくなってきたからパン販売から抜けるわね。ここまで来たらあんた達だけで十分でしょ」
そう云って、一方的に離脱してしまった。
呆気にとられた貴子だったが、確かにここまでくればまりやの力はもう必要ないと考えて、特に引き止めることもしなかった。
そして、昼休み。先週と同じく、瑞穂、紫苑、貴子の3人組が食堂にやって来て見た光景は・・・
「ななななんですのぉぉ、これはぁぁ!!」
大勢の生徒たちがワッフルを食べている光景だった。
しかも、ワッフルだけに留まらず、シュークリームを食べている生徒も多数いる。
慌てて、生徒会室に駆け戻り貴子は、君枝に再び調査させた。
そして程なく、原因が判明した。
その頃、ワッフル屋では・・・
「さあ、何でも好きなのを買って頂戴!隣ではシュークリームも売ってるわよ。両方一緒に買ってくれればオマケもあるわよ!」
今日はいつものワッフル屋のワゴン車の隣にシュークリーム店のワゴン車もやってきていた。
そして前の通り柵越しの販売、その柵の前でまりやが群がる生徒たちに声をかけていた。
「メニューが多ければ、集客力が上がるのはワッフルでも同じ。ここでシュークリーム店を持ってくれば、
スイーツ大好きな女の子たちまっしぐらって訳よ」
しかもさらに、まりやはワッフルとシュークリームを両方買ってくれた人には、瑞穂、紫苑、貴子のいずれかの写真が入っている
お楽しみ袋をおまけに付けるというサービスを採った。
これが更に、集客に弾みをつけた。
生徒会室では、君枝が以上の調査報告を貴子たちに行っていた。

564 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/28(土) 23:54:01 ID:lwlNvF930
「ちなみに現在の弁当持参率は80%、残り20%のほとんどがワッフルとシュークリームを持って
食堂や教室で写真を眺めながら食べています」
がっくりと床に膝をつき、うな垂れる瑞穂と貴子。
「・・・まりやってば…」
「まりやさん…貴女という人は…貴女という人は…」
ただひとり、紫苑だけは純粋に驚いた風に目を丸くしていた。
「さすがはまりやさん。敵に回すと恐ろしい方ですわね」
「紫苑さん、なんて呑気な…」
「でも、なぜまりやさんはワッフル屋さんに行ってしまわれたのでしょうか?」
「どうせ何か報酬を持ちかけられたのに違いありませんわ」
貴子の言葉に瑞穂も頷く。
「私もそうだと思います。面白そうだとかワッフル食べ放題とかそんなことだと思いますよ」
さすがに貴子も瑞穂もまりやの性格を熟知している。
「ああ、どうしたらいいのでしょうか…以前より激しく状況が悪化してしまいましたわ。
…そもそもまりやさんにパン販売を任せてしまったのが失敗だったのですわ」
頭を抱えて激しく落ち込む貴子。そんな貴子の様子を見て、紫苑が微笑みながら声をかける。
「貴子さん、でしたらこちらも応援を頼みましょう。まりやさんの理由がそういうことでしたら遠慮する必要はありませんし」
「えっ、応援?」
紫苑は貴子と瑞穂を連れて教室に戻った。
「いあ・いあ・はすたー」
そして、目の前にはこの人物。
「あたしを召喚したのは貴方達かしら」
「・・・って圭さんですか!?」
「なんだか話が見えないのだけど、とても不満そうね、瑞穂っち」
「ふふふ、すいません。圭さん。少しお力をお借りしたいのです」
紫苑が圭に事のあらましを説明する。
「なるほど、あたしに御門まりやの尻拭いをして欲しいというわけね」
「はい」
にっこり笑って、肯定する紫苑。
そんな紫苑の態度にちょっと、目を見張った圭は腕を組んで、う〜んと考え始めた。

565 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/28(土) 23:57:48 ID:lwlNvF930
そこに美智子が現れた。
「圭さん、面白そうですね」
「あら、美智子、聞いてたの?」
「ええ、せっかく紫苑さまたちが頼ってきてくださったのに断るのはもったいないのでは?」
「美智子さん、もったいないって?」
瑞穂がややあせりながら尋ねた。
「あら、せっかく瑞穂さん、紫苑さま、貴子さんのやんごとなき3人の方々にまとめて恩を売るチャンスなのに、
この機会を逃す手はないのではありませんか?」
かなり俗なことを云う美智子。
「なんだか、まりやさんが云いそうなせりふですね」
瑞穂が冷や汗をたらしながらつぶやいた。
「いいでしょ。あの娘の気まぐれにも、ここらで釘を刺しときましょうか」
美智子の台詞を聞いて、どうやら圭も乗り気になってくれたようだ。
その様子を不安げに見守る貴子と瑞穂。
「お、お姉さま、なんだか怖い気がするのですが」
「ええ、私もなんだか…」

その晩、寮にて、
「まりや、なんてことしてくれたの」
「ん〜、だって仕方ないじゃん。あの人たち、生活かかってるんだし〜」
「こっちも迷惑を蒙った人がいっぱいいるんだよ。生徒会の人とか、購買部の人とか」
「貴子でしょ〜。別にいいわよ、気にしなくても」
瑞穂の言葉にもまったく悪びれた様子を見せないまりや。
「いい加減にしなさい、まりや。そうそういつも自分の思い通りになると思ったら大間違いよ」
「ほほう、なにやら云ってくれちゃってるけど、貴子と瑞穂ちゃんが組んだところでどうだっていうのかしら〜」
「あんまり甘く見ると痛い目を見るわよ」
「ふふん、面白いじゃない」
「どうあっても謝る気は無いみたいね」
「当然。逆に面白くなってきたわよ。是非あたしをへこまして見せて欲しいわね」

566 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/29(日) 00:01:59 ID:LIZhQJoD0
完全に頭に乗っているまりや。その相手を見下したような態度に、瑞穂もちょっとムッとなった。
「……判った。僕としても出来るだけまりやを助けてあげたかったんだけど、本人がそう云うならもういい」
なんだか意味深なことを云って席を立つ瑞穂。しかし今や完全に調子に乗ってしまっているまりやには、
これを怪しむいつもの鋭い勘の冴えが無い。
「ま、せいぜいがんばって頂戴。期待してるわよ〜」
「・・・・・・・・・」


圭曰く、
「まりやは俳優の使い方を間違えている。役者は動かしてこそ本領を発揮するのよ」
圭は貴子と紫苑に、放課後、演技指導を行なった。
営業スマイル、接客態度、接客トークなどなど…。
翌日の昼休み、食堂の一角でパンを売っているのは紫苑と貴子だった。
「卵蒸しパンとチョココロネで220円です。80円のお返しですよ」
紫苑が女生徒が差し出した手を、そっと取り、その手のひらに優しくお釣りを置いた。

きゃああぁぁ〜〜

沸きあがる歓声。
紫苑と貴子がパンを買いに来た生徒一人一人に丁寧に接客、スキンシップを取りながら販売してくれる。
たちまち長蛇の列が売り場に出来た。
「会長〜会長〜」
君枝も並んだ。生徒会の役員たちも並んだ。
クラス単位でまとめ買いをしてくれた人には、エプロン姿の瑞穂が配達をするサービスも行った。
憧れのお姉さまがエプロン姿でパンを配達してくれる、その姿を見たいが為、弁当持参の生徒も飛びついて多くの教室で、
パンのまとめ買いがあった。
「現在、全校生徒数の30%はパン購入をしています」
約210人がパンを購入している計算になる。
仕入れたパンは種類を問わず、全て売り切れ。瑞穂たち3人は大喜びしている。

567 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/29(日) 00:06:25 ID:LIZhQJoD0
しかし、圭は表情を崩さない。
「まだ決定的ではないわね」
美智子が寄ってきて、圭になにやら話しかけている。それに対して圭がうんうんと頷いている。
「そうね。お願いするわ、美智子」

一方、まりやは、
「拙いわね」
かなり焦っていた。
まさか、瑞穂たちが自分たちの人気を武器にしてくるとは思わなかった。
そういうことは、どちらかといえば、まりやの専売であった。これまでは。
販売アドバイザーとして大見得きってシュークリーム屋さんまで引っ張り込んだ手前、失敗なんて恥ずかしくて出来ない。
なにより、ぼーっとした瑞穂と頭ガチガチの貴子に負けるなど、プライドが許さない。
「仕方ない。ちょっと汚い手を使わせてもらうわよ…あたしを本気にさせたことを後悔しなさい」
くっくっくと不気味に笑ったまりやは、その日の夕方、ひとり電算室のパソコンでなにやら作業に没頭していた。
しかし、まりやはこの時点で、自分の相手が『瑞穂・貴子・紫苑』では無く『圭・美智子』に変わっていたことに気付いていなかった。

翌日、学院内のネット掲示板に瑞穂の誹謗中傷が大量に書かれているのが発見され、ひと騒動が起きていた。
内容は、瑞穂の性格は実はカマトトであるというものや根暗陰険であるというものから、
パン屋は実は瑞穂が小遣い稼ぎに粗利を掠め取っているというものまで多様な内容で書かれていた。
これを読んだ生徒たちは、内容に反発し、一斉に瑞穂のもとに押しかけた。
(お姉さま、こんな中傷を気にしてはいけません)
(私たちは、こんなものを信じてはおりません)
(このようなことを書いた人物、その人こそきっと陰険なのですわ)
押しかけた生徒たちは口々に、瑞穂に声援を送り掲示板の内容を非難している。
ネット掲示板に中傷を書き込まれたことによって、逆にパン販売はこの日、飛躍的に支持率をアップさせた。

568 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/29(日) 00:10:00 ID:LIZhQJoD0
この日の弁当持参率は60%だったにも関わらず、全校生徒の85%がパンを購入した。
仕入れはいつもの量では間に合わず、近所のパン屋に電話して、売れ残りのコッペパンまで買い占めたのだが、
それらも全て売切れてしまった。
明日も恐らく、今日と同じくらいの数になるだろうと予想し、600個仕入れる段取りをつけた。
「かなりの利益が出ています」
君枝の報告を受けて、明日からはアルバイトの売り子を食堂再開までの間雇って、販売することにした。
瑞穂たち3人だけでは到底手が足りなかった。

「負けたの…?あたし…」
呆然とするまりや。
この日、ワッフルの売り上げはゼロ。シュークリームの売り上げもゼロ。
パンでお腹を膨らました生徒たちは、いくら甘い物は別腹だといっても、食べることは出来なかった。
本日、売るつもりで大量に作って用意していた、ワッフルとシュークリームは丸々と売れ残ってしまい、大損。
がっくりしたワッフル屋は、まりやとの契約を打ち切ってしまい、明日からは来ないと明言してしまった。
「なんで…なんでこうなっちゃったの…」
そもそも、前の日にネットにパンについて批判とワッフル屋の宣伝を書き込んだのはまりやだった。
パンとワッフルの値段の格差、味について数行書き込み、ワッフルのほうが良いと持ち上げた。
そして、本日、ワッフルを買ってくれた生徒には、秘蔵の瑞穂パンチラ写真をオマケでつけることを、
由佳里や後輩を数人使って宣伝する予定だったのだ。
それがどういう訳か、今日、誹謗記事に変わっていて、しかも学院中はパン屋応援ムード一色。
こんな状態で、ワッフル売込みなどしようものなら、掲示板書き込みは自分たちだと云われてしまいそうで、
とても云い出せなかった。

結局、まりやは最後まで圭と美智子の存在に気付かず終いで、夕暮れの誰もいない3-Bの教室で、
真っ白に燃え尽きてしまっているのだった。
ワッフル屋には呆れられてしまうし、由佳里たちには口止め料として秘蔵コレクションの一部を渡した。
大損害、散々な目にあった。

569 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/29(日) 00:13:14 ID:LIZhQJoD0
そして、隣の3-Aの教室では、瑞穂、紫苑、貴子、圭、美智子が集まっていた。
「決着は着いたようね」
圭の言葉に瑞穂が首をかしげて尋ねた。
「あの掲示板、一体誰が書き込んだのでしょうか?まさか、まりやが?」
「いいえ、私です」
美智子がいつものニコニコした笑顔で答えた。
「ええ!?美智子さんが!?」
「昨日の夕方に、まりやさんが電算教室のパソコンを使って書き込みをしているのを発見したんです。
内容はワッフルの宣伝でしたけど、さすがはまりやさん、絶妙な煽り文句でした。なので書き直させていただきました」
「書き直すって…」
「裏掲示板の管理者は生徒会ですから」
瑞穂は貴子の顔を見た。貴子が頷く。
「ええ。昨日の夕方に美智子さんから云われまして、まりやさんが書き込んだページを丸ごと削除して全く同じフォームの
ページと差し替えました」
「そ、そこに非難や中傷を書き込んだのですか?」
瑞穂の背筋に冷や汗が流れた。
「ええ。おかげで支持がこちらに一気に傾きましたわ。」
事もなげに答える美智子。
「ま、美智子に勝てる人をあたしは知らないわね」
圭がぼそりと云うのに、圭が笑顔のまま、
「あら、圭さんには勝てませんわ」
と答え返した。
「やはり圭さんに応援をお願いして大正解でしたわね」
嬉しそうな紫苑の声を瑞穂は寒気を感じながら聞いていた。
(ダメだ!この人たちを敵に回してはダメだ)
貴子も同じようなことを考えていたらしく、瑞穂と貴子は恐ろしそうに目を合わせるのだった。

570 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/29(日) 00:17:18 ID:LIZhQJoD0
〜えぴろーぐ〜
朝、瑞穂が教室に入ると美智子が挨拶をしてきた。
「おはようございます。瑞穂さんにちょっとお願いがあるんですけど」
「何でしょうか?」
「実は本日、放課後にお買い物に付き合っていただきたいのです」
意外な言葉に、瑞穂が少々驚く。
「え!?美智子さんの買い物に私がですか?」
「ええ。いけませんか?」
「いえ、ダメではありませんが、何故私なんですか?圭さんは?」
「まあ、うふふふ」
瑞穂の慌てた様子に、美智子が笑った。
「申し訳ありませんがこれはデートの誘いではありませんよ。瑞穂さんのほかにも紫苑さまや貴子さんにも一緒に
行って頂きますの」
「どういうことでしょう?」
「さる人から頼まれまして…」
「???」
「その人は、何でも最近、手痛い失敗をしてしまって大事なコレクションを大量に失ってしまったそうなんです」
「そのコレクションってまさか…」
「で、その補充がしたいという事で、今日の帰りに色々な洋服を着たお三方の写真を取りたいそうです」
「・・・・・・まりやですか?」
美智子は微笑を浮かべながら頷いた。
「やっぱりまりやさんはさすがですね。独自の情報網と行動力で直ぐに私の所にいらっしゃいましたの。
私も多少、まりやさんに悪いことをしたと思ってましたし」
そう云って美智子は劇場チケットを2枚取り出した。
「劇団シキのペアチケットも頂いてしまいましたの。瑞穂さん、今回の件で貸しがあった筈ですわね。
よろしくお願いいたしますね」
その言葉に、ガックリと膝をつく瑞穂。もとより瑞穂に断る術などあるわけも無い。
(こ、怖い…み、みんな怖いよ)
どうやら今回、真に負けたのはまりやではないらしい。
そう思い朝から深く落ち込む瑞穂だった。

Fin

571 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/29(日) 00:21:00 ID:LIZhQJoD0
私の好きな『あの人』が今回も黒い活躍をしてしまいました。
私の書くものに『あの人』が出ることが多いです…。

お粗末さまでした。

572 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/07/29(日) 10:51:19 ID:LIZhQJoD0
お早うございます。次スレです。
処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第14話
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1185672661/


573 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 10:56:23 ID:3QOGjFXm0
>>571
GJお疲れ様です〜
美智子さん黒いよ美智子さん

574 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/07/29(日) 10:57:04 ID:2UBURnee0
>>572

GJ&次スレありがとうございます! それでは……
            , ' ´ ⌒V/'' 一_-、
          /  /        `ヽ,` 、
         / / / /  i     ヽヽ ヽ. \
        /  i i ./ / .ハ   i i i .i ヽ`、 ゙ 、
.        l / i  iイハi i i i iリi i  i i ヽヽ i
        l/ i  i斗ェ士Iト;/ //__iリ  i i ハ ',
        l バ|  〈.{゚:::::i}゙ レノ/,ィメミト  i  i i.l.l i
       l i ハ  i.辷ソ  " .{:::ソ〉i / .レ .| i
       l i  ハ  ヽ:::::  _ ' :::゙"/ / レノノi.l
      l i  i ト ヽ \  _ , イ イ ハノノ 埋めますよ
.      l i  i  i  「`゙''ー゙r"T// i/ i i
      l__i_, 斗‐へ ___ ィL/`ー- i_i iヽ
     /  } }  <´  ∧+.ト、`ヽ  } }  ヽi ヽ
   /     } }  _〉 :: :∧゙ヽ 〈  } i   ヽ ヽ
  /       V´ | , イ ハヽ、 ハ`' く     '、ヽ
. /       /  ノイ/ .H ヽ ヽ,〉  ヽ    ヽ \
〈        i   ムr-i^'|ウレ イへi  i     .〉  \
. \      ト、:::::::::::::::::::i「o]i|::::::::::::::...ノ     .人   ヽ
  / に_ >'i. `' -----┴┴-----イ  < イ ヽ \
  /< ̄7" i ハ             |ハ こ イ i\\ \
. /    V  i iハ            ,iハ   .i i ヽヽ  ヽ
/ ⌒ヽ〈  i i i .ト、          ii  { ー イ  iヽ ヽヽ  ヽ
|     V i i 〉ヽ、         | i  i   .i  iヽ ヽ ヽ 
.\    「>、i/ \ ー  ―  イハ i i    }  i ヽ ヽヽ
/ /へ  レ'   〉、_,, --、_ー    /  i i .i    i  i ヽ ヽヽ
.//  i |゙Y   /    ̄、`゙;、       i i i   i  i  ヽ ヽ

575 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 11:28:06 ID:3DMF49aE0
そして最後はやっぱり
−−−−−−−−−− 再開 −−−−−−−−−−
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;      ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;        ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;         ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;     _,.'⌒  ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;    '´  `ヽ  ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;   . /  j ))ソ    ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;    / / / /ノ      ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;   ノノノノj{_)       ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;   ´θ^θン)u        ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
そして
−−−−−−−−−− 終了 −−−−−−−−−−−

501 KB
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50

read.cgi ver 05.03.00 2017/10/01 Mango Mangüé ★
FOX ★ DSO(Dynamic Shared Object)